魔法少女まどか☆マギカ -Kaleidoscope- 実績「時をかける魔女」獲得実況プレイ 作:Hotpepper_N
かーっ、見んね、いじらしい女ばい。
まぁ、この状況で本音なんて言えるわけないですからね。
それでもちょっと匂わせるあたりが実に"らしい"ですけど。
ちなみにこの間、ほむほむは風見野に出張中です。
お察しの通り、これから杏子を釣ります。
烏くんのおかげで、居場所の特定と
彼女に気づかれない距離まで近づいて……ここで変化の術。
>《ヴェール・ドゥ・メモワール》
>ほむらの姿が、自身が最も忌み嫌う存在の姿に変わる。
自分自身を対象にして、淫獣に化けます。
もうやることはおわかりですね。
>……必要とはいえ、この姿は非常に気分が悪い。
めっちゃ顔しかめてて草。
今、淫獣(?)が苦虫を噛み潰したみたいな顔してるとかいう、なかなかにシュールな光景になってます。
それはそれとして、このまま杏子に接触しましょう。
会話はログ形式で流しますので、画面の方をご覧ください。
風見野市の外れにある、とあるビジネスホテル。
食糧の調達を終えた杏子は、簡素な室内で腰を落ち着けていた。
手にした袋を無造作に漁り、パンに齧りついた時。
「ーー少しいいかい?」
「……最近見ねぇと思ったら。 なんか用でもあるのか?」
杏子はちらりと視線を向け、噛み砕いたままのパンを飲み込む。
ぶっきらぼうな口調はしかし、突然の来訪への不快感こそ滲ませているが、そこに警戒や疑念の色はない。
(……問題なさそうね)
ほむらは、自身の変身が機能していることを確認し、用意していた言葉を口に出す。
「少し、大事な話でね。 君に知らせた方がいいと判断したよ」
「巴マミが、"悲しいことに"なってしまったんだ」
「……へぇ?」
杏子はその言葉に、興味深そうにぴくりと眉を動かす。
(食い付いたわね)
「そうなんだよ。 魔女との戦いで"不覚を取って"しまってね」
「……不覚、ね」
杏子は鼻で笑い、ベッドに寝転がったまま天井を仰ぐ。
「どうせ、誰か庇いでもしたんじゃねぇの。 昔から無駄に甘ちゃんだからなぁ、あいつは」
吐き捨てるように言い、せせら笑った直後。
「……そんなんだから、死ぬんだよ」
どこか複雑そうな表情を浮かべて呟いた。
マミが命を落としたと、誤認したまま。
わずかな沈黙のあと、杏子は首だけをこちらに向け、探るように問いかける。
「……つまり、今見滝原は誰もいねぇんだな?」
ほむらは一部の事実だけを切り取って提示する。
「正確には、居ないわけじゃない」
その一言に、杏子の眉が寄る。
「……んだよ、期待して損した」
「まぁ、最後まで聞いてほしい。 居るには居るんだけど、はっきり言って力不足でね」
「一人は非力で、単独で魔女を倒すのが難しい。 もう一人に至っては、つい昨日契約したばかりだ」
「つまり、マミの欠けた穴を埋めるには、あまりにも心許ない」
「……ハッ、それを先に言えっての」
杏子は短く笑い、にやりと笑みを浮かべる。
「せっかくマミがくたばったんだ、こんな絶好の縄張り、雑魚どもにくれてやるってのも癪だよねぇ」
「どうするつもりだい?」
ほむらの問いに、杏子は肩をすくめ、薄笑いのまま言い放つ。
「決まってんじゃん、そいつらぶっ潰して、アタシの縄張りにするんだよ」
はい、作戦成功。
これで杏子は、ほどなくして見滝原まで出張してくるはずです。
それにしても、淫獣RPがお上手なことで。
伊達にループを重ねて、精神値と覚悟値がカンストしてるわけじゃありませんね。
さて、一旦ほむホームに戻りましょう。
マミさんに、ここまでの進捗を報告しておかないと。
魔女移動中……
ただいまマミさん。 いつも通り処置をしてっと。
>マミの肉体は、下腹部まで戻ってきている。
うん、いい感じ。
胴体が戻りきれば、脚から下の再生は一気に早まります。
このペースなら、あと数日といったところでしょう。
というわけで、諸々報告するのでまた精神ダイブします。
瞼失礼しますよマミさん。
>《イツワリノハナヨメ》
ほむらは精神を集中させ、マミの精神世界へと意識を沈める。
そして、膝を抱えて眠り込む彼女に歩み寄り、優しく身体を揺する。
「……来てくれたのね」
目を覚ましたマミは、ほむらの姿を認めると、ほっと息をつき安堵の笑みを浮かべた。
ゆっくりと立ち上がる彼女を見届けてから、ほむらは静かに本題へと入る。
「……今日は、状況の報告に来たわ」
「……ありがとう。 今、どんな状況なのかしら」
ほむらは指を立てて答える。
「大きく分けて、二つあるわ」
「まず一つ目。 美樹さやかが、契約した」
「っ……!」
かすかに息を呑む音が響く。
見せられた記憶から、いずれそうなる可能性は覚悟していた。
それでも、現実として突きつけられると、胸の奥がひりつく。
「……理由は、やはり……」
「想い人の腕を治すためよ。 上条恭介が、再びバイオリンを弾けるように」
「……そう……」
「さやかさんは……その……“分かった”上で、契約したのかしら」
その問いに込められた意味を、ほむらは正確に読み取る。
「ええ。 彼女達には、魔法少女の真実を"一部"伝えているわ」
「具体的には、"ソウルジェムの正体"のところまで」
「っ……全部、伝えていないのは、どうして?」
マミの問いは、責めるというよりも、納得しようとするための確認に近かった。
ほむらは感情を排し、淡々と答える。
「言ったでしょう。 戦力が揃った時、私の正体を明かす必要があると」
「それまでは、"魔女の真実"は知らない体で振る舞う。 契約は"できればしてほしくない"――その立場を、崩さないためよ」
「……納得できる材料が、足りないわ」
マミは眉間に皺を寄せ、はっきりとそう告げた。
ほむらは視線を逸らさず、淡々と続ける。
「……これは、あなたの治療に説得力を持たせるためでもある。 あの時のあなたは、一般的に考えれば、まず助からない状態だった」
「ゆえに、最低限の真実だけは、二人に伝えておく必要があったの」
「…………」
マミは言葉を挟まず、ただ黙って続きを待つ。
「そして、さやかが“分かった上で、それでも選ぶ”という形を取ることが重要だった」
「彼女の、精神的な安定のために。 何よりも、自分の選択を後悔しないために」
「……最後の真実を知るのは、その後の方がいい。 そう、判断したわ」
「……そういう、ことね」
「……少なくとも、あなたに悪意がないことだけは、理解できたわ」
マミは苦笑し、そして小さく呟く。
「それでも……あの子が笑っていられる時間が、少しでも長くあればいいと願ってしまうのは……」
「……私の、甘さかしら」
「………………」
ほむらは、あえて言葉を返さなかった。
慰めも、肯定も、今は不要だと理解していたからだ。
マミは一度、ゆっくりと息を吐く。
「……今さら、あれこれ言っても仕方ないわね」
「……それで、もう一つの話というのは?」
小さく首を横に振り、視線を上げてほむらを見る。
その問いに、ほむらは簡潔に答えた。
「佐倉杏子が、見滝原に来る」
「………………」
その名前を聞いたマミの表情に、わずかに影が落ちる。
「……"誘導"は上手くいった、ということね」
脳裏に、かつての苦い記憶がよぎる。
だがマミは、それに深入りする前に蓋をし、視線をほむらへと戻した。
「ええ。 私が直接、キュゥべえのふりをして彼女に接触したわ」
「……そんなことも、できるのね」
驚きと呆れが入り混じったような表情で、マミはわずかに目を見開く。
「そう、姿を変える魔法。 その気になれば、あなたの姿にもなれる」
「……必要な時以外は、あまり使いたくはないけれど」
ほむらはこれまでの記憶を反芻し、苦い表情を浮かべる。
しかし、すぐに表情を戻して続ける。
しかし、ほむらはすぐに表情を整え、話を先へ進める。
「……ともかく、これで杏子はあなたが死んだと誤解した。 それに、“今の見滝原には弱い魔法少女しかいない”、とも伝えてあるわ」
「彼女は縄張りを欲して、まず間違いなくここに来るはずよ」
「……でも、さやかさん達から、私のことがバレる可能性は……?」
マミがふと不安を口にするが、ほむらは首を横に振る。
「それについても問題ないわ。 二人には、"あなたが助からない可能性がある"と言い含めている」
一瞬、マミは言葉を失う。
「……本当に、用意周到ね」
「……あなたの"経験"が、そうさせたのかしら」
「ええ。 何度も間違えて、失敗して、身に付けたことよ」
「誰かに頼るのではなく、"動かす"。 それが、今の私の行動方針」
「……良心も、躊躇いも、人じゃなくなった時に捨てたわ。 今の私には、必要のないものだから」
ほむらは淡々と語りながらも、口元にはかすかな自嘲が滲んでいた。
「…………」
マミは、その言葉をそのまま受け取ることはしなかった。
ただ誰かを利用しているだけでは説明できない。
その裏にある計算とは別の配慮を、彼女は感じ取っていた。
「……それでも、あなたは」
「…………いえ、なんでもないわ」
マミは喉元まで出かかった一語を、すんでのところで呑み込む。
だがその言葉は、今の彼女には、慰めにも救いにもならない。
そう、理解していたから。
それを、知ってか知らずか。
ほむらはわずかに目を細め、この対話の締めへと静かに舵を切った。
「……伝えたかったことは、以上よ」
「これからの方針だけれど……あなたは順調に回復している。 ただし、まだ完全じゃない」
「肉体が完治するまでは、しばらく何もしなくていい」
「…………」
マミは、言葉を失ったまま俯く。
何もできない歯がゆさか。 それとも、自分だけが世界の流れから切り離されていくような感覚か。
「……分かっている、つもりよ」
そう言いながらも、指先は無意識に、きつく握りしめられていた。
「……でも、やっぱり」
「こうしている間にも、あの子たちは苦しんでいるんでしょう?」
ほむらは静かに、言い聞かせるように答える。
「……気持ちは、分かるわ」
「でも、まずはその肉体を完治させることが、あなたにとっての最優先事項」
「焦らなくてもいい。 その間のことは、私に任せてほしい」
「……そう、そうよね……」
そう呟き、マミはゆっくりと座り込む。
「……完治したタイミングで、現実で意識を覚させる」
「その時になったらまた、改めて話しましょう」
「……ええ。 その時は、"生身"でね」
ほむらは短く頷くと、マミの肩に手を添える。
やがて彼女が再び微睡みに落ちるのを見届けると、静かに魔法を解き、現実の世界に戻っていった。
これでよし。
あとはいつものルーティンからの登校です。
このタイミングで、まどかがさやかのことで相談してくるはずなので、放課後に適当な場所で落ち合いましょう。
>昼休み。
>仁美が、さやかに真剣な目で話しかけている。
>「無理に毎日登校しない方がよろしいのでは?」「支援に必要な物資があれば、こちらで手配できます」「よろしければ、スケジュール管理も私が――」
>さやかはしどろもどろになっている……
あー、出ました通称お母さんモード。
仁美、一度スイッチ入るとちょっと過保護気味になるんですよね。
ちなみに全力で頼ると、ルート次第ではPMCみたいな民間魔法少女会社を立ち上げたりします。
まどマギ版マザーベースみたいで結構面白いんですが、それはまた別の機会に。
今回はあくまで、さりげない物資支援だけお願いしましょう。
>見かねて、二人に割って入った。
>話し合いの結果、疲労回復を重点に物資を支援する方向でまとまった。
よし、これで十分。
過剰な干渉は避けつつ、さやか達の消耗をある程度抑えられます。
あとは放課後イベントですね。
予定通り、まどかの相談を受けに行きましょう。
市内のファストフード店。
ほむらとともに席についたまどかは、俯いたままだ。
ほむらは、何も言わず彼女の言葉を待つ。
トレイの上で、紙コップの氷がかすかに音を立てた。
「……わたし、さやかちゃんと、どう接すればいいのかな」
まどかが最初に絞り出した言葉は、変わりつつある
「……契約しちゃったって知った時は、すごくショックだった。 ほむらちゃんも、マミさんも、危ないって言ってくれてて」
「普通の人じゃなくなることも、元に戻れないことも……分かってたのに」
「なんで、契約なんかしちゃったんだろうって」
指先がスカートをきゅっと握りしめる。
「……でも……さやかちゃんの気持ちも、分かるんだ」
「恭介くんのことも、街を守らなきゃいけないってことも」
「……ほむらちゃんを、助けたいって気持ちも、全部、本当だと思う」
「でも、ほんとに、それだけで納得できてるのかな。 後悔、してないのかな……?」
「………………」
ほむらは静かにまどかの言葉に耳を傾ける。
「……仁美ちゃんも、あの場にいたでしょ」
「だからこそ、 "今はそれ以上言えない"って、濁してただけで」
「……本当の理由は、きっと……」
それ以上を、口にはしなかった。
だが、その先にある推測が、ほむらにもはっきりと伝わっていた。
「……気づいちゃったのに、何も知らないふりをしてるのは、違うなって」
「でも、踏み込んだら、今までの関係が、壊れちゃうんじゃないかって」
「……それが、怖くて」
まどかの声は、かすかに震えている。
そして、ゆっくりと顔を上げ、ほむらを見据える。
「……ねえ、ほむらちゃん」
「わたし、どうすればいいんだろう……?」
「ほむらちゃんも今、大変なのに」
「こんなこと聞くの、間違ってるって、わかってるけど……」
「……本当に、ごめんね。 でも、誰に相談していいか、わからなくて……」
堪えきれない感情が、目元に滲む。
「………………」
ほむらは目を閉じ、彼女にかけるべき言葉を、静かに選び取る。
そして、小さく息を吸い、口を開いた。
「……ありがとう、相談してくれて」
「……!」
まどかは小さく目を見開く。
「あなたがこんなに悩んでいるのに、私は忙しさを言い訳にして、ちゃんと向き合おうとしていなかった」
「一番苦しんでいるのは、あなたのはずなのに」
「……まずは謝らせて。 ごめんなさい」
そう言って頭を下げるほむら。
「えっ、そんな、ほむらちゃんは悪くないよ……!?」
慌てふためくまどかを前に、ほむらは悔恨の表情を作る。
「いいえ、これは私に非があるわ」
「私は、魔法少女の立場でしか物事を見ていなかった」
「さやかが契約すれば、親友であるあなたがどう感じるかなんて、容易に想像できたはずなのに」
「……だから、私に申し訳なさなんて持たなくてもいい」
「こうして相談してくれたこと自体、私にとっては有難いことだから」
「っ……」
言葉を詰まらせるまどか。
ほむらは表情を少し和らげ、彼女の問いに答える。
「あなたの悩みに、私なんかが答えを出すなんておこがましいけれど……」
「……私から言えることは、"察しているけど、踏み込まない"距離感を保つことかしら」
「……距離感を、保つ……」
「ええ。 あの場でさやかが本音を言わなかったのは、きっと仁美がいたからだけじゃない」
「おそらく、自分の中でも"本音を受け入れる"覚悟ができていない」
「そして、あなたと同じく、今の関係を壊したくなかったからだと思うわ」
「彼女のことだから、あなたが"察する"のは想定しているはず。 その上で、"今は踏み込んでほしくない"とも考えているはずよ」
「だから、本音を知らないふりをする必要はない。 ただ、口に出さずに、そばにいてくれれば」
「それで、彼女にとっては十分なんじゃないかしら」
「……ありがとう」
「……でも、ほんとに、それだけでいいのかな」
まどかは感謝の言葉を口にしながらも、どこか割り切れない表情で俯いた。
そんな彼女の様子を見て、ほむらは語りかける。
「……気持ちは、わかるわ」
「でも、心配するあまり、空回りしてしまうよりは、ずっといい選択だと思う」
「さやかのことも、マミさんのことも。 一朝一夕で、答えが出る問題じゃない」
「だから今は、何かをするよりも。 “そばにいる”ことの方が、大事な時もあるの」
「………………」
「それでも、あなたがさやかを大切に思っていることだけは」
「きっと、伝わっているはずよ」
ほむらはそう言って、まどかに小さく微笑んだ。
「……そっか。 そう、だよね」
「わたしが勝手にあれこれ悩んでたら、さやかちゃん、きっと落ち着かないもんね」
まどかは、ほむらの言葉を胸の中で反芻する。
少しだけ、呼吸が楽になった気がした。
「……今日は、ありがとう」
「また、わたしが悩んじゃったら……相談しても、いい……?」
感謝と、遠慮が入り混じった表情で、まどかが呟く。
「……ええ。 私でよければ、いつでも」
ほむらは、微笑みを浮かべて頷いた。
カウンセリングタイム終了。
皆さんお察しの通り、ほむほむはここでまどかが余計なことしないように、さりげな~く誘導してます。
この子、勝手に悩む→自分で答えを出す→正義感で突撃
っていう、わりと危険な思考回路してるんで。
だからこうやってガス抜きしとかないと、高確率で暴走するんですよね。
というわけで、今日はこのまま解散。
ほむホームに戻ります。
え? さやかは放っとくのかって?
心配ご無用。 さっき仁美との会話で、「昨日の疲れもあると思うから、今日は無理しない方がいい」って感じで、いきなり夜パトロール行かないように誘導済みです。
さてさて、舞台は整いました。 次は赤いアイツのお出ましですね。
というわけで翌日。
放課後に、まどかを連れてさやかのパトロールに同行します。
>パトロール中。
>さやかはソウルジェムを握りしめながら、市内を練り歩いていく。
>情報:佐倉杏子がこちらを尾行中。
烏くん、情報どうも。
目論見通り、杏子が食いついてきました。
かなり距離を取って、バレないように慎重に尾行してますね。
が、その程度烏くんには筒抜けです。
もちろん、こちらは気づいていないふりを継続。
>「……! こっちだ!」
>さやかが結界の反応に気づき、その方向に駆け出した。
はい来ました。 まどか同行時、初回限定イベントですね。
この条件を満たすと、確定で使い魔の結界がポップします。
ここで杏子がダイナミックエントリーしてくるわけですね。
位置も特定できたので、予定通り、ここで支援要請を入れましょう。
>スマホを取り出し、仁美に連絡を取る。
>「……こちらパトロール。 物資支援を要請、座標は――」
これで、彼女の手配で指定座標に回復アイテムなどが置き配されます。
しかし、いったいどうやって親やら業者やら言いくるめたんでしょうか。 謎です。
まぁ、正直に言うとですね、物資支援は必須じゃありません。
その気になれば、回復も補給も全部こちらで用意できます。
これはまどかと同じく、無駄に心配して暴走しないための保険ですね。
今回は仁美がこちらの事情を把握してるので、できることをさせておく方がコントロールしやすいです。
>結界に到着した三人は、そのまま内部に足を踏み入れた。
>情報:杏子は様子を伺っているようだ。
結界に入ったので、一旦さやかに前に出てもらいます。
ほどなくして杏子がやってくるはずです。
>「ずいぶん、無駄なことしてんなぁ?」
おっ、言ってるそばから来ましたね。
それじゃここからイベント入るので、等速でどうぞ。
「ずいぶん、無駄なことしてんなぁ?」
さやかが使い魔を斬り伏せ、息を整えた直後。
どこからともなく、軽薄な声が降ってくる。
次の瞬間、上空から、一本の槍が叩きつけられるように振り下ろされた。
「――っ!!?」
さやかは反射的に地を蹴り、後方へ跳ぶ。
直前まで立っていた場所に、槍が深々と突き刺さった。
衝撃で地面がひび割れ、鈍い音が反響する。
「ありゃ、避けられちまったか」
地面に着地した赤毛の少女が、肩をすくめる。
少女――佐倉杏子は、槍を引き抜きながら、楽しそうに口角を上げた。
「新人にしちゃ、反応は悪くねぇな」
「……なに、あんた」
さやかは剣を構え直し、一歩も引かずに睨み返す。
「見ての通りだよ。 魔法少女」
杏子は軽く笑い、槍を肩に担いだ。
「んで、今からこの辺一帯は――アタシの縄張りだ」
「……はぁ?」
一瞬の沈黙のあと、さやかの声が跳ね上がる。
「なんで、あんたなんかにここを渡さなきゃいけないわけ?」
「そもそもここは、マミさんが――」「死んだんだろ?」
挟まれた杏子の言葉に、空気が凍りつく。
「………………ッ!!」
さやかの呼吸が一瞬乱れ、剣を握る手にわずかな震えが走った。
「マミさん、は、死んでなんか……」
言葉が、続かない。 視線が無意識にほむらへと向く。
ほむらはほんの一瞬だけ目を伏せ、神妙な表情で視線を逸らした。
――それが演技だと、気づく者はいない。
杏子はその様子を見て、愉快そうに肩を揺らす。
「ハハッ、こりゃケッサクだ! 事実を受け入れられねぇってか!」
槍をくるりと回し、さやかを見下ろす。
「いい加減、現実見ろよ」
「マミは死んだ。 キュゥべえから直接聞いたことさ」
「ッ……!!」
「………………」
さやかの喉が、ひくりと鳴る。
ほむらは黙り込む――ふりをする。
(……上出来ね)
「アイツは胡散臭ぇがな、嘘だけはつかねぇ。 もしかしたらもクソもねぇんだよ」
杏子の笑みが、嘲るように歪む。
「なのにお前らときたら、現実を前にして、目ぇ逸らしてやがる」
ぎりっ、と、さやかが歯を噛みしめる。
間違いだと言い返したい。 だが“助からないかもしれない”という言葉が、喉元に引っかかる。
杏子の言葉を、完全には否定しきれない。
「甘ぇんだよ」
次の瞬間、杏子は地面を蹴る。
一気に距離を詰め、さやかに槍を振り下ろした。
「ッ……!!」
咄嗟に、さやかは剣を掲げて受け止めた。
衝撃が腕を貫き、足元がわずかに沈む。
鍔迫り合いの中、間近で向かい合った杏子の瞳は、冷え切っていた。
「仲間が死ぬなんて、魔法少女じゃ珍しくもねぇ」
力を込め、さらに槍を押し込む。
「それを受け入れられねぇ奴から――」
「先に死ぬ」
「……ッ、黙れ……!!」
さやかが歯を食いしばり、力任せに槍を弾き返す。
金属音が結界内に響き、二人の距離が開いた。
杏子は一歩下がり、呆れたようにため息を吐く。
「……しっかし、キュゥべえから聞いてた以上に甘ちゃんだな、お前ら」
「現実も見ねぇ、そのくせ、無駄に正義感だけは一丁前」
「……何が言いたいのよ」
「まだ分かんねぇか?」
槍を軽く回しながら、鼻で笑う。
そして、結界の奥、先ほどまで使い魔がうろついていた方向を顎で示す。
「今のは、魔女じゃねぇ。 使い魔だよ」
「成長途中の出来損ない。 グリーフシードも持ってねぇ」
「倒したところで、何の得にもならねぇ。 魔力の無駄遣いだ」
「……だから、放っとけって?」
「人が巻き込まれても、見て見ぬふりしろって言うの!?」
さやかの声が、怒りを帯びる。
「そう言ってるだろ」
杏子は肩をすくめる。 さやかの感情を、特別なものとして扱っていない。
「効率が悪い。 何人か食って魔女になるまで待てば、グリーフシードも孕むんだからさ」
「……あんた、人の心とかないわけ?」
さやかの顔に青筋が浮かぶ。 剣を握る手が、震えていた。
「そんなもん、捨てちまえ」
杏子は吐き捨てるように言った。
「――どこかの誰かさんみたいに、なりたくなかったらな」
「――――」
その言葉を聞いた瞬間、さやかの理性が切れた。
考えるよりも早く、身体が動く。
怒りに塗り潰された衝動のまま、剣を構え、杏子へと突っ込んでいく。
しかし、そのまま互いの刃が交わることはなかった。
「……そこまで」
次の瞬間、黒い影が二人の間に滑り込む。
ギリッ……ギリリッ……
振り下ろされた剣が、空中で止められる。
さやかの手首を掴み、地面に足を踏ん張って受け止めているのは――
「……さやか、落ち着いて。 乗せられてはダメ」
「……ッ、離して!!」
さやかは歯を食いしばり、腕を振りほどこうとする。
だが、ほむらの拘束はびくともしない。
《壱壊のテンソル》
さやかの身体には、いつの間にか魔力の矢印が刻まれていた。
力の向きが強制的に制御され、踏み込もうとする動作そのものが封じられる。
「……へぇ、面白い魔法使うねぇ」
その様子を見た杏子が、興味深そうに言葉を漏らすが。
ほむらはあえてそれを無視し、さやかに言い聞かせるように続ける。
「……思い出して。 彼女の目的は、私たちを排除して縄張りを広げることよ」
「だからこうして、挑発することで自滅を誘おうとしている」
「今、あなたがやろうとしていることは、まさに彼女の思う壺よ」
「ッ……!!」
正論だった。 そのことが、余計にさやかの胸を締め付ける。
ほんの一瞬、頭は冷える。
だが、命の恩人を侮辱された怒りまでは、どうしても消えない。
「……でも、アイツは、マミさんのことを……!」
ほむらはさやかの手首を掴んだまま、そっと距離を詰める。
耳元へ顔を寄せ、彼女にだけ聞こえる声で囁いた。
《……言わせておけばいい。 彼女は、どうやら"誤解"しているようだから》
《それを、こちらに有利な形で使えるかもしれない》
「……!」
《……考えてみて。 今、この街を守れるだけの戦力が、致命的に足りない》
《あなたが契約したのも、それが理由の一つだったはずよ》
「っ……」
《おそらく、彼女はかなりの経験と実力がある。 それを利用できれば、形だけとはいえ、マミさんの欠けた穴を埋めることにも繋がる》
「……でも、あんな奴……」
《……あなたが直接、関わる必要はない。 彼女のことは、私が引き受ける》
「………………」
さやかは唇を噛みしめたまま視線を落とす。
胸の奥で燻る怒りも、違和感も、消えてはいない。
それでも、剣を構えていた腕は、ゆっくりと下がっていた。
その様子を見て、杏子が肩をすくめる。
「あーあ、せっかく楽しめると思ったんだけどなぁ」
「興が冷めた。 今回はこれぐらいにしといてやるよ」
舌打ち混じりに槍を担ぎ、興を削がれたとでも言いたげに踵を返す。
そして、歩き出しかけた足を止め、首だけを巡らせて、ほむらを見た。
「……そこの黒いの」
値踏みするような視線。
「頭は回るみてぇだが、ひ弱なのは間違いなさそうだな」
「魔法は面白ぇ。 だが、新人一人止めるのが精一杯ってとこか」
「そんな状態で、よく今まで生き残ってこれたもんだ」
ほむらは何も言わず、静かに杏子を見返すだけだった。
「ま、忠告しといてやるよ」
鼻を鳴らし、背を向けたまま、吐き捨てるように言う。
「意地なんか張らずに、さっさと明け渡した方が身のためだぜ」
それだけを言い残し、杏子は結界の奥へと消えていった。