伝説の騎士の英雄譚〜the rest of the story〜   作:季節

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第2話

 轟々と雨と雷が降っている。王の命を受けて私はすぐに王国を出発をした。初めは順調な旅だったのだが、今日の昼から天候が急に悪くなり始めた。雨宿りをするため手頃な場所に入ろうとするのだが、その手頃な場所がなかなかに見つけられない。次第には雷まで降り始め、いよいよ焦りを感じ始めた頃だ。

 

「・・・っ本当にこんな辺境の地に住んでいるのですか!?」

 

 辺りを見渡してみても山や谷しかなく、宿屋の一つもない。また、民家もしばらくはみていない。初めの頃は道を間違ったかと思ったが、地図を確認してみても合っている。

 ・・・しかたない、もう少し進んだら最悪洞窟でもいいから体を休めよう。

 ・・・洞窟あるといいなぁ

 

 そんな淡い期待を考えていると、周囲の様子が突然変わった。この感じは知っている。私は空を見るとそこには赤い月が合った。おかしい前回の赤い月からまだ1週間しか経っていない。まだ日付として余裕があるはずだ。なぜ今日に限ってこんな突然。

 そんなことを考えていると周囲の地面から魔物が生まれ始める。その数は約100を超えている。種類としてはゴブリンを筆頭に、リザード系の魔物まで出現している。

 ・・・逃げるか、今ならまだ振り切れる。しかしこのまま私が逃げ切たとしても、野放しにすると近くにあるかもしれない集落に何か危害があるかもしれない。そうなれば自衛の手段が乏しい人々は簡単に死んでしまうだろう。

 ・・・はぁ、仕方ない。全て討伐できなくても、数を減らしておけばまだなんとかなるかもしれない。私は馬から降り、馬を離れた場所に追いやる。腰から剣を抜き、敵の集団に向けて名乗りをあげる。

 

「聞け!私が王国騎士団イルミナの団長、アリエス・ブリトマート!これより、貴様ら魔物を打ち滅ぼすものの名前だ!」

 

 私の名乗りを聞いた魔物どもは、怒りをあらわにして私に走ってくる。私も足に力を溜め魔物どもの群れに向けて走り出す。

 騎士団の名にかけて私はここで貴様らの数を減らして人が笑い合える世の中かを作るために。・・・そして憧れた男に近づくために

 

「いくぞ!」

 

 剣を敵に突き立てる。すぐに引き抜き体を捻り敵との距離をとる。ゴブリンがすぐに私の体に剣を突き立てようとしていたため、体を回転させ首を落とす。このような作業をこなし始めてから一体どれくらいの時間が経過したのか自分でもわからない。

 とりあえず半分くらいは殺し尽くしたはず。もう少しだけ戦力を削っておきますか・・・。それにしても敵はほとんどザコばかり、赤い月が出現している時は大抵もう少し強い敵が出てきてもお菓子ないのですが・・・なにかおかしいですね。

 敵についてのことを考えていると、突然地面が揺れ体制が崩れかかる。すると地面から蛇型の魔物が私の足元から出現する。

 

「・・・しまった!」

 

 そうか、今回の赤い月で出現した魔物がなぜほとんどがザコばかりだったのか、それはこの蛇の魔物に魔力のリソースを持って行っていたからだ。そうすれば辻褄が合う。

 しかも厄介なのがこの蛇型の魔物は私が王国にいた時も確認していた、Aクラスの魔物シュガール。雷の属性を使うことが有名で蛇のような素早い動きに雷の活性化効果も相まって非常に戦いにくい相手だ。

 ・・・厄介ですね。シュガールを相手する時は土属性の魔法での戦い方が主流だというのに、私の魔法の属性は氷、相性としてはあまり良くない。かといってここでこの魔物を逃しては近隣の村はきっと壊滅状態にあうだろう。

 

「・・・そんなことはさせない。この私の命に変えてもお前は必ず討伐する。」

 

 シュガールと睨み合う。お互い相手が少しでもうごしたらすぐに反撃にでると思っている。長い沈黙の時間が続いた、沈黙を破ったのはシュガールの方だった。首を窄めて私に向かって首を飛ばしてきた、雷の活性化効果もありその速度はまるで本物の雷のような速さをしている。私はすぐに横によけいまだ突進を続けているシュガールの体に剣を突き立て切り付ける硬い外皮だが別に切れないわけではない。シュガールの体から大量の血が吹き出ている。再度距離を取りもう一度攻撃を加えようとするが、突然尻尾からの攻撃をくらい横から体を襲う衝撃に耐えられなくなり、横に吹っ飛ばされてしまう。

体を一度、二度地面にぶつけなんとか受け身を取るが一瞬意識が飛んでしまう。

 

 ・・・い、、、けない!

 

 すぐに舌を噛み、気つけを行う。舌がジンジンと痛むが、そんな痛みはすぐに意識の外に飛ばす。シュガールの姿を確認するため周囲を確認すると、奴の姿が見えない。

 

 ・・・しまった地面に潜られてしまった。

 

 すぐにシュガールの気配を探すが奴の気配はどこにも見当たらず、完全にここから立ち去った様子だ。

 

「まずいですね、奴が逃げてしまいました。この広い山や谷がある場所だと位置の特定をするのは困難ですね。」

 

 恐らくやつは傷をつけた私を脅威とみなして、戦略的な撤退を取ったのだ、こんなことなら初めから魔力の消耗を考えず全力の魔法を放っておけばよかった。

 顔についた血を拭っていながら考える。ここから一番近い村は昨日停泊をした村だがここから恐らく20キロは離れている、まずそこまでは行かないだろう。だがこれより向かう予定だった村は一体どれくらいの距離があるのかはわからない。が間違いなく奴が体を癒すために向かったとするならそこだろう。人を食えば魔力の回復も早いですから。

 そんなことを考えていると、突如頭に衝撃が走る。なんだと思い後ろを見るとゴブリンが棍棒を振りかぶっていた。

 

 ・・・しまった、シュガールトの戦いに集中していてこいつらを忘れていましたね。

 揺れた脳でそんなことを考えていると、二度目の衝撃が頭に走る。

 ・・・ごめん、みんな私帰れそうにないや。

 薄れゆく意識の中で私は現在も王国を守護している、騎士団のみんなに謝罪を行なっていた。

 

 

 

 ・・・憧れたあの人にも会ってみたかったなぁ・・・・

 

 

 

 そこで私の意識は暗闇に溶け込んでしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 騎士が赤く照らされた雨の中倒れる。やっとこいつを倒すことができた。あの蛇との戦いに集中していてくれて本当に良かった。この女はきっと俺たちだけじゃ倒すことはできなかったから不意の一撃を待っていた。だから蛇との戦闘を待った。待って待ってようやくチャンスが回ってきた。あの女が倒れる時の表情が本当に絶望に満ちた顔でなかなかにくるものがあった。

 

 さぁ、ここからこの女をどうしようか、なぶってもいい洞窟に連れて行き他のものと一緒に楽しむのもいい。使えなくなったら後はバラして食えばいいだけのこと。

 

「ギャ!」

 

 そんなことを考えていると遠くで叫びのような声が聞こえた。また仲間内で争っているのかと思い無視をしようと女の方に視線をむけると、違和感に気づく。仲間の声がどんどんと自分に近くなっている。 この女の仲間かと思い、女を抱えて逃げようとした時、手が切られていることに気がついた。

 

(あれ?)

 

 ある男がいた。雨が降っていたため顔は良く見えないが、雰囲気からして老人のような佇まいだ。

 

「いけないな、その者はわしの後輩でなあまり乱暴にしないでくれると助かるんだが」

 

 老人はその言葉を吐きながら、地面に横たわっている女を担ぎ上げていた。よく見れば他の仲間たちは皆すでに死んでいる。

 

 この老人は何かやばい、自分の感が何かそれを告げていた。その直感を信じてとにかく老人から遠くへ離れようと走り出そうとした時

 

「見逃してもらえるなんて、そんな野暮なこと考えるんじゃないよ」

 

 その言葉を最後に意識を失った。

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