魔法少女まどか☆マギカ -Kaleidoscope- 実績「時をかける魔女」獲得実況プレイ   作:Hotpepper_N

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Part6(7/n)

はい、杏子初エンカでした。

 

この時期の彼女、スレてるのもあって見ててちょっと痛々しいといいますか……

こう、我々の学生時代の黒歴史を思い出させる感じがあるというか……ウゴゴゴゴ……

 

……古傷を抉るのはこれぐらいにして。

結界が晴れたので、今日はこのまま解散……の前に。

さっき頼んでおいた物資が近くに届いているはずです。 確認してみましょう。

 

>……箱が壊されている。 中身はほぼ抜き取られているようだ。

 

……あの野郎、ネコババしやがったな。

 

まぁ、予想通りといえば予想通り。

彼女からしてみれば、勝手に置いてあったから取ったってだけでしょう。

 

>「……アイツ、やっぱりぶちのめした方がよくない?」

>さやかがあからさまに殺気立っている。

 

どうどう。

後々、彼女を仲間に引き入れれば解消するので問題ないです。

 

>「………………」

>まどかは無表情のまま壊された箱を見つめている……

 

ヒェッ……まどかがカンカンでいらっしゃる。

これはさっさと杏子コミュ進めた方が良さそうですね。

 

 

というわけで翌日。

さっそく杏子コミュを進めたいので、放課後に一人で会いに行きます。

 

>「待ちなって! 昨日、引き受けるって言ってたけどさぁ!?」

>「そんな、一人でなんて危ないよ……!?」

>さやかとまどかが、揃って制止してくる。

 

二人とも、杏子を完全に危険人物認定してますね。

まぁ、そんな心配すんなって。

 

ここはうまーく言いくるめます。

そもそも、杏子ごときに遅れを取るほどヤワじゃないです。

 

>むしろ複数で行動した方がリスクが高いこと、危険と判断した場合は即座に撤退するつもりであること。 そのあたりを丁寧に説明する。

>二人は渋々ながらも、最終的には了承してくれたようだ。

 

これでよし。 さっそく向かいましょう。

杏子の居場所はいくつかの固定ポイントからランダムですが、エンカ率が一番高いのはだいたいゲーセンです。

 

>ロケーション:ゲームセンター

>店内を見回すと、ほどなくしてダンスゲームに興じる杏子の姿を見つけた。

 

一発ツモ。 引きがいいですね。

頃合いを見て話しかけましょう。

 


 

「よっ、ほっ!」

 

リズムよく足を運び、杏子は最後の矢印を踏み抜く。

派手なエフェクトとともに、プレイ終了の音が鳴った。

 

ちょうどそのタイミングで、ほむらは彼女の背後から歩み寄った。

 

「あん? ……昨日の黒いのじゃねえか。 今度は決闘でもしに来たのか?」

 

振り返りざまに投げられた言葉には、あからさまな侮りが滲んでいる。

だが、ほむらは眉一つ動かさない。

 

「いいえ。 今日は、話をしに来たわ」

「……へぇ?」 杏子は口の端を吊り上げる。

「この街、アタシにくれる気にでもなった?」

 

ほむらはわずかに目を細める。

「……その話も含めて、ね」

「立ち話もなんだし、場所を移しましょう」

 

一瞬、杏子は怪訝そうにほむらを見つめたが、やがて肩をすくめる。

 

「いい度胸じゃん。 まあ、ヒマだし付き合ってやるよ」

 

二人は施設奥の休憩スペースへと移動した。

ほむらは自販機の前で立ち止まり、二本の飲み物を選び。

缶を一本、杏子に差し出す。

 

「おっ、気が利くねぇ」

 

杏子は受け取った缶を迷いなく開け、喉を鳴らして中身を流し込んだ。

 

「ふぃー……で? 話ってのは?」

 

一息ついてから、今度は値踏みするようにほむらを見上げる。

 

「……“縄張り”の話よ」

 

ほむらは視線を逸らさず、淡々と切り出す。

 

「この街を、あなたに渡すかどうか」

「その件について、私個人としては――それも“致し方ない”と判断しているわ」

 

「……ほぅ?」

 

杏子の眉が、わずかにつり上がる。

意外そうな、そしてどこか楽しげな色を帯びた反応だった。

 

「理由は、いくつかあるわ」

 

ほむらは言葉を続ける。

 

「まず一つ。 私たちの実力と、この街の規模が釣り合っていないこと」

「この街は、他の地域と比べても広い」

「“前任”は、相当な実力者だった。 だからこそ、あの体制でも成立していた」

 

「……でも、今は違う。 あなたの推測通り、私たちでは彼女の穴を埋められていないのが現状よ」

 

「だろうな。 お前はともかく、新人も筋は悪かねぇが……考え方が甘い。 あれじゃ、長くは保たねぇだろ」

 

杏子はそう言うと、ベンチに深く背中を預けた。

後頭部に両手を組み、天井を仰ぐ。

 

辛辣な評価に、しかしほむらは淡々と続ける。

 

「……そして、二つ目」

「今あなたが言った通り、私たちのスタンスと、魔法少女の実態が乖離していること」

 

杏子がちらりと視線だけを向ける。

 

「……魔法少女の使命は、罪なき人を魔女の脅威から守ること。 “前任”も、私たちも、そう信じてきた」

 

一瞬、言葉を選ぶように間を置き。

 

「……けれど、現実は違う」

「全てを救うことはできない。 取捨選択を迫られる場面もある」

 

「……で? アタシのやり方が正しいって言いたいのか?」

杏子が口角を吊り上げる。

 

「……あなたのやり方に、合理的な側面があるのは認める。 魔法少女として生き延びることだけを考えるならば、ね」

「……賛同は、しかねるけれど」

 

「……ハッ。 認めてるようなもんじゃねえか」

杏子は短く鼻で笑った。

 

「弱っちいなりに、理解力はあるみてぇだな。 じゃなきゃ、とっくに死んでる」

 

「………………」

ほむらはわざと表情に影を落とす。

理想と現実の板挟みに苦しんでいる――そう見せるために。

 

「……ええ。 だからこそ」

「“現状をどう改善するか”という話になると、あなたの存在は無視できない」

 

「ほう?」

杏子の視線が、僅かに鋭くなる。

 

「今の戦力では、この街をあなたに任せた方が、トータルの被害は少なく済む可能性が高い」

「……私情を排して考えるなら、そう判断したわ」

 

杏子は、じっとほむらを見据えたまま、ゆっくりと笑った。

 

「……なるほどな。 そこまで分かった上で来たってわけか」

 

缶を軽く振り、最後の一口を飲み干す。

 

「だが、それだけじゃねぇんだろ?」

空き缶を指先で弄びながら、射抜くような視線をほむらに向ける。

 

「街を渡すだけなら、お前らが黙って消えりゃいい。 お前なら、新人を言いくるめるくらい朝飯前だろ」

「じゃなきゃ、わざわざアタシのところまで来る必要なんてないからな」

 

ほむらはその言葉を否定せず、短く頷く。

「ええ。 ……一つ、条件があるわ」

 

「……条件、ね。 言ってみな」

杏子は興味深そうに眉を上げる。

 

「"ワルプルギスの夜"という魔女は知っているかしら」

「……名前ぐらいはな。 それがどうした?」

「およそ二週間後、それが街にやって来る」

 

それを聞いた杏子は、怪訝な表情を隠そうともしない。

「……にわかには信じ難ぇな。 仮に本当だとして、なんでお前がそれを知ってる?」

 

「……私は、別の街から来た」

「その時、行動を共にしていた魔法少女がいたわ。 彼女は、予知能力を持っていた」

 

「予知、ねぇ。 胡散臭ぇ話だな」

 

「……でも」

杏子が鼻を鳴らす中、ほむらは続ける。

 

「彼女の予知は、一度も外れたことがなかった。 小さな事件から、大きな惨事まで」

「私が生き延びてこられたのは、ほとんど彼女のおかげよ」

「だから私は、その予知を信じて、その結果としてここにいる」

 

「待ちな。 なんでそれが、お前がここに来た理由に繋がる?」

 

「……端的に言えば、私たちだけの問題じゃないからよ」

 

杏子が口にしたもっともな疑問に、ほむらは淀みなく用意された答えを述べた。

そして反応を確かめるように、言葉を続ける。

 

「……ワルプルギスは規格外の存在。 放っておけば、きっと被害は見滝原だけでは済まない」

 

杏子の表情がわずかに険しくなる。

 

「……そうなれば、縄張りも、ルールも。 全部が形骸化する」

「私たちが、長年“暗黙の了解”で成り立たせてきた、魔法少女としての在り方そのものが、崩れかねない」

 

ほむらは杏子を真正面から見据える。

 

「つまり、このままあなたがこの街を手に入れたとしても」

「“アレ”をどうにかしない限り、あなたのやり方は、成立しなくなる可能性が高い」

 

「……チッ、つまりアタシも無関係じゃねぇって言いたいわけか」

 

杏子が忌々しげに舌打ちした。

 

「だから協力しろってことか?」

 

「ええ」

ほむらは即座に肯定した。

 

「奴を倒すまでの間だけでいい。 一時的に協力体勢を組んでもらいたいの」

「それが終われば、私はこの街から出ていく。 これは約束するわ」

 

杏子の眉が、わずかに動く。

 

「私は今の実力に見合った場所へ移る。 あなたは見滝原という絶好の縄張りを、安全な形で手に入れられる」

「……お互いに、悪い話ではないと思うけれど」

 

杏子はしばらく黙り込み、指先で空き缶を転がした。

 

「……ふん」

やがて、低く息を吐く。

 

「……お前の言い分はわかった。 だがな」

 

おもむろにソウルジェムを取り出し、小さな槍を具現化させる。

切っ先は、迷いなくほむらへと向けられた。

 

「――信じるかどうかは、話が別だ」

 

一瞬で、空気が張り詰める。

意図的に放たれた殺気が、肌を刺した。

 

「口だけなら、何とでも言える」

「予知だの、ワルプルギスだの。 本当だって保証は、どこにもねぇ」

 

「それに、アタシは嘘が嫌いなタチでね」

「もし、その予言とやらが外れたら……お前、どうするつもりだ?」

 

ほむらは一歩も引かなかった。

視線を逸らさず、静かに答える。

 

「もし、"奴"が現れなかったら……」

「――その時は、私を殺していいわ」

 

それは、脅しでも覚悟を誇示するでもなく。

あたかも、事実だけを淡々と並べているような声色だった。

 

「私一人が居なくなったところで、誰も困りはしないわ」

「さやかも、弱い私より、強いあなたと組んだ方が、彼女のためになる」

 

一拍、間を置く。

 

「彼女が、これからも魔法少女として生きていくなら」

「なおさら、ね」

 

杏子は、一瞬だけ目を丸くした。

 

「……イカれてやがるぜ」

 

呆れたように、しかしどこか楽しげに呟き。

カチリ、と音を立ててソウルジェムを引っ込める。

 

「いいぜ。 気に入った、お前」

「その条件、飲んでやってもいい」

 

そう言って、杏子は振り返りもせず、空き缶をゴミ箱へと放り投げた。

 

「たかが口約束ごときに、本気で命差し出せる奴なんざ、そうそう居るもんじゃねえ」

「お前の話も、全部が全部、嘘っぱちってわけじゃねぇんだろうさ」

 

後頭部に両手を組み、ほむらを見据える。

 

「ま、嘘でも、そんときゃそん時だ。 アタシは何も困らねえ。 お前が死ぬだけだからな」

 

「……そうね」

(これで同意は取り付けた。 あとは……)

 

「とりあえず、それまではお前らにちょっかい出さなきゃいいわけだな?」

 

杏子の確認するような問いに、ほむらは小さく頷く。

 

「ええ、その通りよ。 必ずしも行動を共にする必要はない」

「それに、その条件を守ってくれるならば、"物資"の供給もこちらで保証するわ」

 

「物資ぃ?」

 

「そう。 私たちには民間の協力者がいる。 補給物資を継続的に支援してくれている人よ」

「その人に依頼すれば、食糧も、日用品も、わざわざ盗む必要はなくなる」

 

さりげない口調だったが、先日の件に触れていることは明らかだった。

 

もっとも、杏子は、その含みなど気にも留めていない。

ただ、目の色がはっきりと変わった。

 

「おいおい、それを先に言ってくれりゃよかったんじゃねぇのか?」

 

杏子は笑みを浮かべ、肩をすくめる。

 

「いちいち、魔法で人の目を誤魔化すのも面倒でさ」

「タダで貰えるってんなら、それに越したことはねぇ」

 

にやついた、悪戯っぽい笑み。

 

「でもな。 それでお前らの取り分が減っても、恨みっこなしだからな?」

 

「構わないわ。 それも最初から織り込み済みよ」

ほむらは間髪入れずに答えた。

 

「ククッ……」

杏子は喉を鳴らして笑う。

 

「いいねぇ、ますます気に入ったぜ」

「お前、悪い奴じゃねぇな。 イカれてるけど」

 

「………………」

(……どうかしらね。 まともじゃないのは確かだけれど)

 

「とりあえず、話はわかった」

「当分の間、食い物さえくれるんなら、お前らに手は出さねぇ」

 

「……助かるわ」

(交渉は成立。 上出来ね)

 

そうして二人は、休憩所を後にする。

 

そして、それぞれの帰路につく直前。

杏子はふと思い出したように足を止め、振り返った。

 

「そういや、名前を聞いてなかったな」

 

「……暁美ほむら」

 

「ほむら、ね。 ……佐倉杏子だ」

 

 


 

杏子、参戦!(スマブラ並感)

以上、交渉人ほむほむお送りしました。

 

いやもうね、モノで釣った瞬間の目の色の変わり方よ。 チョロい(確信)

ともかく、これで杏子はワルプルが現れるまでの間、一時的に味方状態になります。

 

これにより、マミさんを除いて、主要戦力がようやく出揃った形になりますね。

いやー、長かった。

 

 

んで、翌日。

まずは、まどかとさやかに昨日のいきさつを共有しておきましょう。

 

>「「大丈夫だった!?」」

>登校中、二人は私を見るなり詰め寄ってきた。

 

もちつけ。

見ての通り、生きてるし元気だから。

 

>重要な部分は伏せつつ、昨日の顛末をかいつまんで説明する。

>こちらに手を出さない代わりに、支援物資を分けることで話はついた、と。

>「……また前みたいに、全部持ってかれたらどうすんのさ?」

>さやかは渋い顔をしている。

 

うん、言いたいことはわかる。

前科持ちだからね、あの赤いの。

でも、勝手に盗られるより、条件付きで管理下に置く方が遥かにマシです。

 

それに、仁美は実家極太のお大尽なので、一人増えた程度では痛くも痒くもありません。

ルートによっては、マザーベースばりのクソデカ拠点作っちゃうレベルですから。

 

ちなみに、情報を一部ぼかしているのは理由があります。

ワルプルの件は、まだ伏せておきたい。

さやかはともかく、まどかが知った場合、暴走する可能性があるので。

 

あと、杏子の口が軽い心配は(ほぼ)ないです。

ああ見えて、彼女は割と義理堅いですし、何よりさやかにシンパシー持ってます。

余計な不安を持ち込まないよう、彼女なりに配慮するはず。

というかそうするように誘導してます。

 

 

さて、昼休み。

ここでスポンサー様にご報告です。

 

>新たに魔法少女が一人、条件付きで合流することを伝える。

>「問題ありませんわ。 皆さんの負担が少しでも軽くなるのなら、喜んで協力いたします」

>「……なんか、ごめんね。 色々協力してもらっちゃって」

>「さやかさん、気負う必要はありませんわ。 これは私の善意ですから」

 

さすが仁美ママ、器のデカさが違うぜ。

というわけで、補給ラインは安泰。

あとは、彼女から大事なお知らせがあるはず。

 

>ふと、仁美が思い出したように、さやかへ向き直る。

>「……申し訳ありません、大事なことをお伝えしておりませんでした。 本日、恭介さんが退院されるそうです」

>「……! え、ほんと!? 学校は……いつから?」

>「お体に問題がなければ、明日からでも復学なさるご予定だとか」

 

よし、ちゃんと言ってくれました。

原作だと、さやかがお見舞い行ったらもぬけの殻、職員から退院済みって伝えられてショック受けますが……

 

仁美の魔法少女認知フラグが立っていて、かつお互いの好感度が一定以上の場合は、こうやって伝えてくれるようになります。

これもさやかの闇堕ちを防ぐための布石です。

 

そして、今日はもう一つイベントがあります。

皆さんご存知、「食うかい?」のアレです。

 

一旦、三人で今後の方針を軽くすり合わせつつ下校します。

この流れだとさやかは高確率で、恭介の家に寄ろうとするはず。

 

>「……ごめん、ちょっと寄り道していいかな」

>帰り道、さやかがふと漏らした。 恭介の様子が気になるらしい。

 

近くまで来たところで、まどかと一旦待機します。

 

>ロケーション:恭介の自宅

>恭介の部屋の窓から、バイオリンの音が聞こえる。 今までのブランクを取り戻そうと、懸命に練習を重ねているようだ。

>「……っ」

>インターホンを押すさやかの手が止まる。 今は邪魔をしないでおこう、といった表情で、静かに踵を返した。

 

健気やなぁ。

さて、このタイミングで赤いのがやってくるはず。

 

>「会いもしないで帰るのかい?」

 

よしきた。 ここから会話イベントに入るので、自然に割り込みます。

 


 

「会いもしないで帰るのかい?」

 

二人のもとへ戻ろうとした、その時。

聞き覚えのある声が、夕暮れの路地に落ちた。

 

さやかがはっと振り向く。

そこに立っていたのは、見覚えのある赤い少女――私服姿の杏子だった。

 

「……あんた、あの時の」

反射的に、さやかの指が懐へ滑り込む。 ソウルジェムを確かめる仕草。

 

「おいおい。 別に、取って食おうってわけじゃねぇよ」

 

肩をすくめ、杏子は苦笑する。

 

「せっかく一時的とはいえ“仲間”になるんだ。 挨拶くらいはしとこうと思ってな」

 

“仲間”という言葉を、わざとらしく強調する。

さやかの眉が、ぴくりと動く。

 

「……まだ、あたしはあんたを認めたわけじゃない」

 

「つれないねぇ。 せっかく親睦を深めようと思って来てやったんだが」

 

軽口を叩く杏子に、さやかの表情が険しくなる。

 

「あんた、この前自分でやったこと忘れたの? こっちを一方的に襲っといてさ」

 

「あー、悪かった悪かった」

 

杏子は手をひらひらと振った。

 

「あん時は事情を知らなかったもんでな。 ほむらから色々聞いてさ、アタシも心を入れ替えたってわけだ」

 

どう見ても本気の言葉には聞こえない。

さやかの眉間の皺が、さらに深くなる。

そんなことは気にも留めず、杏子は続けた。

 

「んで、今日は挨拶がてらだ。 “先輩”から、ひとつアドバイスをくれてやろうと思ってな」

 

「別にそんなの――」

 

いらない、と言い切る前に、杏子が割り込んだ。

 

「この家のお坊っちゃんなんだろ? アンタが契約した理由は」

 

「っ!?」

 

さやかの息が詰まる。

その反応を見て、杏子の口元がわずかに歪んだ。

 

「やっぱりな。 街を守るだなんだって綺麗ごと並べてるが……結局、本音はそんなもんだ」

 

「……だから何?」

声にあからさまな苛立ちを滲ませ、さやかが睨みつける。

 

「自分に素直になれって言ってんだよ」

少しだけ身を乗り出す。

 

「そんなくだらねぇ言い訳してねぇでさ。 ウジウジしてる暇があったら、さっさと行動に移せ」

「あいつを自分のものにしたいんだったら……例えば、手足を潰して動けなくするとかさぁ」

 

「……は?」

 

さやかの口から、間の抜けた声が漏れる。

理解できない。 そんな表情だった。

 

「魔法ってのはな、自分の望みを叶えるための力だ。 他人のために使ったって、ロクなことにならねぇ」

 

そして、吐き捨てるように言った。

 

「――マミはそんなことも教えなかったのか?」

 

「っ! この――」

その一言で、さやかの頭に一気に血が上る。

杏子へ向かって、反射的に距離を詰めようとした、その瞬間――

 

「――その辺にしておきなさい」

静かな声が、空気を断ち切った。

 

ぴたりと動きが止まり、二人の視線が同時に向く。

いつの間にか、すぐ背後にほむらが立っていた。

 

「ほむら……!?」

驚くさやかをよそに、ほむらは視線を逸らさず杏子を見据える。

 

「杏子。 また先日のように、不和を持ち込むつもり?」

 

淡々とした声音の奥には、「約束を反故にするな」という明確な圧が込められていた。

 

「……チッ、わかってるって」

杏子が舌打ち混じりに視線を逸らす。

 

「ただ、こいつの考え方が危なっかしくてな。 ちょっと“矯正”してやろうと思っただけだ」

 

悪びれる様子はほとんどない。

ほむらは、わずかにため息をついた。

 

「言い方というものがあるでしょう?」

「あなたの考え方は否定しないわ。 けれど、今あなたがやっているのはただの思想の押し付け」

「こちらに協力してもらう以上――」「何度も言ってるだろ」

 

杏子がほむらの言葉を遮る。

 

「アタシ達は正義の味方なんかじゃねえ。 バケモノ(魔女)と生き残りをかけて殺し合ってるだけの、そこいらの動物と同じだ」

獲物(グリーフシード)がなきゃ、飢えて死ぬだけ。 人のためだとか言う前に、それを頭に入れとけって話だ」

「言い方? ハイリョ? そんなもんただの誤魔化しだ。 死にたくないんなら、考え方を変えろってことさ」

 

「っ、でも――」

「“でも”じゃねぇ」

食い気味に遮る。

 

「今言ったことは、少なくともほむらは理解してるぜ」

 

ちらり、と視線を横に流す。

 

「………………」

ほむらはわずかに目を伏せる。

その沈黙が、肯定のように場に落ちた。

さやかの言葉が止まる。

 

「……さやか、だったか」

杏子は視線を戻す。

 

「さっきも言ったが、自分に素直になれよ。 お前が魔法少女として生きるってんなら、なおさらな」

 

軽く肩をすくめる。

 

「それに、何をそんなに躊躇ってんだか。 付き合うくらい、どうってことねぇだろ」

 

「は……?」

さやかが睨み返す。

 

「魔法少女なんてさ、結局は人間と大して変わらねえ。 ちょっと傷の治りが早いだけだ」

 

ほむらは伏せていた目を上げ、さやかを一瞥する。

そして、言い返そうとしたその動きを手でそっと制した。

 

「……これは、先に伝えておいた方がいいかもしれないわね」

「あん?」

 

杏子が眉をひそめる。

 

「一つ、あなたは誤解している。 ――魔法少女の肉体について」

 

その言葉を起点に、ほむらは淡々と説明を重ねていく。

問いを挟み、確認させ、少しずつ絞り込む。 彼女自身で辿り着かせるために。

 

やがて、杏子の表情が目に見えて険しくなっていった。

 

「……ちょっと待て。 つまり、アタシ達はゾンビってことかよ……!?」

「ええ。 おおよそ、その認識で間違いないわ」

 

ほむらは迷いなく頷いた。

 

沈黙。

杏子の顔から、余裕が消える。

 

「……ふざけんなよ」

そして、苛立たしげに咥えていた飴を噛み砕いた。

 

「はいそうですか、って納得できるわけねぇだろ、そんなの……!!」

 

ほむらはそれを受け止めるように、静かに言った。

 

「そう思うのも無理はないわね。……場所を移しましょう。ついてきて」

 

ほむらはそう言うと、踵を返す。

連れて行かれたのは、人通りのない歩道橋。

人気はなく、周囲の音がやけに遠い。

 

三人を振り返り、ほむらはゆっくりと口を開いた。

 

「……さやか。 今からあなたに、少し酷なことをお願いするわ」

「えっ……?」

 

さやかは戸惑いを隠せない。

ほむらは一拍置いてから続けた。

 

「ソウルジェムを、貸してもらえる?」

「……えっと、何をするの……?」

 

警戒と不安が混じった声。

検証よ、と端的に答える。

 

「ソウルジェムが魂であることを、ここで証明する必要がある」

「……大丈夫。 ほんの短時間よ。 危険がない形で行うわ」

 

その言葉に、さやかはわずかに迷う。

「……う、うん……」

 

小さく頷き、ソウルジェムを差し出した。

ほむらはそれを受け取り、静かに指先で確かめる。

そして、まどかの方へと差し出した。

 

「……まどか」

「う、うん……?」

「これを持って、私が合図するまで、少し離れた場所まで下がってもらえる?」

「えっ……? う、うん……わかった……?」

 

戸惑いを隠せないまま、まどかはソウルジェムを受け取る。

両手で大事そうに抱え、言われた通り、ゆっくりと距離を取っていく。

 

「……いったい何をする気だ?」

怪訝さを隠さず、杏子が口を挟む。

 

「見ていればわかるわ」

短く返し、ほむらは視線をさやかへ向ける。

 

「……さやか。 横になって」

「えっ、ここで……?」

「ええ。 すぐに終わるわ」

 

さやかはなおも困惑しながらも、

言われた通り、その場に身を横たえた。

コンクリートの冷たさが、背中に伝わる。

 

「……これでいいわ」

ほむらは一度、橋の下へ視線を落とす。

――ちょうど歩道橋を降りたまどかが、こちらを見上げていた。

不安げなその視線に、ほむらは小さく頷き、手で合図を送る。

 

――そのまま、続けて。

まどかが、さらに距離を取る。

 

「……ん?」

少しして。 さやかが、小さく眉を寄せた。

 

「……あれ……なんか……眠く……」

呼吸がわずかに浅くなり、視線がぼやける。

 

さらに、距離が離れる。

さやかの意識が遠ざかっていく。

そして。

 

「ぁ___」

フッ…………

 

糸が切れたように、さやかの身体からすべての力が抜け落ちる。

その肉体は、一切の生命活動を示さなくなった。

 

その事実を確認したほむらは、即座に息を吸い込み、まどかのいる方向に声を放った。

 

「まどか、そこで止まって!」

 

弾かれたように、彼女の足が止まる。

 

「……!!!」

杏子の息を呑む音が、僅かに響く。

 

「……おい、どういうことだよ……」

「これ……死んでるじゃねぇか……!」

 

「……ええ、その通りよ」

ほむらは淡々と答えた。

 

「ソウルジェムは魂そのもの。 それを身体から引き離せば――器は、ただの抜け殻になる」

「――分かってもらえたかしら?」

 

「………そういう、ことかよ……!!」

絞り出すような声。 困惑、怒り、理解が一度に押し寄せている。

杏子は拳を握りしめたまま、言葉を失った。

 

ほむらは一瞥だけ向けると、すぐに視線を外した。

 

「――まどか、戻ってきて!」

「う、うん!」

 

踵を返し、やや早足で歩道橋へと戻ってくる。

距離が縮まり、そして。

 

「――はっ!!?」

 

さやかの胸が大きく跳ねた。

空気を求めるように息を吸い込み、反射的に上体を起こす。

すぐに、ほむらが肩を支えた。

 

「慌てないで。 ゆっくりでいいわ」

 

視線を合わせ、落ち着かせるように言う。

呼吸が整うのを待ってから、ゆっくりと立ち上がらせる。

 

ほむらは一歩下がり、静かに頭を下げた。

「……ごめんなさい。 必要だったとはいえ、こんなことをさせてしまって」

 

「……あー、うん。 大丈夫。 めっちゃびっくりしたけど」

さやかはぽりぽりと頬をかいた。

 

「さやかちゃん……!」

その時、階段を駆け上がりまどかが歩道橋に姿を現した。




ちなみに、ほむほむが語った予知云々について、Scene0などはまったく関係ありません。
彼女がそれっぽい説明するための真っ赤な嘘です。
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魔法少女まどか☆マギカ 実績『朝焼けのエンドロール』獲得(作者:くろしゅー)(原作:魔法少女まどか☆マギカ)

ほむらちゃん、まばゆちゃんとワルプルギスの夜を超える実況、はーじまーるよー。▼今回は「魔法少女まどか☆マギカ -Ultimate Record-」に新しく追加された「魔法少女まどか☆マギカ scene0エディション」を使って、遊んでいきたいと思います。▼という、ゲーム実況風の小説です。「魔法少女まどか☆マギカ」「魔法少女まどか☆マギカ scene0」および「…


総合評価:2676/評価:8.9/完結:65話/更新日時:2026年06月06日(土) 20:30 小説情報

傲慢の魔女『フラン』(作者:オド・ラグナの対義語)(原作:Re:ゼロから始める異世界生活)

私は『傲慢の魔女』、フランダース・スカーレット。495歳まであと90年くらいの約400歳児。フランドールほどの狂気はないけど、頑張るよ。──これはよくある転生をした一人の少女の物語。   ※思ったより続けれたので短編から連載に変更しました▼


総合評価:3493/評価:8.21/連載:36話/更新日時:2026年07月30日(木) 19:10 小説情報

〈完結〉超かぐや姫Z!~もうちょっとだけハッピーなエンドを~(作者:すっごい性癖)(原作:超かぐや姫!)

酒寄家に長女なオリ主、酒寄結葉を付け加えただけのお話です▼ ▼※独自解釈が多々含まれます ご注意ください▼※タイトルのZにクロスオーバー的な意味はございません わかりにくく、申し訳ありませんがご容赦いただければ幸いです


総合評価:1528/評価:8.69/完結:66話/更新日時:2026年04月22日(水) 21:19 小説情報

乗っ取り系魔物「クックックッ、俺に身体を貸せ……」魔法少女「貴方の力なんて借りない!」(作者:タロスズ)(オリジナル現代/冒険・バトル)

乗っ取り系魔物「クックックッ、お前達でアイツに勝てるのか?俺に身体を貸せ……代わりに戦ってやる。」▼魔法少女「貴方の力なんて借りない!」▼乗っ取り系魔物「クックックッ、カップ麺ばかりでは栄養が偏るぞ?俺に身体を貸せ……ハンバーグを作ってやる。」▼魔法少女「貴方の力なんて借りない!…………あっ、美味しい……」▼乗っ取り系魔物「クックックッ、魔法少女にかまけて勉…


総合評価:11846/評価:8.26/連載:18話/更新日時:2026年07月20日(月) 22:29 小説情報

怪異をぶちのめす(作者:富士伸太)(オリジナル現代/冒険・バトル)

ガッツで耐えつつ被ダメを攻撃力に変えて浪漫砲を撃つバーサーカー構成で、事故物件つかまされた被害者やよくわからんフラグを踏んだだけの被害者を殺しにくる日本の理不尽系怪異をぶちのめしていこうと思います。▼※カクヨムにも掲載しています 


総合評価:4416/評価:8.48/連載:41話/更新日時:2026年05月17日(日) 21:42 小説情報


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