現代魔法術はアプリで効率化!私は私の魔法術を極めたい   作:サモア リナン

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展開が遅い!


6→7話 裏切り→同じ関係は続かない話

 

運ばれてくる“それ”を見た瞬間、思考が止まった。

 

――異形の子どもたち。

 

人間と、人型魔族。そのあいだに生まれた、幼い命。

 

「う、嘘でしょ……?」

 

あまりの光景に、思わず声が漏れた。震えた声。自分の声が、自分のものじゃないみたいだった。

 

「しーっ、大声出しちゃだめだよ」

 

口元を押さえられた。隣にいる先輩の顔が、やけに冷静で……それが逆に、怖かった。

 

ランカーたちがせわしなく動いている。まだ私たちには気づいていないみたいだ。でも、心臓の音だけが、鼓膜を叩いて離れない。

 

「だめだよ、こんなの……」

 

星璃愛も顔を真っ青にして、かすれる声で呟いた。

 

「これは……流石に、予想外すぎるね」

 

奏先輩が低く言う。冷えた声が、重く空気に落ちた。

 

 

 

私たちは、しばらく言葉を失ったまま、その場所を見つめていた。

 

そして――

 

「……早く行こう」

 

星璃愛が、袖をぎゅっと握ってくる。冷たい手だった。

 

「う、うん……」

 

ここにいても、今の私にできることはない。あとは、プロに任せるしかないんだ――そう思った、そのとき。

 

 

 

「ねぇ、あれ……なんだろう」

 

奏先輩の声が、不自然なほど穏やかだった。

 

どこか、いつもと違う。けれどパニック寸前の頭では、その違和感の正体まで考えが及ばない。

 

言われるまま、指差された方を見た。でも、そこに“変なもの”は――なかった。

 

「なにしてるの!? 早く! 早く逃げよう!」

 

星璃愛が切羽詰まった声で私の腕を引いた。

 

……逃げよう?

 

いま、逃げようって言った?

 

なにから?

 

 

 

「はぁ……気づいちゃったんだね、星璃愛ちゃん」

 

静かに、ため息とともに落とされた声が――凍るような冷たさを含んでいた。

 

「……せ、先輩?」

 

振り返る。そこにいたのは――あの、フードの人物。

 

「え、え……?」

 

 

 

――バギィッ!!

 

「っ……!?」

 

顔面に蹴りが飛んできた――が、それはフェイント。

 

本命は、腹。膝が、突き刺さるように撃ち込まれた。

 

咄嗟に防御障壁を展開していたおかげで即死は免れたけど、体が吹き飛ぶ。内臓が揺れる。声が、出ない。吐き気が込み上げる。

 

「はる、大丈夫!?」

 

「……う、ん。なんとか……」

 

苦しげに見返すと、

――奏先輩が、あのフードの人物と並んで立っている。

 

それは、何よりも確かな“裏切り”の証だった。

 

 

 

「春佳奈ちゃんはさ、思った以上に動いてくれたから、途中まではすごく助かってたんだよ?」

 

奏――いや、“あれ”は笑っていた。

 

「でも星璃愛ちゃんが天才すぎて、共同の境界軍も法術協会も動きが早くて……餌は見つかるし、処分は間に合わないし。あ〜あ、もう、計画修正しなきゃだよ。ほんと、困る。……先輩ごっこ、楽しかったのになあ」

 

何を、言ってるの。

 

わかりたくない。わかりたくないのに、言葉だけが耳に突き刺さってくる。

 

 

 

「……っ! 古式魔法術式展開」

 

先に星璃愛が動いた。

 

「熱香・灼爛穿槍《しゃくらんせんそう》・弐薙《ふたなぎ》! 追装・拘縛式外殻・雷纏! 電色転換・黄転赫! 結名――緋迅対爪《ひじんついそう》!!」

 

――赤き雷をまとった槍が、両腕に現れる。

 

「へぇ、星璃愛ちゃん、古式使えるんだ……って、いやいや、盛りすぎでしょ!? なにその中二病全開のフレイムランス二刀流!?」

 

 

 

「シリンダー装填、バレル穿て。ハンマー響かせ、フレーム重ね、サイト収束。非殺傷拘束弾装填完了――構成具現化!」

 

詠唱を短縮する。

 

「リボルバーアーク:ツイン」

 

二丁のリボルバーを構える。――ここからが本番だ。

 

「即応備え。バレットストック、シリンダーストック展開」

 

周囲に浮かび上がる、魔力の弾倉。絶え間ない供給で、弾切れはない。

 

「……春佳奈ちゃん、ほんと成長しすぎ」

 

 

 

言いながら、“奏”は姿を変える。変装を解いたその姿は――30代半ばほどの女だった。

 

「それで? 星璃愛ちゃんは、なんで法術アプリ使わないの?」

 

「……空気中の魔素の色と匂いと味が、いつもと違うの。どうせ、アプリ無効化されてるんでしょ?」

 

「……えーと、まぁ……うん。“アプリキャンセラー”ってやつは使ってるけど、さ。魔素の味って、なにそれ? それでキャンセラーって判断できる意味がわかんない。説明、してほしいなぁ?」

 

「もう言ったでしょ。色・匂い・味でわかるって! 同じ説明させないで」

 

「……化け物すぎて参考にならないわ」

 

 

 

そのとき、フードの人物が、低く唸る。

 

「おい、女。俺の蹴りを受けて――なぜその程度で済んでいる?」

 

男だ。こいつの声と気配は、確かに“戦闘用”のものだった。

 

「防御障壁で受けたからに決まってるでしょ」

 

「砕き、貫通したはずだ」

 

「……敵に教えるわけないでしょ」

 

「それも、そうか」

 

 

 

質疑は、そこまでだった。

 

――2対2。交戦開始。




思うように進まぬ!!
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