GQuuuuuuX式ちいかわ(臨戦)になった人がなんやかんやで諦める話 作:何でもいいでしょ?
「――」
4号機のコクピットの中で、私は虚空を見つめていた。
なにもする気が起きなくて、ただシートに座り込む。
どれくらいこうしてたんだっけ。……まぁ、どうでもいいことだけど。
「なんで、こうなっちゃったんだろ」
……ううん、分かってる。
私が、マチュの信頼を裏切ったから。
信頼を得るのは難しく、失うのは一瞬。使い古された言葉だけど、筋は通ってる。
私には勇気がなかった。
友達に怖がられるのが嫌で、友達が…離れていくのが怖くて、話せなかった。
……それで信頼を裏切ったんだから、自業自得としか言えないよね。
マチュは泣いてた。
あの時は気が動転して分からなかったけど、今なら分かる。
「私って、ほんと馬鹿だよね……」
この機体でやってきたことなんて、所詮は人殺しで、誇れるようなことじゃないっていうのに。
力があるって思い込んで、いきがって、出しゃばって……結局は後悔する。
……なにが悩んでる暇はないだよ。もうちょっと考えろよ、私。
4号機を使わずに、ジークアクスに乗るって手もあったのに。なんでわざわざ4号機を選んだのさ……
「……」
私には、ニュータイプ的な素質はない。
マチュみたいに勘が鋭いわけでもないし、シュウジのように他のニュータイプと通じ合える訳でもない。
それこそ、キラキラだってわかんない生粋のオールドタイプ。
だから恐らく、サイコミュ関連の技術を搭載しているであろう、ジークアクスの真価を発揮することはできないと思う。
あのユニコーンの、NT-Dのような謎のシステムは、私には扱えない。
それでも、プチモビとか4号機の操縦経験がある以上、マニュアルの操縦系統があるなら、まだやりようはあったのに。
サイコミュを使わない以上、マチュより上手くは動かせなくても、カウンターで畳み掛ければ時間切れまでは粘れた。……と思う。
ジオンの最新鋭機らしいし、それに……多分この世界の主人公機だろうし。
「でも…」
私はそうしなかった。
わざわざ4号機を引っ張り出すなんて、無謀なとことをしでかして、挙句マチュを怒らせて。なにやってるんだろ……
「はぁ……っ、ん」
息を吐くと同時に、体が空腹を訴えた。
ご飯……そういえば、お昼はあんまり食べてなかったっけ。食べすぎたら吐いてたかもしれないし、逆によかったのかもだけど。
手をお腹に添える。
食欲が湧くような気分でもないけど……でも、一応なにかお腹に入れた方がいい、かな。
「っ!」
腕を振り上げ、体を起こす。
凝り固まった体が小さな悲鳴を上げ、バキバキと嫌な音を立てながらシートから背中を浮かせる。
ひとまず、4号機を隠さないと。
そのままの体勢だった機体を動かし、通路内を歩かせる。
一応マチュを探してみるも、当然ながら見つからない。
「はぁ…」
いたところでどうすればいいんだろう。謝るのは当たり前だけど、私の過去を――"俺”について聞かれたら……今度は、話せるのかな。
分からない……
私は卑怯者。人の命を奪って、のうのうと息をする大罪人。
殺した人たちの断末魔を覚えている。
悪夢として夢に出てくるくらいには、私にとって凄惨な光景だった。
取り返しのつかないことをしてしまったと気付いた時には、もう遅かった。
……でも、最近ではその夢にも、変化が現れつつあった。
光の刃でザクのコクピットを貫き、響き渡るパイロットの断末魔を耳にして、4号機の中で放心するあの夢。
光に呑まれて、ヒトの体が消え去る姿が頭の中で鮮明に映し出され、巻き上がる爆炎が全てを掻き消していく。
己の行いに恐怖し、体を震わせる私。そんな私と4号機を、どこからか現れる2機のMSが支えてくれる。
――ジークアクスと、赤いガンダムが……
「……」
袖を捲る。
晒された腕には、痛々しい火傷の跡が刻まれている。
憎しみは憎しみを呼ぶ。
友達を、家族を奪われたからと言って、その相手の命を奪ってしまえば、その相手の仲間達もまた己に憎しみを抱く。
この傷は、それを物語っているのかもしれない。
偶然と葛藤を経て、手にしたガンダムという強大な力。
憧れでもあったその力に、増長してしまった私は……
「……やめよう」
火傷を覆い隠す。
忘れることは許されない。それは分かってる。
でも、今だけは……
「システムロック、完了」
ハッチを開き、機体から降りる。
床に足を着け、振り返った。
「やっぱり、装甲がやられてる……」
視線の先には、損傷した装甲。
あまり目立たないものの、確かな亀裂が入ってしまっている。
この4号機も含めたRX-78系統は所謂モノコック構造だから、昆虫でいう外骨格を担う装甲の損傷は、そのまま安定性や機動性の低下に繋がることになる。
……別に戦うつもりはないけど、ジオンに鹵獲されたペガサスが浮いてる以上、油断は禁物。
とは言っても、お金も技術もない難民にはどうにもできない。
今回の賞金もマチュに渡すつもりでいるし、当分修理はできなさそう。
『――お金なら大丈夫だよ!』
「……」
今回勝ったから、あと1回。
次にマチュが勝てば、私達は地球に行ける。
シュウジは――あの赤いガンダムは地球に行って何がしたいのか。
マチュは何かを知ってるような感じだったけど、私には教えてくれなかった。
ガンダムに搭載されているらしい、サイコミュの存在に加えて、度々口にするガンダムが言っているというあの発言。
なにか、きな臭いものを感じずにはいられない。
あの少年は、なにを隠して……
……なんて、私が考えたってしょうがないか。
これからは分からないけど、今は味方。ニュータイプだけあってMS戦はお手の物みたいだし、精々頼らせてもらう。
「とりあえず」
様子、見に行こうかな。体調悪そうだったし。
マチュも呼んで――はちょっと勇気が出ないし、あとで謝りに行こう……うん。
私と同じ、難民達が作り上げた街並みを歩く。
およそ一ヶ月前、軍警達によって荒らされたそれらは、難民達の涙ぐましい努力により、元の景観を取り戻しつつある。
人々の顔は明るいとはいえないけれど、底抜けに暗いという訳でもない。
……私と同じ、裏の仕事に就かざるを得ない人達は、この中でどれだけいるのかな。
できるならやりたくなかった運び屋の闇バイト。
社会的地位も、後ろ盾もない私には、他に選べる選択肢なんて最初からある筈もなかった。
学のない難民の子供を雇い入れてくれる表の仕事なんて、数えるほどしかないのだから。
……それに、軍警ほど露骨じゃなくとも、難民を疎んでいる人達はそれなりにいる。
故に都市部に出てからは、そういう類の目線にも気を配りながら行動する必要がある。
難民探しに心血注いでる説すらある軍警とは違って、そういう人達はあくまでついでで、そこまで積極的に見つけにかかって来る訳でもないから、まだマシではあるけども。
「いや、足元見てくるとこもあるし、マシでもなんでもないかも」
これまでマチュと訪れた店の中でも、いくつかの店員は私が難民だということに気付いていた。
通報されたり、ふっかけられたりしなかったのは、紛れもないお嬢様であるマチュがいたからに他ならない。
なんだっけ、は、は、バイバ〇ン高校……ではないよね。
店員がちっちゃく呟いてたの聞いてただけから、あんまりわかんないな。
……でも、そっか。
私、マチュのことなにも知らないんだ。
私が知ってることなんて、精々がお嬢様で、普通の日常に退屈してることくらいで、それ以外のことは殆ど何も知らない。
なんで
宇宙は本当は光ってる、だっけ。
シュウジの絵にマチュが特に何も言わなかったってことは、少なくともキラキラは2人にとって共通の存在。
ここまでは分かるんだけど……
「キラキラ…そんなにすごいものなのかな」
キラキラについて話すマチュは楽しそうだった。
心の底からの笑顔を浮かべて、ウキウキとした様子で語ってくれた。
「キラキラ。キラキラ、か」
道中で買ったりんごの紙袋片手に、壁面に描かれたその絵を見つめる。
緑を中心に、色んな色がキラキラと光輝くそのスプレーアートは、どこか独特の雰囲気を纏っており、思わず目を奪われる。
「……」
これまで、ニュータイプ同士の言うことは分からない、などと嘯き流して来たこのキラキラ。
……私にも見えたら、何か分かるのかな。
近くに置かれていたバーでマンホールを持ち上げ、中に入る。
何も言葉を発せず、ただ無言で暗い道を進んで行き、果てにある扉の前で足を止める。
ノックして、っと。
「シュウジ、大丈夫?体調悪そうだったから、お見舞いに来たんだけど」
…………返事はない。
またいないの?と思い覗き込めば、赤いガンダムの姿が。
シュウジの姿は見えないけど、ガンダムがここにあるなら、後ろのエアロックが開いて吸い出される……なんてことにはならない、よね。
扉を開け、中を見渡す。
キラキラが無数に描かれた室内には、やっぱりシュウジの姿は見られない。
「どこ行ったんだろ。ん?」
足下から鳴る電子音。
目を向けると、そこにはアームを持ち上げた体勢のコンチ。
こちらを見上げるコンチを抱え上げ、いつものように頭の上に乗せる。
私がシュウジは?と問いかけるよりも早く、アームである1点を指し示すコンチ。
「いた」
だらんと投げ出された足の下へ向かうと、案の定顔を真っ赤に染めたシュウジが倒れていた。
「大丈夫?意識はある?」
「あ〜、また来てくれたのかぁ……あったかくて、ふわふわしてる〜」
「ダメそう」
一目でわかった。重症だ。
あったかいって言ってるし、多分熱がある。それも結構な高熱の……コンチ?なにして、って!?
「さ、38.9℃!?」
予想をも上回る高熱に思わず固まる。
コンチが頭の上から覗き込んで来るも、今の私にはそれに反応する余裕すらなかった。
「と、とりあえず、りんご……」
「改めまして。私はシャリア・ブル、こちらは部下のエグザベくんです」
「エグザベ・オリベです」
「あ、アマテ・ユズリハ、です」
どうしよう……こいつだけならともかく、なんか上司の人まで来ちゃったんだけど!?
せっかくなので、落ち着いた場所で話しましょうとかなんとか言われてつい来ちゃったけど……大丈夫?私消されない?ドラマとかでよくある展開みたいに。
場所もお誂え向きになんか怪しいお店だしさ……
「さて、今日あなたの下にお伺いさせて頂いたのは、他でもない、ガンダム・クァックスについて、お話をするためです」
「ガンダム、クァックス…?」
「僕達にとって馴染み深い言葉で言うなら、ジークアクスだ」
「ジークアクス…あ、ありがとうござ、います」
ずっとジークアクスって呼んでたから、一瞬なんの話か分からなかった。
癪だけど、こいつのおかげだし、一応礼は言っておく。ぎこちなくなったけど。
「色々心配しているでしょうし、最初に言わせて貰いますが、我々はジークァックス盗難について、特に罪に問うつもりはありません」
「んなっ!?」
「へっ?」
罪に問わないって……いやいや、こいつの反応からして油断はできない。信用するなアマテ・ユズリハ、これは絶対罠!
「い、いいんです!?」
「構いませんよ。時にマチュさん」
「え、は、はい」
なんで急にマチュ呼び!?さっきまでずっとアマテって呼んでたのに……
「MSもそうですが、人が扱う機械にとって大事な要素とは、なんだと思います?」
「だ、大事な要素?こ、壊れないこととか、ですか?」
「ふむ。壊れないこと。確かにそれも大事ですね」
ま、間違った!?
いやでもしょうがなくない!?こんな急に質問されたってわかんないよ!
「エグザベくんにも聞いてみましょうか。なんだと思います?」
「えっ。そ、想定通りに動くこと、ですか?」
「おお。いいですねエグザベくん。私も同じ考えですよ」
「あ、ありがとうございます」
想定通りに動くこと……
「これはあくまで私の考えですが、機械とは総じて危険なものが多い。そのため、人が思った通りに動かなければ、甚大な被害が発生する可能性もある」
「甚大な、被害?」
「そうですね。例えばこのコロニー。今は正常に稼働していますが……エアロックや隔壁に異常が発生したとしましょう。2人とも、どうなると思います?」
「エアロックだから…空気が漏れて出て行ったり、とか?」
「宇宙とコロニーの気圧差で、周囲の物体が吸い出される、でしょうか?」
「2人とも正解です。わかりましたか?マチュさん。今お二人が答えた2つだけでも、人は簡単に死んでしまうのですよ」
「あっ」
そっか。人って、空気が無いと生きてけないんだ。
このコロニーから空気が無くなっても死ぬし、逆に空気が無い宇宙に追い出されても死んじゃう。
「コロ二ーだけではありませんよ。マチュさんが普段乗るであろう電車や、自動車もそうです。想定通りに動くということは、思っているよりも重要な要素なのですよ」
そう、なんだ。
「――ですので、あなたがこれまで蓄積してくれた、ガンダム・クァックスの実戦…ゴホン、失礼。実働データは大変貴重なものなのですよ。現に、私はあなたに感謝していますからね」
「感謝って……なんで」
こいつだって動かせるのに。
ジオンからしたら、せっかくの最新鋭機を盗まれて、良いように使われてたんでしょ?本当にそれでいいの…?
体が震える。
なんでかは分かんないけど、このおじさんを見てると背筋が凍るような気分になってくる。
「ここで最初の話に戻しますが、我々は特に罪に問うつもりはないと言いましたよね?」
「は、はい」
「これは
「よ、宜しいので…?」
「構いません。前途ある若者の未来をここで潰してしまうのは、大変勿体ない。エグザベくんもそう思いませんか?」
「は、はぁ……確かに、そう思いますが」
「ふふふ。エグザベくんなら分かってくれると思ってましたよ。君も、ニュータイプですからね」
ジークアクスの元パイロットであるこいつと、にこやかに話す緑のおじさん。
私は、そんな2人――正確には、この緑のおじさんに、あの時以来の恐怖を抱いていた。
こいつ、なんなの…?
一瞬だけ感じられた、重くて、暗い
下手に触れようものなら……死ぬ。そう確信させられるほどの
この人好きそうな笑顔の裏に、何を企んでるの…?
この緑のおじさんが、得体の知れない、不気味なナニカに思えて……仕方なかった。
本編見て考えたのですが、なんかもう…普通に連載に変えた方がいい気がしてきました(´・ω・`)
とりあえず次回の展開見てから考えます。
キラ厨白ロリ強化人間とか……出すしかないやんっ!
うちの子はジフレドくんに乗る?(4号機もエクシアとかストライクみたいな感じで、何かしらの形では出すつもりです)
-
YES
-
NO