GQuuuuuuX式ちいかわ(臨戦)になった人がなんやかんやで諦める話 作:何でもいいでしょ?
……思ってた数十倍はロクでもない代物でびっくりでしたね。
まさかのガンダムフェイスのガの字もない素顔にも驚きましたが(笑)
己の居城たる私室にて、キシリアはある報告書に目を通していた。
「ほう……」
その口から漏れるのは感嘆。強い喜色の感情が宿ったそれは、キシリアの内心をこれでもかと表していた。
5年前から今日まで。求め続けていた"鍵”が、ようやくこの手に。
「まさか、あの不動の新型MSに……」
「私も驚いた。あの娘に、これ程の適正があったとはな」
僅かに顔を青ざめさせるアサーヴ。
喜びに頬を緩めるキシリア。
両者に浮かぶ感情はまさに真逆。
そしてそれは、主君とその側近である筈の男、お互いの思惑の相違すらも表している。
「エグザベ少尉に伝令を伝えます」
「あぁ、頼んだぞ。……」
足早に退室していくアサーヴを、キシリアは細めた目でじっと見つめていた。
「何が目的であのMSに近付いた!?」
「……」
大慌てで駆け込んできた先輩兵士の方々に拘束され、独房に放り込まれた。
あと絶賛取り調べ中でございます。
「答えろ!お前が真っ直ぐあそこに向かっていったのはわかってるんだぞ!」
「……声が聞こえたんですよ」
「戯れ言はいいってさっきも言ったろッ!」
戯れ言じゃないってさっき言った筈なんですけど……確かに聞こえたし、ロックも勝手に外れたのも事実なのに。
「お前は連邦から送り込まれたスパイなのか!?恩を売ってジオンに潜り込もうとしていたのか!?えぇッ!?」
スパイならもっとやり方考えるんじゃないですかね……少なくともこんな即バレするような愚行はしないと思うんだけど。
「それにだ、なぜサイコスーツもなしにジフレドを動かせた!お前はディアブロなのか!?」
「――ディアボロ?」
オレのそばに近寄るなああ――ッってやつ?
「ふざけてるのかっ!ディアブロだ!」
なにそれ……ディアブロって、悪魔?
悪魔だったら……これがガンダム!悪魔の力よ!!っの方?
でもあの人連邦兵じゃなかったっけ……
「おい、聞いてるのかっ「失礼します」――チッ、何の用だ!取り調べ中だぞ!」
どうやら誰か入ってきたらしい。
目だけを動かし、入室してきた人物を視界に収め、首を傾げる。
「取り調べの邪魔をしてしまい、申し訳ございません」
入ってきたのはエグザべ少尉だった。
なんで少尉がここにいるんだろ。4号機修復には関われないから暫くは会うことはないだろうって言ってたのに。
「はぁ……本当だぞ。いくらスクールの首席だからって、勝手なことをされては困る。それに、君は真面目だった筈だ。それがどうして、いったい何があったって言うんだ?」
前々から苦労してそうな顔してるとは思ってたけど、周りからの評価もそんな感じなんだ。
「重ねて申し訳ない。ですが、キシリア様からの命でして」
「キシリア様の!?」
キシリア様…?
少尉がキシリア様の名前を口にすると、途端に慌てふためき始める尋問官。
スパイ疑惑の新兵を取り調べしてたら、何故かいきなり司令の名前が出てくる……なんてことになったらそうもなるよね。
それはそれとしてなんでキシリア様?
「准尉、一緒に来てくれ」
「あっ、はい。えと、取り調べは…?」
エグザべ少尉に問いかけながら尋問官の方へ目を向けると、恐ろしい速さで目を逸らされた。……そうですか。
「大丈夫。キシリア様からの正式な招集だから、心配はいらない」
「わ、分かりました」
椅子から立ち上がり、一応頭だけ下げてから取調室を出る。
先に通路で待っていたエグザべ少尉の先導の下、待っておられるというキシリア様の所へ向かう。
「しかし、驚いたよ。まさかあのジフレドが動くなんて」
「……あ、あの」
感情の読み取れない声色で、飄々と――ううん。そう
「ん?どうかした?」
「え、えっと…その、あのMS…動くの珍しいんです、か?」
こちらに向けられたエグザべ少尉の目に私の目を合わせ、覗き込んだ。
「ッ、……そうだな。これまで、動いたことはなかったよ」
「そう、ですか」
動揺したように動いた眼球、何かを堪えるようにギュっと閉じられた瞼。
そして、僅かに残る諦観の表情。
あのMSに関することで、彼の身、あるいは近しい人物に"何か”があったと見ていいかも。
よく分からないけど……あの感じだと、きっとよくないことだと思うから。
「キシリア様は――いや、キシリア様だけじゃないな。このグラナダ中の全ての人……は流石に言い過ぎか。それでも、多くの人が君に注目している」
「そんなに、ですか?」
確かに、軍に入ってまだ一月も経ってないのに、最新鋭機っぽい機体の強奪未遂で尋問とか、普通じゃ有り得ないことになってるのはわかるけど……まさかそんな注目されるなんて。
「そんなに、だ。ジフレドは有名なんだよ。良い意味でも……悪い意味でも」
良い意味はともかく、悪い意味って…?
頭の上に疑問符を浮かべる私に気付いたのか、ちらりとこちらを流し見たエグザべ少尉。
やがて、考えるように一拍置いた彼は、静かな声で話しだした。
「……これまで、ジフレドのパイロット候補に選出された人間は2人いた」
「2人」
その2人のうちの1人がエグザべ少尉なのかな。
それともまた2人とも別人?……もしそうなら、その2人に何が?
一度エグザべ少尉から視線を外し、思い付いた可能性について考え込む。
「だが、選ばれた2人はどちらも搭乗前に突然の心臓発作で死亡。あの機体は、”テストパイロットに選ばれた人間は死ぬ、呪われた曰く付きのMS"、なんて言われてるのさ」
「ッ!?」
「だ、大丈夫か?脅かしてすまない……」
「い、いえ……」
予想を超える重い話が出てきた。
思わず足を止めた私に、謝罪の言葉を口にしながら手を伸ばすエグザべ少尉。
そんな彼の手を取り、再び歩き出す。
2人で他愛ない話をしながら歩いていると、やがて駐車場に着いた。助手席のドアに手をかけた少尉が一瞬動きを止め、ノブから手を離した。
「……ここでの生活に慣れてから言うべきだと思っていたが、やはり、今伝えておく」
「な、何を…?」
急に雰囲気が変わったエグザべ少尉。
硬い表情で私を見つめる少尉に思わず唾を飲み込む。
「このグラナダは、決して安全な場所なんかじゃない」
「ぇ」
「ギレン総帥のスパイがどこに潜んでいるのか分かったもんじゃない。そんな場所なんだ」
「スパイ…?」
「そうだ。お2人は戦争終結以降顔を合わせてすらいない。お互いに暗殺を警戒しているからだ」
……確かに、ファーストとかの描写だとザビ家って内輪もめで勝手に滅びそうな雰囲気出てたけど。
あっ、そうか。この世界だとギレン総帥とキシリア様がどちらもご存命だからそうなるんだ。
でも、なんで今その話を…?
「君にこの話をしたのは他でもない。准尉、いや、ニャアン。君にも関係があるかもしれないからなんだ」
「私にも?……キシリア様の、部下だから?」
「それもある」
その言い方だと、根本的な理由は別にあるように聞こえるんだけど。
「……続きは中で話そう。乗って」
「分かり、ました」
2人で車に乗りこみ、エグザべ少尉がエンジンをかける。
アイドリングの振動が響く車内で、少尉は一つ息を吐いた。
「2号機のパイロットは、総帥府から選出されるべきだっていう意見もあるんだ」
シフトレバーを操作し、車を発進させる少尉。
「さっきの話、覚えてる?」
「さっき?選ばれたら死ぬっていう、あれですか?」
「そう。突然の心臓発作、それが2回も起きた。本当に、唐突にだ」
悔しそうに歯を噛み締めるエグザべ少尉。
「……ここだけの話、選ばれた2人は、僕の同期だったんだ」
「……」
同期。やっぱり近しい人が……あのジフレドで。
「僕がジークアクスのテストパイロットに選ばれた時も、同期の1人の、ミゲルが焼いてくれたケーキでお祝いしたんだ」
へぇ。
「2人がジフレドのテストパイロットに選ばれた時は……両方とも、任務で一緒に祝えなかったんだけどね」
その時を思い返してか、寂しげに息を吐くエグザべ少尉。
まぁ、軍人ならそういうこともあるよね。
「幸いにも、ミゲルが手は空いてるって言ってくれたから、あいつに任せたよ。戻ってきたら祝ってやろうって思ってさ」
……ん?
「……でも、帰って来たら……そいつはもういなかった」
待って、それって……
「キシリア様は、これまでに選ばれた2人が暗殺されたとお考えになられている。ギレン総帥のスパイに」
「だからニャアン、君も気を付け「あ、あの」……ど、どうしたんだ急に?」
「えっと、その…2人とも、ミゲルさんって人がお祝いしたんですよね?」
「そ、そうだけど」
もしこの予想が正しければ……
「
「そう聞いたけど……なんで?」
「いえ、気になっただけです。特に意味は」
「そう、か?……そうか」
安堵したような息を吐くエグザべ少尉。
……流石に気付かれたみたい。誤魔化せたからいいけど。
「話を戻そう。君があのジフレドを動かしたと聞いている。それも遠隔で」
「動かしたつもりは、ないんですけど」
勝手に目が合ったというか、向こうがこっちを見てたっていうか。
「それも、君の才能ってやつなんだろう」
「才能……」
「でも気をつけた方がいい。キシリア様の見立ての通りなら、次は君が狙われる可能性が高い」
「っ!」
それって、つまり……
「勝手で申し訳ないが、これからは僕が君の側につく」
私が、あのMSのパイロット候補になるってこと…?
「君が天然もののニュータイプであることはわかっていた。その上ジフレドの適性まであるとなれば、一気にキシリア様の秘蔵っ子になるかもしれないな」
「へっ?」
思考が止まった。
私が、ニュータイプ?
勘も鋭くないし、人の心がわかるとかそんな能力持ってないのに…?
体全体を強ばらせる私に、エグザべ少尉は訝しげな目を向けて来た。
「知らなかったのか?」
「……聞いたことない」
そんなの誰も言ってなかったし。
そもそも、私がニュータイプだとか、そんなのどうやって……あっ
「もしかして、あの検査って……」
「僕は君が受けた検査の内容を知らないから断言はできないが、中には含まれてるんじゃないか?」
「そう…なんですか」
「いいことじゃないか。君の才能が周囲に認められたってことなんだから」
あくまでも視線は前に固定しつつも、私に向けて微笑むエグザべ少尉。
しかし等の私は……どこかしっくり来なかった。
テレビで見ていた主人公達の影響か、ニュータイプ=某効果音&エフェクトで固定されている私からすれば、これまでの生涯で、一度も例のピキーン!を体験した事がないという事実はかなり重かったのだ。
私の友達2人は間違いなくニュータイプだろうけど、私がニュータイプって言われても……ねぇ?
「実感が、湧きません」
「まぁ、そこら辺は人それぞれなんじゃないか?中佐も言ってたよ、ニュータイプも所詮は人だって。感性がみんな一緒なんて有り得ないんだし、別に間違ってないと思うよ」
……。そうなの、かなぁ。
「少なくとも、君に対する評価は確実に上がった。今はそれだけ受け止めておけばいいと思うよ。詳しい話はまた後でされるだろうからね」
「なるほど……ありがとうございます」
確かに、いくら否定したところで、あのジフレドっていうのが反応したのは事実な訳だし、とりあえずはそういうものとして受け止めておくのが良さそう。
「いいさ、これくらい。……遅くなってしまったけど、ここから重要な話だ」
「っ!」
慌てて姿勢を正す私に、エグザべ少尉はふっと笑う。
「そんな肩肘張らなくてもいいよ。要はさっきの話の続きだからね」
「さっきの……エグザべ少尉の同期の話ですか?」
「え?」
「えっ?」
きょとんとした顔したエグザべ少尉に、自らの失敗を悟った。
汗が噴き出し、サーっと何かが引いて行くのを感じた。
「……あー、そっちじゃないんだ。表現が悪かったね……ごめん」
「わ、私も、勘違いしてしまい…申し訳ないです」
「……」
「……」
相手に謝られると余計に罪悪感を感じるアレをお互いに味わい、自然と言葉が無くなる車内。
少しの間を置いて、エグザべ少尉がまた口を開いた。
「君には、これからキシリア様に会ってもらう」
「キシリア様に、ですか」
「あぁ。ジフレドの件について、話したいそうだ」
そういえば、さっきキシリア様も期待してるみたいなこと言ってたっけ。
「内容によっては、お祝いかもな。ミゲルも呼んでケーキを焼いてもらおう。あいつのケーキは美味しいからな。楽しみにしておいて損はないぞ」
「……」
まるで自分のことのように喜ぶエグザべ少尉。
そんな彼の口から出たミゲルという名前に、不安を感じずにはいられなかった。
誤字脱字をなんとか減らしていきたいです。
※笠鷺さん誤字報告ありがとうございました!
うちの子はジフレドくんに乗る?(4号機もエクシアとかストライクみたいな感じで、何かしらの形では出すつもりです)
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