現代魔法術はアプリで効率化!私は私の魔法術を極めたい 作:サモア リナン
「はる!援護お願い」
星璃愛は私に指示を出しながら踏み込む。
腕に装着されたフレイムランスが赤熱し、蒸気を弾くように火花を吹く。
「――っはあぁああッ!!」
瞬間、火の弾丸のように星璃愛が疾走。フードの男の懐に飛び込み、フレイムランスを振るう。
金属がぶつかるような、硬質な音。
だが――
「フッ!」
男は身体を沈め、下から拳を突き上げる。その拳には、見えない何か――“気”が収束していた。
星璃愛のランスが弾かれる。
「ちっ、接近戦がお得意ってわけね!」
距離は取るが、退かない。反転するようにもう一撃。火炎をまとう槍が、風を裂くように男をなぎ払う。
男は紙一重でかわす。だが、その瞬間――
「今!」
私が構成した《雷圧拘束弾》が地面から噴き出すように発動。男の足元を狙い、電撃の鎖が絡みつく。
「……!」
「離れて!」
星璃愛は歯を食いしばりながら跳び退き、焦げた地面を蹴って着地。
そして――
「《赫焔槍・紅閃》!」
怒りと決意を込めて叫び、フレイムランスを真っ直ぐ前へ突き出した。
腕からフレイムランスが飛び出す。灼熱の槍が空を裂き、男の胸元へ突き刺さるように迫る――
が、男がとっさに掌を前に突き出す。そこに“気”が凝縮されていた。
「おおおおッ!!」
火花と衝撃音が空間を震わせる。掌から放たれた“気”がフレイムランスとぶつかり、炸裂する。
煙が立ちこめた中で、星璃愛は腕を突き出したまま呟く。
「――戻っておいで」
小さく囁いた瞬間、空中に漂っていた炎の粒が渦を巻き、槍の軌跡を再構成するように逆流する。
ランスは彼女の腕に吸い込まれるように収束し、再び装着された。
「……なんだ、あの武装。面倒だな」
男が苛立ったように舌打ちする。だが、接近しか手段がない彼は、一歩でも距離を詰めようと踏み込んでくる。
「近づけさせない!」
私は素早く《反発結界》を展開。地面から空間が隆起し、男の進行を妨害する。
「甘い!」
男の拳が空気を砕くように閃く。結界が砕け、衝撃が迫ってくる。
「くっ!」
私は側転して回避しながら、《雷閃式》で追撃の手を止める。わずかな時間を稼ぎ――
「今だ、星璃愛!」
「フルチャージッ!」
星璃愛が両手のフレイムランスをクロスさせ、炎の渦を巻き起こす。
「《緋迅穿閃・双突》!!」
二つの炎槍が、獣の牙のように男を狙って突き出される。
男は避けきれず、片腕に直撃を受けた。火花が散り、服が焼ける。
「……ッ、効いたか?」
「いや、まだ動ける!」
私が叫ぶ。
「けど――確実に削れてる! 押せるよ!」
「そうかな?」
ふいに、声が落ちてきた。背後――奏。
――しまった、目を離しすぎた。
「《時延呪・零秒》」
空間が“音”を立てて引き裂かれる。
――ギン!
防御障壁が音を立てて軋む。私の右肩を掠め、装備の一部が吹き飛んだ。
「うそ……タイムラグのない時延呪……?」
「そう。0秒チャージの時限術式。つまり、“設置してから撃てる”の。先読みし放題ってわけ」
笑う。その余裕が、悔しい。
「なら、もっと上書きする!」
は周囲に張った弾倉を一気に消去、魔力を再展開。
「《スチーム・バーストモード》――熱圧噴流起動!」
弾丸に蒸気圧縮を加え、速度と威力を極限まで引き上げる。爆音とともに魔力弾が放たれる。
戦闘は継続する。
敵は確かに強い。でも、決して不死身じゃない。
私たちの連携が、少しずつだけど、確実に通じている。
そう、思っていた。
「もう、良いだろう」
バキッ、バキバキッ!
男の骨が音を立てて膨れ上がる。
筋肉が裂け、皮膚が軋み、黒光りする異形の肉体が姿を現す。
赤黒いツノが額から突き出し、牙が歪んだ笑みを形作った。
人ではない。――それは、完全な魔族。オーガの姿だった。