現政奉還記 未来都市&宇宙編 作:セイントドラゴン・レジェンド
[出没する異常者たち]
謎の賞金稼ぎ、フレッドの脅威を退けたミラーガール。
その後、ミラーガールはジャッジ・ザ・シティでの拠点基地にて仲間のHEADたちと今後の活動方針について今まさに語り合おうとしていた。
しかし、誰もが明確な答えを出せず、会談は混迷に踏み込んでしまうのだった。
「……どうするバーンズ!? どの世界も未だに混乱が治まっていない! むしろ混乱に混乱が重なって、情勢が悪化するばかりだよ!」
「………………………………」
参謀総長ジュニアからの提議に、バーンズは顔を渋らせたまま黙り込んでしまう。
現政奉還による情勢の混乱は、異世界でも同様に広がり、世界各地で混乱が発生し続けている現状が拡散するばかり。この解決策を考慮しようと必死に頭を振り絞るバーンズだが、彼はもちろん他の聖龍HEADも明確な答えが出せずに悩み続けていた。
「……やっぱり、ここは混乱の元を断つ以外、方法がないのかしら……」
「でも、あの足正義輝を説得するなんて事できるのかしら……」
セーラーマーキュリーの結論に、セーラーマーズが意見する。
「それに、あの公方……足正義輝は自分に挑もうとするものを品定めする為に自軍を強化・造兵していると聞いているわ。直接、義輝公に会う事すら難しいのが現状よ……」
「それ以前に……あの博打好きの国連総長が、俺達の意見に耳を傾けるとは到底思えないがね」
ミラーガールが聖龍隊の諜報機関から耳にした情報を提示すると、堂本海人が口を酸っぱくして言う。
会議はそれから迷走に迷走し続け、結局のところ明確な解決策は見出せないまま会議は終焉を迎えた。
「おっ、バーンズ、アッコ! どうだ? これからどうする……」
会議室の外で待機していた大将率いる赤塚組幹部衆とシバ・カァチェンたち。
その先頭で腕を組み、待機していた大将がバーンズ達にこれからの事について訊ねると、バーンズは迷走し切った表情で大将たちに答えた。
「それが……結局のところ、足正義輝の動きを見張るって結論に達しちゃって……」
「ちょ、ちょっと待って! それじゃ今までと同じなんじゃ……」
暗雲な面持ちのバーンズからの返答に赤塚組幹部の海野なるが物議を醸し出そうとすると、彼女の親友であるセーラームーンが代わって答えた。
「それがね、なるちゃん……みんなで話し合ったんだけど、明確な答えが出せなかったの。それで結局は国連総長の動きを見張ろうって話が締め括られちゃって……」
「そ、そんな悠長なこと言っていられるのか! 今でも多くの世界で現政奉還の混乱で人々が悩まされているのに……!」
「まあまあテツ、そんなにいきり立つな。バーンズ達も考えに考えた末に出した答えなんだし、部外者である俺らがとやかくいう事はできねえだろ? 聖龍隊には聖龍隊の考えがあってこそ、出した答えだろうしな……そうだろ、バーンズ」
「……まあ、面目ないけどその通りだ」
セーラームーンの説明に悠長な時間がないと説く幹部のテツに、首領である大将が落ち着かせると同時にバーンズに質問、バーンズは大将からの問い掛けに申し訳なさそうな表情で答え返す。
HEADの考えや答えが纏まらなかった経緯に、半ば呆れてしまう赤塚組。しかし彼らと共に会議中、待機していたシバ・カァチェンはひらりとバーンズの元に歩み寄ると丁寧に申し述べた。
「……会議、お疲れ様です……」
「ああ、カァチェン、ありがとな」
明確な答えが出せずに終わってしまった会議にも拘らず、労いの言葉を掛けてくれるカァチェンにバーンズは心の底から感謝した。
そんな精神的に疲労困憊しているHEADだが、バーンズはある事に気付いて大将に問うた。
「そういえば大将、一般の二次元人達はどうした? 姿が見えねえが……」
「ああ、あいつ等はドレフ将校からもらったフリーパスでジャッジ・ザ・シティを見て回るってよ。もう俺達はもちろん、誰かさんの見張り付きで動くのは嫌って言うんで自由行動とらせているよ」
「おい、そいつはマズいぞ……!」
「何がマズイんだよ……あいつ等だっていい年しているんだし、大人の連中も付き添っている。なにか問題が起こったら、連絡してくれるさ」
「何かあってからじゃ遅いんだよ。この町には、未だに多くの犯罪者……
「相変わらず、犯罪多発なんだな、ジャッジ・ザ・シティは……」
「あ、ああ、未だに犯罪率はアメリカに次いで世界二位の犯罪大国だからな、ジャッジ・ザ・シティは」
壁一面に張られた顔写真を見て呟く大将にバーンズが続けて町の現状について苦悩に満ちた表情で答える。
すると壁一面に張られた犯罪者の手配書の中で、一際目立つ手配書にシバ・カァチェンが気付いて問い掛けてきた。
「あ、あの……この巨大な紅い目をした、実にグロテスクな容姿の怪物は、一体……?」
カァチェンの質問にバーンズが答えた。
「ああ、そいつはジャッジ・ザ・シティだけでなく、世界中に出没している奴で名を……ジャッジ・ザ・デーモンという」
「ジャッジ・ザ、デーモン……!?」
「そうだ。通称、制裁の鬼の異名を持つ……」
バーンズの説明を受けて、カァチェンは衝撃を受ける。
顔の半分以上の大きさを持つ二つの赤い瞳、鋭い背びれを持つ人型の異形の怪物は、まるで一見するとチュパカブラの様にも見える怪人だった。
このジャッジ・ザ・デーモンの話をバーンズとカァチェンが話していると、大将も話に交じっては世界各地に出没するジャッジ・ザ・デーモンについて語り始めた。
「ジャッジ・ザ・デーモン、か……話には聞いちゃいるが、まだ捕まってないんだな。世界各地に出没しては、凶悪な連中を老若男女とわず殺傷している鬼を名乗る不届き者だ。その正体はパワードスーツを着込んだ人間か、はたまた異星人か全てが謎に包まれている……時折、姿を見せなくなった時期もあるし、ここ最近も姿を見せちゃいないが、まあいわゆる一種のアンチ・ヒーローって感じの奴だな」
「アンチ・ヒーロー、ですか……」
大将から闇の制裁を加えるアンチ・ヒーローだとジャッジ・ザ・デーモンについて説明を受けるシバ・カァチェン。
すると大将のジャッジ・ザ・デーモンへの説明を受けて、ミラーガールが険しい面差しで言った。
「彼は別にヒーローを気取っている訳じゃないわ。……自分が正しいとは思わず、英雄とは名乗らず、自分が行っている事が正義とも思ってない。むしろ正義の味方だと自称する事は決してないわ…………ただ、自分の信念を貫き続けているだけなのよ」
このミラーガールの静かな熱弁を聞いて、大将は「なに? ひょっとしてアッコ、お前さんデーモンと会った事あるの?」と思わず問い詰めてしまう。
するとバーンズがミラーガールに代わって代弁した。
「何度かオレたち聖龍隊と出くわして戦い合った事も多々あるんだ。時には共闘した事もあるが……結局のところ、多くを取り逃がしちまっている事が多い」
何度も共闘したり出くわしたりしているのに反して、その度に取り逃がしてしまっているバーンズたち聖龍隊の始末に、大将は思わず言ってしまう。
「聖龍隊、仕事しろよ」
この半ば呆れ果てた大将の一言に、聖龍HEADは何も返す言葉がなかった。
と、聖龍HEADと赤塚組が穏やかに会談していたその時。突如として警報が基地内に鳴り響いた。
『緊急事態 緊急事態 ジャッジ・ザ・シティ各所で
突然鳴り響く警報と同時に基地内に流れるアナウンスにHEADは衝撃を受ける。
「クソッ、こんな時に
「いや、これも仕方がない事かも。現政奉還の混乱で今の今までジャッジ・ザ・シティで事件が発生していなかっただけでも奇跡だよ……!」
突如として鳴り響く警報とアナウンスにバーンズとジュニアが顔を渋らせる。
そんな緊急事態に、聖龍HEADが一人春日結が皆に言う。
「ど、どうするの!? 今、ほとんどの隊士が別の事件や自分達の世界の治安維持で駆り出されているって言うのに……!」
今現在、現場に駆け付けるほどの腕の立つ聖龍隊士が不在の現状に結が訴えると、側にいた赤塚組が胸を張って聖龍HEADに言った。
「お前ら! この際だ、俺達も加勢するぜ! なに、荒っぽい事は得意なんでね」
普段から違法活動している海賊を討伐している故に、荒っぽい
「お前達のその気持ちは十分嬉しい……だが、発生した事件の多くが一般市民を巻き込んだ凶悪な事件ばかりだ! 悪いが、ここはプロの
「だ、だけど……いま動ける聖龍隊士は少ないんでしょ? それなのに……」
バーンズの言い分に赤塚組幹部のミズキが反論するが、バーンズは悠々とした笑みで答え返した。
「なに、まだ動ける隊士は此処にいる……オレたち、聖龍HEADっていう凄腕の隊士がな!」
「久々の出動だな……全員でなら何とかなる!」
バーンズの言い分に仲間のキング・エンディミオンも賛同する。
そしてバーンズ達は、各々一瞬で変身して、ジャッジ・ザ・シティ各所に出没した
颯爽と基地から飛び出し、自分達だけで解決すると意気込む聖龍HEADを見上げて大将たち赤塚組は思った。
「……まったく、ヒーローらしく恰好つけやがって……」
そんな赤塚組同様、シバ・カァチェンも飛び立つHEADを見上げて物思いに耽るのだった。
[白と黒の境界線]
場所は変わって、ここはジャッジ・ザ・シティでも巨大な報道テレビ局。
そのオフィスビルを一般公開され、一般人の見学が行われていた。
その見学に新世代型の琴浦春香たち【琴浦さん】の面子と、彼女たちの親友である黒鳥千代子ら【黒魔女さんが通る!!】の計八人も参加していた。
だが、そのテレビ局の見学に訪れていた一般の面子で琴浦春香たちと顔見知りの面子と出くわす。それは琴浦春香の実母久美子に祖父の善三、そして実父が
琴浦久美子は娘の春香の能力に対し極度の蔑視を向けており、祖父の善三はそんな娘に対して混迷しながらも春香の親友の森谷ヒヨリを犯罪者も生み出した経緯から怪しげな宗教団体の事して軽視しているという、複雑な家庭環境だった事を、前々から小耳に挟んでいたチョコたち三人のプロト世代は困惑し切っていた。そんな複雑な家庭環境で育った親友の琴浦春香たちの状況を何とかしたいと思い上がったチョコは久美子や善三らと話をしてみる。
だがその矢先、一人の犯罪者すなわち
上空から他局の報道陣が事件を嗅ぎ付けて撮影ヘリでビルの中を撮影しようと試みる。
だがその最中、事態は一変する。
一発の銃声がビルの中から響き渡った。
ビルの外で騒ぎを聞きつけて群がる野次馬やそれを宥める警察官たちに衝撃が走る中、ビルの中では一人の報道関係者が射殺されていた。
「きゃあっ!」
一発の銃弾を頭部に受けて即死する男性の亡骸と、銃痕から溢れ出る血の海を前に春香たち気の弱い女性達は悲鳴を上げる。
その反面、発砲した一人ビルに立てこもる男は左手でオセロの駒を弾くと自ら射殺した男の死体に向かって声をかける。
「アンラッキーだったな、アンタは……」
その男の風貌に、琴浦春香たちは蒼然となっていた。
縦左右に分かれて右半身が異様に醜くどす黒く変色している風貌。良く見てみると、男の右手も同様に黒く変色していた。
そんなツートンカラーの様に顔の縦半分が醜い黒の異様な面立ちの男は、春香と久美子の琴浦親子の前まで歩み寄ると、片手に持っているオセロの駒を弾いてみる。
そして弾いた駒を空中でキャッチすると反対側の手の甲に被せて琴浦親子に問うた。
「白か、黒か……どっちか分かるか?」
「わ、分かる訳ないでしょ!」
男の質問に、琴浦久美子が強く反論。もちろん運任せの質問に、テレパシーが使える琴浦春香も正しい答えは分からずじまい。全ては運任せ。
すると春香と久美子、二人の親子の顔を見詰めていた男はその不気味な面差しを近付けさせて二人に問うた。
「……お前たちは……親子か?」
「………………」
「正直に言え! 嘘をつけば、この場でぶっ殺すぞ!」
「!」
親子かと問われた二人だったが、久美子は親子だと答えたくない心情と、そんな母親の心情を読み取って答え返すのを躊躇う春香の二人に、男は怒号をぶつけて威嚇し、強制的に答えさせる。
「お……親子よ……!」
渋々ながらに親子だと自供されてしまう久美子の答えを聞いて、男は醜く爛れた右手で弾いたオセロの駒による白と黒の裏表で決定付ける。
「……よし、白が出たなら娘を。黒が出たら、親であるアンタを殺そう……」
「なっ、何を言っているのよ! そんなオセロの駒なんかで大切な命を奪うか決めないで!」
この久美子からの問い掛けに対して、男はその不気味な風貌に一層威圧感を増しながら言い放った。
「黙れ! この世は所詮、白と黒の
所詮世の中は白か黒か、二者択一なのだと説く男の言い分にその場の一同は愕然となった。
そして男はそっと、手で覆い被せていたオセロの駒を視認してみると、続いて人質になっている市民達にそのオセロの駒を見せ付けた。
「厳粛に! 結果は……黒が出た! よって二番目の処刑人はこの女だ!」
そういうと男は琴浦久美子の頭に銃を突きつけた。
「っ!」無慈悲に銃を突きつけられ、目に涙を浮かべる久美子の表情は既に恐怖に満たされていた。
そして男は無慈悲に銃の引き金にかける指に力をこめて、引き金を引こうとした。
「や……やめて!」
実母が殺められそうになるのを虚しくも制止する声を上げる春香だったが、男の殺意が消え失せる事はなかった。
そして久美子がまさに射殺されかけそうになった、その時。
男が人質と一緒に立てこもっている高層ビルの窓ガラスを打ち破り、突入してきた5人の人影が。
「!!」
久美子に銃を突きつけていた男が突入してきた5人の人影に驚いていると、その内の1人が俊敏な動きで男が所持している拳銃を蹴り飛ばした。
「ッ!」
拳銃を蹴り飛ばされ無防備になってしまう男に、5人の影は迫りより男に問い詰める。
「観念ニャさい! ……ブラックホワイト!」
「みゅ…………ミュウイチゴ!」
「東京ミュウミュウズだ!」
男に対して観念するよう問い詰めるミュウイチゴたち東京ミュウミュウの5人を目の当たりにして、人質として捕らわれていたチョコに真鍋義久たちは歓喜に沸いた。
しかし銃を蹴り飛ばされた男ブラックホワイトはミュウイチゴたち聖龍HEADの5人を前に全く動じず、対峙する。
「貴様ら……また僕の邪魔をしに来たのか……!」
「違うニャ! 私たちはただ貴方を助けたいだけニャ! ……
「その名で呼ぶな! 俺はブラックホワイトだ!」
ミュウイチゴからの説得も聞かず、ブラックホワイトは予め懐に隠し持っていたもう一丁の拳銃を手に持ち、乱射し始めた。
ミュウミュウズはこのブラックホワイトの乱射による射撃から民間人を守ろうと、あえて彼らとは正反対の方面に移動し、動物級の俊敏な動きでブラックホワイトをかく乱する。
その間、ミュウレタスやミュウミントが琴浦春香たち民間人を部屋から脱出させる。
そしてミュウイチゴやミュウプリン、ミュウザクロたち三名は敢えて能力を使わず、目にも止まらない速さで移動してブラックホワイトをけん制。
するとブラックホワイトが乱射していた銃弾が天井に設置されているスプリンクラーに直撃してしまい、それが切っ掛けで皆がいる階層全体のスプリンクラーが作動して水浸しになってしまう。
頭から大量の水を被ってしまうブラックホワイトは、思うように瞼が開けず視界が阻まれてしまう。と、其処に市民を部屋の外に脱出させ終わったミュウレタスが真空刃のような必殺技レタスラッシュでブラックホワイトが持っている拳銃を弾き落として再び無防備状態に追い詰めていく。
すると追い詰められたと観念したブラックホワイトは、逃走しようと非常階段へと続く廊下へと走り出した。
「ま、待ちなさい!」
ミュウミントが制止するが、ブラックホワイトは足を止めず我武者羅に非常階段へと走り続ける。
が、その前を立ちはだかる1人の人物、蒼の騎士ディープ・ブルーが逃走するブラックホワイトの前へと立ち塞がる。
「じゃ、邪魔だ!」
ブラックホワイトは廊下端に設置されている消火器を手に持ち、頭より高く掲げて消火器を武器に突破しようと試みる。
だが、蒼の騎士は聖龍隊で鍛えられた日本刀を抜刀し、素早くブラックホワイトをみね打ちで倒して見せた。
「ぐは……っ」
刀の峰で腹部を強打されたブラックホワイトは悶絶し、その場に打ちひしがれる様に倒れた。
「くっ……」
「またこれで君の敗北……まあ、君の言葉を借りれば、勝利と敗者、くっきり分かれたね」
蒼の騎士がブラックホワイトに皮肉交じりの台詞を呟き掛けていると、そこにミュウイチゴたちも駆けつけて床上でのた打ち回るブラックホワイトを見詰めていた。
するとブラックホワイトの口から謎めいた言葉が。
「まだだ……まだ、まだ…………俺は白黒つけたいんだ……」
そういうとブラックホワイトは完全に気を失ってしまった。
この台詞を聞いた直後、ミュウイチゴたちの脳内に一つの疑問が生じた。
本来、ブラックホワイトはこういった篭城に関わらず、事件を起こす際はチンピラなどの配下を引き連れての集団犯罪を行うケースが多い。だが今回は完全に単独での犯行だった事にミュウイチゴ達は一抹の不安を過ぎらせる。
(1人で立てこもる様な失敗する確率の高い犯罪を行うような彼じゃなかったはず、ブラックホワイト……だけど、この彼は間違いなく……)
白と黒、反面性を兼ね備えた二重人格のブラックホワイトこと
[黄金色の爆発]
東京ミュウミュウズがテレビ局での篭城事件を片付けている一方で、別所にて別の事件が発生していた。
そこはジャッジ・ザ・シティの高速道路で事件は起きていた。
「うわーーっ!」「きゃあーーっ」
人々の叫び声が絶えず飛び交う中、車が次々に爆発炎上、そして何故か黄金色の炎を上げながら爆炎を上げていた。
その車を次々に爆破させていたのは、人々の頭上すれすれの高さから滑空しながら車を爆発炎上させている翼のある全身黄金色の戦闘アーマーを装備した1人の男だった。
「わーーはっはっ! このゴールデンボマー様に輝かせられない爆発はない! 黄金色に燃え上がるもの、人……全てが最高だ!!」
ゴールデンボマーと自称するこの男は、自らが調合した発火剤と爆薬で路上の車を次々に爆発炎上させて面白がる愉快犯の様だ。
と、其処に聖龍HEADの面々が到着し、ゴールデンボマーに言い迫る。
「もうやめなさい、ゴールデンボマー! 無駄な爆発は誰も喜びはしないわ!」
「黙れ! お前たちの光が人々を魅了するように……おれ様の爆発も人々を魅了している筈! さあ、どっちが激しく燃え上がるか勝負しようじゃないか!」
セーラームーンの説得も虚しく、ゴールデンボマーは駆け付けてきたセーラー戦士とちせ達に勝負を挑む。
するとゴールデンボマーが先制攻撃。セーラー戦士達とちせに発光爆弾を爆撃してきた。颯爽と砲撃をかわすセーラー戦士達に上空へ飛び上がるちせ。
しかしゴールデンボマーの砲撃は留まる事を知らず、あちらこちらへ砲撃を展開していく。
と、その最中、逃げ遅れたバスの手前にゴールデンボマーの爆撃が落下して、バスの手前のコンクリートが崩落して、バスが地上へ落ちそうになってしまった。
「い、いけない! バスの中の人達が危ない!」
セーラームーンが地声の大声でバス車内の人々の危機を呼びかけ、仲間と共にバスを救出しようと移動する。
そんなセーラー戦士達に上空で滑空しながらゴールデンボマーと応戦するちせが言葉を投げかける。
「こっちは私に任せて! セーラームーンたちはバスをどうにかして……!」
と、ちせは単身ゴールデンボマーに挑む覚悟をセーラー戦士達に言い残して、未だ路上への爆撃をやめないゴールデンボマーに特攻していった。
「ゴールデンボマー! もう爆撃はやめなさい!」
「うるさい! 最終兵器ちせ、お前もオレと同じで三次元人に運命を狂わされた二次元人だ……どっちが一番狂わされているのか、爆撃で勝負だ!」
「いいえ……! 私はもう、むやみに人を傷つける兵器には戻らない!」
爆撃で勝負を仕掛け合おうと誘うゴールデンボマーに、ちせはかつて修司によって運命を救われた経緯から相手をむやみに殺傷しない意志を示し、ゴールデンボマーと対峙する。
一方で、ちせにゴールデンボマーとの一騎打ちを任せたセーラー戦士達は必死に崩落した高速道路から落下しそうになっているバスを引きずり上げようと果敢に力を込める。
「ほ、ほら……もう少し……!」
セーラー戦士でも屈指の怪力を誇るセーラージュピターがバスを引き上げていくと、ようやくバスは路上へと戻すことが叶った。
「さあ、バスの中は危険だから早く安全なところへ……って、あなた達!」
「はは、また助けてもらっちゃいました……」
なんと引き上げたバスの車内から出てきたのは瀬名アラタたち【ダンボール戦機ウォーズ】と【プリティーリズム・レインボーライフ】の面々が。彼らはドレフ将校からもらったフリーパスで公共のバスに搭乗して皆でジャッジ・ザ・シティを観光しようとしていた矢先に、ゴールデンボマーの爆破騒動に巻き込まれてしまったというのだ。
一方そのころ、ちせは1人で飛行しながらゴールデンボマーと応戦していた。
狙うは背中に背負っているゴールデンボマーのブースター。だがゴールデンボマーもちせを爆発させようと執拗に爆撃を繰り出し続ける。
ちせはレーザーにエネルギーを充填させながら確実にゴールデンボマーのジェットパックに狙いを定めようとするが、縦横無尽に飛行するゴールデンボマーの背中に立ち回るのすら困難を極めた。
しかし、ちせは諦める事無くゴールデンボマーの背面に狙いを定め続けようとする。が、そこにゴールデンボマーの爆撃がちせの真横に直撃、彼女に大打撃を浴びせてしまう。
「ひゃーーはっはっ! おれ様を殺す気でないと倒せないぞ、ちせ……諦めておれを殺して兵器に戻っちまえよ!」
と、ちせを挑発するゴールデンボマー。
すると其処に一筋の雷光が走った。その雷光は一瞬の内にゴールデンボマーに直撃して、彼を痺れさせてしまう。
「ちせちゃん、大丈夫!? やい黒木旭! ちせちゃんに対してのこれ以上の暴言は許さないわよ!」
稲光をゴールデンボマーに直撃させたのは、先ほどようやくバスを引き上げたセーラージュピターだった。セーラージュピターはちせに助太刀しようと、ゴールデンボマーに雷撃を直射したのだ。雷によって痺れて思うように動けなくなっているゴールデンボマーを前にして、セーラージュピターはちせに言った。
「今のうちよ、ちせちゃん! 早くゴールデンボマーのジェットパックを……!」
セーラージュピターに言われて、ちせは標準を改めてゴールデンボマーが背負っているジェットパックに定めてレーザーを撃った。
するとちせが放ったレーザーはゴールデンボマーのジェットパックに直撃、ジェットパックから煙が吹きだした。
「うおおおおおおおおおおおおっ!」
ゴールデンボマーは破損されたジェットパックを制御する事ができず、螺旋飛行しながら宙を舞いだす。
そんなゴールデンボマーにちせがワイヤーフックを引っ掛け、空中を暴走するゴールデンボマーを強制的に路上へと引き摺り下ろす。
「ぐはっ」
路上に叩き付けられたゴールデンボマーは、そのまま車と車の隙間を潜って路上に胴体着陸すると、ようやくセーラー戦士達とちせの足元で停止した。
「うぐ……っ」
痛みで悶絶するゴールデンボマーが逃げ出さないよう、隊士たちはゴールデンボマーの黄金のボディスーツを引き剥がす。
すると黄金色のスーツの中から出てきたのは、全身の大半を酷い火傷で覆われてしまっている元芸能事務所の社長黒木旭という人物。
こうして辛うじて高速道路での事件も片付いた中、一般二次元人たちは聖龍隊の保護の下、傷がないか調べられる。
そんな中、異変が新世代型二次元人に襲い掛かっていた。
なんとその他の新世代型の思想が共有感知を通して伝わり、一部の新世代型たちが他所の事件に巻き込まれている経緯が手に取るように判るというのだ。
それはブラックホワイトの事件だけではない、その他の
[悪夢を操る者]
同じ頃、事件を聞き付けて現場に駆け付けていた聖龍隊士の姿が廃屋の中にあった。
事件は謎の黒服姿の男がコンビニの店主を脅して金を盗ったというあまり珍しくもない事件だったが、異常だったのは襲われた店主の方だった。なんと店主は何か幻覚を起こしているのか非常に恐怖に打ちひしがれて錯乱状態に陥っていたのだ。
この事件被害者が多大なる恐怖に陥る幻覚を起こさせる異常事態に、聖龍隊士の新人SAO組とAW組そしてマギカ組の三組が、犯人が逃げ込んだと思われる廃屋へと踏み込んだ。
しかし其処で彼らを待ち受けていたのは、孤独の中での恐怖との戦いだった。
「く、来るな! いったい、どこから沸いてきやがった……!」
眼前に迫り来るのは、以前タイのバイオハザードで出くわした恐ろしいゾンビの集団。
そのゾンビの集団に果敢に挑み続けるキリト、だが彼の周辺には仲間であるアスナもシルバー・クロウ、鹿目まどか達の姿が忽然と消えていた。
「あ、アスナ! みんな! どこ行ったんだよ!」
必死に仲間達の姿を目視しようと辺りを見渡すキリト、だがそんな彼に容赦なくゾンビたちが襲い掛かってくる。
仲間の姿を探す前に、今この状況を打破しようと懸命に剣を振り回して周囲のゾンビたちをけん制するキリト。
だが、ゾンビの中には、なぜか武器を手にしている固体も見受けられ、ゾンビはその武器でキリトに攻撃してくる。
「く、くそッ」
キリトは俄然と向かってくるゾンビと剣戟を開始し、応戦する。
すると、そんなキリトの頭上から謎の声が。
「……恐ろしいか、そんなに恐ろしいのか……お前達の恐怖をじっくり見させてくれ……」
謎の声にキリトが反応し、顔を上げてみると、其処には天をも貫くほど巨大で不気味な容姿の男がゾンビと格闘しているキリトを傍観していた。
「恐怖だ……お前達の恐怖を示してみろ……!」
まるで悪夢を具現化したかのように恐ろしい風貌の黒い布切れを全身に纏っているその男は、老人の様な口調で格闘し続けるキリトに、いいやキリトと格闘しているゾンビ達にも告げる。
そう、キリトとゾンビたちの格闘を興味本位で楽しんでいるかのように見下ろしていた。
そんな全身不気味な布切れで覆った大男の形相に驚きつつも、キリトは周囲のゾンビたちと戦い続ける。
ゾンビの中には卓越した動きを見せる固体も見受けられ、更には弓矢や銃火器までも用いる固体も見られたため、キリトは動揺しながらも懸命に今を生き抜こうと戦い抜いた。
と、その時。キリトが戦い合っていると何処からともなく今まで見受けられなかった固体のゾンビが三体出現し、次々と周辺のゾンビを打倒していく。
「NO! ダメだ! 邪魔をするな……!」
亡霊の様な風貌の男が見下ろす中、男は突如として乱入してきた三体のゾンビの介入に困惑する。
そして、その三体のゾンビは手元から蛇を出現させては、他のゾンビたちの首筋に噛み付かせる。
するとどうだろうか、首筋を蛇に噛まれたゾンビたちは動かなくなり、視界から消滅していくではないか。
これを見たキリトは首筋に噛み付かせているのが毒蛇ではないかと思い込み、更にゾッと背筋に悪寒を感じる。
と、周囲のゾンビを三人がかりで押さえ付けて毒蛇を噛ませていた三体のゾンビは、キリトの方へと顔を向けて狙いを彼に定めた。
「く、来るな! 来るな来るな来るな……!!」
積み重なった恐怖から完全に混乱してしまったキリトは、我武者羅に剣を振り回して三体のゾンビの接近を防ごうとする。
しかし三体のゾンビは、そんな混乱状態のキリトを差し置いて続々と周辺の他のゾンビたちを撃破しては毒蛇を首筋に噛み付かせて消滅させていく。
そして最後に残ったキリトに向かって前進してきた。
キリトは恐怖のあまり情状不安定に陥り、より一層剣を振り回してけん制する。が、三人のゾンビの内1人が、杖の様な道具でキリトが振り回していた剣を弾いてしまい、キリトの自己防衛力を無力化してしまう。
追い詰めらたキリトは、両手で必死に抵抗するものの三人のゾンビに押さえ付けられ、自身の首筋にも毒蛇の魔手が迫ろうとしていた。
涙目で自分も消されてしまうのかと思い、半ば覚悟を決めたキリトの首筋に毒蛇がプスリと噛み付いた。
その瞬間、毒蛇が注射器に、そして自分を押さえ込んでいる三人のゾンビの姿も一変した。なんと自分を押さえ付けているのは、聖龍HEADのコレクターズの三人だった。
「ゆ、結さん……それに、春菜さんに……愛さん……?」
自分を押さえ付けていた三体のゾンビがコレクターズの結に春菜そして愛であると判った途端、キリトは全身の力が一気に抜けて地べたに座り込んだ。
そんな落ち着きを取り戻しつつあるキリトに、コレクターユイが更に落ち着かせながら話し掛ける。
「良かった、もう毒素は分解できたからね」
「ど、毒素……?」
コレクターユイの話が理解できないキリトに、コレクターハルナとコレクターアイが詳しい事情を話してくれた。
「キリト君、あなた達はナイトメアの恐怖ガスを吸って、幻覚を見ていたのよ」
「そうよ。それで味方同士で、何を見たかは分からないけど傷付け合っていたのよ」
「! 味方同士で……!?」
コレクターアイの言葉にキリトは自分の耳を疑った。そして辺りを見渡してみると、そこには全身切り傷だらけのアスナやシルバー・クロウ達の姿が視認できた。
そう、キリトがゾンビと思って戦っていたのは仲間であるアスナ達であったのだ。
そしてアスナたち他の仲間も、キリト同様にガスを吸い込んでしまった為に仲間がゾンビに見えてしまい応戦してしまっていた。
仲間同士で同士討ちをしてしまった事も含め、身も凍る様な恐怖の幻覚を見た事で思わず両肩を抱き締めて震え上がってしまうキリト達。
すると聖龍隊の新人達が今し方自分達に起こった同士討ちによる恐怖を目の当たりにして縮み込んでしまっていると、廃屋の天井裏から階段を伝って降りてくる聖龍隊の隊士がコレクターズに声をかける。
「コレクターズ! 無事にナイトメア……肥田裕久を確保しました!」
「了解! そのまま連行しちゃって」
聖龍隊士にしてHEADの身内である月野進悟を初めとする木之元桃矢と森谷賞の三人に連れて行かれそうになる黒の布切れに身を包んだ男を見て、コレクターユイがそのまま連行するよう言う。
すると三人に連行されそうになる黒い男はわざと足すくみをしてキリトたち幻を見ていた面々の前へ倒れた。
そして幻覚の最中にも見せた、亡霊の様な恐ろしいマスクでキリト達を睨み付けた。
「わっ、わあっ……!」
幻覚の最中にも自分達の同士討ちを楽しむかのように覗き込んできた巨大な顔と同じマスクに脅え切るキリト。
そんなすっかり恐怖に打ちのめされたキリト達にナイトメアこと肥田裕久は問いかけて来た。
「恐ろしかったか……! 私が見せた恐怖のパラダイスはどうだった? 感想を聞かせてくれ、身も凍るほど恐ろしいその感情を……!」
人間の恐怖心を煽るような言い方で迫るナイトメアの言動に、キリトたちは思わず後ずさりしてしまう。
そんなナイトメアを引っ張るように木之元桃矢たち三人の聖龍隊士が連行していく。
「来い、ナイトメア!」「いい加減にしろ、この野郎……!」
他人を恐怖に染めなければ満足できないナイトメアを無理やり立ち上がらせて、三人はナイトメアを連行していった。
そしてキリトら未だ恐怖で放心状態の新人達に、コレクターユイが優しく話し掛ける。
「もう大丈夫。あのナイトメア、昔っから恐怖とかにのめり込み過ぎて、ちょっと頭がおかしくなっているのよ」
人々を恐怖のどん底に叩き落さなければ気がすまない性分のナイトメアだと聞かされても、キリトたち聖龍隊の新人勢は茫然とするばかり。
そんな中、冷静沈着なコレクターアイは人知れず物思いに耽っていた。
(……コンビニ強盗だなんて、ナイトメアらしくないわ。彼なら、もっとこう……大胆かつ大規模な計画で多くの人々を恐怖に陥れようとする筈。なのに……)
今までの事例から、ナイトメアは強盗という子悪党並みの犯罪は犯さないと自覚しているコレクターアイは、一抹の不安を覚えるのだった。
[煉獄]
別のところでは。
廃屋と化した教会の中で何やら儀式的な催しが行われようとしていた。
祭壇の前には一冊の分厚い教本、そして儀式に使われると思われる短剣。
そして最も注目するべきは祭壇には椅子に縛り付けられた6人の生贄にされそうになっている人物。
それは【境界の彼方】の四人、栗山未来/神原秋人/名瀬博臣と美月の兄妹であった。彼ら四人はジャッジ・ザ・シティを一緒に観光していたところを、不意を衝かれて後ろからクロロホルムを嗅がされて意識を奪われて教会まで運び込まれたのだ。
そんな中、ある一人の老人が悠々と祭壇の前を行ったり来たりしながら教本を手に取り、熱弁し始めた。
「アッラーの神々に捧げ奉らん……この聖なる儀式にて、異界より我ら下界へと降ったアクマの魂をここに……闇の中の私たちを光で照らし、祝福してくださる方……乾いた大地を雨で潤し恵みを与えてくださる方……我々の心を慈愛から引き離す卑劣で邪悪な存在、その悪しき存在を大いなる御心で葬り去って下さる方……アクマたちよ聞け! 貴様らはこの世界に解き放たれた呪われし種族の発端……過去・現在・未来は歪められ、今を混沌の時代へと誘おうとする邪悪なる魔物たち……」
と、老人が自作の教本に綴られている聖文を読み続けていると、縛り付けられている名瀬博臣が老人に問い掛ける。
「お、おい爺さん! 俺たちは別に異形の妖怪や化け物じゃないんだぞ! それなのに……」
すると反論をぶつけようとする名瀬博臣に老人は叱咤し、彼の顔に平手打ちを喰らわせると吐き捨てた。
「黙れ! アクマどもめ……どんなに人の姿に成り変わろうと、貴様らが我ら人々の幸せや生気を吸い尽くす異形の怪物である事は、アッラーの神々はお見通しなのだ!」
この老人の言動を聞いて、瀬名博臣は生唾を飲んだ。
(この爺さん……俺たち二次元人そのものを怪物だと思い込んでやがる……!)
老人が自分たち二次元人の存在そのものを異形のアクマや魔物だと思い込んでいる現状を察する博臣。そんな博臣の思想を共有感知を通して感じるその他の新世代型五人も老人の幻想に困惑する。
とその時、自分たち四人以外の二人の心境も自然と心中に入ってくる現象から、栗山未来が他二名の二次元人たちに問うた。
「あ、あなた達も新世代型なの……?」
「あ、ああ……そうだが……」
「貴女もなの?」
未来の問い掛けに答えるのは、【翠星のガルガンティア】のヨドとエイミー。二人も老人の狂信事件に巻き込まれていた。
そんな衝撃的な出会いに驚く暇もなく、老人は淡々と語り続ける。
「私たち追放の民がその戒めるべき現実より解き放たれる時、荒野にさ迷える我らは家路に付く……我らのものであった全てを取り戻す時だ!」
そして老人は近場に置いておいたポリタンクを両手で持つと、その中の液体を縛り付けている六人にぶちまけた。
液体から感じられる独特の臭いから、液体の正体がガソリンであると気が付く新世代型たちに老人は熱弁しながら名乗る。
「この混沌たる世界を解放するため、我アルモタヘルは救世主となる」
そう熱弁するとアルモタヘルは生贄たちにガソリンを振り撒き終わると、手にライターを持って力説する。
「おお、神よ。只今より煉獄の業火にて、アクマ共の魂を浄化いたします!」
そういうと老人は手にしたライターでガソリンに着火しようとした。
「お、おい! やめろ……!」
ヨドがアルモタヘルのガソリンへの着火を制止するものの、アルモタヘルは今まさに床に流れるガソリンに火を着けようと屈んだ。
その時だ。
廃屋と化した教会のドアを打ち破って勢いよく突入してきた四人の人影が。
「儀式の邪魔をするのは何者だ?」
ガソリンへの着火をやめて突入してきた者たちに問い詰めるアルモタヘル。
皆が光射す扉の方へ目を向けてみると、その四人はマーメイドメロディーズのるちあ/波音/リナ、そして先陣を切って突入した堂本海人だった。
「るちあさん、海人さん! あなた達ですか? 早く助けてっ」
四人の登場に、名瀬美月が早々に助けてほしいと嘆願するが、それに反して四人の登場にアルモタヘルはしかめっ面を浮かべて言い放った。
「神は神聖な地に相応しくない貴様らを送り込んだ。それは貴様たちの血の海で私を洗うために他ならない」
アルモタヘルは海人たち四人と対峙しながら力説を述べようとするが、それよりも早く海人がアルモタヘルに言った。
「ふっ、お説教の時間はお終いだぜ、アルモタヘル!」
と、海人が力説し返したその時。突如として教会の窓ガラスから大量の水が流れ込み、アルモタヘルに襲い掛かる。
アルモタヘルは何が何やら理解する暇もなく、大波に呑まれてしまい、床上に散布されていたガソリンも綺麗に洗い流された。
そしてアルモタヘルが溺れかけたのを見計らった海人が声を上げる。
「もう良いぞ!」
すると丁度いい時に波も静まり、水も自然と引いて行き、後に残ったのは激しい水流で溺れかけて気絶してしまったアルモタヘルだけだった。
この荒業とも捉えられる偉業に生贄として危うく炎上させられそうになっていた六人の新世代型たちも唖然としてしまっている最中、大水が流れ込んできた各所の窓から各々と人影が突入した。
その人影の正体は、海人の合図と同時に教会屋外から大量の水を発生させて教会内に向けて流水させた残りのマーメイドメロディーズ、かれん、ノエル、ココ、星羅の四人だった。
海人は溺れかけて昏睡状態のアルモタヘルをカレンたち四人に移送と同時に連行させると、続いて捕らわれていた新世代型二次元人の六名を解放する。
「大丈夫だったか?」
「まあ、なんとか……でも、もう少し遅かったら私たち丸焼きにされてましたよ」
「そいつは済まなかった。それを防ぐため、アルモタヘルの注意を逸らしながら待機させていた四人に放水の段取りを準備させていたんだが……」
「まあ、助かったから良いですよ」
栗山未来からの言葉を聞いて、彼らの安否が無事だったことを認識して心中では安堵する海人。
そんな海人と未来が対談している中、るちあは初見であるヨドとエイミーに話し掛けていた。
「あなた達も新世代型なのね。良かったわ無事で……」
「無事じゃない。全身ガソリン塗れにされた上に、危うく焼き殺されかけたんだぞ」
「ま、まあヨド。助かったから良いじゃない」
少々感情的になるヨドを宥めながらるちあと対談するエイミー。
そこにるちあが話し掛け続けた。
「それにしても奇遇ね……確かあなた達は異世界の地球出身なはずだけど、なんでまたジャッジ・ザ・シティに……?」
「それは……ジャッジ・ザ・シティへの招待状を、俺とエイミーが貰ったから来てみた訳なんだが……」
「えっ? それはおかしいわ……あなたたち新世代型二次元人に何かしらの動きがあれば、すぐに私たちHEADのところに連絡が来るはずなんだけど……」
「なに? そいつは可笑しい……招待状には聖龍隊の紋章もしっかりと押し付けられていたから、てっきり……」
るちあとヨドの会話がかみ合わない事態に、エイミーも「何でだろう?」と首を傾げるばかり。
不思議に思ったるちあが海人に訊ねようとするが、海人は海人の方で色々と考えている様子で、とてもでは無かったが話し掛けられる雰囲気ではないと察する、るちあ。
この時、海人は捕縛したアルモタヘルについて思慮を深めていた。
(アルモタヘルが信者なしに、ここまでカルト的な儀式をやるのは、どう考えてもおかしい……何だか、焦っている様子にも見えたしな……)
狂信者であるアルモタヘルが信者を一人も引き連れず、狂信的なカルト儀式を行うのに疑念が募る堂本海人。
彼は考えた、今の今まで報告が入った事件の共通点。それはどの犯罪者も単独での犯行が目立っていたのだ。
この不可思議な共通点に、海人は頭を悩ませるのだった。
しかし此処で、通信機が入った。
海人は通信機を耳にあて、通話を開始した。
「こちら、海人」
「海人、オレだ、メタルバード! そっちの事件は解決したか?」
「はい、アルモタヘルは無事に確保しましたし、人質として捕らわれていた新世代型は六人とも無事です!」
「そうか、そっちの事件が解決したならコッチの方に助太刀してくれ」
「どうしたんですか?」
「どうしたもこうしたも……あのMr.フェイクが、また騒動を起こしやがって……」
「え! Mr.フェイクがですか!?」
「そうだ! ジャッジ・ザ・シティの大通りのど真ん中で爆弾騒動を起こしやがって……しかも下手すりゃ町中に違法ドラッグが散布されかねない事態に発展しかねない……!」
「分かりました、こっちで保護した新世代型を聖龍隊支部に連れて行った後、必ず合流します」
「ああ、待ってるぞ!」
こうして通信は切られ、海人達は保護した栗山未来やヨドたち六人の新世代型二次元人をジャッジ・ザ・シティの聖龍隊支部へと同行させた後、メタルバードたち他のHEADが待機している大通りへと向かうのだった。
[偽り]
ここはジャッジ・ザ・シティの大通り、ちょうどジャッジ・ザ・シティの中央に位置する場所だ。
ここで一人の男が山積みにしたカプセル状の錠剤の上に立ち上がって意気揚々と語り出していた。
「レディース&ジェントルマン! 皆様! この場を借りてわたくし、Mr.フェイクが語らせていただきます! 本日は私のショーに足を運んでくださり、ありがとうございます!」
男は派手な赤と白をモチーフにしたタキシードを着こなし、顔には頭文字のFマークを施したマスクとFの形をしたステッキを手にした、いわばテレビ番組の司会者の様な格好をして熱弁していた。
「今宵はわたくし、Mr.フェイクがお送りするのは、前代未聞のエンターテイメント! そう、僕からジャッジ・ザ・シティのみんなに飛びっきりのプレゼントを贈っちゃおうってサプライズです! 僕の真下にあるのは、僕が特別に調合したハイテンションになっちゃう違法ドラッグ! そして爆弾……これが何を意味しているか、わっかるかなぁ? ……そう! 爆発の衝撃でジャッジ・ザ・シティのあちらこちらに僕御手製のドラッグが散布されちゃうって訳! みんなとってもハッピーになれるこの企画、この僕Mr.フェイク初めての慈善事業さ!」
と、得意げに語るMr.フェイクは、ジャッジ・ザ・シティの町中に違法ドラッグをばら撒こうという、とても厄介な事件を引き起こそうと躍起になっていた。
そんなMr.フェイクの熱弁と騒動に、多数の野次馬が群がる中には、二人でジャッジ・ザ・シティを観光していた斉木楠雄と燃堂力の姿も確認された。
「ど、ドラッグを街中に散布するつもりらしいぜ斉木。どうする?」
「まったく……狂っている」
Mr.フェイクの話を聞いて愕然となる燃堂に対し、斉木はMr.フェイクが行おうとしている犯罪の異常性を噛み締める。
すると其処に上空からメタルバードが飛来してきて野次馬の注目をMr.フェイクから奪い取る。
「メタルバードだ!」
野次馬の活気盛んな声が飛び交う中、メタルバードはMr.フェイクと対峙する。
「久しぶりだな、Mr.フェイク! 今度は慈善事業の真似事で人々の注目を浴びようって魂胆か? 生憎、違法ドラッグなんて誰も欲しがっちゃいねえよ。特にお前さんみたいな狂人が調合したドラッグはな」
「はは、メタルバード! 君たちHEADは相変わらず解っちゃいないみたいだね! みんなは狂うほどに今を、現実から解き放たれたいと思い焦がれている訳さ。誰もが夢を見ながら、それを叶えられないもどかしさ……ただイタズラに時が過ぎ去る単調な毎日……みんなみんな、そんな日々に嫌気が差しているんだよ! 僕はそんな単調でつまらない日々からみんなを解放してあげたいんだよ!」
「なら尚さら……! お前の様に平凡ながらも平和な日々を壊す悪党を止めないとな」
そういうとメタルバードはMr.フェイクに迫ろうと歩み寄ろうとするが、Mr.フェイクは手に持った爆弾の爆破スイッチを見せ付けて近寄らせない様に迫る。
「ダメダメ、そう焦っちゃ。まだ視聴者は僕たちの活躍を観たい筈だ。さあ、大人しく……そこに突っ立っているんだ」
挑発するかのように、おどけた素振りでメタルバードに告げるMr.フェイク。
メタルバードは険しい目付きでMr.フェイクの言うとおりその場に立ち尽くすばかり。その様子を取材カメラも野次馬の視線も釘付けにされる。
誰もがメタルバードが何もできないままか、はたまた何か策があるのか視線を研ぎ澄ませて直視する。
するとその時、メタルバードがMr.フェイクと対峙していたまさにその時、メタルバードの通信が入った。
メタルバードはMr.フェイクの了解を得る前に、通信に出た。
「ちょっとちょっと! 折角のアピールタイム中だって言うのに、そんな通話なんかに出ないで、もっとカメラや野次馬さん達にアピールアピール!」と、Mr.フェイクは自分の了解なしに通話に出るメタルバードに難癖を付ける。
そして通話を終えたメタルバードは、改めてMr.フェイクに面と向かって語り掛ける。
「……勝負あったなMr.フェイク。お前さんらしくない失敗の仕方だな」
「? 何を言っているのかな? あ、そうか! そうやって僕を誤魔化している間に時間稼ぎして視聴率を上げるつもりなんだね!」
メタルバードの発言に不思議がるMr.フェイクであったが、そうメタルバードに話し掛けていると彼の足もとに設置されていた爆弾のタイマー表示がぷつりと消滅した。
「!?」突然の事態に何事かと戸惑うMr.フェイク。
するとメタルバードがMr.フェイクより視線を逸らし、Mr.フェイクもその視線を追う。すると視線の先にはMr.フェイクの死角から爆弾に接近して、爆弾をハッキングして解除したコレクターズの姿があった。
「あ! ズルいズルい! 僕の大切な爆弾ちゃんを解除しないで……!」
自作のドラッグをばら撒く為に設置した爆弾を解除されて子供の様に怒るMr.フェイク。
そんなMr.フェイクにメタルバードは迫った。
「もう観念しろ、Mr.フェイク……それにしちゃ、いつも用意周到に準備をしているお前さんに比べたら、今回の事件はお粗末なものだな」
常に用意周到な犯罪を繰り広げるMr.フェイクに似合わず、簡単に追い詰められてしまうMr.フェイクの間抜けっぷりにメタルバードは首を傾げながら近づいて行った。
するとMr.フェイクは「チッ」と舌打ちすると、背中に隠し備えていたジェットパックで空へと飛びあがり、そのまま逃走しようと目論んだ。
「ッ、そうはさせるか!」と、メタルバードも両翼を広げて猛スピードでMr.フェイクを追尾し始めた。
上空で逃走劇を繰り広げる両者だったが、聖龍隊一の速さを誇るメタルバードの前ではMr.フェイクは雑作もなく取り押さえられた。
だが此処で問題が。なんとメタルバードが強引に取り押さえたのが原因か、ジェットパックから煙が吹き出し、そのまま両者は錐もみ回転しながら地上へと落下する。
――――その頃、野次馬としてMr.フェイクの一件を凝視していた斉木楠雄と燃堂力の二人以外の一般二次元人達はジャッジ・ザ・シティの聖龍隊士部へと補導され、事情聴取を軽く行われた直後だった。
「いやはや、まさか悪名高いブラックホワイトとジャッジ・ザ・シティで遭遇するだなんて夢にも思いませんでしたよ」
「ほんと、そうね……
二次元界でも悪名高い犯罪者に成り果ててしまったブラックホワイトの現状を目の当たりにして、室戸大智と御舟百合子は驚いた様子で語り合っていた。
しかし、そんな二人とは裏腹に久々に会った琴浦一家との出会いに真鍋義久や森谷ヒヨリらは困惑していた。
「……ではもう一度お尋ねしますが、皆さんはアニメタウンより発行された招待状で、このジャッジ・ザ・シティに出向いたという事なんですね?」
「さっきからそう言っているじゃろうが! ワシらは聖龍隊の紋章が印された招待状で、はるばるジャッジ・ザ・シティを訪れた訳なんじゃって!」
聖龍隊のスタッフからの質問攻めに嫌気が差してきた琴浦善三が言うには、自分達三人、久美子や小野崎絢香は聖龍隊の紋章が押された招待状が届いた事でジャッジ・ザ・シティを訪れたの事。だが聖龍隊がそんな招待状を発行した記録も無いので、疑われてしまう始末。
そんな琴浦善三たち三人を目視して、同じくジャッジ・ザ・シティの事件に巻き込まれてしまった新世代型のヨドとエイミーも語り合い始めた。
「……どうやら、俺たち同様にジャッジ・ザ・シティに偽の招待状で招かれたのがいたみたいだな」
「そうね……でも、一体だれがこんな真似を?」
偽の招待状でジャッジ・ザ・シティに新世代型二次元人を招いたのは何者か疑問に思うエイミー。
と、その時である。天井の窓ガラスを突き破って二人の人影が屋内に突っ込んできた。
「きゃあっ!」
突然、天窓のガラスを突き破って室内に飛び込んできた二人の人影に悲鳴を上げる琴浦久美子。
すると飛び込んできた二人のうち、一人がむくっと起き上がると頭から微量の血を噴き出しながら立ち上がった。
その人物の顔を見て、誰かが叫んだ。
「み……Mr.フェイク!!」
その名を聞いて、現場の全員が騒然となった。Mr.フェイクといえば二次元人三次元人とわず誰もが周知している凶悪犯罪者だからだ。
そんな頭から血を流しているMr.フェイクに続いて、もう一方の飛び込んできた人物も頭を抱えながら立ち上がる。
「め……メタルバード?」
そう、Mr.フェイクと共に天窓を突き破ってきたのはメタルバードだった。彼はMr.フェイクのジェットパックが暴走した時の衝撃で落下していく中、どうにか地面との直撃を免れようと必死に方向を転換させて、この聖龍隊支部に突っ込んだのだ。
鋼の体を持っている為に無傷のメタルバードに反して、生身の人間であるMr.フェイクのダメージの方が凄まじかった。
だが、そんなMr.フェイクにメタルバードは胸倉を掴んで、大勢の一般二次元人たちが見ている中、問い詰め始めた。
「おい、Mr.フェイク! 一体どうしたんだ、お前は! 今回みたいな簡単に解決できる事件を起こすほどお前さんはお粗末な男じゃなかった筈……そもそも、お前……本当にMr.フェイクか?」
このメタルバードの発言に、胸倉を掴まれていたMr.フェイクはメタルバードの手を振りほどき、力説した。
「な、何を言っている! 僕はMr.フェイク……誰がどう見たって、犯罪界のエンターテイナーMr.フェイクじゃないか!」
と、Mr.フェイクが力説を語っていると、突如としてMr.フェイクの様子が一変。なんとMr.フェイクは口から大量の血を噴き出したのだ。
「いやあっ」
床に吐き散らされる大量の血潮に能美クドリャフカが悲鳴を上げる。
そして血を吐いたMr.フェイクは、自分が吐いた血で真っ赤に染まる床を見下ろしながら朦朧としていた。
「も、もう時間、か……」
そう呟くとMr.フェイクはその場に倒れて動かなくなってしまう。
メタルバードは慌ててMr.フェイクの元に駆け寄るが、駆け寄ってみるとMr.フェイクはうわ言の様に自然と語り出した。
「もっと……もっと…………僕を見て…………」
「………………………………」
メタルバードや現場の皆々が注目する中、Mr.フェイクは語り続けた。
「め、メタルバード……僕は、僕は……君たちの様に、そして本物のMr.フェイクの様に脚光を浴びたかった…………僕は今まで、人生のスポットライトを浴びる事が、無かった…………」
悲壮感に満ちた口調で語り続けるMr.フェイクの言葉に皆が耳を傾けていると、Mr.フェイクは口から血を吐き零しながら視線を逸らし、琴浦久美子ら一部の新世代型たちを視界に捉えて語った。
「そう……自分の娘を蔑にする毒親、琴浦久美子……欲しいものの為には手段を問わない冷酷な森谷ヒヨリ……強者と弱者の分割しかしない四宮小次郎……ハァ、それに歌詞を盗んだ速水ヒロ…………そんな……そんな、罵倒を浴びせられ、敵視される二次元人ですら羨ましかった……僕は……僕は、成りたいものに成りたかっただけなんだ…………」
そう呟き終えると、Mr.フェイクは静かに瞼を閉じた。
血反吐を吐き零しながら自身の成りたかったものに成りたかっただけだと説くMr.フェイクに、メタルバードがそっと近寄り首筋に手を当て脈拍を計ると意外な答えが彼の口から出た。
「……死んでいる……」
Mr.フェイクは死んだ。だが彼が最後に言い残した台詞に誰もが困惑した。
「本物の様に脚光を浴びたかった」とは何を意味しているのか?
果たして今回死んだのは本物のMr.フェイクだったのか?
メタルバードに、そして現場の多くの新世代型たちに異様な胸騒ぎが残った。
[今回の登場ヴィラン(オリジナル&アレンジ)]
ブラックホワイト
かつてアイドルとして名を馳せていたクラウディこと
【登場作品:きらりん☆レボリューション】
ゴールデン・ボマー
本名:
自動車事故で全身の9割以上に火傷を負った黒木旭は、その火災で自身が燃え盛る中、自分を燃やし目に飛び込んできた煌びやかな光の如き炎に異常なまでに執着するようになり、事故後、独学で酸化マグネシウムをベースとした液体火薬を生成し、辺り構わず光り輝く爆発で彩る事に執着する爆弾魔ゴールデン・ボマーへと変貌。人も物も全てを鮮やかな爆発に巻き込ませなければ気が済まない性分で、自らが仕掛ける発光爆弾を聖龍HEADの光の能力同様に人々を魅了している爆弾だと思い込んでいる。自作の特殊な黄金の耐熱スーツやマスク、ジェットパック等を独学で開発。更には強力な有色火炎放射器やナパーム発光爆弾等も作り出し、重武装して空を飛びまわりながら爆破行為を繰り返す危険な破壊者「ゴールデン・ボマー」と化す事になった。
【登場作品:きらりん☆レボリューション】
ナイトメア
本名:
千葉県流山市の「医療法人社団 宙麦会ひだクリニック」という心療内科・精神科で院長を務めていた肥田裕久は、表向きは善良な医師を演じる一方で、情状不安定な患者の診察もロクに診ず、それどころか患者を恐れてスグサマ警察に任せるという医者としてあるまじき人間であった。しかも肥田は自身が院長である事をいい事に、「ひだクリニック」を拠点に暴力団と結託し、院内を麻薬の隠し貯蔵庫にした挙句、暴力団などに麻薬を横流しして利益を得ていた。その一方で通院患者の一部を自身の欲求や好奇心のはけ口として、投薬などの非業で悪質な人体実験も日夜行われ、その内容の殆どは恐怖に似た幻覚を起こして精神を崩壊させる異常極まるものだった。これらの悪行は肥田と同じく当院に勤務していた医師や看護師、更には宙麦会内の人間までも周知していたらしいが、クリニックや法人会の面目を保つため黙認されていた。そんな表では善良な医者を演じ、裏で暴力団との麻薬取引や非業な人体実験を続けていたある日、彼がいつもの如く院内で一人確保していた患者に危険な薬を投与しての人体実験を実行しようとした丑三つ時、肥田の悪事を嗅ぎ付けたジャッジ・ザ・デーモンが密かに院内に忍び込んでいて人体実験を実行しようとする肥田に制裁を加える。この時、肥田の左頬にはジャッジ・ザ・デーモンが罪人に付ける罪の証でもある自身のイニシャルJ/Dの焼き印が押されたの事。この深夜の襲撃をきっかけに肥田裕久の悪事は全て露見し、彼が暴力団に密売していた麻薬も「ひだクリニック」内で大量に発見され、肥田裕久と結託して麻薬の密売をしていた暴力団はもちろん、肥田の悪事を周知していたにも関わらず黙認してたクリニック内の医師や看護師そして法人会の人間といった多くの関係者達も一斉検挙された。更に肥田裕久が院長である自分しか知らない隠し部屋の中には今まで行ってきた人体実験で犠牲になった多くの被害者が衰弱または死亡しているのが発見された。ジャッジ・ザ・デーモンに自身の悪事の全てを暴かれ、更に顔の左頬に一生消えない焼き印を押された事から肥田裕久の人格は崩壊し、歪んでしまった。そして肥田は、過去に自身が医師として診療した男子が毎晩魘される悪夢をクレヨンで描いたとされる絵に異常なまでに執着する様になり、遂にはその具現化された人型の悪夢と瓜二つのマスクと衣を羽織って自らをナイトメア(悪夢)と名乗る様に至った。ナイトメアと名乗った後は、自分たち三次人の思想概念から生れた二次元人を自らが体現している悪夢に苦しませようと、ジャッジ・ザ・デーモンを始めとする多くのヒーローやキャラクター達に自らが精製したガスなどの薬で悪夢に似た幻を見せて、恐怖を利用した心理戦で挑んでくる。
容姿:悪夢を具現化した様な全身黒づくめの衣服とマスク。マスクはスクリームや髑髏とは一線を敷く、おどろおどろしい顔立ちになっている。衣服は死神が着衣している黒いローブに近いが、恐怖を引き立たせるように敢えて布がボロボロに果てている様に見せかけている。
得意戦術:ガスや薬など自身が精製した薬物を用いて、相手を自分自身が最も恐怖を抱いている幻覚を発症させる
弱点:老体なため運動能力は極めて低く、格闘においては簡単に倒せる
【オリジナル
アルモタヘル
アラビア語で煉獄を意味するアルモタヘル。本名はイスラム系の過激テロリスト、ハーメド・ハァディ(神を称える指導者)という名。アメリカだけでなく国連軍、および小田原修司により母国のイスラムが世界地図から消滅してしまった経緯から、現在は過激なテロリストというよりも狂信者に近い異常犯罪者と成り果てた。二次元人を人種問わず、全てを異世界からきた「アクマ」や「魔物」として軽蔑しており、彼らの存在が母国イスラム消滅に繋がったのだと強く信じている。現在は数がめっきり減ったイスラム教徒に代わり、政権によって多くを失った犯罪者や
【オリジナル
Mr.フェイク
名門軍人の家系に生まれ育ったジャクソン・グレイシスは、幼い頃から常識外れの虐待紛れの教育を施された事から、もう一つの人格「フェイクス」を脳裏に構成する。後に若くしてアメリカ軍の最高指揮権を持つ将軍に出世したジャクソンは、同時期に二次元界と三次元界が融合した世界観に自分の周囲が変化したのを切っ掛けに「フェイクス」の人格が徐々に表れ始める。幼少期から、漫画やアニメなどと引き離された教養を仕込まれたジャクソンは心の内でヒーローなどの二次元キャラに強い憧れを抱くように成長。遂にそれらの人格が発起し、「フェイクス」という人格から「Mr.フェイク」という人格に変貌した事で、それ以降多くの二次元キャラやヒーローに理不尽な要求や試練を与えていく事を生甲斐にする。彼にとって殺人を含む犯罪行為は全てエンターテイメントであり、彼にとって犯罪は一種の娯楽なのである。彼にとってヒーローや二次元人を巻き込んだ犯罪は全て娯楽に近く、命に係わる事件も同様である。時には自らを「犯罪コーディネーター」と自称し、多くの犯罪を行いたい二次元人達などに武器や資金を提供したりもしている。彼の資金源の多くは株取引などである。人々の良心や善意に疑問を抱き、極限状態に彼らを放り込むことでその欺瞞を暴くという一面も持っている狂気じみた犯罪者。派手な赤と白をモチーフにしたタキシードを着こなし、顔には頭文字のFマークを施したマスクとFの形をしたステッキを手にした、いわばテレビ番組の司会者の様な格好を好んでいる。これらの傾向からMr.フェイクは多重人格者だけでなく、自己愛性人格障害、演技性人格障害、さらに自己中心性や目立ちたいという強迫性障害を発症していると思われる。
【オリジナル