魔法少女まどか☆マギカ -Kaleidoscope- 実績「時をかける魔女」獲得実況プレイ   作:Hotpepper_N

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Part6(6/18)(杏子接触〜邂逅)

かーっ、見んね、いじらしい女ばい。

まぁ、この状況で本音なんて言えるわけないですからね。

それでもちょっと匂わせるあたりが実に"らしい"ですけど。

 

ちなみにこの間、ほむほむは風見野に出張中です。

お察しの通り、これから杏子を釣ります。

 

烏くんのおかげで、居場所の特定とお邪魔虫(淫獣)払いはできているので、あとは実行するだけ。

彼女に気づかれない距離まで近づいて……ここで変化の術。

 

>《ヴェール・ドゥ・メモワール》

>ほむらの姿が、自身が最も忌み嫌う存在の姿に変わる。

 

自分自身を対象にして、淫獣に化けます。

もうやることはおわかりですね。

 

>……必要とはいえ、この姿は非常に気分が悪い。

 

めっちゃ顔しかめてて草。

今、淫獣(?)が苦虫を噛み潰したみたいな顔してるとかいう、なかなかにシュールな光景になってます。

 

それはそれとして、このまま杏子に接触しましょう。

会話はログ形式で流しますので、画面の方をご覧ください。

 


 

風見野市の外れにある、とあるビジネスホテル。

食糧の調達を終えた杏子は、簡素な室内で腰を落ち着けていた。

手にした袋を無造作に漁り、パンに齧りついた時。

 

「ーー少しいいかい?」

 

白い獣(ほむら)が、音もなく姿を現した。

 

「……最近見ねぇと思ったら。 なんか用でもあるのか?」

 

杏子はちらりと視線を向け、噛み砕いたままのパンを飲み込む。

ぶっきらぼうな口調はしかし、突然の来訪への不快感こそ滲ませているが、そこに警戒や疑念の色はない。

 

(……問題なさそうね)

 

ほむらは、自身の変身が機能していることを確認し、用意していた言葉を口に出す。

 

「少し、大事な話でね。 君に知らせた方がいいと判断したよ」

「巴マミが、"悲しいことに"なってしまったんだ」

 

「……へぇ?」

 

杏子はその言葉に、興味深そうにぴくりと眉を動かす。

 

(食い付いたわね)

「そうなんだよ。 魔女との戦いで"不覚を取って"しまってね」

 

「……不覚、ね」

 

杏子は鼻で笑い、ベッドに寝転がったまま天井を仰ぐ。

 

「どうせ、誰か庇いでもしたんじゃねぇの。 昔から無駄に甘ちゃんだからなぁ、あいつは」

 

吐き捨てるように言い、せせら笑った直後。

 

「……そんなんだから、死ぬんだよ」

 

どこか複雑そうな表情を浮かべて呟いた。

マミが命を落としたと、誤認したまま。

わずかな沈黙のあと、杏子は首だけをこちらに向け、探るように問いかける。

 

「……つまり、今見滝原は誰もいねぇんだな?」

 

ほむらは一部の事実だけを切り取って提示する。

 

「正確には、居ないわけじゃない」

 

その一言に、杏子の眉が寄る。

 

「……んだよ、期待して損した」

 

「まぁ、最後まで聞いてほしい。 居るには居るんだけど、はっきり言って力不足でね」

「一人は非力で、単独で魔女を倒すのが難しい。 もう一人に至っては、つい昨日契約したばかりだ」

「つまり、マミの欠けた穴を埋めるには、あまりにも心許ない」

 

「……ハッ、それを先に言えっての」

 

杏子は短く笑い、にやりと笑みを浮かべる。

 

「せっかくマミがくたばったんだ、こんな絶好の縄張り、雑魚どもにくれてやるってのも癪だよねぇ」

 

「どうするつもりだい?」

 

ほむらの問いに、杏子は肩をすくめ、薄笑いのまま言い放つ。

 

「決まってんじゃん、そいつらぶっ潰して、アタシの縄張りにするんだよ」

 


 

はい、作戦成功。

これで杏子は、ほどなくして見滝原まで出張してくるはずです。

 

それにしても、淫獣RPがお上手なことで。

伊達にループを重ねて、精神値と覚悟値がカンストしてるわけじゃありませんね。

 

さて、一旦ほむホームに戻りましょう。

マミさんに、ここまでの進捗を報告しておかないと。

 

魔女移動中……

 

ただいまマミさん。 いつも通り処置をしてっと。

 

>マミの肉体は、下腹部まで戻ってきている。

 

うん、いい感じ。

胴体が戻りきれば、脚から下の再生は一気に早まります。

このペースなら、あと数日といったところでしょう。

 

というわけで、諸々報告するのでまた精神ダイブします。

瞼失礼しますよマミさん。

 

>《イツワリノハナヨメ》

 


 

 

ほむらは精神を集中させ、マミの精神世界へと意識を沈める。

そして、膝を抱えて眠り込む彼女に歩み寄り、優しく身体を揺する。

 

「……来てくれたのね」

目を覚ましたマミは、ほむらの姿を認めると、ほっと息をつき安堵の笑みを浮かべた。

 

ゆっくりと立ち上がる彼女を見届けてから、ほむらは静かに本題へと入る。

 

「……今日は、状況の報告に来たわ」

 

「……ありがとう。 今、どんな状況なのかしら」

 

ほむらは指を立てて答える。

 

「大きく分けて、二つあるわ」

「まず一つ目。 美樹さやかが、契約した」

 

「っ……!」

かすかに息を呑む音が響く。

見せられた記憶から、いずれそうなる可能性は覚悟していた。

それでも、現実として突きつけられると、胸の奥がひりつく。

 

「……理由は、やはり……」

 

「想い人の腕を治すためよ。 上条恭介が、再びバイオリンを弾けるように」

 

「……そう……」

「さやかさんは……その……“分かった”上で、契約したのかしら」

 

その問いに込められた意味を、ほむらは正確に読み取る。

 

「ええ。 彼女達には、魔法少女の真実を"一部"伝えているわ」

「具体的には、"ソウルジェムの正体"のところまで」

 

「っ……全部、伝えていないのは、どうして?」

 

マミの問いは、責めるというよりも、納得しようとするための確認に近かった。

ほむらは感情を排し、淡々と答える。

 

「言ったでしょう。 戦力が揃った時、私の正体を明かす必要があると」

「それまでは、"魔女の真実"は知らない体で振る舞う。 契約は"できればしてほしくない"――その立場を、崩さないためよ」

 

「……納得できる材料が、足りないわ」

 

マミは眉間に皺を寄せ、はっきりとそう告げた。

ほむらは視線を逸らさず、淡々と続ける。

 

「……これは、あなたの治療に説得力を持たせるためでもある。 あの時のあなたは、一般的に考えれば、まず助からない状態だった」

「ゆえに、最低限の真実だけは、二人に伝えておく必要があったの」

 

「…………」

 

マミは言葉を挟まず、ただ黙って続きを待つ。

 

「そして、さやかが“分かった上で、それでも選ぶ”という形を取ることが重要だった」

「彼女の、精神的な安定のために。 何よりも、自分の選択を後悔しないために」

「……最後の真実を知るのは、その後の方がいい。 そう、判断したわ」

 

「……そういう、ことね」

「……少なくとも、あなたに悪意がないことだけは、理解できたわ」

 

マミは苦笑し、そして小さく呟く。

 

「それでも……あの子が笑っていられる時間が、少しでも長くあればいいと願ってしまうのは……」

「……私の、甘さかしら」

 

「………………」

 

ほむらは、あえて言葉を返さなかった。

慰めも、肯定も、今は不要だと理解していたからだ。

マミは一度、ゆっくりと息を吐く。

 

「……今さら、あれこれ言っても仕方ないわね」

「……それで、もう一つの話というのは?」

 

小さく首を横に振り、視線を上げてほむらを見る。

その問いに、ほむらは簡潔に答えた。

 

「佐倉杏子が、見滝原に来る」

 

「………………」

 

その名前を聞いたマミの表情に、わずかに影が落ちる。

 

「……"誘導"は上手くいった、ということね」

 

脳裏に、かつての苦い記憶がよぎる。

だがマミは、それに深入りする前に蓋をし、視線をほむらへと戻した。

 

「ええ。 私が直接、キュゥべえのふりをして彼女に接触したわ」

 

「……そんなことも、できるのね」

 

驚きと呆れが入り混じったような表情で、マミはわずかに目を見開く。

 

「そう、姿を変える魔法。 その気になれば、あなたの姿にもなれる」

「……必要な時以外は、あまり使いたくはないけれど」

 

ほむらはこれまでの記憶を反芻し、苦い表情を浮かべる。

しかし、すぐに表情を戻して続ける。

 

しかし、ほむらはすぐに表情を整え、話を先へ進める。

 

「……ともかく、これで杏子はあなたが死んだと誤解した。 それに、“今の見滝原には弱い魔法少女しかいない”、とも伝えてあるわ」

「彼女は縄張りを欲して、まず間違いなくここに来るはずよ」

 

「……でも、さやかさん達から、私のことがバレる可能性は……?」

 

マミがふと不安を口にするが、ほむらは首を横に振る。

 

「それについても問題ないわ。 二人には、"あなたが助からない可能性がある"と言い含めている」

 

一瞬、マミは言葉を失う。

 

「……本当に、用意周到ね」

「……あなたの"経験"が、そうさせたのかしら」

 

「ええ。 何度も間違えて、失敗して、身に付けたことよ」

「誰かに頼るのではなく、"動かす"。 それが、今の私の行動方針」

「……良心も、躊躇いも、人じゃなくなった時に捨てたわ。 今の私には、必要のないものだから」

 

ほむらは淡々と語りながらも、口元にはかすかな自嘲が滲んでいた。

 

「…………」

 

マミは、その言葉をそのまま受け取ることはしなかった。

 

ただ誰かを利用しているだけでは説明できない。

その裏にある計算とは別の配慮を、彼女は感じ取っていた。

 

「……それでも、あなたは」

「…………いえ、なんでもないわ」

 

マミは喉元まで出かかった一語を、すんでのところで呑み込む。

だがその言葉は、今の彼女には、慰めにも救いにもならない。

そう、理解していたから。

 

それを、知ってか知らずか。

ほむらはわずかに目を細め、この対話の締めへと静かに舵を切った。

 

「……伝えたかったことは、以上よ」

「これからの方針だけれど……あなたは順調に回復している。 ただし、まだ完全じゃない」

「肉体が完治するまでは、しばらく何もしなくていい」

 

「…………」

 

マミは、言葉を失ったまま俯く。

何もできない歯がゆさか。 それとも、自分だけが世界の流れから切り離されていくような感覚か。

 

「……分かっている、つもりよ」

 

そう言いながらも、指先は無意識に、きつく握りしめられていた。

 

「……でも、やっぱり」

「こうしている間にも、あの子たちは苦しんでいるんでしょう?」

 

ほむらは静かに、言い聞かせるように答える。

 

「……気持ちは、分かるわ」

「でも、まずはその肉体を完治させることが、あなたにとっての最優先事項」

「焦らなくてもいい。 その間のことは、私に任せてほしい」

 

「……そう、そうよね……」

 

そう呟き、マミはゆっくりと座り込む。

 

「……完治したタイミングで、現実で意識を覚させる」

「その時になったらまた、改めて話しましょう」

 

「……ええ。 その時は、"生身"でね」

 

ほむらは短く頷くと、マミの肩に手を添える。

やがて彼女が再び微睡みに落ちるのを見届けると、静かに魔法を解き、現実の世界に戻っていった。

 

 


 

これでよし。

あとはいつものルーティンからの登校です。

 

このタイミングで、まどかがさやかのことで相談してくるはずなので、放課後に適当な場所で落ち合いましょう。

 

>昼休み。

>仁美が、さやかに真剣な目で話しかけている。

>「無理に毎日登校しない方がよろしいのでは?」「支援に必要な物資があれば、こちらで手配できます」「よろしければ、スケジュール管理も私が――」

>さやかはしどろもどろになっている……

 

あー、出ました通称お母さんモード。

仁美、一度スイッチ入るとちょっと過保護気味になるんですよね。

 

ちなみに全力で頼ると、ルート次第ではPMCみたいな民間魔法少女会社を立ち上げたりします。

まどマギ版マザーベースみたいで結構面白いんですが、それはまた別の機会に。

今回はあくまで、さりげない物資支援だけお願いしましょう。

 

>見かねて、二人に割って入った。

>話し合いの結果、疲労回復を重点に物資を支援する方向でまとまった。

 

よし、これで十分。

過剰な干渉は避けつつ、さやか達の消耗をある程度抑えられます。

 

あとは放課後イベントですね。

予定通り、まどかの相談を受けに行きましょう。

 


 

市内のファストフード店。

ほむらとともに席についたまどかは、俯いたままだ。

 

ほむらは、何も言わず彼女の言葉を待つ。

トレイの上で、紙コップの氷がかすかに音を立てた。

 

「……わたし、さやかちゃんと、どう接すればいいのかな」

 

まどかが最初に絞り出した言葉は、変わりつつある幼馴染(さやか)への、率直な戸惑いだった。

 

「……契約しちゃったって知った時は、すごくショックだった。 ほむらちゃんも、マミさんも、危ないって言ってくれてて」

「普通の人じゃなくなることも、元に戻れないことも……分かってたのに」

「なんで、契約なんかしちゃったんだろうって」

 

指先がスカートをきゅっと握りしめる。

 

「……でも……さやかちゃんの気持ちも、分かるんだ」

「恭介くんのことも、街を守らなきゃいけないってことも」

「……ほむらちゃんを、助けたいって気持ちも、全部、本当だと思う」

 

「でも、ほんとに、それだけで納得できてるのかな。 後悔、してないのかな……?」

 

「………………」

 

ほむらは静かにまどかの言葉に耳を傾ける。

 

「……仁美ちゃんも、あの場にいたでしょ」

「だからこそ、 "今はそれ以上言えない"って、濁してただけで」

「……本当の理由は、きっと……」

 

それ以上を、口にはしなかった。

だが、その先にある推測が、ほむらにもはっきりと伝わっていた。

 

「……気づいちゃったのに、何も知らないふりをしてるのは、違うなって」

「でも、踏み込んだら、今までの関係が、壊れちゃうんじゃないかって」

 

「……それが、怖くて」

 

まどかの声は、かすかに震えている。

そして、ゆっくりと顔を上げ、ほむらを見据える。

 

「……ねえ、ほむらちゃん」

「わたし、どうすればいいんだろう……?」

 

「ほむらちゃんも今、大変なのに」

「こんなこと聞くの、間違ってるって、わかってるけど……」

「……本当に、ごめんね。 でも、誰に相談していいか、わからなくて……」

 

堪えきれない感情が、目元に滲む。

 

「………………」

 

ほむらは目を閉じ、彼女にかけるべき言葉を、静かに選び取る。

そして、小さく息を吸い、口を開いた。

 

「……ありがとう、相談してくれて」

 

「……!」

 

まどかは小さく目を見開く。

 

「あなたがこんなに悩んでいるのに、私は忙しさを言い訳にして、ちゃんと向き合おうとしていなかった」

「一番苦しんでいるのは、あなたのはずなのに」

「……まずは謝らせて。 ごめんなさい」

 

そう言って頭を下げるほむら。

 

「えっ、そんな、ほむらちゃんは悪くないよ……!?」

 

慌てふためくまどかを前に、ほむらは悔恨の表情を作る。

 

「いいえ、これは私に非があるわ」

「私は、魔法少女の立場でしか物事を見ていなかった」

「さやかが契約すれば、親友であるあなたがどう感じるかなんて、容易に想像できたはずなのに」

 

「……だから、私に申し訳なさなんて持たなくてもいい」

「こうして相談してくれたこと自体、私にとっては有難いことだから」

 

「っ……」

言葉を詰まらせるまどか。

ほむらは表情を少し和らげ、彼女の問いに答える。

 

「あなたの悩みに、私なんかが答えを出すなんておこがましいけれど……」

「……私から言えることは、"察しているけど、踏み込まない"距離感を保つことかしら」

 

「……距離感を、保つ……」

 

「ええ。 あの場でさやかが本音を言わなかったのは、きっと仁美がいたからだけじゃない」

「おそらく、自分の中でも"本音を受け入れる"覚悟ができていない」

「そして、あなたと同じく、今の関係を壊したくなかったからだと思うわ」

 

「彼女のことだから、あなたが"察する"のは想定しているはず。 その上で、"今は踏み込んでほしくない"とも考えているはずよ」

「だから、本音を知らないふりをする必要はない。 ただ、口に出さずに、そばにいてくれれば」

「それで、彼女にとっては十分なんじゃないかしら」

 

「……ありがとう」

「……でも、ほんとに、それだけでいいのかな」

 

まどかは感謝の言葉を口にしながらも、どこか割り切れない表情で俯いた。

そんな彼女の様子を見て、ほむらは語りかける。

 

「……気持ちは、わかるわ」

「でも、心配するあまり、空回りしてしまうよりは、ずっといい選択だと思う」

「さやかのことも、マミさんのことも。 一朝一夕で、答えが出る問題じゃない」

「だから今は、何かをするよりも。 “そばにいる”ことの方が、大事な時もあるの」

 

「………………」

 

「それでも、あなたがさやかを大切に思っていることだけは」

「きっと、伝わっているはずよ」

 

ほむらはそう言って、まどかに小さく微笑んだ。

 

「……そっか。 そう、だよね」

「わたしが勝手にあれこれ悩んでたら、さやかちゃん、きっと落ち着かないもんね」

 

まどかは、ほむらの言葉を胸の中で反芻する。

少しだけ、呼吸が楽になった気がした。

 

「……今日は、ありがとう」

「また、わたしが悩んじゃったら……相談しても、いい……?」

 

感謝と、遠慮が入り混じった表情で、まどかが呟く。

 

「……ええ。 私でよければ、いつでも」

 

ほむらは、微笑みを浮かべて頷いた。

 

 


 

カウンセリングタイム終了。

 

皆さんお察しの通り、ほむほむはここでまどかが余計なことしないように、さりげな~く誘導してます。

 

この子、勝手に悩む→自分で答えを出す→正義感で突撃

っていう、わりと危険な思考回路してるんで。

だからこうやってガス抜きしとかないと、高確率で暴走するんですよね。

 

というわけで、今日はこのまま解散。

ほむホームに戻ります。

 

え? さやかは放っとくのかって?

心配ご無用。 さっき仁美との会話で、「昨日の疲れもあると思うから、今日は無理しない方がいい」って感じで、いきなり夜パトロール行かないように誘導済みです。

 

さてさて、舞台は整いました。 次は赤いアイツのお出ましですね。

 

 

というわけで翌日。

放課後に、まどかを連れてさやかのパトロールに同行します。

 

>パトロール中。

>さやかはソウルジェムを握りしめながら、市内を練り歩いていく。

>情報:佐倉杏子がこちらを尾行中。

 

烏くん、情報どうも。

目論見通り、杏子が食いついてきました。

かなり距離を取って、バレないように慎重に尾行してますね。

 

が、その程度烏くんには筒抜けです。

もちろん、こちらは気づいていないふりを継続。

 

>「……! こっちだ!」

>さやかが結界の反応に気づき、その方向に駆け出した。

 

はい来ました。 まどか同行時、初回限定イベントですね。

この条件を満たすと、確定で使い魔の結界がポップします。

ここで杏子がダイナミックエントリーしてくるわけですね。

 

位置も特定できたので、予定通り、ここで支援要請を入れましょう。

 

>スマホを取り出し、仁美に連絡を取る。

>「……こちらパトロール。 物資支援を要請、座標は――」

 

これで、彼女の手配で指定座標に回復アイテムなどが置き配されます。

しかし、いったいどうやって親やら業者やら言いくるめたんでしょうか。 謎です。

 

まぁ、正直に言うとですね、物資支援は必須じゃありません。

その気になれば、回復も補給も全部こちらで用意できます。

 

これはまどかと同じく、無駄に心配して暴走しないための保険ですね。

今回は仁美がこちらの事情を把握してるので、できることをさせておく方がコントロールしやすいです。

 

>結界に到着した三人は、そのまま内部に足を踏み入れた。

>情報:杏子は様子を伺っているようだ。

 

結界に入ったので、一旦さやかに前に出てもらいます。

ほどなくして杏子がやってくるはずです。

 

>「ずいぶん、無駄なことしてんなぁ?」

 

おっ、言ってるそばから来ましたね。

それじゃここからイベント入るので、等速でどうぞ。

 


 

「ずいぶん、無駄なことしてんなぁ?」

 

さやかが使い魔を斬り伏せ、息を整えた直後。

どこからともなく、軽薄な声が降ってくる。

 

次の瞬間、上空から、一本の槍が叩きつけられるように振り下ろされた。

 

「――っ!!?」

 

さやかは反射的に地を蹴り、後方へ跳ぶ。

直前まで立っていた場所に、槍が深々と突き刺さった。

衝撃で地面がひび割れ、鈍い音が反響する。

 

「ありゃ、避けられちまったか」

 

地面に着地した赤毛の少女が、肩をすくめる。

少女――佐倉杏子は、槍を引き抜きながら、楽しそうに口角を上げた。

 

「新人にしちゃ、反応は悪くねぇな」

「……なに、あんた」

 

さやかは剣を構え直し、一歩も引かずに睨み返す。

 

「見ての通りだよ。 魔法少女」

 

杏子は軽く笑い、槍を肩に担いだ。

 

「んで、今からこの辺一帯は――アタシの縄張りだ」

「……はぁ?」

 

一瞬の沈黙のあと、さやかの声が跳ね上がる。

 

「なんで、あんたなんかにここを渡さなきゃいけないわけ?」

「そもそもここは、マミさんが――」「死んだんだろ?」

 

挟まれた杏子の言葉に、空気が凍りつく。

 

「………………ッ!!」

 

さやかの呼吸が一瞬乱れ、剣を握る手にわずかな震えが走った。

 

「マミさん、は、死んでなんか……」

 

言葉が、続かない。 視線が無意識にほむらへと向く。

ほむらはほんの一瞬だけ目を伏せ、神妙な表情で視線を逸らした。

――それが演技だと、気づく者はいない。

 

杏子はその様子を見て、愉快そうに肩を揺らす。

「ハハッ、こりゃケッサクだ! 事実を受け入れられねぇってか!」

 

槍をくるりと回し、さやかを見下ろす。

 

「いい加減、現実見ろよ」

「マミは死んだ。 キュゥべえから直接聞いたことさ」

 

「ッ……!!」

「………………」

 

さやかの喉が、ひくりと鳴る。

ほむらは黙り込む――ふりをする。

(……上出来ね)

 

「アイツは胡散臭ぇがな、嘘だけはつかねぇ。 もしかしたらもクソもねぇんだよ」

 

杏子の笑みが、嘲るように歪む。

 

「なのにお前らときたら、現実を前にして、目ぇ逸らしてやがる」

 

ぎりっ、と、さやかが歯を噛みしめる。

間違いだと言い返したい。 だが“助からないかもしれない”という言葉が、喉元に引っかかる。

杏子の言葉を、完全には否定しきれない。

 

「甘ぇんだよ」

次の瞬間、杏子は地面を蹴る。

一気に距離を詰め、さやかに槍を振り下ろした。

 

「ッ……!!」

咄嗟に、さやかは剣を掲げて受け止めた。

衝撃が腕を貫き、足元がわずかに沈む。

鍔迫り合いの中、間近で向かい合った杏子の瞳は、冷え切っていた。

 

「仲間が死ぬなんて、魔法少女じゃ珍しくもねぇ」

 

力を込め、さらに槍を押し込む。

「それを受け入れられねぇ奴から――」

「先に死ぬ」

 

「……ッ、黙れ……!!」

 

さやかが歯を食いしばり、力任せに槍を弾き返す。

金属音が結界内に響き、二人の距離が開いた。

 

杏子は一歩下がり、呆れたようにため息を吐く。

 

「……しっかし、キュゥべえから聞いてた以上に甘ちゃんだな、お前ら」

「現実も見ねぇ、そのくせ、無駄に正義感だけは一丁前」

 

「……何が言いたいのよ」

 

「まだ分かんねぇか?」

 

槍を軽く回しながら、鼻で笑う。

そして、結界の奥、先ほどまで使い魔がうろついていた方向を顎で示す。

 

「今のは、魔女じゃねぇ。 使い魔だよ」

「成長途中の出来損ない。 グリーフシードも持ってねぇ」

「倒したところで、何の得にもならねぇ。 魔力の無駄遣いだ」

 

「……だから、放っとけって?」

「人が巻き込まれても、見て見ぬふりしろって言うの!?」

 

さやかの声が、怒りを帯びる。

 

「そう言ってるだろ」

杏子は肩をすくめる。 さやかの感情を、特別なものとして扱っていない。

 

「効率が悪い。 何人か食って魔女になるまで待てば、グリーフシードも孕むんだからさ」

 

「……あんた、人の心とかないわけ?」

 

さやかの顔に青筋が浮かぶ。 剣を握る手が、震えていた。

 

「そんなもん、捨てちまえ」

杏子は吐き捨てるように言った。

 

「――どこかの誰かさんみたいに、なりたくなかったらな」

 

「――――」

 

その言葉を聞いた瞬間、さやかの理性が切れた。

考えるよりも早く、身体が動く。

怒りに塗り潰された衝動のまま、剣を構え、杏子へと突っ込んでいく。

 

しかし、そのまま互いの刃が交わることはなかった。

 

「……そこまで」

 

次の瞬間、黒い影が二人の間に滑り込む。

 

ギリッ……ギリリッ……

 

振り下ろされた剣が、空中で止められる。

さやかの手首を掴み、地面に足を踏ん張って受け止めているのは――

 

「……さやか、落ち着いて。 乗せられてはダメ」

「……ッ、離して!!」

 

さやかは歯を食いしばり、腕を振りほどこうとする。

だが、ほむらの拘束はびくともしない。

 

《壱壊のテンソル》

 

さやかの身体には、いつの間にか魔力の矢印が刻まれていた。

力の向きが強制的に制御され、踏み込もうとする動作そのものが封じられる。

 

「……へぇ、面白い魔法使うねぇ」

 

その様子を見た杏子が、興味深そうに言葉を漏らすが。

ほむらはあえてそれを無視し、さやかに言い聞かせるように続ける。

 

「……思い出して。 彼女の目的は、私たちを排除して縄張りを広げることよ」

「だからこうして、挑発することで自滅を誘おうとしている」

「今、あなたがやろうとしていることは、まさに彼女の思う壺よ」

 

「ッ……!!」

 

正論だった。 そのことが、余計にさやかの胸を締め付ける。

ほんの一瞬、頭は冷える。

だが、命の恩人を侮辱された怒りまでは、どうしても消えない。

 

「……でも、アイツは、マミさんのことを……!」

 

ほむらはさやかの手首を掴んだまま、そっと距離を詰める。

耳元へ顔を寄せ、彼女にだけ聞こえる声で囁いた。

 

《……言わせておけばいい。 彼女は、どうやら"誤解"しているようだから》

《それを、こちらに有利な形で使えるかもしれない》

 

「……!」

 

《……考えてみて。 今、この街を守れるだけの戦力が、致命的に足りない》

《あなたが契約したのも、それが理由の一つだったはずよ》

 

「っ……」

 

《おそらく、彼女はかなりの経験と実力がある。 それを利用できれば、形だけとはいえ、マミさんの欠けた穴を埋めることにも繋がる》

 

「……でも、あんな奴……」

 

《……あなたが直接、関わる必要はない。 彼女のことは、私が引き受ける》

 

「………………」

 

さやかは唇を噛みしめたまま視線を落とす。

胸の奥で燻る怒りも、違和感も、消えてはいない。

それでも、剣を構えていた腕は、ゆっくりと下がっていた。

 

その様子を見て、杏子が肩をすくめる。

 

「あーあ、せっかく楽しめると思ったんだけどなぁ」

「興が冷めた。 今回はこれぐらいにしといてやるよ」

 

舌打ち混じりに槍を担ぎ、興を削がれたとでも言いたげに踵を返す。

そして、歩き出しかけた足を止め、首だけを巡らせて、ほむらを見た。

 

「……そこの黒いの」

値踏みするような視線。

 

「頭は回るみてぇだが、ひ弱なのは間違いなさそうだな」

「魔法は面白ぇ。 だが、新人一人止めるのが精一杯ってとこか」

「そんな状態で、よく今まで生き残ってこれたもんだ」

 

ほむらは何も言わず、静かに杏子を見返すだけだった。

 

「ま、忠告しといてやるよ」

鼻を鳴らし、背を向けたまま、吐き捨てるように言う。

 

「意地なんか張らずに、さっさと明け渡した方が身のためだぜ」

 

それだけを言い残し、杏子は結界の奥へと消えていった。

 

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