魔法少女まどか☆マギカ -Kaleidoscope- 実績「時をかける魔女」獲得実況プレイ   作:Hotpepper_N

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すみません、直前にミスに気づいて修正したため少し投稿が遅れてしまいました。


Part6(17/18)(最終決戦②)

その、瞬間だった。

 

「……っ、あ」

 

ほむらの動きが、止まった。

 

とどめの光線を放つため、眼前に展開していた分体。

その輪郭が激しく明滅し、乾いた音を立てて砕け散った。

 

「……ぐ、っ……」

 

喉の奥から、押し殺した呻きが漏れる。

 

視界が、歪んだ。

天地が反転し、ワルプルギスの姿が幾重にもぶれる。

 

胸の奥から、何かがせり上がってくる。

これまで喰らい、押さえ込み、己の一部として従えてきたものたちが――内側から、ほむらを喰い返そうとしていた。

 

「あ……ぐ、あぁ……っ!?」

 

翼が大きく痙攣する。

 

羽ばたこうとしても、動かない。

意思とは無関係に黒い翼が折れ曲がり、鉤爪が空を掻く。

 

高度を失った巨体が、ぐらりと傾いだ。

 

 

「な……っ、ほむらさん……!?」

 

異変に気づいたマミが振り返る。

 

『来なiで……!』

 

ほむらは叫んだつもりだった。

三人の頭へ届いた声は、ひどく掠れ、途中からいくつもの声が混ざった異様な響きへ変わっていた。

 

『離re……て……ワたシ、kaら……!』

 

だが、それより早く――ほむらは墜ちた。

激しく痙攣しながら瓦礫の山へ叩きつけられ、轟音とともに地面が陥没した。

 

「……っ、う、あああ……!!」

 

 

ビキッ……ミシッ……!

 

 

黒い炎の表皮へ、細い罅が走った。

一本だった亀裂は枝分かれし、翼へ、胸へ、腹部へと瞬く間に広がっていく。

 

罅の奥にあったのは、底の見えない闇。

その暗がりの中で、無数の眼が開いた。

 

「いや……やめて……っ」

 

黒い翼が、自らの胸元へ食い込む。

割れ広がる亀裂を押さえ込もうと、必死に体を掻き抱く。

 

「まだ……今は、駄目……!」

 

あと少しだった。あと一撃で、すべてが終わるはずだった。

しかし内側から響く声は、ほむらの願いを嘲笑うように、次第に大きくなっていく。

 

「い、や……やめ……っ、抑えられ……!」

 

亀裂から、黒い靄が噴き出す。

それは地面を這い、瓦礫に触れた瞬間、表面を腐食させるように黒く染め上げた。

瘴気の中に、いくつもの輪郭が浮かび上がる。

 

嘴。仮面。ボロボロのドレス。目玉。電球。鎖――

ほむらの中へ取り込まれ、形を失ったはずの魔女たちの残滓。

 

それらが互いに押し合い、絡み合いながら、狭い亀裂の向こうから這い出そうとしていた。

 

びきり、と。ひときわ大きな音が響いた。

ほむらの腹部を走っていた亀裂が、内側から押し広げられる。

 

 

「――あ」

 

一瞬だけ。ほむらの瞳に、はっきりとした恐怖が浮かんだ。

 

 

そして。

裂けた。

 

 

黒い外殻が、内側から爆ぜるように砕け散る。

その傷口から、堰を切ったように瘴気と影が噴き上がった。

 

 

「い、や……イ゛ヤ゛ぁあアァァァあ゛ァ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛――ッ!!!!!!!!」

 

 

彼女が長い時間をかけて喰らい、服従させ、慎重に封じ込めてきたものたちが。

 

産み落とされるように、吐き出されるように。

ほむらの裂けた体から、次々と溢れ出していった。

 

同時に――

 

ギギッ……!

 

ワルプルギスの夜を縛っていた黒い鎖が、大きく軋んだ。

 

一本。また一本。

支えを失ったように力を失い、虚空へ溶けていく。

 

その足元。

巨体を覆っていた巨大な術式も、外縁から崩れ始めた。

 

旋回していた赤と黒の円環が乱れ。

幾重にも重なった紋様が消え。

ワルプルギスへ絡みついていた無数の呪印が、赤い火花となって霧散していく。

 

ほむらが維持していた魔法のすべてが。

彼女自身の崩壊とともに、失われていった。

 

 

そして。

 

炎と瓦礫と、魔女たちの瘴気が。

すべてをまとめて呑み込んだ。

 

轟音。爆炎。衝撃。

 

ほんの数秒前まで完璧に噛み合っていた四人の陣形は、跡形もなく崩れ去った。

 

「マミさん!」

 

さやかが叫ぶ。

視界を埋め尽くす黒い靄と、形の定まらない魔女の残滓。

それらが三人の間へ入り込み、互いの姿さえ覆い隠していた。

 

「さやか、後ろ!」

 

杏子が割り込み、迫る異形を槍で薙ぎ払う。

斬り裂かれた影は霧散せず、黒い泥となって槍へ絡みついた。

 

「気色悪ぃんだよ!」

 

杏子が槍を切り離した、その隙を別の影が襲う。

さやかが剣で受け止めるが、衝撃で刀身ごと吹き飛ばされた。

 

「ぐっ……!」

 

地面へ叩きつけられ、脇腹が大きく裂ける。

青い光が傷を塞ごうとする。

だが、再生が追いつくより早く、次の攻撃が肩と脚を抉った。

 

「治すの止めろ! もうグリーフシードはほとんど使っちまったぞ!」

 

「止めたら動けないでしょ……!!」

 

杏子が腕を掴み、さやかを無理やり引き起こす。

 

その時。銃声が、黒い靄を貫いた。

 

「二人とも!」

 

マミの指輪から金色の光が伸びる。

だが、二人を引き寄せるはずの光は、渦巻く瘴気に呑まれて大きく歪んだ。

 

「そんな……!」

 

 

次の瞬間。

 

 

「ア゛ッハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!」

 

 

頭上から、哄笑が降り注いだ。

最後まで残っていた呪印が、赤い火花となって弾け飛ぶ。

 

鎖も。封印も。もはや存在しない。

ワルプルギスの夜は、その身を縛るものすべてから解き放たれていた。

 

 

――カチリ。

 

 

小さな音が、響いた。

 

「……え?」

 

マミが顔を上げる。

 

ギ……ギギギギギギ……!

 

巨体を構成する歯車が、一斉に軋み始めた。

噛み合った無数の歯が、互いを押し、引き、重々しく回転していく。

 

それまで逆さまに浮かんでいた巨体が――ゆっくりと傾いた。

 

ギギギ……ギギギッ……!

 

歯車が、巨体が回転していく。

天地を逆さにしていたその姿が、少しずつ起き上がっていく。

 

「まさか……」

 

マミの顔から、血の気が引いた。

 

やがて。

 

ワルプルギスの夜は――正位置へと立った。

 

一瞬、戦場へ奇妙な静寂が落ちる。

 

そして。

 

 

ワルプルギスの全身から、膨大な魔力が解放された。

 

 

ガ オ ン ッ!!!!!!

 

空間そのものが、破裂した。

 

炎でもない。魔法弾でもない。

解き放たれた魔力そのものが衝撃波となり、ワルプルギスを中心に全方位へ爆発的に広がっていく。

 

 

最初に呑み込まれたのは、周囲に残っていた使い魔たちだった。

 

人形も。影も。宙を舞っていた異形の群れも。

抵抗する暇すらなく、まとめて宙へ巻き上げられ、彼方へと弾き飛ばされる。

 

ほむらから溢れ出した魔女たちも例外ではない。

 

仮面が、機械仕掛けの異形が、花嫁が、炎の人型が。

黒い瘴気を引きながら瓦礫の向こうへ吹き飛んでいく。

 

そして――

 

地面が、剥がれた。

 

アスファルト。折れた鉄骨。崩れ落ちた外壁。

車両。標識。無数の瓦礫。

 

戦場に散乱していたありとあらゆるものが衝撃波にさらわれ、凶器となって四方八方へ飛散する。

 

「――伏せて!!」

 

マミが反射的に両手を突き出した。

金色のリボンが幾重にも編み上がり、三人の前へ壁を作る。

 

杏子も、さやかの身体を強引に引き寄せ、その前へ身を滑り込ませた。

 

 

直後。

衝撃波が、三人を呑み込んだ。

 

バヂンッ!!

 

金色の壁が、一瞬で弾け飛ぶ。

 

「――っ!?」

 

防ぎきれない。

魔力の奔流だけではなかった。その中を、巻き上げられた無数の瓦礫が飛び交っている。

 

鉄骨が。コンクリートが。ガラス片が。

暴力的な速度で、三人へ叩きつけられた。

 

「ぐっ――!!」

 

マミの身体が宙を舞う。

杏子は咄嗟にさやかを抱え込む。

だが、二人まとめて凄まじい勢いで吹き飛ばされ、何度も地面を跳ねた。

 

最後に。

 

ズガァァァァンッ!!

 

瓦礫の山へ叩きつけられる。

遅れて、大量の粉塵が舞い上がった。

 

「……杏、子……」

 

「動くな……!!」

 

杏子はさやかを庇ったまま、身を起こそうとする。

 

だが、片腕が潰れていた。

槍を握ろうとしても、指に力が入らない。

 

少し離れた場所では、マミも崩れた壁にもたれかかるように倒れていた。

 

「う……っ……」

 

震える手を持ち上げる。

銃を作ろうと金色の魔力を集めるが――形になる前に光が散った。

 

意識が定まらない。

魔力を練ろうとしても、思考が形になる前に霧散していく。

 

さやかも、残った剣を杖代わりに立ち上がろうとする。

 

「……っ」

 

膝が崩れた。

 

 

たった一度、魔力を解放しただけで。

ほんの数秒前まで戦線を維持していた三人は、誰一人として立ち上がれなくなっていた。

 

少し離れた瓦礫の中では、ほむらも横たわったまま動けない。

砕けた身体が痙攣しながら、魔女のかたちを維持できなくなっていく。

 

戦場そのものも、様変わりしてしまった。

 

使い魔は四方へ吹き散らされ。

ほむらから溢れ出した魔女たちも、黒い瘴気を引きながら瓦礫の彼方へ転がっている。

 

その中心。

正位置となったワルプルギスの夜だけが、悠然と浮かんでいた。

 

ゆっくりと、その頭部が、満身創痍の三人へ向けられる。

 

巨大な影が、抵抗する力を失った彼女たちを覆い尽くした。

 

 


 

 

…………え?

 

……えっ???

 

――ちょ、ちょ、ちょっと待って。

 

>PAUSE

 

いや、待って。 待ってください。 なんですかこれ。

 

……暴走。 これ、暴走してます。 完全に。

ええと、落ち着け。 状況を整理しましょう。

 

>警告:MPが暴走ラインを下回りました。

>ステータス異常:《暴走》

 

……そう、これなんですよ。

 

今のほむほむって、取り込んだ魔女たちを、魔力――つまりMPで無理やり押さえ込んでいる状態なんですね。

で、そのMPが一定値を下回るとこうして抑えが利かなくなって、中の魔女が一斉に暴れ出します。

 

暴走そのものは分かる。分かるんですけど。

 

……おかしい。 絶対おかしい。

 

計算上は、ギリギリ暴走ラインの上に収まるはずだったんですよ。

マージンは削れたとはいえ、それを加味しても。

 

なのに、なんで――なんで、足りてないんだ???

 

 

(攻略Wikiを開く音)

 

ちょっと待ってくださいね、消費MPのデータもう一回確認します……

 

……あれ。

 

……えっ。

 

>パッチノート ver.2.14.0

>・一部スキルの消費MPを調整しました。

>・魔女スキル(光属性)の消費MPが10%増加。

 

……。

 

…………。

 

――あ゛ーーーーーーーッ!!!!

 

やられた。 やられました。 アプデだ。

最近のアップデートで、レイヨンの消費MPが増えてる!!

 

あろうことか私、これを完全に見落としてました。

アプデ前の消費MPを参照して、そのままチャートを組んでたんです。

 

 

……やっちまった。 痛恨のガバです。 これはもう、言い訳できない。

これで、ワルプルを倒し切るチャートは完全に、破綻しました。

 

 

……終わった。 いや、まだだ。 まだ手はある。

時間さえ稼げば……時間経過でまどかが契約するから……まだ詰みじゃないはず。

 

……とりあえず、再開します。

 

 

>ワルプルギスの夜:正位置モード

()()を満たしたため、特殊行動パターンへ移行。

 

>ワルプルギスの夜:魔法発動

>《Magieabsorptions-Tentakel》

 

>ワルプルギスの夜の巨体が、びくりと震える。

 

>幾重にも重なった歯車の隙間から、暗紫色の魔力が噴き出した。

>魔力は宙を這い、細長く伸びながら、無数の触手へと形を変えていく。

 

……え、待って、なにこれ?

 

>マミ、杏子、さやかは抵抗する間もなく触手に巻き取られ、そのまま地面から引き剥がされた。

 

え、待って、待って。

見たことないぞ、こんな技!?

 

>三人を拘束した触手が、脈打つように明滅する。

 

>巴マミ

>《MP残量:21%》

>《MP残量:18%》

>《MP残量:14%》

 

>佐倉杏子

>《MP残量:26%》

>《MP残量:20%》

>《MP残量:15%》

 

>美樹さやか

>《MP残量:19%》

>《MP残量:13%》

>《MP残量:8%》

 

 

うわMP吸ってる!これ、魔力吸収か!

え、こんな技持ってたっけこいつ!? Wiki書いてあった!? 検証勢情報求ム!!

 

>さらに別の触手が、ほむらから溢れ出した魔女たちへ伸びる。

 

>烏の翼を絡め取り、機械仕掛けの異形を貫き。

>仮面の影も、炎の輪郭も、黒い瘴気ごと次々と捕縛していく。

>捕らえられた魔女たちの輪郭が崩れ、魔力の奔流となって触手の中を逆流していく。

 

おいおいおいおい、三人だけじゃないのかよ。

飛び出した魔女までまとめて吸収してやがる……!

 

Walpurgisnacht

████████████████████████

 

Oh……HP、回復してる。

 

>ワルプルギスの夜

>《ATK上昇》

>《DEF上昇》

>《MAG上昇》

>《SPD上昇》

 

ちょっと待ってくれよステータスまで上がってるじゃんか。

 

これ、まさか――

魔力を吸い尽くした相手を、そのまま取り込む技……?

 

>警告:巴マミ、佐倉杏子、美樹さやか――MP枯渇。

>ソウルジェム濁度、限界値に到達。

 

「「「ビ キ ッ」」」

 

>《WITCHFICATION》

 

>巴マミの姿が、黄金の光に包まれる。

>その輪郭が膨れ上がり、人の形を失っていく。

 

 

Candeloro
 

 

 

 

……え。

 

 

>佐倉杏子の全身から、赤黒い炎が噴き上がる。

>砕けた槍が無数の影へ分かれ、その体を覆い尽くした。

 

 

Ophelia
 

 

 

 

ちょ……

 

 

>美樹さやかの体が、青い魔力の奔流へ呑み込まれる。

>周囲に巨大な車輪と、錆びついた剣が浮かび上がった。

 

 

Oktavia von Seckendorff
 

 

 

……は????

 

 

>三人は次々と魔女へ姿を変えていく。だが、結界を展開する間すら与えられない。

>触手が新たに生まれた魔女たちへ食い込み、その輪郭を内側から崩していく。

 

>三体の魔女は魔力の奔流へと変わり、ワルプルギスの中へ取り込まれていった。

 

Walpurgisnacht

████████████████████████████████████████████████

 

Phönix

>HP:1

>MP:0

>ステータス異常:行動不能

 

……あー。

……もう、だめだぁ……。

 

こんなん、リセットするしか……ないじゃん……。

 

 

 

……ん?

 

――あれ……画面、暗くなった?

 

……ああ、そうか。 そうだよ。 そうだった。

そうですよ。 忘れてました。

 

 

>Now Loading...

 

よっしゃあああああああッ!!!

 

待ってたぞ、まどかァ――――ッ!!!!




次回、最終話です。
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