魔法少女まどか☆マギカ -Kaleidoscope- 実績「時をかける魔女」獲得実況プレイ   作:Hotpepper_N

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少し短いですが、決戦直前までとなります。


Part6(15/n)

はい、というわけで、作戦会議終了です。

無事、五人の共闘体制が完成しました。

 

いやー、長かった。 本当に長かった。

Part1からここまで、どれだけの時間を重ねたことか……感慨深いものがありますね。

 

これで、役者は揃いました。

あとは当日に向けて、各自コンディションを整えるだけですね。

 

……まあ、マミさんの「全員生きて帰りましょう」ってセリフ。

フラグにならないことを、切に祈るばかりです。 いやほんとに。

 

さて。 会議も終わって、みんな解散……といきたいところですが。

この日の夜、もう一つだけイベントがあります。

 

お察しの通り、あの白いのが出てきます。

 

 


 

 

その夜。

 

自宅の屋上に、ほむらは一人、佇んでいた。

 

眼下には、いつもと変わらない見滝原の夜景が広がっている。

何も知らずに眠る、無数の灯り。

数日後、この光景がどうなるのか――それを、彼女だけが知っている。

 

夜風が吹き抜け、長い黒髪を揺らす。

 

『――こんばんは、暁美ほむら』

 

足元から、聞き慣れた声がした。

しかしほむらは振り返らない。

 

「……何の用?」

 

視線を夜景に据えたまま、冷たく問う。

 

QBは、音もなく彼女の隣に歩み出た。

赤い瞳が、同じ夜景を映している。

 

『少し、興味深いことが分かってね。 君に教えておこうと思ったんだ』

 

「興味がないわ」

 

『まあ、そう言わずに』

 

QBは、いつもの平坦な声で続けた。

 

『なぜ、鹿目まどかがあれほどの素質を持っているのか。 その理由が、ようやく分かったんだ』

 

その言葉に――ほむらの肩が、ほんのわずかに、強張った。

 

『君が、何度も時間を遡ってきたからだよ』

 

白い尻尾が、ゆらりと揺れる。

 

『君がループを繰り返すたびに、まどかを中心に、無数の因果の糸が結び直されてきた』

『一度ならず、二度、三度と』

『その糸が幾重にも重なり、彼女へ絡みついていったんだ』

 

感情のない声が、ただ事実だけを並べていく。

 

『その結果、彼女は宇宙でも類を見ないほどの素質を得た」

『――つまり、まどかは、最強の魔法少女になる。 そして、最悪の魔女になるだろう』

 

一拍。

 

『君のせいで、ね』

 

夜風が、ひときわ強く吹き抜けた。

 

QBは、ほむらの反応をうかがっている。

自らの行いが、救いたかった少女を、最悪の破滅へと追い詰めていた。

本来ならば――その事実に、打ちのめされるはずだった。

 

だが。

 

「……だから、何?」

 

ほむらの声には、揺らぎ一つなかった。

 

ゆっくりと振り返る。

 

月明かりに照らされた横顔に、動揺の欠片はない。

あるのは、すべてを受け入れた上で、それでも前へ進む冷たい決意だけだった。

 

「――そうだとしても。私のやることは、何も変わらないわ」

 

QBの赤い瞳が、わずかに細められた。

 

「消えなさい。私の気が変わらないうちに」

 

その声は、氷のように冷たかった。

 

QBは、しばらく黙って彼女を見上げていたが。

やがて、理解を諦めたように尻尾を一振りする。

 

『……やれやれ。 相変わらず、君は僕たちの理解の範疇を超えている』

 

その声には、落胆も苛立ちもない。

観測不能な現象を前にしたような、乾いた興味だけがあった。

 

『まあ、いいさ。 せいぜい、無駄なあがきを続けるといい』

 

その姿が、夜の闇に溶けるように、消えていく。

一人になったほむらは、再び夜景へと向き直った。

 

「……最強の魔法少女、ね」

 

呟きが、風に溶ける。

 

(させないわ。 何があっても)

(あなたは、ただの普通の女の子として――幸せに生きればいい)

 

夜風に吹かれながら。

ほむらはいつまでも、見滝原の灯りを見つめ続けていた。

 

 


 

 

はい、というわけで、恒例のQBイベントでした。

 

原作だと、このシーンでほむらがめちゃくちゃ動揺するんですよね。

「君のせいでまどかが……」ってやつで、精神的にかなりくるやつです。

 

当然、こっちのほむほむだって何も思わないわけじゃありません。

自分が繰り返してきたことが、結果的にまどかの素質を膨れ上がらせていたわけですからね。

今さら立ち止まる段階はとっくに過ぎてます。

 

原因が自分にあろうが、やることは変わらない。

契約さえさせなければ素質があろうが関係ありませんからね。

 

覚悟値カンスト勢に、今さら罪悪感だけぶつけても止まりません。

 

淫獣もそろそろ攻め手がなくなってきた感じですね。

取引で下手に動けないし、揺さぶりをかけても方針は変わらない。かわいそうに(棒読み)。

 

さて。 これで、決戦前の仕込みは全部完了です。

 

次回、いよいよ決戦当日。

これまで積み上げてきた全てを賭けた、最終決戦が始まります。

 

 

 

>――そして、この日がやって来た。

 

 

はい、皆さんお待たせしました。 いよいよ決戦当日です。

 

>ニュース速報:見滝原市に、記録的なスーパーセルが接近。

>対象地域に、緊急避難指示が発令。

 

天気予報は大荒れ、街中に避難警報がひっきりなしに鳴り響いてます。

まあ、実際に来るのは正真正銘の化け物なんですけどね。

 

とはいえ、このおかげで一般人は軒並み街の外か避難所へ移動してくれます。

決戦の舞台からギャラリーを一掃できるわけですから、こちらとしては好都合ですね。

 

ちなみに、今回の作戦に仁美は参加しません。

 

さすがに今回は、物資の調達や遠隔通信でどうにかできる規模ではありませんからね。

恭介ともども、家族と一緒におとなしく避難してもらっています。

 

まどかにも《隠羽》の烏を一羽つけ、避難所まであとで送り届けます。

これで、淫獣が余計なことを企んでもすぐに察知できます。

 

>ロケーション:見滝原市郊外・廃倉庫

 

人気の絶えた場所で、四人は最後の確認を行っています。

それでは、出撃前の様子を見ていきましょう。

 

 


 

 

人気のない廃倉庫。

四人はそこで、作戦の最終確認を行っていた。

 

その傍らで、ほむらは用意していたグリーフシードを取り出し、三人へ数個ずつ手渡していく。

受け取った杏子が、掌の上に並んだそれらを見下ろした。

 

「……おい、こんなに持ってく必要あんのかよ」

 

「ええ」

 

ほむらはさも当然のように答える。

 

「今日の戦いは長丁場になる。 普段の魔女退治とは、魔力の消耗が桁違いよ」

「戦闘中に魔力を切らすわけにはいかない。 そのために、可能な限り集めておいたわ」

 

三人が、それぞれグリーフシードを手に取り、装備を確認していく。

さやかが剣を握り直す。 杏子が槍の感触を確かめる。

マミが、指輪の光をそっと撫でた。

 

その様子を、少し離れた場所から見つめている影があった。

 

ほむらはすでにその存在に気づいていた。

倉庫の外に放っていた烏が、こちらへ近づいてくるまどかの姿を捉えていたからだ。

 

それでも、止めはしなかった。

直接顔を合わせなければ、きっと彼女は納得しないと分かっていたから。

 

 

「……まどか」

 

ほむらが、その方向に静かに声をかける。

まどかは私服のまま、倉庫の壁際に立っていた。

 

胸の前で組んだ両手には、力がこもっている。

指先が白くなるほど、きつく握りしめられていた。

 

「……もう一度だけ、言うわ」

 

ほむらは、まどかの前まで歩み寄った。

 

「あなたは避難所へ行って。 そこから、絶対に動かないで」

 

念を押すような、強い口調だった。

 

まどかはすぐには答えなかった。

俯いたまま、唇を噛む。

 

やがて、握りしめていた手をわずかに緩めると、顔を上げた。

 

「……うん。わかってるよ」

 

「わたしが行っても、何もできないことも」

「みんなの邪魔になっちゃうかもしれないことも」

「ちゃんと避難して、キュゥべえに近づかないことが、わたしの役目だってことも」

 

声は震えていた。

ひとつひとつ、自分自身に言い聞かせるように言葉を重ねていく。

 

「全部、わかってる」

 

それでも、と。ほむらをまっすぐに見つめた。

 

「それでも、どうしても言っておきたいの」

 

ほむらは何も言わず、その続きを待つ。

 

「ほむらちゃんが、何度もわたしを助けようとしてくれたこと」

「そのために、ずっと苦しい思いをしてきたこと」

「今度こそ全部終わらせるつもりでいることも……わかってる」

 

ほむらの瞳が、わずかに揺れた。

 

「だから、簡単に『死なないで』なんて言ったら、ほむらちゃんを困らせちゃうかもしれない」

 

まどかは胸の前で握っていた手を、さらに強く結ぶ。

 

「それでも――わたしは、ほむらちゃんに生きていてほしい」

 

震えていた声が、はっきりとした響きに変わる。

 

「わたしを助けて、それで終わりになんてしないで」

「わたしの代わりにいなくなるなんて……そんなの、嫌だよ」

 

「……まどか」

 

「わたしは、ほむらちゃんに守ってもらうためだけに、ここにいるんじゃない」

 

まどかは泣きそうな顔で、それでも目を逸らさなかった。

 

「助けてもらったあとも、一緒にいたい」

「明日も、その次の日も、ほむらちゃんと話したい」

「笑ったり、喧嘩したり……今までできなかったことを、これからしたいの」

 

一度、言葉を切る。そして、ほむらの手を取った。

 

「だから、勝ってきて」

 

細い指が、ほむらの手を強く握る。

 

「ワルプルギスの夜にも」

「ほむらちゃんが、自分で決めちゃった結末にも」

 

まどかは、涙を浮かべながら微笑んだ。

 

「全部に勝って、帰ってきて」

 

それは、ただの願いではなかった。

ほむらの犠牲を受け入れたくないという、まどかの意志(わがまま)だった。

 

ほむらは、すぐには答えられなかった。

まどかの手の温もりだけが、やけに鮮明に伝わってくる。

 

生きていてほしい。

帰ってきてほしい。

 

その願いが、どれほど残酷なものかを、彼女は知らない。

 

いや――知っている。

知ったうえで、それでもなお、そう言ってくれている。

 

だからこそ、何も言えなかった。

 

ここで頷けば、それは約束になる。

しかし、今の自分がそれを守れるとは思えなかった。

 

かといって、拒むこともできない。

まどかの願いを、これ以上踏みにじることだけはしたくなかった。

 

長い沈黙のあと、ほむらはほんの少しだけ目を伏せた。

そして、酷くあいまいな、困ったような微笑みを浮かべる。

 

「……努力するわ」

 

約束とは呼べない、曖昧な答え。

今のほむらが返せる言葉としては、それが精一杯だった。

 

 


 

 

はい、まどかとはここでお別れです。

他のメンバーもそろそろ準備ができたところでしょうか。

 

それじゃあこちらも指の運動をば。

操作ミスするといけませんからね。

 

よし、それじゃあ向かいましょう。 いざ鎌倉。

 

>ロケーション:見滝原市街地・中心部

 

出現予測地点へと移動しました。

普段なら人と車で溢れている街の中心も、今は完全にもぬけの殻です。

 

と、そろそろですね。 画面を見てください。

 

>上空の雲が、不自然に渦を巻き始める。

>――空間に、亀裂が走った。

 

颯爽登場、ワルプルギスの夜(ほむほむの怨敵)

 

 


 

 

風が、凪いだ。

 

つい先ほどまで街を吹き抜けていた強風が、嘘のように止む。

遠くのサイレンだけが、人気のない空間に木霊していた。

 

そして――空が、割れた。

 

頭上、渦巻く黒雲の中心に、ぱっくりと裂け目が開く。

そこから、こぼれ落ちてきたのは――

 

「……うわ」

 

さやかの喉から、掠れた声が漏れた。

 

影だった。

 

歯車、剣、道化の帽子、壊れた人形のような何か。

無数の影が、裂け目から次々と溢れ出してくる。

 

一つ、十、百――

その先を、脳が数えることを拒んだ。

 

空が、影で埋め尽くされていく。

まるで、黒い雨が降っているかのように。

 

さやかが、眼前の光景に息をのむ。

話には聞いていた。 だが、実際に目にする光景は、想像を遥かに超えていた。

 

「……ビビってる場合かよ」

 

杏子が槍を構える。

 

強がるような口調。

しかし、その声にもわずかな硬さが混じっていた。

 

「来るぞ」

 

裂け目が、さらに大きく広がる。

無数の歯車が噛み合い、軋み、回転する轟音。

 

そして、ゆっくりとそれは姿を現した。

 

逆さまの巨大な体躯。

幾重にも重なった歯車。

 

その姿が空間へ顕現した瞬間、甲高い笑い声が天から降り注いだ。

 

――ワルプルギスの夜。

 

大気が、ずしりと重くなる。

肌を刺すような魔力の圧が、四人へ降りかかった。

息をするだけで、肺を押し潰されるような錯覚を覚えるほどに。

 

もはや、魔女という言葉では足りない。

災害。 そう呼ぶほかないものが、そこにいた。

 

「ワルプルギス」

 

ほむらが、低くその名を呼ぶ。

 

何度も敗れた。何度も奪われた。

何もできないまま、同じ結末を繰り返してきた。

 

「……今度こそ、お前に引導を渡してやる……!」

 

紅い瞳に、静かな激情が燃え上がる。

 

ほむらの黒髪が、ひとりでにゆらりと揺れた。

その先端に、漆黒の炎が灯る。

炎は瞬く間に全身を包み込み、渦巻きながら輪郭を塗り替えていく。

 

腕は翼へ。脚は鉤爪へ。

背には長い尾羽が伸びる。

 

やがて黒焔の中から、巨大な不死鳥が姿を現した。

ほむら(魔女)は、漆黒の翼を大きく広げる。

 

『――作戦を、開始するわ』

 

その声が、三人の頭の内側へ響く。

 

マミが銃口を上げる。

杏子が槍を構え直す。

さやかが剣を握り直し、地面を踏みしめる。

 

そして四人は、同時に動き出した。

 




次回、決戦開幕。
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