(X:@pannda_kiyo)
担当戦隊は「トッキュウジャー」になります。
「さーて、今日の世直しはと…」
日曜の昼間に街をうろつく妙な男の名は、熊手真白。
かつてゴジュウウルフとして指輪争奪戦を勝ち残り、一度は世界を救った男だ。
「熊手に世直しされたい奴はいないクマ〜?」
そんな彼は相棒のベアックマと共に世直しの対象を探していた。
「平和はいいことだが…俺様が暇になるな」
好物のハチミツを飲みながら街を彷徨っていた熊手の元に、一人の男が現れた。
「もしや…お主が指輪の戦士なるものか」
どこか和風なパーカーに身を包み、古風な口調で話すその青年は熊手と相対するに相応しい不審者だった。
「そういうお前も指輪の戦士か…見たところ成り立てホヤホヤだな?」
「間違ってはいない…そして、指輪持ち同士は己の指輪を賭けて戦うのだったな…行くぞ!」
青年は右の人差し指につけていた指輪を外し、勢いよく回転させる。
そこに描かれているのは虹色の烈車と赤き烈車の戦士。
「エンゲージ!!」
『センタイリング!』
巨神・テガソードの叫びを背に受けながら一回二回、また一回とリズミカルに手を叩いていく。
最後に二回…まるで腕に着けたブレスを引くように…手を叩くと青年の姿が変化していった。
『トッキュウジャー!!』
『トッキュウ〜〜1 号〜1 号〜〜』
「我が名は、
「なるほど、トッキュウジャーか……また妙な奴が選ばれたもんだな」
「妙で結構。お主もエンゲージなされよ」
「言われなくとも…」
熊手が指輪を外そうした瞬間、大きな悲鳴があたりに響いた。
「…どうやら指輪争奪戦の前にやることが出来ちまったようだな!」
「む…? えっ、あっちょっと…待たれよー!?」
熊手は悲鳴の響く先へ駆け出し、葉面も呆気に取られながらもそれを追いかけていった。
「HAーHAッHAッHA!! どいつもこいつもウィークね!」
「やはり…ノーワンか」
「のーわん…? 何かわからぬが面妖な奴だな…」
「お前が言うクマ〜?」
熊手達が駆けつけた先にいたのは、ノーワンワールドより現れし異形の怪人。
「ミーこそは、ノーワンワールド・忍者ナンバーワン! もしかしてユーらが指輪の戦士って奴か〜い?」
忍装束を纏った骸骨のような姿をした怪人は、熊手達に目を向ける。
…最も、忍装束は真っ赤な上に、何故か左の肘から先はジャガーの頭と体になっているのだが。
「ここで会ったがタイム・イズ・ハンドレッド!! ミーと忍者ナンバーワンバトルで勝負してもらうよ〜〜〜ん」
「なんばーわんばとるとは何だ…?」
「要は、あいつに負けを認めさせればいいんだ。しかし忍者か…どうするかな…」
【忍者ナンバーワンバトル・Ready fight!!】
「え〜ではではまずミーから。忍者とは! 影にインしてヒューマンをキルするもの!!…こんな風に」
そう言うと、忍者ノーワンは素早く動き回り逃げ遅れた人間を次々に取り込んでしまった。
「あいつ人間を取り込むクマ〜!?」
「HU ッ HUッ HU ッ…ざっと 8 人くらいキルしたメーーン? この調子でどんどんキルするイェ〜〜イ!」
「……待たれよ」
再び人間を取り込もうとする忍者ノーワンの前にトッキュウ 1 号……葉面が立ち塞がる。
「恐らくこれは、誰が一番忍者であるかを競う戦いなのだろう……ならば発動! "
葉面が腕を突き出すと、忍者ノーワンの身体が輝き、サルの車掌のような姿に変えていった。
「What!? 何何何このチープなファッションは!?」
「これぞ我が指輪の能力、 "
「…………それだけか?」
「うん、それだけ」
「「「「…………………」」」」
トッキュウ 1 号は叩き斬られ、"想像"は解除された。
「グハッ……! 何故だ…!」
「こいつアホクマ〜」
「YARE YARE、なんだか興冷め…一度出直すヘ〜イ」
「待て!」
熊手の静止も虚しく、忍者ノーワンは逃げ去ってしまった。
「クッ…! 無念……!」
「……おいトッキュウ 1号。奴を倒すまでは一時休戦といくぞ。あいつはどうにも被害を広げそうだからな」
「ああ…そうしよう……」
一時共闘することになった熊手と葉面はひとまず喫茶店で休憩することになった。
「……で? お前の願いはなんなんだ」
「…む? そういうのって言っていいのか?」
「構わねえ、これもついでの世直しだ」
「いやそっちの問題ではなく…まあいいか、拙者の願いは『鎧武者になること』だ」
「ほう」
葉面は強く拳を握りしめ、願いへの思いを語る。
「鎧武者……鎧を纏い戦場を駆ける、勇ましき武士!拙者はずっと憧れ、その憧れを実現させる為にテガソードと契約した! ………だが、少し迷っているのだ」
握りしめた拳に視線を落としながら葉面は続けた。
「鎧武者など、所詮は過去の遺物……今の世に目指すことなど間違っているのではないかと」
「大それて、古ぼけた夢……それならいっそ捨ててしまった方が楽ではないか」
「……そう思う自分がいるのだ」
「…なるほどなぁ」
暗くなった空気を変えようと、葉面は声を明るくする。
「…さて! 今度はお主の番だ。どんな願いを…」
葉面が聞き出そうとした矢先、再び大きな悲鳴が二人のもとに響いた。
「……現れたか! 行くぞ鎧武者志望!」
「ああっもう……! なんでいつも拙者の言葉は遮られるのだ! それにあいつに勝つ策はあるのか!?」
「それならちゃんと用意したさ。…だから行くぞ!」
「くっ、またこのパターン……待たれよー!」
熊手と葉面がたどり着いた時には、既に何人もの人間を忍者ノーワンが取り込んだ後だった。
「HA ッ HAッ HA。 ちょいとスローだったんじゃないかい? 今んとこミーが忍者ナンバーワンって感じイェイ?」
「悔しいが、奴の言う通り……! "想像"が効かない以上拙者に出来ることはない……!」
「安心しろ。策ならある」
そう言って熊手が指を鳴らすと、大勢のスタッフの群れが現れた。
イソイデジュンビシロー!
ソノキザイハアッチダー!
「なっ…! これは一体…!?」
「いや〜熊手さん。今回も番組への出資、ありがとうございます〜」
スタッフの群れから現れたのは、東映株式会社のプロデューサー・関本カズだった。
「貴方は関本さん…! となると、これは…!」
「……忍者の本質は人を斬ることじゃない。忍者とは言わば…役に成り切ることだ!!」
機材の設営が終わり、熊手にスポットライトが当たる。
「その為に撮影技術ナンバーワンの会社を呼んでやったのさ! さあ世直し、もとい…撮影の時間だ!」
「『仮面忍者熊手様』スタートクマ〜!!」
熊手は白き拳に指輪をはめ、破壊の王子との契約を交わす。
「エンゲージ!!」
手を叩く代わりに軽いウォーミングアップを済まし、拳を勢いよく叩きつける。
『ゴジュウポーラー!!』
「な〜んだかサイレントで見てればカッコつけちゃって! 全然忍者っぽく…」
「オラァッ!」
「ギャビーッ!」
噛みつこうとする忍者ノーワンを殴りながら、声を張り上げた。
「鎧武者志望! お前、さっき俺様の願いを聞こうとしてたな!」
「…? …ああ」
「俺様の願いは…………神になることだ!!」
「神!? 流石に神は……」
「時代がなんだ! 大きさがなんだ! テメェがなりたいって思ったンなら、それに向かって突っ走ってみろ! そんなんじゃなりたいものどころか、何者にもなれねぇぞ!!」
「…!」
「人、をっ…! パンチしながっら…! ティーチを説くなぁ!!」
「…ついでに、コツも教えてやる。なりたいものがあるなら、思いっきり演じてみろ。」
「……演じる……」
「そうすりゃ、その内自然に…っと」
ゴジュウポーラーのラッシュからなんとか抜け出した忍者ノーワンは憤慨しながら二人に叫ぶ。
「もーーーメニーも人を殴っちゃって! こうなりゃユーらも取り込んでやるッヘーイ!」
「…どうする? 『鎧武者志望』」
「…………お主の言葉、響いたぞ……いいだろう、ならばこの撮影全力で演じてやろう!!」
「エンゲージ!!」
『いざ掴めぇええええええ!!!!!
ナンバーワァアアアアアン!!!!!』
リン!ゴン!リンゴンカーン!!
「シャドーに紛れて人をキル!
刃のハートな忍者ノーワン!
ヴィーナス・ゴージャス・デンジャラァス!」
『ウェェエエエ!!!!!』
ゴー!ゴー!ゴジュウジャー!!
「神も忍者も、演じることが第一歩。
世直しゴッドネス ゴジュウポーラー!!
…ほら、お前もやってみな?」
ゴー!ゴー!ユニバース!!
「幼き頃から追い求め…
未来にそれがあるならば。
トッキュウ 1 号いざ参る
夢への線路は、今見えた…」
『忍者!ナンバーワンバトル!!
Ready〜〜〜Fight!!』
「出発……進行!!」
「さあ〜さあ熊手さん達なんだか盛り上がってるぞぉ〜。お前ら!モレ無く撮れよぉ!」
関本 P の主導の撮影が続く中で、忍者ノーワンは高速で動き回る。
「HA ッ! このスピード、キャッチ出来るものならドゥしてみろ!」
「確かに、あの速さは少し厄介だな…」
「ならばここは拙者に任せろ! "想像"!」
トッキュウ 1 号が"想像"を発動すると、その姿が変わっていく。
それは鎧を纏った武士…鎧武者のような姿に変化を遂げていた。
「名付けて、鎧武者トッキュウ 1号…」
「HU ッ、所詮は見た目が変わっただ…ンゲェッ!?」
言い切る前に、忍者ノーワンは鎧武者トッキュウ 1 号に叩き切られた。
「確かに、見た目が変わっただけ…だが、今の拙者は身も心も鎧武者だ!!」
「訳の分からないこと…ウォゥ!」
今度はゴジュウポーラーに言い切る前にぶん殴られた。
「中々演技が上手いじゃねえか、鎧武者志望」
「伊達に長年鎧武者志望をやっていた訳ではないということだ……行くぞ!!」
そのまま反撃の隙を与えず、二人は忍者ノーワンを追い詰める。
「ち、ちょっと! ストップ! I want stop!!」
「いちいちうるせぇ! …オラァッ!」
「ああん!」
宿主となっていた人間も手早く救出され、元の場所へと戻っていった。
「このまま決めるぜ!!」
「うむ!!」
『フィニッシュナックル!!』
『トッキュウジャーフィニーーーッシュ!!』
「ZU ッ BAAAAAN!!!」
静止の要求虚しく、二人の必殺技が直撃した。
…が、それでも爆散せず忍者ノーワンはなんとか立ち上がる。
「ヌッ…グッ…ノォオオオ………まだ…まだフィニッシュじゃなあああい!!!」
「今のを受けてまだ立つとはな…」
「中々タフだな…」
「こ〜〜なったら!! 秘技・忍法アイアイザー変化の術!!」
忍者ノーワンが印を結ぶと、その姿がアイアイザーへと変化していった。
「おおっロボットになったぞ!」
「そしてカモン! オトモ・ニンジャブロウ!!」
「はいは〜い! ニンジャブロウ、只今乗り込むでゴジャル〜!」
オトモ・ニンジャブロウと呼ばれるアーイーが乗り込むと、アイアイザーとなった忍者ノーワンはその巨体で暴れ回る。
「あ、あの大きさは流石に…」
「いけるぜ、来い! グーデバーン!」
『アウェイキング!』
熊手がその名を呼ぶと、白き拳は人の形になり、闘う為の巨体を露わにした。
「頼むぜ、グーデバーン」
「はい! 行きましょう熊手さん!」
「HA ッ! 誰がカムしても同じこと!」
アイアイザーは持っていた刀を手裏剣のように投げつける。
…がグーデバーンはそれを弾き返し、一気にラッシュに持ち込んだ。
「ウリャリャリャリャリヤ!!!」
「うげえっへえ!? パーフェクトに効いてない!?」
「これでフィニッシュ…」
「の前に、"想像"」
「お前…いつの間に!?」
いつの間にか乗り込んでいた鎧武者トッキュウ 1 号が"想像"を使うと、グーデバーンの両腕が烈車のような形に変化した。
「これは…トッキュウオーの…」
「トッキュウオーとやらが何かは知らぬが…これもまた演じるということにさせてくれ」
「…良いぜ。いくぞ!!」
「俺様鉄拳! トッキュウオーver.!!」
「面目ないでゴジャル〜〜!!」
「アイエーーーーー!!!!!」
「忍者ナンバーワン…そして! この撮影の主役は俺様で決まりだ!!」
『Winner!! KUMADE MASHIRO!!』
…こうして、忍者ノーワンに取り込まれた人間は救出され、『仮面忍者熊手様』の撮影は終わった。
「いや〜熊手さん、今日はありがとうございました!」
「ああ、次はドキュメンタリーでもやるか?」
「そりゃあいいですね〜! …お前らー撤収だー!!」
ハーイ!!
「……さて、鎧武者志望。やるか?」
「その前に! 世直し代の請求クマ〜!」
「おい、ベアックマ。今回は…」
「ノーワンから取り損ねたから、こいつにはキッチリ払わせるクマ〜!!」
「…ふむ、世直し代か。ならば…」
葉面はつけていた指輪を熊手に差し出した。
「…この指輪でどうだ?」
「…いいのか?」
「お主からは大切な事を教えられた。そのお代ならば、安いものよ」
「…そうか」
熊手は指輪を受け取るとそれを懐にしまった。
「…それにしても、役者というのも悪くないな! 鎧武者役とかもありそうだし!」
「ほう、中々良い考えだな。だが…役者を目指すなら口調は崩れないようにしねぇとな」
「…………バレてた?」
次の瞬間、葉面は…子供の姿になっていた。
「お前、小学生だったクマ〜!?」
「トッキュウジャーの指輪は、何故だか子供を選びたがる……前回もそうだったからな」
「いやあ、"想像"で見た目を変えたのは良かったけど、戻すタイミングがなくってさあ…ま、色々楽しかったぜ! じゃあな〜!」
そう言って葉面蕾華は未来の線路へ進んでいった。
「という訳で! 俺様の映画が公開されるぞ!」
「お前ら見るクマ〜最低 50 回は見るクマ〜」
「ンな金あるかよ! てかあっても見ねぇよ!」
「まさか、ゴッドネス熊手に主演映画を先越されるなんてね…」
「熊手なんかを主役にするとは、大丈夫なのか?製作会社は」
「まあまあ、中々楽しそうじゃないか! 僕は見に行くぞ!」
「え〜禽じいこんなの見るの〜?」
…こうして、語られなかった指輪の物語は幕を閉じ、熊手真白の銀幕は上がっていった。
終わりクマ。
葉面 蕾華/トッキュウ 1 号
「幼き頃から追い求め…
未来にそれがあるならば
トッキュウ 1 号いざ参る
夢への線路は、今見えた…」
指輪/センタイリング トッキュウジャー
契約者/葉面蕾華
職業/小学生
願い/鎧武者になりたい
「想像(ヴィジョン)」の能力を使い、自身や周囲の物の見た目を自在に変えることが出来る。
その正体は小学生であり、自らの夢に悩みを抱いていたが忍者ノーワンとの闘いの中で熊手に諭され、吹っ切れる。最後は世直し代として熊手に指輪を渡し、指輪争奪戦から脱落した。
葉面蕾華/鎧武者トッキュウ 1 号
葉面が「想像」の能力を使い新たに生み出した形態。トッキュウ 1号が鎧武者の鎧
を着込んだような姿をしている…が、あくまで見た目が変わっただけである。武器として線路を模した刀であるレールヤイバーを持つが、これもレールスラッシャーの見た目が変わっただけである。
忍者ノーワン
「シャドーに紛れて人をキル!
刃のハートな忍者ノーワン!
ヴィーナス・ゴージャス・デンジャラァス!」
身長/187cm
体重/192kg
秘技/ニンジャラスソード、忍法・アイアイザー変化の術
生成ワード/忍者、忍法、忍装束、人間、ナンバー1
夢見る小学生・関根の「忍者になりたい」という願いを元にジェネレイティブされたノーワン怪人。混じってしまったジャガーのように、誰にでも噛みつきたがる性格である。ニンジャラスソードを振り回しながらの高速戦闘を得意とする。奥の手として忍法・アイアイザー変化の術を持ち、パイロットであるオトモ・ニンジャブロウと共に暴れ回る事が出来る。
葉面蕾華、真白に忍者ナンバーワンバトルを挑んだ。
・忍者ナンバーワンバトル
誰が一番忍者であるかを競うナンバーワンバトル。忍者ノーワンは、影に紛れて人を斬る事が忍者であるとし、次々と人を襲いナンバーワンに躍り出る。しかし、本当の忍者とは演じることであると考えた真白によって、戦いそのものを映画に変えられ逆転されてしまった。
勝者/ゴジュウポーラー・忍者ナンバーワン
アイアイザー・ロータス
【全長】 52.5m
【重量】 2750t
【装備】 ニンジャラスソード
忍者ノーワンが忍法・アイアイザー変化の術で変化した姿である、忠臣パイロットのオトモ・ニンジャブロウ専用の忍戦闘型ドレスガード。素体となる人間を失った忍者ノーワンが奥の手として変化・出撃させた。ニンジャラスソードを手裏剣のように投げつけ、忍びなれども忍ばないファイトスタイルを得意とする。パイロットであるオトモとの連携で優位に立とうとするも、最後はグーデバーン(トッキュウオー)の「俺様鉄拳・トッキュウオーver.」を受けて敗北した。