現代魔法術はアプリで効率化!私は私の魔法術を極めたい 作:サモア リナン
昼休みのチャイムが鳴り終わる直前、私は校舎の裏手にある旧校舎へと足を急がせた。目的地は、「古式法術研究会」――略して“古研”の部室。
ドアを開けると、すでに先客がいた。
「やぁ春佳奈ちゃん、準備はもう済ませたよ」
そこには、風紀委員兼、唯一の先輩部員である奏(かなで)先輩の姿。部屋の中央には、展開式の投影魔法陣装置が浮かび、すでに魔力受信状態になっている。
「模擬戦形式で、今日は風属性の干渉式。こっちはアプリ魔術との併用モードでいくねー」
「……了解しました。非殺傷設定、確認済みです」
私はカバンから、自作の魔術ツールを取り出す。金属プレートに刻まれた符号陣と、拡張式の魔力展開装置。私の“武器”は、現代の魔術常識からすればあまりに奇抜で時代錯誤だ。だが、これこそが私の研究成果。
魔法陣の形を“武器”として再構築する、新たな古式魔法術の試み――《リボルバー式魔法陣 Type-K》。
「魔力チャージ開始……共鳴、発生。いきます」
「構えよ、六つの魂(シリンダー)――《魂環、展開》」
「穿て、真理の管(バレル)――《銃身、形成》」
「響け、意志の起点(ハンマー)――《撃鉄、降下》」
「重なれ、輪廻の軌道(フレーム)――《骨格、統合》」
「収束せよ、光折の終灯(サイト)――《照準器、展開》」
「装填完了――(バレット)《非殺傷属性:1番から6番添付完了、付帯属性の設定:風纏》」
「構成具現化、完成《リボルバーアーク》」
空間に青白く浮かび上がる魔法陣が回転を始め、銃型構造を組み上げていく。最後に照準器が展開された瞬間、魔法銃が“完成”した。
――起動完了。リボルバー式魔法陣《Type-K》、第一射準備。
構築された魔法銃から風属性の魔力弾が放たれ、鋭く空気を切り裂いた。
奏先輩は最小限の動きでそれを避け、スマホで起動したアプリ魔法を盾のように展開し、正面からそれを受け止める。
「いい動き!次は上から行くよ」
風の刃が弧を描いて私を襲う。私は咄嗟に印を組み替えた。
「《風鎧(ふうがい)》展開!」
風の膜が体を包み、刃の威力を流して逸らす。攻防の一瞬。魔法陣が再び回転し、次弾の装填を告げるかのように光が脈動する。
「今の私、カッケェ!」
現代では、魔法はアプリで使うのが当たり前だ。指一本で火も風も出せる。
だが私は、詠唱・手印・構築を重ねて魔法を「作る」工程に惹かれた。効率よりロマン。
古式魔術の魅力は、構築の深さ、そして応用の自由度にある。
一方、奏先輩の魔術はまさに“最先端”。スマホアプリに古式魔術陣の構造を上書きする融合式。使いこなせば、高速発動と応用の両立が可能だ。私の目標でもある。
だが今は、私のリボルバーで、食らいつく。
「装填、第二弾。――《旋風(つむじかぜ)》!」
放たれた魔弾が先輩の風盾と衝突し、魔力の衝撃波が部室を震わせた。
視界の端で、先輩が笑った気がした。
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模擬戦が終わり、私は一息つく。
「先輩、非殺傷設定でも、衝撃はなかなか……」
「それはそうよ。実戦じゃもっとよ。春佳奈ちゃんの魔法は理論に基づいていて完成度が高し、もう一歩踏み込んでも良い頃ね。」
「銃と弾と属性と戦い方と、うーわー難しいでーす」
と足をバタバタさせる。
「ふふ、大丈夫。入学したての時とは同一人物とは思えないぐらい成長してるわよ、その成長速度!自信持っていいわ」
「・・ありがとうございます」
先輩は褒めるのが上手だ。こっちが恥ずかしくなってくる。
「あとは、これね」
先輩は、部室の棚から蓄光珠《プロトスフェア》を取り出して見せた。
「これが使えるようになれば、次の段階に進めるわね。あなたの魔法陣は、“仕組み”の精度が威力に繋がるわ。もっと整えば、威力は飛躍するし、更にカッコよくなるわよ」
「更に!?ふふふ、いいですね、やってみます」
「あなたのそう言うところ、好きよ」
私は蓄光珠を見つめた。それは、過去の魔術師たちが使っていた古い魔術具。現代の誰もが見向きもしない“遺物”だ。けれど、それを活かす方法を、私は知っている。
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放課後の帰り道。私はランカーたちの写真が並ぶ掲示板を眺めた。
SからDまでの魔法使い。その最上位――Sランクの一人は、境界突破事件の際に、単騎で伝説級モンスターを退けたという。
「……まだ、私はただの高校生。でも――」
その夜。校内に響く警報音。
【警戒レベル:2】
【境界に魔力反応。侵入の可能性あり】
静かな学園に、異変の兆しが忍び寄っていた。
ばかな!まるで違う小説になってしまった!
全て書き直しだ!
嘘です