現政奉還記 未来都市&宇宙編   作:セイントドラゴン・レジェンド

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 新世党によって捕らえられている能力ありの二次元人と、その作品キャラクターを救うべくセクター2へと進攻するミラーガール達。しかしセクター2に潜入していたのは彼女達だけでなく一ノ瀬はじめら【ガッチャマンクラウズ】の7人も潜入しており、ミラーガール達よりも先に捕虜となっていた新世代型二次元人を奪還する。しかし、彼女たちの前に新世党の科学者サイケによって洗脳されてしまった纏流子が純潔を着て対峙、新生ガッチャマン達を悉く返り討ちにしてしまう。そんな疲労困憊のガッチャマンクラウズの7人と合流を果たしたミラーガール達は一致団結してサイケの手から流子と能力ありの新世代型奪還に意気込む。だが、そんな彼女たちの目の前に現れたのは、B.S.Lで活動範囲を広めつつある寄生生命体Xの親玉にもあたる小田原修司に擬態したX、通称SO-Xであった。どうにかSO-Xの追撃を免れた一同は、ようやくサイケたちに追い付く事ができたが、サイケはミラーガール達に純潔流子をぶつけて迎撃しようとかかる。だが鮮血と、それを着衣した実姉の皐月の必死の呼び掛けに流子は遂に自らの意志で純潔を剥ぎ取って自我を取り戻す。流子を戦力として失ったサイケは、代わりと言ってミラーガール達に打って出る。しかし、最高傑作と自称するオウムガイ型のマシーンに搭乗しても、最後にはミラーガール達の手で葬られた。こうして無事に新世党の手から纏流子と能力ありの新世代型を奪還した一行は、新たな仲間としてガッチャマン達も迎え入れて次なる作戦へと移行するのだった。



現政奉還記 宇宙編 集結する英雄たち

[仲間の行方]

 

 ガッチャマンクラウズとの合流、そして流子と皐月の姉妹が揃った事を銀河連邦が派遣した人工知能、俗称「修司」から重大な事項が告げられていた。

 

「諸君、トラブル発生だ。君達がセクター2を進攻する為に解除したセキュリティーが、悪い結果をもたらしたようだ。SO-Xが、水棲生物セクター4へと侵入した。結果、多量のXがセクター4へと入ってしまった。前回、君らの操作でブルーのハッチは全て開平され、SO-Xの進入を容易に許す結果を招いたのだ。既にセクター4がシステム異常を起こし始めている。ただちにセクター4へ向かうのだ。セクター4の状況は、現在調査中だ。詳細は現地のナビゲーションルームで報告する」

「了解、ただちに部隊を派遣しよう。カァチェンともセクター4で合流する、以上」

 無機質な口調に赤塚組の大将が無愛想な面持ちで返答すると、通信を切り替えてセクター2に待機しているカァチェンと通話を始めた。

「カァチェン、今の通話はお前も聞いていたよな? こっちから手勢を其方に派遣するから、お前さんは一足先にセクター4に移動してナビゲーションルームで待機しといてくれ」

「承知しました……大作殿……」

 カァチェンはか細い声で大将の通話に応答した。

 そしてB.S.L内部を徐々に侵攻していくX、その親玉とも言えるSO-Xに対して、先のセクター2で偶然にもSO-Xを目撃したミラーガールたちは懸念を募らせていた。

 

 SO-X。ベストコンディションの小田原修司と同じ能力の敵。おそらく奴は、理性というものなど持ち合わせてはいないと。勝手に動き回る凶器、殺戮マシン……その程度の言葉では、SO-Xを形容できない事はミラーガール達が、一番よく知っている。何故なら彼女達は本物の小田原修司とほぼ常に行動を共にしていたのだから。人工知能「修司」に言われるまっでもなく、今の彼女達は、奴を、SO-Xを正面から捉える事さえ不可能だろう。

 SO-Xは「心」を持たない小田原修司そのもの。必ず奴を倒さなければならない。SO-Xに、邪悪な知性が芽生える前に……。

 

 そうしてミラーガール達が、先のSO-Xに対して多大な懸念を募らせていると、そこにコンピューター機材の調子を上げていた犬牟田宝火がミラーガールに報告しに来た。

「通信機のブーストを上げてみました。これで電波妨害もちょっとはマシになる筈でしょう」

 新世党が使用している外部との連絡を妨害する電波によって、新世党対策委員長に任命されているドレフ将校との通信が妨害されている中、犬牟田は通信機のプログラムを向上させてミラーガールと通信させようと画策していた。

「……なあ、例の賞金稼ぎ……確かフレッドだったな。何処に行っちまったんだ?」

「さあな。銀河連邦の人工知能との対話はもちろん、ドレフ将校なんかの上層部と通信するのが癪みたいだ。なんせ、あいつは所詮、賞金稼ぎだからな」

 ミラーガールがドレフ将校との通信に入ろうとする矢先、協力者フレッドが見当たらないと呟く堂本海人に対して、キング・エンディミオンがぼやいた。

 その一方で、ミラーガールはドレフ将校との通話を試験してみた。

「犬牟田くん、お願い」「はい。接続しました、ミラーガール、どうぞ」

 ミラーガールは地球に滞在している筈のドレフ将校への通信を犬牟田にお願いすると、犬牟田は即座に通信を接続してドレフ将校との通話を始めた。

「将校、ドレフ将校、聞こえますか?」

 ミラーガールが呼びかけると、通信が傍受されたのかドレフ将校が通信に出た。

「ミラーガール、無事か?」

「はい、仲間も増え、新世党に対抗する戦力も整いつつあります」

「そうか。此方も一つ、いい報せがある。ジャッジ・ザ・シティで負傷していたマン・ヒールズが……戦前に復帰して其方B.S.Lに潜入活動に入ったと報告されている」

「マン・ヒールズ!! みんなは、もう大丈夫なんですか!?」

「現在はセクター3で一瞬……ミスティーハニーたち……確かに……確認……」

「セクター3……? 将校……将校!」

 ジャッジ・ザ・シティでシャドウの裏切りにより重症を負って戦闘不能に陥っていたマン・ヒールズが戦前に復帰できたとの報告を受けたミラーガールだったが、再びドレフ将校との通信が妨害電波の影響で遮断されてしまい、ミラーガールは肝心のマン・ヒールズの正確な位置を把握できなかった。

 するとミラーガールは此処で、犬牟田宝火たちコンピューターに精通している面々に指示を出した。

「みんな、急いでセクター3を調べてちょうだい」「はい!」

 ミラーガールの指示に、犬牟田もコレクターズらの面々も即行でコンピューターで正確な位置を割り出そうとした。

 すると其処に、今まで姿を消していたフレッドが突然現れてミラーガールに声をかける。

「どうした?」

「フレッド、どこに行ってたの?」

「俺はその辺にいたぜ? そんな事より何かあったのか?」

「そうよ! みんなも聞いてちょうだい、ミスティーハニーが……私達の仲間が新たに、このB.S.Lに潜入したと報告が入ったわ」

 フレッドと共にこの話を聞いた美木杉愛九朗たちは目を輝かせた。

「聖龍隊の精鋭か。それは心強いな」

「それで、どこにいるんだ?」

 フレッドがマン・ヒールズの現在地を訊ねると、犬牟田が言葉を発した。

「セクター3、モニターに出します」

 犬牟田の操作でモニターに映像が表示されると、そこはセクター3の内部に設けられている何かの工場みたいだった。

「セクター3、A6ポイント……何らかの重要拠点のようだな」

「行ってみましょう!」

 何かを製造し続ける工場を見て懸念の表情を浮かべる美木杉に対して、ミラーガールは即座に行動に移ろうと言い出す。

 だが、そんなミラーガールにメタルバードが待ったをかける。

「待てよミラーガール! まずは準備を整えてからだろ?」

「あ、ええ、そうだったわね、バーンズ……」

「落ち着いて。慌てたって、何も良いことないよ」

 メタルバードとジュピターキッドの言葉で、我に返ったミラーガールは冷静さを取り戻した。

 

 冷静さを取り戻したミラーガールは、皆が身支度を済ませる間、セントラルフロアの皆々に意見を尋ねてみた。

「マン・ヒールズ……HEADと同じくS級クラスの隊士だな。彼女達を仲間に迎える事が出来れば、我々レジスタンスにとって、こんなに心強い事はない! 彼女達を迎えに行こう」

 美木杉は、このB.S.Lにミラーガールたち聖龍HEADと同じ実力者の隊士マン・ヒールズの再来に胸を躍らせて喜んだ。

「マン・ヒールズって言えば、これまた有名な聖龍隊士じゃねえか。賞金稼ぎの頃は、天敵だったが、今は仲間になってもらえりゃ頼もしいもんだぜ」

 昔の様に、金に目が眩んでいた賞金稼ぎの頃なら天敵同士だったと語るフレッドも、今ではマン・ヒールズが仲間に入ってくれるのを心待ちにしている様子。

 一方、段々と最初の頃より群と数を増してきた新世代型を前にして、メタルバードが途方に暮れる様子で語り明かした。

「美木杉愛九朗に、流子と皐月の姉妹……そしてガッチャマンクラウズ達か……。仲間が増えるのは結構な事だが、あの遺伝子を持つ新世代型が、こうも勢揃いしちまうとは。何かしらの因果を感じずにはいられないぜ」

「バーンズ、それは言わないの!」

 ミラーガールはメタルバードが零した愚痴が周りの誰かに聞かれる前に、小さな声で発言を慎ませた。

 

 メタルバードの発言を慎ませたミラーガールは、それから少し歩いて一ノ瀬はじめ達ガッチャマンクラウズの元へと歩み寄り、話し掛ける。

「レジスタンスだが何だか分からないけど、ご苦労なこっすね……。ま、でも……一応は先輩ヒーローである聖龍隊と協力してくれている仲間なんだし……ボク達も助けられたし、受けた恩は返さないといけないっすからね」

 受けた恩に報い入ると宣言する一ノ瀬はじめの言葉に、ミラーガールも「ええ、頼りにしてるわよ」と彼女たちにウィンクを投げ付け、男たちを魅了してしまう。

 

 そして作業室、ここでは赤塚組や各レジスタンスの面々が各セクターごとのデータルームで受け取ったデータを元に、伊織糸朗が各メンバー仲間達の装備を強化させていた。

「赤塚組が危険を承知で取りに向かってくれたデータがあれば、極制服だけでなく様々な装備が強化できる! 今後も赤塚組にはお世話になりそうだよ」

 淡々と机に向かって裁縫行為を続ける伊織の言動に、ミラーガールは頼もしさを感じずにはいられなかった。

 

 それから更にミラーガールは、各部屋ごとに待機していたり、ミラーガールたちが出動している間に各セクターを見取れる範囲内で偵察を行ったレジスタンスやヌーディスト・ビーチのメンバーにも声をかけた。

「ウチの部隊が紫色の女を目撃したのだが……身なりがキューティーハニーとそっくりなんだと! もしかしてミスティーハニーだったのかもしれない。目と目が合ったんだが、彼女達は俺達に興味が無いらしく、その場を去っていってしまったよ」

 黄長瀬紬からの報告を受けて、ミラーガールはマン・ヒールズがB.S.Lに潜入している事を確信する。

 更に他のメンバーにも話を聞いてみると……

 

「あの部隊……おそらくマン・ヒールズだろうが、我々には興味がないみたいだ。協力してくれれば嬉しい限りなんだが……」

「ナースエンジェルやセーラームーンに怪我を治してもらってから体の調子が凄くいいんだよ。彼女達にはいつも助けてもらってばかりで、感謝の気持ちでいっぱいさ」

「聞いてくださいよ。最近、武器の消費量が減ったんです。みんな無駄のない使い方をするようになったんでしょうか? 私としては、ミラーガール達が頑張ってくれているからだと思います」

「仲間が増えてきて良かったわね。これで私達の戦力も上がる筈だわ!」

「早く平和にならないかなぁ。こんな戦争続きの時代は嫌だよ……伝説のヒーローがまたまた現れて、新世党を倒してくれないかな?」

 色んな意見が飛び交う中、ミラーガールに一人の青年が声をかけてきた。

「ミラーガール……! あの……僕……ミスティーハニー様の大ファンなんだ!! ミスティーハニー様にサインをもらっていただけませんか? お願いします!」

 突然のお願いにミラーガールも慌てて戸惑ってしまうが、青年の熱意は納まらなかった。

「いつかミスティーハニー様にお会いできる日が来るかなぁ……でもそうなったら僕……感動しすぎて気絶しちゃうかもしれない」

「は、はぁ……」人気の高いミスティーハニーへの想いを募らせる青年を目の当たりにし、ミラーガールは唖然としてしまう。

 

 

[新世代型とは……]

 

 出立の準備が出来て、ミラーガールら聖龍HEADと、どしても同行したいと願い出たフレッドの面子でセントラルエリアからセクター3に移動しようとしていた時、事件が起きた。

 

「お前ら! もういっぺん言ってみろ!?」

「ええ、何度でも言わせて貰うわよ……!」

 

 喧嘩腰で何やら言い争う声がミラーガールたちの耳に入ってきた。

 何事かミラーガール達が駆け付けると、そこでは何やら人だかりが。

 駆け付けたミラーガールが、人混みの中に紛れている幼馴染の大将に何事かと訊ねる。

「ね、ねえ、どうしたの?」

「あ、ああ、アッコか。いやな、どうも咲森学園の一部の生徒連中と、本能字学園の連中が何やら揉め出してな」

「え!?」

 大将から言い争っているのが、咲森学園の一部の生徒派と本能字学園生徒の一派だと聞いたミラーガールは人混みをかき分けて論争の中心へと踏み込んだ。

「ど、どうしたのよ、あなた達!」

「あ、ミラーガール! ちょうど良かった、この咲森学園の連中をどうにか懲らしめてください!」

「ハァ? なに言っているのよ! 懲らしめられるのは、あなた達の生徒会長鬼龍院皐月(きりゅういんさつき)と纏流子、そしてマギウスっていうバケモノ共の方でしょ!」

「ちょ、ちょっと待って! 話しが見えないわ、一体全体どうしたっていうの……」

 本能字学園の生徒達と、咲森学園の北川イオリの論争を前に話の筋が見えないで困惑するミラーガール。

 すると其処に咲森学園でマギウスの犬塚キューマがミラーガールに語り継いだ。

「ミラーガール……例の、俺たち新世代型にしか発動しないと言われている共有感知が、ジャッジ・ザ・シティから連行されてきた二次元人から俺たちに遺伝しちまったらしく、それで俺たちマギウスの真情はもちろん、鬼龍院皐月(きりゅういんさつき)や纏流子の内情も皆が周知しちまって……」

「そ、そうなの……でも、それでなんでこう言い争いにまで発展しちゃった訳!?」

 例の特殊な意思疎通能力、共有感知がレジスタンス側の新世代型にまで遺伝してしまった経緯を知ったミラーガールだが、それからなぜ言い争いにまで発展したのかの経緯を問い詰めた。

 すると新世代型で咲森学園の北川イオリがミラーガールに申し開いた。

「ミラーガール! 鬼龍院皐月(きりゅういんさつき)も纏流子も……そしてマギウスの連中も、普通では死んでしまうのが常識な怪我を負っても死なない不死身の化け物なんですよ!こんな奴らをのさばらして置いたら、何が起きるか分かりませんわ! ……もしかすると、同じ不死性を持つ新世党のアマデウスや鬼龍院羅暁(きりゅういんらぎょう)の様な異常者(ヒール)になるかもしれないわ……!」

 敵対している相手と同様の、人間離れした不死性を持つマギウスや皐月と流子姉妹を完全に敵視する北川イオリの眼に、ミラーガールは憤りを感じずにはいられなかった。

 だが、この北川イオリら反マギウス思想を抱く咲森学園の一部の生徒と対峙する本能字学園の生徒達は激しく反発する。

「何を仰っている! 確かに皐月様も、その妹の纏流子も鬼龍院羅暁(きりゅういんらぎょう)の悪しき実験でほぼ不死身の肉体を手に入れているが……相手に噛み付けば、その肉体を乗っ取れるマギウスなんかと一緒にしないでもらおうか!」

「どっちも同じじゃないの! なに? あなた達はあのバケモノ姉妹の味方だけはする気なの?」

 本能字学園の生徒と北川イオリら反マギウス派の思想は一歩も退かず、一触即発の緊迫状態が続いた。

 この惨状にミラーガールは居た堪れないほど胸中を締め付けられた。皐月と流子の姉妹はもちろんだが、マギウスとしてほぼ不死身に近い肉体を持つに至った新世代型にも彼女は同情していたからだ。

 一方のHEADも赤塚組幹部衆も、そして他の新世代型たちも激しく言い争う両陣営を前に、思わず間に入る事を躊躇してしまった。

 だが、その間にも北川イオリを筆頭とした反マギウス思想の一派と、本能字学園で皐月に忠誠を誓った生徒諸君との亀裂は更に増していった。

 そして最悪の事態が起きようとしていた。

「この……ッ」「っ……!」

 なんと本能字学園の生徒と北川イオリの両者が、相手を殴り付けようと思わず手を挙げてしまった。

 両者が思わず手を挙げて、思想のかみ合わない相手方を殴り付けようとする瞬間を目撃して愕然とする一同。

 しかし、その時「ちょっと君たち! やめなさいっ」とミラーガールがはたき付けようとする両者の間に割り込んで、捨て身の仲裁に入ろうとするが

<パァーンッ>「ぶへっ」

 両者の間に割り入って宥めようとしたミラーガールだったが、本能字学園の生徒の拳と北川イオリの平手打ちに弾かれ、激しくコマの様に回転してしまった。

「突然のギャグマンガ!?」

 このミラーガールの回転する様子を一見し、論争をただただ傍観するしかできなかったラケージら海賊団三人は表情を一変させて激しく動揺。

 そんな三人や周囲の突然のギャグシーン勃発に愕然とする一同を前に、大将が今までにない真面目な顔で言った。

「これぞ……赤塚ファミリアの実力!」

 大将は、シリアスな場面でも強引にギャグの展開を入れ込んでしまうのは赤塚不二夫キャラクターの実力だと真面目に説く。

 

 そんな捨て身の強引な方法でいがみ合う北川イオリ達を制止したミラーガールは、目を回しながら回転を自制し、ようやく立ち止まるとイオリ達に言った。

「け、喧嘩はもうやめましょう。あれれ……」

 目を回しながらミラーガールはそのまま語り続けた。

「た、確かにね……心臓を貫かれようと、胸を撃ち抜かれようとも死なない相手に多少の恐れや脅威を感じるのは同感できるわ。だけど、それだけで相手の価値を計ってはいけないのよ。どんなに人間離れした能力を持っていようとも、どんなに不死身に近い肉体を持っていようとも……最後に相手の価値観が決まるのはその人の生き方に寄るんじゃないかな?」

「い、生き方……?」

 ミラーガールの論弁に北川イオリたち反マギウス思想を抱く咲森学園の一部の生徒も耳を傾け始める。

「そうよ。その人が最後まで信念を貫いたり、または大切な存在を護り抜こうとするために努力してきた成果は認めてあげないと。確かにね、普通と違う相手を受け入れるのは並大抵の事じゃできないかもしれない。けれど、その人の心を踏み躙るような言動は、私は感心できないわ」

 更にミラーガールは北川イオリだけでなく、新世代型二次元人たち全員にも説き出した。

「強力な力や能力は、何もマギウスだけじゃないわ……他のスーパーロボットもだけど、モビルスーツやメタルアーマーなどの兵器類……ISやLBX、それに重機や工具もそうだし、科学の範囲外の魔法なんかもそう。だからこそ、それを使う責任が伴うし、慎重さを大事にして正しい心を持ち続けなきゃいけないんだと私は思うわ」

 何かの力を持つことに対して聖龍隊で学んできた持論を説くミラーガールの熱弁に、誰もが聴覚を研ぎ澄ませて聞いていた。

 するとミラーガールに続いて、メタルバードも自分なりの解釈を説き始めた。

「アッコの言うとおりだ。並外れた身体能力や特殊能力を持っていても、最後にはそいつの良心の在り方がモノを言うのだとオレは思うぜ。オレ達も同様に、すっげぇ能力を持って、その力で戦い抜き、そして認められてきたから分かるが……相手が如何なる人物かを能力だけで計るのは人間の身勝手だとオレは思うぜ」

「………………………………」

 ミラーガールに続いてメタルバードにも論され、何も言い返せなくなる北川イオリら咲森学園の手の平を返した生徒達。

 そんな彼女たちにメタルバードは続けて論じた。

「オレも昔、父上の遺言でこう聞かされた……如何なる時も他の種族や存在を恨み憎んではいけないと。憎しみの心は人の目を惑わせ、曇らせる感情だと……互いに憎悪という感情に縛られたままでは双方ともに滅ぶ結果を誘うと。まずは相手の事を理解し、互いを知る事こどが争いを生み出さない最大の配慮だと。……実際、オレたち聖龍隊は新世党の連中とも理解し合えなくて争い合う顛末に至っちまっているが、それでも耐え凌ぎ、同じ世界で誰もが一緒に生きていける時代を築く事が発展の第一歩とオレは思っている。普通の人間だって肌や目の色で差別し合っていたが、少しずつ距離を縮められてきている。その努力の賜物をオレたち二次元人も学んでいかねえと、更なる発展には繋がらねえ。それを怠っていたからこそ……」

「怠っていたからこそ、人間から誤解を受け、そして滅ぼされてしまったのが貴方たち超獣族なのよね……」

「おっ、なんだ? 知っていたのか」

「ええ、あなたたち聖龍隊の前総長、小田原修司が書き記した自伝本は私達も読んでいるから……」

「そうか……(コイツらも他の新世代型と同様、修司の自伝本に関心が!? やはり……)」

 メタルバードの長い論弁を聞いて、それらの事情が記された聖龍伝説の自伝本を読んでいると説き明かした北川イオリの発言に、メタルバードは一つの疑念を抱いた。

 そんな長々しい論争や話を目の前で展開されたフレッドも、気障ったらしく北川イオリたちマギウスに手の平を返した一派に話し出した。

「その通りだぜ、お嬢ちゃん達。そもそもマギウスだがヴァンパイアだが知らねえが、世間体では俺たちゃ、どっちも二次元人……創られた生命体って事には変わりないだろ? 何より、所詮世の中、価値のあるモノが優劣させられるのが現実だ。マギウスも、それと同じく世間様から必要だったと認識された存在だからこそ生み出されたんじゃないの? それを同じ様な理由で生み出された二次元人が言ってちゃ、終いだぜ?」

 世の中は所詮、価値あるモノが優先されるのが現実だと説くフレッドは、更に説き続けた。

「俺様も前までは、お前さんたちウイルスに感染しない新世代型を売っ払って一儲けしようと考えていたんだぜ。今のご時勢、マギウスとか関係なく新世代型そのものが貴重な人種って事を忘れんじゃねえよ」

「お前、それを言うなよ……」

 フレッドの発言にメタルバードが顔を渋らせて言う。

 そんなフレッドに、マギウスも不死性を持つハサミ姉妹も世間体では同等の二次元人であると説かれた北川イオリたち反マギウス思想の一派は、居心地が悪くなったのか、その場から立ち去ってしまった。

 

 

 フレッドに「所詮は同じ二次元人」と説き伏せられた北川イオリ達が、建物の一角で息を潜めるように気落ちしている処に、ある人物が声をかけてきた。

「よっ、大分落ち込んでいるな」

 北川イオリが顔を上げてみると、そこにはメタルバードの姿が視界に入り込んできた。

「お、落ち込んでなんかいないわよ! さっきの失礼な発言に、少しイラッとしただけよ。なによ、私たちとマギウスが同じだなんて……」

「ハハ、フレッドの言った事を気にしていたのかい」

 イオリの言動にメタルバードは笑顔で対応する。

 するとそのまま、床に座り込むイオリと同じ視線にまで身をしゃがみ込ませたメタルバードは、イオリと同じ視線で彼女とお喋りを始めた。

「……確かにお前さん達は不死身でもなけりゃ、普通の二次元人でもねえ。でも、それはそれ、個々の存在価値と見比べるのは違うと思うな」

 メタルバードは更にイオリ達に話し続けた。

「人の価値ってのは、人が決めるもんじゃないとオレは思うな。確かに人間って奴は、そいつがどういう奴かだけを、容姿や出生だけで見比べちまう残念な所はあるが、人の価値ってのはそれだけで決まるもんじゃないと思うなぁ。そいつが如何なる信念を持っているか……そいつが他人に対して、どういう判断や対応をしてくれるかでも、その人物像は簡単に決まらないだろう。少なくとも、そいつがどういう奴で……オレ達とどういう関係に成りたいか。その点を理解してやるだけでもスッゴイ進歩だとオレは思うぜ」

 個々の人間の価値は、他人が決められるほど簡単なものではない。まずは相手がどの様な人物かを見定めてやるのが大切だと説くメタルバードの主張に、先ほどまでマギウスに対して完全な敵視を向けていた北川イオリ達も黙然と話を聴き入る。

「まっ、難しい事を言っちまったが……少なくとも、時縞ハルトたち、お前さん達の為に尽くしてくれていたマギウスの連中は信じてもいいとオレは思っている。無論、オレの考えを強引に強調はさせない。けれども、ハルト達が今までお前さん達の為に奮闘してきたマギウスだって事は忘れないでくれ」

 そう言い残してメタルバードはイオリ達の前から立ち去ろうとする。

 するとその矢先、イオリがメタルバードに声をかける。

「ね、ねえ……!」

「なんだい、お嬢ちゃん」

 メタルバードが振り返ると、イオリは神妙な面持ちでメタルバードに訊ねた。

「……マギウスも私たちも、同じ新世代型として……結局、その新世代型って何なの?」

「………………………………」

 イオリからの質問にメタルバードはしばらく考え込むと、率直な意見でイオリに返答した。

「……済まない、まだお前さんたち新世代型には打ち明けられねえ。けれども、これだけは胸に留めおいてくれ。自分が何者であろうとも、宿命に囚われず、己が意志で前を向いて歩き続けろ……!」

 メタルバードのこの言葉を聞いて、イオリ達は首を傾げた。

 そしてメタルバードは次の任務の為に、イオリ達の前から去って行った。

 

 同じ頃、時縞ハルトたちマギウスと、彼らと同じく不死性を兼ね備えた鬼龍院皐月(きりゅういんさつき)と纏流子たちは、自分の存在意義について思い詰めていた。

 そんな彼らの前に、メタルバード同様、ミラーガールが声をかける。

「大丈夫? みんな……」

「み、ミラーガール……」

「ミラーガール、アタイ……最初はこの力で母さんたちの野望を阻止しようと意気込んでいたけど、やっぱり……」

「やはり、我々の力……特に身体能力は異端なのかもしれない。生命戦維で人ならざる者へと変化した私と流子……そして流子と同様、不死性の肉体を持ち、他者の肉体に憑依できるマギウス……我々も、所詮は母上たち同様、異常者(ヒール)の予備軍かもしれない」

「そ、そんな事ないわよ! 元気出して……」

 悲しげな面差しで今の実情を語り明かす時縞ハルトに流子と皐月たちを前に、ミラーガールは励まし続けた。

「確かに相手が自分を受け入れてくれるまでは時間がかかるかもしれないわ……! だけど、それで諦めちゃダメ! みんなが懸命に、皆の為に尽力すればきっと他のみんなも受け入れてくれる筈よ!」

「ミラーガール……」「けどよ……」

 懸命に励ましてくれるミラーガールを前にしても、ハルトや流子の気落ちした気分は上がらない。

 そんなマギウスやハサミ姉妹たちを前に、ミラーガールは語り始めた。

「……確かに、相手に自分の事を受け入れてくれる保証はないわ。差別される人の気持ちは、所詮同じ差別される人間にしか分からないもの。……けどね、それでも勇気を出して一歩前に踏み出して、相手に手を差し伸べて、共に生きていこうと言う気持ちがあれば、必ず共生できると私は信じている! いえ、信じたいわ……!」

「ミラーガール……!」

 共生の道を言い示してくれるミラーガールの力強い言動に、ハルト達は顔を上げてミラーガールの凛々しい面差しを直視した。

 そんな自分と顔を合わせてくれた時縞ハルトたちマギウスの面々に、ミラーガールは右手を差し伸べて言った。

「まずは私と……ううん、私達と共存しましょう! こうやって敵意が無い事を相手に示しながら手を差し伸べば、いつかきっと相手も手を取り合ってくれる日が来るはずよ!」

「ミラーガール…………、ッ!」

 ハルトは何の躊躇いもなく、手を差し伸べてきたミラーガールと握手を交わした。

 こうして互いに握手を交わしていけば、いつかきっと全ての人々と手を取り合って生きていける日が来ることをミラーガールは信じていた。そんな彼女の思想、いや願いにハルト達は共感させられた。

 

 

[認められる為に……]

 

 時縞ハルト達と一通りの交流を育んだミラーガール達は、再び犬牟田宝火の元を訪れて、転送装置で行先を選ぼうとしていた。

 すると其処に……「ミラーガール!」と、声をかけてくる者が。それは纏流子であった。流子は姉の皐月と本能字学園生徒会の蛇崩乃音と共にやって来た。

 そしてミラーガールたち出撃しようとする聖龍HEADに言った。

「あ、アタイ達も参戦するよ!」

「! 流子ちゃん……!」

 纏流子の突然の申し出に驚くミラーガール。だが流子に続けて蛇崩と皐月もミラーガールに訴えた。

「私も流子や皐月ちゃんと一緒に出張るよ!」

「我ら、ミラーガールに論され気付かされました……! 相手に自分や、自身が心を許した存在を受け入れて貰うには、まず己自身が努力して周囲に認められなければならないと……! 我ら、今は戦えないマギウス達の分まで、奮闘する覚悟を決めました!」

「あなたたち……!」

 力強い纏流子や蛇崩、そして皐月の言動を前に聖龍HEADの獅堂光が愕然とする。

 そんな中、流子たちの後ろから今度は時縞ハルトたちマギウスの面々も現れてはミラーガール達HEADに言った。

「俺たちも決めました……自分を認めてもらう為には、まず周りと協力しながら努力を積み重ねていこうって……!」

「ミラーガール、貴女が言いたかった共生を僕たちも実行していこうと思います!」

「みんな……!」

 時縞ハルトにエルエルフらの力強い表情を見て、ミラーガールは感激した。

 すると更にそこに、今度は超能力者の斉木楠雄がやってきて、その場の皆に声をかける。

「みんな」

 その場の一同が顔を振り向かせると、その視線の先には斉木と親友である燃堂力が立っていた。

「みんな……僕も少なからず、協力させてもらうよ。僕も出撃する」

「さ、斉木……!?」

「珍しいな、貴殿が自ずと進んで戦場に立つとは……」

 普段は自身を超能力者であると親友の燃堂力に悟られるのを極端に嫌う斉木楠雄の意外な申し出に、流子も皐月も珍しそうな顔を浮かべる。

 すると斉木は、自分の後ろで呆然と突っ立っている燃堂を気にしながらも己の実情を語り明かしてくれた。

「僕は今まで、自分が超能力者であると悟られるのを、恐れてはいなかったけど嫌ってた。でも、それは同時に自分の生き方に……自分自身に嘘をついていた事だと、先ほどのミラーガールの話を聞いてやっと気づいた。今、誰が能力者だろうが何だろうが関係ない。共に生き延びる為にも協力して新世党を打倒しようと」

「斉木くん……」

「フッ、お前もようやく肩の荷が下りたようだな」

 斉木の話を聞いて、エルエルフに皐月は斉木の心情を察した。これも共有感知の賜物だろう。

 そんな共有感知の影響を全く受けていない燃堂力が、呆然とした表情で立ち尽くす中、斉木は燃堂に告白した。

「燃堂、君には少し難しい話になるだろうけど……僕も聖龍隊や纏流子の様に戦ってきた! これからは、なるべく……そう、無二の親友である君にもできる限り隠さないで生きていきたい……!」

「う、ううん……俺には少し、よく分かんねえけど……斉木が何だか、大事な決断をしたのだけは理解できるぜ! 斉木、俺バカだからよく分かんないけど……けど、お前がこれからも俺の親友である事は違いねえ! 頑張ってきてくれよ」

「ああ、燃堂……全力で応えるよ」

 斉木と燃堂は、今まで以上に互いの絆を深め合い、目と目を向き合わせた。

 そんな斉木と燃堂の、男の友情を前にして、聖龍HEADのセーラーヴィーナスがトキめいた。

「ああ、良いわね……男同士の友情! 燃えるわぁ……」

「美奈ちゃん、おちょくらないの」

 親睦を改めて深め合う斉木と燃堂を前に勝手に感激するセーラーヴィーナスに、セーラーマーズが言う。

 すると、このマギウスに皐月と流子姉妹、そして斉木楠雄の決断を聴き入った赤塚組の大将が、その場に乱入して勝手にエルエルフと斉木の肩とを組んで割り込んできた。

「よっしッ! よく言ったぜお前ら! 俺様、もう嬉し過ぎて涙が出ちまいそうだぜ」

「あ、赤塚大作……」「大将さん……!」

 強引に自分達と肩組する赤塚大作の行動に戸惑うエルエルフと斉木楠雄。

 そんな二人と強引に肩を組み合う大将は、嬉々とした笑顔で一同に言った。

「大丈夫だぜ、テメエら! 俺たち赤塚組も屈強な腕っぷしが揃ってるんだ! 俺たちも少なからず協力するぜッ!」

「大将……!」

 マギウスなどの能力者が差別されない為の活動に全面的に協力すると言い出す大将の発言に、ミラーガールは心の底から感激した。

 すると「大将だけじゃないわ。私たちもいるって事、忘れないで」と、赤塚組が幹部ミズキも発言する。

 そう、大将だけではない。赤塚組の幹部達も、マギウスなどの身体能力者に味方する意気込みを示した。

「ははっ、しっかし斉木の坊っちゃんよ、お前もよく言い出してくれた! いや、偉い偉い。俺たちも出撃に同行してやっから、安心しとけよ?」

 この大将の言動を目前にして、ミラーガールは大将に申し開いた。

「分かったわ。それじゃ、大将たちはセクター4に出向いて、カァチェンと合流……それからナビゲーターの人工知能と通信を入れてから行動してちょうだい」

「応ッ、分かったぜ! そんじゃ、アッコたちは何処に行くんだ?」

「私はHEADの一員として、セクター3に向かうわ。マン・ヒールズが潜伏しているかもしれないし」

「分かった! こっちはこっちで任せてくれ! 俺たちの力を合わせてセクター4のXどもを蹴散らしてやるぜ!」

 大将の頼もしい言動を受けて、ミラーガールは聖龍HEADの仲間達と共にそれぞれ別の任務を請け負う事を承諾し合う。

 

 そしてまずはミラーガール達、聖龍HEADが転送装置に搭乗する。

「転送装置の行き先をセクター3「ウルファト生産工場」に設定……工場では大量のメカニロイドが生産されています。苦しい戦いになるかもしれません、お気をつけて!」

 転送装置の制御盤を操作する犬牟田宝火の言葉に、ミラーガール達も強く無言で頷いて承諾する。

 そして転送装置は起動され、ミラーガール達が最初にセクター3の高温地帯へと向かうのだった。

 ミラーガール達が転送装置で無事にセクター3に移動したのを確認した一同は、次に赤塚大作率いる赤塚組ら一行をセクター4へと転送する準備を進める。

 赤塚組と共にセクター4に行くのは、纏流子、鬼龍院皐月(きりゅういんさつき)蛇崩乃音(じゃくずれののん)、斉木楠雄の4人だった。

 そんな赤塚組と行動を共にする4人と一緒に転送装置に搭乗する一行に、犬牟田が告げる。

「続いて転送装置の行き先をセクター4に移行、設定……皆さん、お気をつけて」

 常に冷静沈着に物事を判断する犬牟田からの言葉を受けて、大将たち赤塚組幹部は笑みを返した。

 そして転送装置で無事に20人の二次元人を一斉にセクター4へと転送した。

 

 自他ともに認めてもらう為に出撃した4人の二次元人と共に、赤塚組は如何なる戦いの境地へと赴くのであろうか。

 

 

[UMAヒトガタ]

 

 無事にセクター4、水棲生物を飼育するエリアに転送された20人の大部隊は、其処で待機していたシバ・カァチェンと合流して人工知能へと接続した。

 ナビゲーションルームで人工知能、俗称「修司」に接続した一行に、人工知能「修司」は報せた。

「セクター4は、予想以上に大きなダメージを受けている。その被害状況を見る限り……それらはSO-Xの仕業では無いと推測される。奴の行動は、確かに破壊的だ。だが……常に、何かの目的のために行動していると分析される。SO-Xが知性を持っていることは、否定できない。Xというのは、なかなか興味深い生物だ。特にSO-Xには、大いに興味をそそられる」

 破壊しか関心のない生命体に対して興味深いと発言する人工知能の話を受けて、ナビゲーションルームで直に話を聞いていた大将たちも、通信機材から間接的に話を聞いた多くの二次元人達もやや不穏になる。そんな空気を察してか、人工知能「修司」は本題に戻った。

「本題に戻ろう。このセクター4には通称「ヒトガタ」と呼ばれる大型のUMAが飼育されている。ヒトガタは……地球の北極や南極で目撃されている未確認生命体だ。セクター4の被害は、ヒトガタによるものと見て、間違いない。被害はセクター4全域に及んでいる。本来は穏やかで攻撃的ではないヒトガタが何ゆえ、この様な行動をとるのか疑問だが……おそらく裏でSO-Xが絡んでいるのは間違いない。おそらくSO-Xが、ヒトガタを解き放ったのだろう。その目的が何であるのか、現状では不明だが」

 何らかの目的でSO-Xが未確認生物のヒトガタを解き放ったのだと聞いて、本来は未確認生物であるヒトガタがB.S.Lで飼育されていた事実に愕然となる二次元人達。

 しかし人工知能「修司」は話題を逸らさず、ヒトガタの現状について語った。

「ヒトガタの飼育ゾーンは此処だ。今はセクター内で暴れ回っているが……奴は、定期的に巣に帰る習性がある。飼育ゾーンに、必ず現れる筈だ。貴重な生物だが、処理を許可する。さもなければ、被害はセクター4のみに留まらないだろう。理解できたか?」

 人工知能「修司」の質問に同意の承諾を返す大将たちに、人工知能「修司」は一つ注意を促した。

「移動に際し、注意すべき事がある。ヒトガタの猛威によって、水中に高圧電流が流れている区域がある。しかし、電源を切る訳にはいかない。またもステーション全域に、影響が出るのは悪循環だ。水に触れれば、君達はダメージを受けるだろう。無駄に体力を消耗しない様に、注意して進め」

 これを皮切りに、人工知能「修司」は通信を遮断し、後は現場の面々に一任させた。

 早速ハッチを抜けて一行がセクター4へと進攻していくと、案の定彼らの目前に、壁が崩落して電線がむき出しになっている巨大水槽が行く手を阻んでいた。

「たっく、何なのだわさ! これじゃ、進めないじゃないだわさ!」

「どうしやす大将?」

「ここで遅れを取ったら、アッコの奴にいいところ見せられねえでヤンス」

「わ、分かってらあ! ……しかし、どうしたもんかね」

 チカ子、ギョロ、ゴマの言い分を聞いて焦り出す大将。

 そんな大将に幹部のミズキが言った。

「大将、此処は私の様な飛行できる二次元人に捕まって、一人ずつ渡るしか方法がないわよ」

「そ、そうだなミズキ……しかし、人一人運ぶのにも時間がかかるぞ……」

 ミズキの言い分が正しいと判別できるものの、大勢を運ぶには時間がかかる事を察する大将は顔を歪ませる。

 そんな大将に、流子と皐月が声をかける。

「あ、あの……大将さん」

「安心してください。我々の極制服は、美木杉さんの協力もあって自力で飛行できる様に至れましたから!」

「なにっ? ホントか!?」

 大将が思わず流子と皐月に問い返していると、今度は斉木楠雄も声を発した。

「僕もテレポーテーション能力で、向こう岸に渡れますし、大丈夫ですよ」

「そ、そうか! 後は俺たち赤塚組か……ううむ……」

 同行してきてくれた新世代型4名は、自力で向こうへと移動できると聞いて、大将は自分たち赤塚組はどうすればいいか自問自答し出す。

 すると、そんな考え込む大将にシバ・カァチェンが申し開いた。

「あの、赤塚殿……実は、私もこの逆刃薙(さかばなぎ)を回転させれば飛行できますゆえ……それに、人一人ぐらいは向こうへと運べます」

「え!? そうなの?」

 意外なカァチェンの得意に、大将も目を丸くする。

 そして赤塚組の多くが、蛇崩乃音(じゃくずれののん)の飛行能力や斉木楠雄のテレポーテーションで向こう側へと運ばれていく中、大将もカァチェンの逆刃薙(さかばなぎ)で移送されていった。

「お、俺なんかも運べるのか……!」

 逆刃薙でプロペラ飛行するカァチェンに捕まり、向こう側へと移動していく大将は唖然としてしまうばかり。

 そして全員が高圧電流流れる巨大水槽を渡り切った、その矢先。

「うわっ」突然の銃撃に赤塚組のアツシが声を上げる。

 何とその場に、新世党の兵士達が武器を手に向かってきているのが目に入った。

「あ、アイツら……もう、こんなところにまで……!」

 自分ら姉妹の実母、羅暁の手先でもある敵兵の出現に激しく苛立つ纏流子。

 その時である。彼らが装備している通信機に、通信が入った。それは人工知能、俗称「修司」からの通信だった。

「私だ、既に新世党はセクター4にも兵士を完備しているみたいだ。此処は私が許可する、全員容赦なく倒しても構わない。彼ら新世党は既に、全員が異常者(ヒール)認定さえているのだからな。処分を許可する」

 銀河連邦よりB.S.Lでの全権限を委ねられた人工知能からの許可を受けて、大将たちは異常者(ヒール)と認定された二次元人達を撃破する覚悟を決めた。

「おりゃっ」

 大将は、常に装備している破槍を振り回して、向かってくる新世党の兵士を迎撃していく。

 そんな大将に続けと、赤塚組にシバ・カァチェンも果敢に敵兵を各々の戦法で迎撃し続ける。

 赤塚組にカァチェンの活躍を前に、流子に皐月、乃音、そして今まで戦前に出ていなかった斉木楠雄もこぞって敵兵を迎撃していった。

 

 そんな情景を、犬牟田がセクター4の飼育エリアに完備されている監視カメラをハッキングして、セントラルエリアのモニターに映し出して待機している二次元人達に観戦させていた。

「おおっ、すげぇぜ皐月様! なかなかの活躍ぶりっす!」

「蛇崩もやるなあ。爆撃のオンパレードだぜ」

「纏流子、もっとしっかり! 皐月様の妹なら、もっと激しく戦えッ!」

 セントラルエリアの休憩室で纏流子たちの戦いを観戦している本能字学園の生徒達は熱気に包まれていた。

 そんな熱気に包まれる本能字学園の生徒達を目前にし、同じ新世代型である速水ヒロ達が口を揃えて呟いた。

「あの鬼龍院皐月(きりゅういんさつき)が此処までカリスマ性を秘めていたなんて驚きだね」

「ああ、人望だけは人一倍あるようだな」

 ヒロ達は、常に威風堂々とし、人を見下す兆候があった皐月の意外な一面に驚かされていた。

 そんな歓喜に沸くセントラルエリアの一角では、あの北川イオリたち反マギウス思想の面々も、マギウスと同様不死性を持つ纏流子の活躍を静観していた。

 イオリ達の心中は複雑であった。だが、それでも戦前で戦う者の活躍だけは見届けようとモニターに注目し続ける。

「が、頑張れ! 斉木ィ!」

 先ほど斉木楠雄と変わらぬ友情を誓い合った燃堂力も、モニターに映り、新世党の兵士を相手に奮闘する斉木を観て半ば彼の超能力を理解し切れていない現状のまま声援をかける。

 

 処は戻ってセクター4。

 眼前の進路に配備されていた敵兵は全て現場の二次元人達とシバ・カァチェンの活躍にて一掃されていた。

「よっしゃ! つぎ行くぜ、テメェら!」

 大将は進軍を阻んでいた新世党の兵士達を片付けて、満足げに現場の皆に言った。

「それにしても……新世党も何ゆえ、このセクター4に……?」

 皐月は何ゆえ希少生物ヒトガタが暴れ回って損傷の数々を起こしているセクター4に、新世党の一派の手が回っているのか疑問に思う。

 その皐月の疑問に、赤塚組のミズキが答えた。

「おそらく……彼らは、このB.S.Lで飼育されている希少生物の遺伝子を調査しようと兵を派遣していたのでしょう。このB.S.Lにはヒトガタだけでなく、様々なUMAも飼育されていると聞いているわ」

 新世党は、自分達の目的を果たす為にB.S.Lで飼育されている希少生物である未確認生物UMAの遺伝子をも入手しようと、現場に兵を派遣したのだと推測するミズキ。

「……それにしても、このXとかいうゼリー野郎はどうにかなんないかね? さっきから俺たちに寄生しようと肌に吸い付いてきやがる……無駄だっていうのによ」

 敵を突破しながらも、同時に寄生しようと肌に飛びかかってくるXを前に、大将は肌に張り付いたXを引きはがしながら愚痴をこぼす。

「アタイらに襲い掛かりもしないけどな」

 しかし一方の新世代型である纏流子や、三次元人のシバ・カァチェンにはXは反応せず、襲い掛かる傾向は見られなかった。

 ジェル状の生物Xは、他の生物に寄生し、その遺伝子を浸食しては最後に死なせてしまう驚異の生物。それだけでなく寄生した相手の遺伝子をコピーして、その寄生主そっくりに擬態・変化してしまう寄生生命体なのである。

 だが、そのXに対して抗体作用のあるD-ワクチンを加工・生成した特殊なワクチンを打っているため、聖龍HEADはもちろんの事、赤塚組もXには寄生されないのが現状。

 しかし当のXは新世代型はもちろん三次元人には寄生することは無く、新世代型とシバ・カァチェンには大事ない生物でもある。

 

 その後も一行は、新世党の兵士だけでなく寄生生物Xが擬態した危険生物も排除しながら進攻していった。

 

 

[潜入! ウルファト生産工場]

 

 その頃、ミラーガールたち聖龍HEADは無事にセクター3内部に新世党が設けた兵器製造工場、通称「ウルファト生産工場」に潜入できていた。

 そしてミラーガール達は細心の注意を心掛けながら工場内部へと潜入する。

「こんだけ大所帯だと、かえって目立つと思うが……まあ、バレたらバレたで一戦おっぱじめてやるか」

「シッ、それは最後の手段だから静かに……!」

 HEADと共に工場に潜入するに至ったフレッドの呟きに、ミラーガールは静かにするよう呼びかける。

 そして、いざ皆が工場の最深部へと進攻しようとした矢先に。

「侵入者警報 発令……侵入者は現在、施設内部を侵攻中。各部セキュリティを強化します」

 けたたましく場内アナウンスが鳴り響き、ミラーガール達は足を止める。

「あっ……私たち見付かっちゃったのかな?」

 突然の場内アナウンスに、早々と自分達が見付かってしまったのではないかと不安がるコレクターユイに、コレクターアイが答えた。

「いや……違うね……余りにもタイミングがよすぎる。私たちじゃなく、他の誰かが、この施設内で暴れてるんでしょう……」

「私達の他に新世党と戦う方っているのかな……?」

 コレクターアイの返答を聞いて、コレクターハルナが首を傾げる。

 そんな状況の中、フレッドが呟く。

「なんにせよ、困ったもんよ。警備が強化されちまったよ」

 自分達以外の侵入者によって手堅くされてしまった警備システムに皆が困惑する中、ミラーガールだけが冷静に皆に言い渡した。

「どちらにしても、この混乱に乗じて私たちも工場内部に進攻し続けるしかないわ。さ、行くわよ!」

 ミラーガールの力強い一言が皆の心に響く。

 そして一行が工場内部へと進攻していくと、何やら空中を浮遊する機械が点在するエリアに辿り着いた。

「んん? この音はなんだ?」

 キング・エンディミオンが浮遊する機械が発する点滅音に反応すると、即座にメタルバードが皆に言い放った。

「!? みんな!! 少しの間、動くんじゃねえぞ!」

 メタルバードが言い放った次の瞬間、部屋全体が真っ赤に染まり、浮遊していた機械が赤いランプを発しながら巡回を開始。そしてしばらく移動すると、その場で再び停止した。

「なるほど、部屋が赤くなると、あのメカニロイドが動き出す訳か……」

 蒼の騎士も皆も、部屋が赤く点滅すると浮遊しているメカニロイドが動き出し、辺りを一定時間巡回する動作を前にして理解する一同。

 メカニロイドの巡回プログラムを理解した一同に、ミラーガールが力強く言った。

「それさえ分かればこっちのもの! みんな! 気をつけて行こうっ」

 

 それからしばらく工場内を進攻していくミラーガール一行。

 ミラーガールとフレッドが先陣を切って辺りを常に警戒しながら進攻を続ける皆々。

 そして人気のない貨物置場に進入し、一行が慎重に進攻として歩いていると……

「HEAD!?」

 貨物の上、その物陰から進攻するHEADを視認して一人の見知らぬ新世党の兵士が顔を覗かせる。

 そして「やあ、みんな!」と親しげに声をかけながら、その兵士に続いて他にも二名の兵士が颯爽と進攻するHEADの後方に着地する。

 敵兵だと認識し、即座に攻撃態勢に入るミラーガールたちHEADとフレッドを目視して、兵士達は慌てて制止した。

「ま、待って!」

 すると三人の兵士の姿が蒼くまばゆい光を放ち、更に後方の壁際からも同じく蒼い光が。

 そして蒼い光が納まると、三人の兵士の姿は一変し、壁際の光の中からは十数人の二次元人たちが現れた。

「私よ、HEAD!」

「ミラール……ミラールじゃないの! それに、他のルーキーズも一緒だなんて……!」

 三人の兵士の正体は、ミラーガールと同じ鏡魔法の変身能力を持つミラールと、擬態能力を持つ折紙サイクロンに彼の能力をコピーした鏑木楓であった。そして壁際の光の中からは、ミラールが発動させていたミラー・ホールという結界で周囲から姿を晦ましながら共に移動していたミラール率いる【SAO】組に【AW】組、そして【マギカ】組の三組にワイルドタイガーやバーナビーら【TIGER&BUNNY】のNEXTヒーロー達も勢ぞろいしていた。

 ミラールたち、新人組とベテラン組であるNEXTヒーロー達を目の前に、ミラーガールたちHEADに同行しているフレッドが納得した面差しで述べた。

「なるほど。ミラーガール達と共に闘ったことのある聖龍隊の仲間か」

「ええ……ところで、どうしてここに?」

「私達も私達で、このB.S.Lに潜入したのよ。私だってアッコおねえちゃんには負けちゃうけど、物凄い変身能力があるのは知っているでしょ?」

 ミラーガールの質問に、彼女を姉の様に慕っているミラールは率直に返答する。

 と、ここでミラーガールがもう一つミラールたちスター・ルーキーズに訊ねた。

「そうだミラール! あなた達、マン・ヒールズを此処で見かけなかった!?」

「マン・ヒールズ!? マン・ヒールズって、あのマン・ヒールズ?」

「ええ……私達は此処にマン・ヒールズが潜入しているって聞いて探しに来たの」

「……でも、私たちの方は此処までに見かけなかったわよ」

「そう……でも、きっとマン・ヒールズもいる筈……私には、そう感じるの……」

「アッコおねえちゃんが言うなら間違いないだろうけど、もっと探してみましょう! ミスティーハニー先輩たちが簡単にやられたりしないでしょうし。私達も一緒に行くわ」

 

 こうしてミラール率いるスター・ルーキーズの新人達と【TIGER&BUNNY】の面々が戦力に加わった。

 

 それから再び進攻を開始して工場内を進んでいくと、何やら巨大なベルトコンベアが煮え滾るマグマの上で稼動している大部屋に辿り着いた。

「な、なんなのよ、この熱気……」

 肌をも焼き尽くす程の熱気に感化されるマーメイドのココに対し、メタルバードがレーダー化している眼球で探りを入れた。

「……なるほどな。新世党の連中、セクター3の溶岩による地熱を利用して、こういった工場の稼動エネルギーに利用している様だな。しかも厄介な事に、このベルトコンベアを進まないと工場最深部には到達できないみたいだ」

「なるほど。そんじゃ、文句を言わずコンベアに乗って楽々と進んでいきますかっ」

 灼熱エリアのセクター3の地熱を利用して工場を稼動させていると診断したメタルバードは更にベルトコンベアを乗り継いでいかなければ先へは進めないと説明。これにフレッドは能天気にベルトコンベアに一人勝手に乗り出した。

「あっ、フレッド!」ミラーガールが呼びかけるものの「へへっ、大丈夫大丈夫♪」とフレッドは気楽にコンベアに運ばれて早々に向こう側へと到着する。

 そしてフレッドは立て続けに、ミラーガールたちの到着も待たずに次のコンベアに搭乗して移動を開始した。

 だが、その進路方向先には、なんと侵入者を排除するようプログラムされているメカニロイドが配置されていた。

「侵入者は……破壊する!! あきらめな!!」

「わッ! わッ!!」

 目前に迫るメカニロイドにフレッドは異様なまでに慌てるが、コンベアは止まってはくれずメカニロイドが迫る一方。そしてメカニロイドの方は迫るフレッドに攻撃を仕掛けようとしてきた。

「喰らえッ」「わッ、わあッ!」

 フレッドにメカニロイドの攻撃が直撃する寸前、フレッドが混乱しているその横を一筋の閃光が走った。閃光はメカニロイドに直撃、するとメカニロイドは火を吹いて爆発した。

「???」

 今の閃光は何だったのか。フレッドはコンベアから降りて大破したメカニロイドを足元に据えて後方を振り返ると、そこには右腕をレーザー機に変化させたちせの姿が目視できた。

「お、おう、サンキューな、サイボーグガール……」

 フレッドは冷や汗を拭いながら、ちせに礼を述べると今度はHEADやルーキーズの到着を待って、先走った行動を慎む様に至った。

 そのまま一行はウルファト生産工場のパーツ搬入ラインであるベルトコンベアを乗り継いで最深部へと進攻していくが、先ほどと同じ様に、ベルトコンベアの先には配置されたメカニロイドが待ち受けていた。

「侵入者は……破壊する!! ……主のために!」

 命令に従うしかプログラミングされていないメカニロイドは、知性を持っておらず、故に生きた二次元人にすら攻撃が可能。

 しかし、そんなメカニロイドたち警備兵にミラーガール達は持ち前の連携と腕っ節で意図も容易く反撃して行く。

「はいはいっと! へへ、楽勝ね」

 二丁拳銃ミラージュ・ガンを連射していき、次々に敵である警備兵を突破して行くミラール。

 だが、倒した次に乗り継いで行くベルトコンベアの先にも警備兵であるメカニロイドが複数配置されていた。

「侵入者は……破壊する!! 残念だったな!!」

 工場内に侵入したミラーガールたちにメカニロイド達は一斉に攻撃を仕掛けてきた。

「きゃっ」「危ない!」

 メカニロイドたちが放つ機関銃の銃撃に怯む百江なぎさの頭を強引に下げさせて、銃撃を回避させてあげるフレッドは、今度こそはとリボルバー銃を発射して応戦、メカニロイドを撃破する。

「大丈夫かい、お嬢ちゃん?」「は、はい……」

 手を差し伸べてくれるフレッドに、なぎさは淡い恋心を抱く。

 そんな両者を尻目に、ミラーガールとミラール達は先陣を切ってベルトコンベアに搭乗し、先にいるメカニロイドの破壊に取り掛かる。

 向かってくるミラーガールたちに、遠距離攻撃とばかりに銃撃を連射してくるメカニロイドの猛攻に、ミラーガールは盾から発生するバリアーで自分を含めた味方全員を死守し、ミラールがミラージュ・ガンで応戦を展開。次々とメカニロイドたちを突破する。

「侵入者は破壊する!! 今度こそ……!!」

 しかし、それでもメカニロイドら警備兵の迎撃はやむ事が無く、ミラーガール達は苦戦の末どうにかメカニロイド達の群集の突破に成功する。

 

 と、此処でミラーガール達はベルトコンベアーの制御端末を発見。

 早速、コレクターズやキリトたちSAOとAWに指示して制御端末にハッキングさせる。

 するとハッキングによる操作によって、一部のベルトコンベアー動作が切り替わり、コンベアーが逆走を始めた。

 この逆走するコンベアーを進めば、ようやく製造ラインから抜け出し、工場奥へと進める筈だった。

 だが、案の定、ベルトコンベアーの先にはやはりメカニロイドが配置されており、ミラーガールたちの行く手を阻んでいた。

「侵入者は破壊する!! ……今度こそ通さんぞ!!」

 謎の台詞を発するメカニロイドの攻撃を回避したミラーガール達は、果敢に反撃を展開する。

 こうして次々に行く手を阻んできた警備兵を突破したミラーガール達は、製造ラインから通路へと出る。

 だが兵器パーツの製造ラインのコンベアを抜けた先でミラーガール達が目撃したのは、夥しいほどの新世党の兵士の死体だった。

「これは……凄まじいわね……多分、さっきの警報元になった侵入者ってのがやったんだろうけど……これだけの事ができるって事は、かなり強いと見ていいわね」

 惨殺された新世党の兵士の亡骸を見て、ミラールが分析していると傍らのナースエンジェルが悲しげに口を開いた。

「でも……なんだか可哀そう……かなり鋭い刃物で斬られているし、私やセーラームーンの能力でも治せそうにないわ……」

 未だ虫の息状態の敵兵にも慰めをかけるナースエンジェルの言動に、セーラームーンや鳳凰寺風も悲しそうな面持ちを浮かべる。

 すると此処で、惨殺死体の状況を見ていたミラールがミラーガールに言った。

「!? ミラーガール! もしかして……!」

「えぇ、間違いないわ! 彼らが……彼女達も駆け付けて来てくれたのよ!」

 惨状を目の当たりにしたミラーガールが、この敵には容赦の無い攻撃をもたらす伏兵の存在に気付いて先へと急いだ。

 

 

 その頃、工場の製造ラインを監視するモニター室で静観する新世党の一員が部下に命じていた。

「侵入者をここへ入れるな。食い止めるんだ!」

「だめです、突破されます。ああぁ~~っ!」

 工場の指揮官であるツバメをモチーフにされた鳥人型二次元人が命じるが、通信先の兵士は強力な猛攻に歯止めできず突破されると同時にやられたのか断末魔を上げて通信が途切れる。

 すると強烈な爆発音が後方から。工場の指揮官が振り返ると、そこには防衛線を突破して強引に扉を打ち破った者たちの姿が。

 その彼らの戦前には、鋭いハニーフルーレを片手に馳せ参じるミスティーハニーの勇姿が指揮官の目に映った。

「どうやら、この工場の親玉みたいね!」

「マン・ヒールズ! 貴様らだったとはな。死んだと聞いていたが……」

 ツバメ型二次元人のマッハ・ジェントラーが睨みを利かせると、マン・ヒールズの月詠イクトと門脇将人がジェントラーに言い放った。

「俺たちは往生際が悪いんだよ」

「そうよ! てめぇらのボスの首根っこに喰らいつくまでは、簡単にくたばれるかよ」

 この威勢のいいマン・ヒールズの横暴にジェントラーは紳士的な振舞い方で物申した。

「威勢のいい事だ。だがな……貴様らは総帥様の元へはたどり着けん! 我が工場で暴れ回った報いを受けるがいいわっ!」

 ミラーガール達の推測通り、工場内に先に侵入していたマン・ヒールズの面々。全員が如何にも不機嫌そうな強面で工場奥へと侵攻していた矢先に出くわした、ウルファト工場の指揮官マッハ・ジェントラー。両者の決着や如何に……!

 

 

[集結した英雄たち]

 

 ミラーガール達が新世党の兵士の惨殺死体の山を通り過ぎて、通路を進攻中の頃。

 

 ウルファト生産工場、その製造ライン、モニタールームにて。

 ミスティーハニー率いるマン・ヒールズが総力を挙げて工場の総指揮官を任されているツバメ型鳥人二次元人マッハ・ジェントラーと応戦を繰り広げていた。

 しかしマン・ヒールズの総力を挙げた戦力に対し、ジェントラーが有利に戦況を進めていた。

 マン・ヒールズはマッハ・ジェントラーによって全員、窮地に立たされていた。

「ふふっ、もう終わりか?」

 呼吸を乱し、満身創痍になるマン・ヒールズたちを前にマッハ・ジェントラーは余裕を感じさせる笑みを浮かべる。

「さっきの威勢はどうした?」

 余裕感じさせる笑みを向けるジェントラーに睨み付ける無言のマン・ヒールズ。そんな彼らにジェントラーは目を細くして言った。

「ふん……では止めを刺してやろう」

 と、ジェントラーがマン・ヒールズに止めを刺そうとした、その時。

「ふごっ」何者かの奇襲を受けて、ジェントラーが怯んだ。

 するとミスティーハニーたちマン・ヒールズが驚く暇もなく、彼らの横を通過していく蒼い衣の女性の姿をマン・ヒールズは目視する。

「き、貴様は……」

 突如として来襲してきた、その人物を前にしたジェントラーは動揺しながら口走った。

「ミラーガール!」

 蒼き衣を纏いし聖女ミラーガールの出現に動揺するジェントラー同様、ミラーガールを視認してミスティーハニーたちも彼女の名を叫んだ。

「ミラーガール! それに……HEAD!? ミラールたちも……!?」

 ミラーガールに続いて聖龍HEADやルーキーズの面々も視認したマン・ヒールズは驚きを隠せなかった。

 そんなマン・ヒールズにミラールは親指を立てて自己主張する。

「き、貴様ら……」

 突然の大部隊の来襲に身震いするマッハ・ジェントラー。

 そんな中、マン・ヒールズは立ち上がり、ミラールが得意げな口調で言い放った。

「S級の異常者(ヒール)ハンターが集結したって訳よ。観念なさい!」

「くそっ」

 追い詰められたマッハ・ジェントラーは、自身の飛行能力で現場から離脱、逃亡した。

「あちゃーー、逃がしちゃったか」

 ツバメ型の二次元人ゆえに飛行能力を持っている事を、すっかり頭に入れてなかったミラールはジェントラーを逃がした事を大いに悔しがる。

 そんな中、ミラーガールはマン・ヒールズに語り掛けていた。

「マン・ヒールズ! 帰ってきてくれたのね!」

「あなた達も無事なようで何よりだわ。ミラーガール!」

 互いに熱い視線を向け合い、両者の無事を噛み締め合うミラーガールとミスティーハニーたちマン・ヒールズ。

 そんな両者に声が。

「あーー、お二人さん。再会を喜ぶのはあとよ、あと! 今は……」

「ええ、今は奴を追わないと」

 ミラールの呼びかけにミスティーハニーたちも自身の責務を思い出したかのように言う。

 こうして聖龍隊でも指折りの隊士たちが勢揃いした。……聖龍隊を離反しているスター・コマンドーを抜いて……。

 

 ミラーガール達は無事にマン・ヒールズと再会し、合流を果たした。

 そして合流した一行がモニタールームから出てジェントラーを追跡しようとした、その時、場内アナウンスが鳴り響いた。

「警告……警告……各位へ通達します。ただいまからデュポアが起動します。繰り返します……ただいまからデュポアが起動します。起動エネルギー確保のため、施設機能が一部停止しますので注意してください」

「デュポア? いったい何が起ころうとしているの??」

 デュポアという聞き慣れない単語を耳にし、戸惑うミラールに対し、ミスティーハニーが目つきを鋭くさせて言った。

「いま逃げていった奴が何かしたんでしょう……さっきのアナウンスでは施設機能が低下していると言っていたわ」

「奴を探すなら、今がチャンスって事だな」

 リーダーであるミスティーハニーの発言に、ゼブラもジェントラーを探し出すのは今が好機と不気味に口元を笑ませる。これにミラーガールも強く同意した。

「ええ、その通りね。とにかくジェントラーを追うわよ!」

 そして全員が逃亡したマッハ・ジェントラーを追って通路へと飛び出すと、そこには待ち伏せていた新世党の兵士が武器を手に攻撃してきた。

「応戦開始!」

 聖龍隊総長メタルバードが皆に指示すると否や、全員が揃って新世党の兵士に向かって反撃を開始。新世党の兵士達を次々となぎ倒していく。

 

 その道中、ミスティーハニーが見慣れない顔であるフレッドに訊ねて来た。

「……ところで貴方、見慣れない顔だけど誰?」

「はは、俺はフレッド! 今は聖龍HEADと……ミラーガールと共に戦うレジスタンスの一員さ」

 フレッドは苦笑しながらミスティーハニーの質問に答えると、ミスティーハニーは無愛想な面差しで再度訊ねた。

「そう……新世代型なの?」

「? いや、俺様はどっちかというとプロト世代ってところかな」

「そう……なら良かった」「?」

 何か思い詰めているような様子のミスティーハニーにマン・ヒールズ達を捉え、フレッドは何かを察する。

 

 かくしてミラーガールたち一行は、ウルファト生産工場その最深部へと向かうためコンピュータールーム通路を駆け抜けるのだった。

 

 

[決着 ヒトガタ]

 

 その頃、セクター4の水棲生物飼育エリアでは。

 大将率いる面々が問題の「ヒトガタ」が飼育されているという巨大水槽に到着していた。

 ヒトガタはセクター4に解き放たれて猛威を振るい、セクター4に大打撃を与えたUMAであったのだが、ヒトガタが戻ってきているであろう水槽に辿り着いた大将たちは其処で予想もしていなかった現実に直面する。

「……コイツは一体……」「ええ……これは……!」

 大将とミズキの二人は顔を蒼褪めて立ち尽くしていた。だが顔面蒼白で立ち尽くしていたのは二人だけではなく、他の面々も同じだった。

 何故なら彼らが到着したヒトガタの水槽の中には、巨大な白骨化した死骸が散乱していたのだ。

 そう、ヒトガタの白骨死体であった。此処で一つの疑問が現場の皆の脳裏に浮かび上がる。

 目の前の巨大水槽に沈む白骨化したヒトガタの死体があるという事は、誰がセクター4を暴れ回り、各所を破壊し回ったのか。

 現場の皆が頭を抱えて白骨化死体に目を向けていると、そこに美木杉愛九郎から通信が入った。

「どうやらヒトガタは既にXによって浸食されてしまっていたらしいな……と、いう事は最悪のシナリオが予想される。みんな、その先に巨大プールがある筈だ。其処まで向かってくれないか? もしかしたら、セクター4を暴れ回った本当の張本人、いや、生物とご対面できるかもしれない」

 美木杉からの助言を聞き入れて、大将たちは先へと急いだ。

 

 大将たちが進攻していくと、美木杉の言うとおり彼らは巨大プールへと到達した。

 この巨大プールは、定期的に巨大な水棲生物を自由に泳がせて、水棲生物のストレス発散や生態を観察する為の物である。

 プールには人間が渡り歩ける程の足場が点在しており、大将たちは足場を乗り継いで更に未開のエリアへと踏み入れようとした。

 が、その時。強烈な震動が大将たちを襲った。何かが近づいてくるような震動だった。

 そして一匹の生物もいない筈だった巨大プールの中から、何処からともなく真っ白な肌の奇怪な人型の巨大生物が、その巨体で奇襲を仕掛けてきた。

「! よ、避けろ!」

 真っ白な巨体を前に一瞬怯む大将だったが、すぐに仲間達に突進攻撃を回避するよう言い渡す。

 皆は大将の言うとおりに、それぞれ別の足場に移動して巨大生物の突進攻撃を回避した。

 だが巨大生物は方向を転回させて再び大将たちに向かってきた。

「あ、あれは一体……!!」

 初めてみる巨大生物を前に、その神々しさから仰天してしまう纏流子に、再び通信機から美木杉愛九郎が話し掛けてきた。

「あれが巨大UMAヒトガタさ。まあ、例のアレが化けているからだろうけど非常に攻撃的になっている。気を付けて対処してくれ」

 美木杉の指示を聞いて、大将たちは装備していた特殊銃火器でヒトガタに攻撃開始。それに続いて蛇崩乃音も音符ミサイルでヒトガタを迎撃。

 しかし巨体のヒトガタに攻撃は余り効いている様子が感じられず、ヒトガタは大将たちに向かって突進してきた。

「また来たぞ!」

 大将が叫び、皆が今いる足場から別の足場へと移動を開始し始めるが、ヒトガタの巨体での突進攻撃を回避し切れず、ギョロとゴマの二名がプールに放り出されてしまう。

「ギョロ! ゴマ!」「た、大将……うぷっ」

 大将が呼びかけるものの、二人は慌ててしまっているのか危うく溺れ掛けていた。

 ギョロとゴマは急いで大将たちの足場へと移動を試みるが、ヒトガタはそんな二人を真下から弾き飛ばして天井に直撃させる。

「ぐはっ」「て、テメェら!」

 天井に弾き飛ばされて悶絶する二人を前にして、大将は困惑する。

 そして大将は二人の仇と言わんばかしに、ヒトガタに向けて特殊銃器を連射して応戦した。

 無数の銃撃を浴びて、ヒトガタは何故か黒い血液を流出させて出血をし出す。

 しかし、その傷も瞬く間に再生した事から皐月は即座に理解した。

「やはり……! このヒトガタはXによる擬態した生物か!!」

 ゲル状の生物であるXによる擬態ゆえに、即座に外傷を修復させてしまう現象を前にして皐月は今戦っているヒトガタがXによる擬態だと認識する。

 ここで今度はカァチェンが逆刃薙(さかばなぎ)を振るって真空の刃を無数にヒトガタに発射。だが外傷をあまり受けないヒトガタには効果が薄く、苦戦を強いられてしまう。

 その時、ヒトガタが空中を飛行するカァチェンに向かって巨体を跳ね上げさせて体当たり。「がはっ」体当たりを受けたカァチェンは壁に激突し、朦朧としてしまう。

「カァチェン! ……クソッ、どうすりゃいいんだ」

 打つ手が限られている状況下で、大将は次なる一手を模索するために必死で頭を使う。

 仲間達が苦戦を強いられる戦況の中、接近戦を得意とする纏流子がヒトガタとの戦闘に戦慄を覚える中、ある決断を下した。

 すると此処で纏流子が捨て身の戦術を取った。

 それは片太刀バサミを手に、単身ヒトガタに特攻し、ヒトガタの背に片太刀バサミを突き刺したのだ。

「り、流子!」

 単身でヒトガタに得物を突き刺して、そのままプールに引きずり込まれた妹を見て動揺する皐月を、親友である乃音が必死に宥め止める。

 その一方でヒトガタに特攻した纏流子は、水中でヒトガタの背をパッカリと切り裂いていった。

 背中を切り裂かれたヒトガタは堪らず浮上し、水上にその全貌を露わにする。

「り、流子!」「今だ、みんな! 攻撃しろッ」

 水上に浮上したヒトガタと、それに跨る流子を見て皐月が叫ぶ。すると流子は皆に、ヒトガタが浮上している今が好機と呼びかけながら、ヒトガタに突き刺した片太刀バサミを離さなかった。

 この流子の意地と信念に感化された赤塚組は、一斉に特殊武器をヒトガタに向けて発砲。すると猛襲されるヒトガタが再び水中に身を潜めようとすると、其処に今度は斉木楠雄が超能力を用いてヒトガタの動きを鈍らせた。

「で、デカい……! 巨大すぎて、僕の超能力では余り停止させられない……! 急いで攻撃を!」

「応ッ、あんがとよ斉木のあんちゃん!」

「ご協力、感謝いたします……斉木殿」

 自身の超能力でヒトガタの動きを止めている斉木だったが、余りにも巨大なヒトガタの動きを封じるのは至難の業だと通告。この報告を受けて、大将とカァチェンは斉木に礼を述べながらヒトガタに猛襲を仕掛け続ける。

 更に皆の頭上からは蛇崩乃音が、ヒトガタに接近してからの斬撃を鬼龍院皐月(きりゅういんさつき)が打ち込み、ヒトガタに大打撃を与えていく。

「おらおらッ、今のうちに攻撃という攻撃をぶち込みやがれッ!」

 威勢のいい掛け声で、大将はヒトガタが浮上している間に出来得る限りの攻撃を喰らわせろと現場の皆に言い渡す。

 すると斬撃・射撃・爆撃を連続でお見舞いされたヒトガタに異変が。

「キュピーー、キュピルルルーーーー……」

 イルカの鳴き声にも近い奇声を発しながら、ヒトガタの肉体は縮み込んでいった。

 ヒトガタの巨体が縮み込んでいく様を視認して、流子は素早くヒトガタから離れた途端、ヒトガタの姿が一変した。

 それは刺々しい外角に覆われて、空中を浮遊する「コアX」と呼ばれる無数のXが集合した大型個体だった。

 UMAヒトガタに擬態していたコアXは大将たちに向かって体当たりを仕掛けてくるが、それを大将ら赤塚組と蛇崩乃音のミサイル爆撃で攻撃。

 その結果、コアXは破壊され、内部に集結していたX達は散り散りに去って行った。

「や、やったのか……」「そうみたいね……」

 赤塚組幹部の市川一太郎とレイコ夫妻はドッと疲れが出たのか、その場に座り込んでしまう。

 すると疲労困憊に至る現場の皆々を前に、赤塚組頭領大将は言い放った。

「さっ、長居は無用だ。とっととナビゲーションルームに帰ってミッション成功の報告を、あの人工知能に報告しようぜ」

 大将は速やかにその場から移動を始め、早々に人工知能「修司」に任務達成を報せようと言い伝える。

 こうしてヒトガタに擬態したXを撃破した一行は、ナビゲーションルームに戻り、人工知能に詳しい経緯を伝えに走った。

 

 そしてナビゲーションルームに戻った大将たちは、事の経緯を人工知能に伝えた。

「ヒトガタは、Xによる擬態だったか。しかし、問題解決に至った事実には変わらない。その上、君達の装備も美木杉愛九朗らの協力で格段に向上している。いずれSO-Xと戦えるまでになるかもしれん。しかし、まだずいぶん先の話だが」

 人工知能は、ヒトガタがXによる擬態だったと知ってもその口調を変えず、冷淡と話を続ける。

「SO-Xのこれらの行動には、意図的なものが感じられる。まるで君達の戦力拡大を、妨害しているかのようだ……」

 と、人工知能、俗称「修司」が話を続けようとした、その時。

「う……っ」

 突然シバ・カァチェンがふらつき、その場に跪いてしまった。

「カァチェン!」

 突然ふらつき跪いてしまうカァチェンに大将たちが駆け寄ると、カァチェンは非常に衰弱していた。

「……どうも、さっきの戦闘で疲労が蓄積されたみたい。このままじゃ危険だわ」

 カァチェンの様子を見て、ミズキは現状の危険性を訴える。

「そうだな……おい、人工知能! 任務は一旦、中止させてもらうぞ! このままじゃカァチェンの身体が持たねえ」

 ミズキの診断を聞いて大将が人工知能に訴えかけると、人工知能は冷静な判断で返答した。

「うむ、やむを得ない。シバ・カァチェンは現役の国将軍……このまま彼を放置すれば国際問題にも発展しかねない。任務の中断を許可する。幸いな事に、メインエレベーターは既に復帰しているゆえ、徒歩でセントラルエリアにまでカァチェン氏を移送できるだろ。急ぎ、カァチェンをセントラルエリアにまで移送せよ」

 人工知能の許可を得て、大将たちは三次元人故に転送装置に乗せられないカァチェンのために、わざわざ徒歩でセントラルエリアへと帰路に着いた。

 

 

[猛攻! デュポア]

 

 ところは戻ってセクター3の灼熱エリア、ウルファト生産工場のコンピュータールーム通路。

 此処をミラーガールたちは全速で駆け抜けていた。

 

 そしてミラーガールたち全員がコンピュータールームへと進入すると、皆の眼前に頭上から紳士的な立ち振る舞いで降下し、何かの巨大な装置の前で着地するマッハ・ジェントラーが。

「ふふふふ、ふぁーーはっは! くあーーはっは……」

 装置の前に着地したマッハ・ジェントラーは高笑いを浮かべながら、得意げになっていた。

 そして「来たか」と、聖龍隊の到着を見届ける。

「さあ、もう逃げられないわよ!」

 ミラールがジェントラーを追い詰めようと銃口を向ける。

 だがジェントラーは高笑いをしながら眼前の聖龍隊一同に向かって言い放つ。

「バカめ、観念するのは貴様らの方だ!」

 するとジェントラーは装置に向かって命じた。

「さあ、デュポアよ! お前の力をもって、奴らを葬り去ってしまえ!」

 すると兵器制御装置であるデュポアが起動し、デュポアは現場にプレオンと呼ばれる主兵力兵器を投下し始めた。

 

「全ては理想が為に……」

 

 マッハ・ジェントラーはまず最初に自分の周囲にプレオンを複数配置させ、聖龍隊一行に攻撃を展開させる。

「うわっ!」

 メカニロイド・プレオンは激しい銃撃戦を展開していく。それに堪らず怯む美樹さやか達。

 即座にミラールや暁美ほむらが銃撃で反撃をし、プレオンを次々と破壊していく。

 そんな戦況の中で、ジェントラーは颯爽と飛び上がり、飛行体勢を整える。

 そして飛行体勢を整えたジェントラーは、戦前のジュピターキッドに向かって高速突進攻撃をお見舞いした。

「うわッ」「ジュピターキッド!」

 突進攻撃を受けて吹き飛ばされるジュピターキッドをウォーターフェアリーが気に留める。

 そしてジェントラーは戦前の戦闘をプレオン兵に任せて、自身は高速突進攻撃を仕掛けていこうと戦略を練るが、それを悟ったメタルバードが瞬時にジェントラーの属性や能力を眼球のレーダーで探ってみた。

「奴は炎属性の二次元人だ! 攻撃を仕掛けてくる前に、弱点属性で攻撃して撃墜しろッ!」

 メタルバードの指示を聞いて、戦前にセーラーマーキュリー/龍咲海などの水属性の聖龍隊士が出ていき、空中に浮遊するジェントラーに向けて一斉に水属性の攻撃を浴びせた。

「喰らいなさいっ」「なんとッ!?」

 マーキュリーたちの攻撃を受けて、ジェントラーは堪らず飛行体勢を崩す。

 強い水属性の攻撃を受けたジェントラーは、飛行体勢を崩して地面に跪く。

 しかしジェントラーはすぐに体制を立て直して高速突進攻撃を戦前の七海るちあ達にお見舞いしていく。

 この戦況にメタルバードは速急に指示を投げ付けた。

「奴に攻撃の隙を与えるな! 水属性の攻撃で片っ端から攻撃し続けろ!」

 メタルバードの指示を聞き受けて、水属性の隊士たちは有りっ丈の力を解放し、ジェントラーに水属性の攻撃を直撃させていく。

「ぬ、ぬおぉおおお……!」

 ブラック・ラヴァーズが仕掛ける大渦に巻き込まれ、危うく溺れかけるジェントラー。

 だがしかし、ジェントラーは渾身の力を込めて、自身を呑み込む大渦から自力で脱出する。

「くはははッ! 旧世代型め……貴様らが如何に力を合わせようが、所詮は旧時代の能無し。我々、優等な新世代型には勝てんぞ! クハハハ……」

 旧世代型と新世代型の、実力の差を嘲笑するジェントラーの言動に、マン・ヒールズは表情に苛立ちを浮かべる。

 そんな状況の中、ようやくミラール達プレオンを相手に善戦していた隊士たちが、プレオンらメカニロイドの全滅に成功する。

「雑魚は片付いたわ! 私たちもジェントラーに総攻撃よ!」

 ミラールは自らが指揮するスター・ルーキーズの面々に攻撃を指示する。が、そんなミラール達を不敵に笑んで捉えるジェントラーが手を叩いて命じると、デュポアが再び命令を受けて戦前にプレオン兵を投下。戦況を元通りにしてしまう。

「ッ、向こうは戦力無限って事ね……!」

 ミラールはデュポアに命じれば、無尽蔵に戦力であるプレオンを投下できるジェントラーの不敵な笑みに苛立ちを覚える。

 そして戦場に再び投下されたプレオン兵は、戦前の聖龍隊士に向かって攻撃を開始。

「このッ」「キリが無いぜ……!」

 倒しても倒しても無尽蔵に沸いてくる敵兵に応戦し続ける戦況に、シルバー・クロウもキリトも苦戦を強いられて行く。

 そんな苦戦の中、美樹さやかは先輩隊士であるウォーターフェアリーやセーラーマーキュリーと共に、ジェントラーに向けて強力な水属性の合体攻撃を繰り出した。

「なんと!?」

 攻撃を受けたマッハ・ジェントラーは、強い水属性の攻撃を受け、飛行体勢を崩して地面に跪く。

 だがすぐに体勢を立て直して高速突進攻撃をお見舞いする。

 更に度重なる水属性の強力な技を受けて、ジェントラーは本気を出し始めた。

「本気で行くぞ」

 次の瞬間、ジェントラーは杖から強力な業火「ゲヘナフレイム」を放出。地上にいる聖龍隊士全員を火達磨にする。

「うわッ」

 激しい業火で焼かれて行くジュピターキッドたち聖龍隊士に向かって、ジェントラーは得意げに語り出した。

「わははっ、どうかね? 私の必殺ゲヘナフレイムの威力は……古き存在である貴様らを焼き尽くすには丁度いいだろう」

 旧世代の二次元人をまたしても愚弄する発言を醸し出すジェントラー。

 しかし、ここでるちあ達マーメイドメロディーズの歌が発動。すると業火に焼き尽くされた戦場は瞬く鎮火されていった。

「な、なんなのだ? この耳障りな音楽は……!」

 マーメイドメロディーズが奏でる歌声に若干の不快感を示すジェントラーに、るちあが言った。

「この歌を聴いて苦しむって事は……やっぱり貴方は正気を失っている! 異常者(ヒール)である事に……自分が間違っているって気付いて!」

 切にジェントラーに訴える、るちあ。だがジェントラーはそんな自分の苦悩を吹き飛ばすかのごとく言い返した。

「だ、黙れ! 我々新世代型には、貴様ら旧時代の二次元人には到底及びつかない可能性が秘められているのだ! ……総統も仰っていた。二次元人がより高い能力を求めるのは自然な事……すなわち進化の兆しなのだ! その可能性を潰そうとしている貴様ら政府の連中こそ、紛れも無い異常者(ヒール)だ!」

「フッ、言ってくれるじゃないか」

 ジェントラーの言動に、マン・ヒールズのガイトは鼻で笑い返した。

 するとジェントラーは再度デュポアに命じてプレオン兵を戦場に投下。善戦していく。

「このままじゃ埒が明かないわ……! みんな、私について来てっ」

 この無尽蔵に戦場に投下される兵力を前に、ミラーガールが行動を起こした。

 そして彼女は自らの能力「ミラー・プレイ・デザイアー」を発動。この技は自分や周りの者の願いや祈りの想いをコンパクトで増幅させて、更なる力を使えるようにする最大にして最愛の技。この力でミラーガールは今まで様々な奇跡を起こしてきた。

 そしてミラーガールの「ミラー・プレイ・デザイアー」を浴びた聖龍隊士は、身体の底から力がみなぎり始め、力が沸いてきた。

「今だ! 一気に畳み掛けるぞ!」

 ミラーガールの能力で技や能力が最大まで上昇した今が好機と捉えたメタルバードは、仲間の聖龍隊士たちに総攻撃を命じる。

 そして戦場に投下されるプレオン兵を全てなぎ倒し、ジェントラーに猛攻を仕掛けた。

 有りっ丈の戦力を全て一身に受けたジェントラーは、遂に力尽きた。

「これが……聖龍隊の力、か……!」

 こうして聖龍隊はジェントラーとの戦闘に勝利する事ができた。

 

 そして傷つき、満身創痍になったジェントラーに、ミスティーハニーが皮肉をぶつける。

「新世党自慢の兵器工場も、これで終わりって訳ね」

 するとマッハ・ジェントラーは不敵な笑い声を発し始めた。

「バカめ。私が死ねば……デュポアのコントロールは失われ、暴走を始める。暴走した何百体ものメカニロイドの中で……果たして貴様らは、無事でいられるかな?」

 そう、善戦するも敗れたジェントラーだが、自身の死と引き換えにデュポアを暴走状態に陥らせたのだ。

 デュポアはジェントラーの音声命令しか受け付けず、またジェントラーが倒れるとデュポアは暴走し、無尽蔵に兵器を投下してくるのだった。

 そんな最悪のシナリオを告発するジェントラーは不敵な笑みを浮かべる。

「ふふ、ふははは……はーーはっはっ! ……ぐはっ」

 そして最後、ジェントラーは爆死した。

 すると突然、部屋の警報アラームが鳴り響き、各所からメカニロイドが多数出現してきた。

「き、きやがったぞオイ!」「仕方が無い……応戦しろ!」

 大量のプレオン兵と呼ばれるメカニロイドの出現に、戸惑うフレッドにメタルバードは皆に向けて応戦するよう呼び掛けた。

「そりゃッ」「えいっ」

 キリトや美樹さやか達が続々と向かってくるメカニロイドを一刀両断していく横で、ミラールや暁美ほむらが銃撃でメカニロイドを打ち抜いて行く。

 その場の全員が、大量に沸いてくるメカニロイドを撃破していくが、焼け石に水の状況。

 大量のメカニロイドを次々と破壊していくミラーガール達であったが、メカニロイドの数が減る事はなく、むしろ増大する一方。

 焼け石に水の戦況の中、次第に追い詰められていく聖龍隊。フレッドも善戦するが、数が多すぎて対処に追われる。

「くそ、これじゃキリがないぜ」

 フレッドが表情を歪ませる一方、ミラールがここで何かを思いついた。

「よし、こうなったら、イチかバチか……」

 ミラールは戦前に飛び出して、自らの体を蒼く発光させた。

「ミラール!? 彼女、一体何を……」

 ミスティーハニーが突然のミラールの行動に不思議がっていると、ミラールの姿が一変していた。

 それは先ほど倒したばかりのマッハ・ジェントラーに変身したミラールの姿が目前にあった。

「デュポアよ、攻撃を中止せよ! 繰り返す……ただちに攻撃を中止するのだ!」

 ジェントラーに変身したミラールは、ジェントラーの声色と口調で兵力を無尽蔵に投下するデュポアに命じ続けた。

 するとミラールの変身を、本物のジェントラーと補足したのかデュポアは命令を受け付け、活動を停止させた。

「今よっ!」

 デュポアが停止した瞬間、ジェントラーに変身しているミラールは仲間達に攻撃の好機と呼びかける。

 そしてミラーガールたちは一斉に兵器制御装置であるデュポアに総攻撃を仕掛けた。

 聖龍隊の、現場の戦士たちの総攻撃を受けて、デュポアは爆発。完全に工場の機能も停止させる事にも成功した一行。

 と、此処でミラーガールが改めて、生きて駆け付けて来てくれたマン・ヒールズの面々に感謝の言葉をかけた。

「生きていてくれて本当に嬉しいわ、マン・ヒールズ!」

「ええ、お互いにね!」

「ミラーガールに俺たち、それにHEADやルーキーズが揃っていれば、新世党の奴らに一泡ふかせてやれるってもんだ!」

 ミラーガールの喜びの言葉に、ミスティーハニーもガイトも揃って喜々と返事する。

 そしてミラーガールは生存していたマン・ヒールズに感謝の意を表して握手を交わした。

「さあ、みんな。此処で立ち話も何だし、セントラルエリアに向かいましょう。ルーキーズ、マン・ヒールズ! 改めて、新世代型の仲間達も紹介するわ」

 握手を交わしたミラーガールは、セントラルエリアに向かって共に協力してくれている新世代型の面々を紹介するとルーキーズとマン・ヒールズに言う。

 そして皆がセントラルエリアに帰還するため、セクター3の転送装置に帰ろうとするが、そんな中マン・ヒールズは足を止めていた。

 

「新世代型の……仲間ですって!?」

 

 新世代型二次元人が仲間だと聞いて、表情を険しくさせるミスティーハニーたちマン・ヒールズ。

 果たして彼女らは何を思っているのか。

 

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