ユニコーン視点です。
こんちは! ウチはユニコーンのニコ! 迷子の森で暮らす希少なモンスターや! 上半身は超美少女、下半身は獣の神秘的な存在やで! 好きなものは美人の処女。
今日も一日、迷子の処女を探して森の中をぐるぐる回ってるで。
歴代の中では鼻が鈍くてちょっといじられキャラのウチやけど、元気と欲は一端のもんや。
そんなある日、森の中にウチは一人の女の子を見つけた。プラチナブロンドの女戦士。皮鎧を纏っているものの、伸びる手足はしなやかで、顔立ちはキリリと美人系。匂いも香しき清らかな乙女や。
そんな乙女がまるで子どもみたいに涙を流している。おそらく仲間とはぐれたんやろう。美人なのにぐずるみたいに……。
うっ秘蜜出る! ふぅ……。
あんなかわいい子が迷子だなんてかわいそうや。ウチは静かに近づく。
ウチが思ってたよりもずっと早く、女の子はこっちに気付いた。
目に涙を浮かべたまま、驚きの声を上げる。
「え! ええ!? もしかして、ユニコーン! 見つけちゃったの、私! で、でもユニコーンなのかしら、本当に?」
「……ゆにゆに~」
「ユニコーンだわぁ! ゆにゆに言ってるし、これ絶対ユニコーンだわぁ!」
……大丈夫か、この子。
泣いたカラスがもう笑う。なんて言葉とぴったり合うように顔を綻ばせる女の子は、顔から受ける印象よりもずっと少女を感じさせる性格をしているようだった。
ううう、大人と子どもの中間地点に立つ子の何と愛らしいことよ。いまからウチの味を覚えさせることを想像するだけで寿命が三年延びるね。
「こ、こんにちは~」
「ゆに!!?」
ほぁ!? いつの間にこんなに近くに!? 全く反応できんかった! も、もしかするとウチはとんでもない奴と出会ってしまったんか!?
「ユニコーンさーん。ちょっとお願いが……あれ、でも私秘蜜のことについて何も聞いてなかったわ。ど、どうしよう。せっかく会えたのに……ただでさえみんなとはぐれちゃったのに……これじゃあまた……」
「……どしたん? ハナシ聞こか?」
「ええ!? 喋った!!?」
再びたまり始めた涙を見過ごせず、ウチは思わず話しかけてしまった。しゃーない、乙女を涙を止めるためには、ユニコーンが喋れるなんて秘密は些細なことや。
うぉ……この子めっちゃええ匂いする。フェロモンで加湿してくれてんのかな?
「ユニコーン、喋れる。そう清らかな子の前ならね。でも、秘密やで?」
「しかも、ポルトガル訛りなんだ……」
「それはウチだけや」
「そうなんだ……」
「で、お嬢ちゃんなんでこんな所で泣いてたんや?」
お嬢ちゃん──セナはここまでのいきさつを話してくれた。正直、この子の話し方は下手くそで要領を得ない感じだったが、必死に話す感じがかわいかったのでOKです。
つまるところセナは、仲間から冒険オンチと弄られ、今度こそ見返してやろうと意気込んだ矢先に、迷子になってしまったらしい。
確かにこの迷子の森にはウチらでさえもわからんとこがあるから、迷子になるのはわかるが、足踏み入れて数秒ではすごいな。確かにセナのお仲間がこの子を冒険オンチと呼ぶのもわかる。
しかし、ウチはセナをかばうで。この子と『仲良し』できるかどうかは、ここの対応で決まってくるんや!
「うんうん、それはみらくるみが悪いな」
「みらくるみ?」
「せや。この森にはそういう名前の実があって、割ると本来不思議な力で隠されとる道にたどり着くことが出来るんや。きっとセナはそれを踏んでしもたんやろ」
知らんけど。
「そうなのかも。私、戦ってないと足元とかあんまり気が付かないから……。あ! そうだニコちゃん! みらくるみについてもうちょっと教えて!」
セナはそう言いながら一冊の手帳を取り出した。使い込まれてるように見える。
「なんや、それ?」
「冒険ノート。知らないことは書いて覚えることにしてるの」
「ほーん」
ちらりと冒険ノートをのぞき込む。書かれている情報こそ大したことはないものの、出来る限りわかりやすくまとめられたそれは、間違いなくセナの努力を感じさせた。
大丈夫や、セナ。こんなに頑張れるなら、いつか立派な冒険者になれるで。あ、丸文字かわいっ。すごいおいしかったってコメント添えてある。あ、あ、あ。かわいっ。興奮する!
己の興奮をひた隠しにしながら、みらくるみの説明を終えた時のセナの感謝と笑顔と言ったら……ウチはおかしくなるところやった。
冒険ノートをぱたんと閉じて、懐にしまい込むと、セナははっとした表情を浮かべた。
「そ、そうだ! ニコちゃん! 私あなたの秘蜜が欲しいの!」
「秘密? 実はウチ、毎日バストアップ体操しとってな」
「そういう秘密じゃないわ! 蜜よ! 蜜!」
「わかっとるわかっとる。ちょっとしたジョークや」
うう、こんな子に秘蜜が欲しいなんて言わせてもうた……。いくらでもあげたい。直であげたい。
「でもなぁ」ウチはわざとらしく言った。「秘蜜はそう簡単に出せるもんやないんや」
「え、もしかして血とか……?」
「ちゃうちゃうちゃう! そんな物騒なもんやない。手順がいるんや」
「手順……協力できることならなんでも言って。私結構なんでもできるわよ」
「ん? いまなんでもっていうたんか?」
体が超スピードで反応してしまったが、もう止めることは出来ない。ウチは欲望のまま条件を提示した。
「じゃあ、セナ。ウチとキスしてくれ」
「…………エッチ」
あ、やばい! 秘蜜でる! しこたま出る!
……なんちゅうことをなんちゅうことを言ってくれたんや。いまの言葉に比べたらキスはカスや。
ウチが狼狽しているうちに何度か深呼吸を終えたセナは「よし」と気合を入れてこっちを見た。
そして、優しくウチを抱き寄せると、そっと唇にキスをした。顔が近い。息がかかる。ブルーの瞳と目があった。
名残惜しくもセナの顔が離れていく。顔が赤い。
ああ、最高やな……次は舌も入れてくれ……。
「はぁ、もうニコちゃんもランスくんとかミリみたいにエッチなんだから。キスなんて、慣れてないのに」
恥ずかしそうにセナが言った。
はぁ!!? こ、こ、こ、こ、この口ぶり!!!? キス初めてやないんか!!!?
しかも、ランスくんやて!? もしや冒険仲間って男なんか!!? 初キッスはランスくんとやらとなんか!!? ここまで来てウチに男の影を落としていくんか!!!?
「ラ、ラ、ラ、ランスくん? それは、セナのか、か、彼氏かな?」実に冷静にウチは言った。
「ランスくんが? あははは! 違う違う! 彼氏なんていたことないよ」
「ほ」
破壊されかけた脳が再生していく。危なかった……危うく
ほっとするウチを余所にセナは面白そうに話を続ける。
「ふふふ、ランスくんが彼氏ねぇ。ぷぷぷ。ないない。私、キスとかはミリとしか……う、うん。ミリとしかしたことないよ……」
途中で自分の言っていることが恥ずかしいことと気が付いたのか、どんどんセナは小声になっていき、しまいには耳まで赤くして目を伏せた。
「あ゜」ウチの喉から声が漏れる。
頭の中ですべてが繋がっていく。なにがNTRRSだ。百合の間に挟まったのはウチやったんや。手折られずに丁寧に愛でられている途中の華にウチは手を出してるんや。
男の影なんてありはしない。あるのは女の光だけや。
脳が破壊される。脳が再生される。脳が破壊。脳が再生。破壊。再生。繰り返され、脳は変質していく。いま与えられている刺激だけに反応するように変質させられていく。
耐え切れず、ウチはセナの体に触れ、さっきよりも長く、少し呼吸が苦しくなるくらいのキスをした。変質していく。止められない。
唇からセナが離れていく。彼女も苦しかったのか息を吸った。だが笑顔を見せる。セナも変質している。子どもっぽい少女の顔から少しずつ変質していく。
「もう、エッチね」
それだけ言って、セナは短いキスをウチの唇に返した。
十分や、もうこれ以上はいらない。ウチは与えられすぎた。今度は与える番や。
許容量を超えた興奮は秘蜜となって外に排出される。
人生でこんなに秘蜜が出たことはない。ウチは死ぬかと思った。
死んでもいいと思った。
ひっどい。
ランス03で出てくるユニと別個体が出てきたのは、セナが自由都市地帯にやってきたことによるバタフライエフェクトという設定があります。
嘘です。書いてるときにはユニコーンがレア女の子モンスターだと忘れていたからです。