(X:@GAI_2daime)
担当いただいた戦隊は『デンジマン』になります。
僕の名前は犬飼大慈。突然だが君には何か願いはあるだろうか?僕にはある。それは、ボクシングナンバーワンになることだ。
きっかけは昔父さんに連れられてボクシングの試合を見た事だ。あの日見た選手達の姿を見て僕は必死に努力をして、ボクサーになることができたのだ。
しかし、中々に戦績が振るわず食っていくだけでも精一杯の生活を続けていた。もう引退してしまおうか、そう考えて道を歩いていたある日の事である。
ふと路地裏に目が着いた。そこには、ガラの悪い男達が、一人の気弱そうな少年を取り囲んでいた。どうやらカツアゲをしようとしていたようだ。僕は助けようと路地裏に飛び込もうとしたが、足が止まってしまった。
相手は複数人で力もありそうだ、負けてしまうかもれない、それに、暴力沙汰で選手生命が終わってしまうかもれない。そんな考えが頭をよぎり、その場を去ってしまった。
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それから少し歩いていると、道に金色の何かが落ちていた。
「なんだこれ?指輪…?」
気になって拾い上げると、胸にエコ(?)の文字が書かれいる青いロボットの絵が付いた指輪だった。突如として周りが何も見えない真っ暗闇だけの空間へと変わった。
「さぁ、願いを言え」
暗闇の中から赤い頭に黄金色の身体をした巨人が目の前に現れ、こう言った。
「な、なんなんだよお前!?」
「我が名はテガソード、指輪の戦士となり、全ての指輪を集めろ、そうすればお前の願いを叶えてやる」
「ね…願いを…?」
その時僕の頭の中に一つの言葉が浮かんだ。
「ボクシング…ナンバーワン……僕の願いはボクシングでナンバーワンになることだ!」
願いを叶える、この時の僕にはものすごく魅力的な言葉に思え、目の前の巨人の正体はどうでもよく思えた。
願いを叫んだ途端、気付けば元の道に戻っていた。
「あれ…?」
さっきのはなんだったんだろう、夢だったのだろうか?しかし右手人差し指にはあの拾った指輪が着いていた。
「…戦士になり指輪を集めろ、か…」
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次の日、僕は人気のない海辺で指輪の力を試してみることにした。指輪を外し、サークル部を回転させる。
「エンゲージ!」
頭の中にふと思い浮かんだ言葉を叫んだその時、青く透き通った刃の付いた、銀色の手の形をした剣が右手に現れる。
その銀の手の中指部に指輪をセットする。
『センタイリング!』
どこからかあの巨人の声が響いた。僕は三回ほど手を叩き、持ち手に付いたボタンを押す。
『デンジマン!』
僕の姿は赤い強化服に身を包み、頭に煌めく電磁メカが付いた戦士、デンジレッドへと変わった。
「これが指輪の戦士…」
身体が軽い、身体の奥底からモリモリ力が湧いてくる。そして、まるで頭の中に直接マニュアルが埋め込まれたかのように、様々な技が浮かび上がる。
「デンジパンチ!」
銀色の金属で出来た手袋のようなモノが両手に装着される。
「ハァッ!」
近くにあった岩に拳を叩き込む。すると火花が大きく散り、岩は粉々に砕け散ってしまった。
「…っ!すごい…!これならどんなやつにも勝てそうだ…!全ての指輪を集めてボクシングナンバーワンになってやる!」
それから僕は毎日その海辺で指輪の戦士のトレーニングを始めた。色々と試したが、結局のところデンジパンチが一番扱いやすい装備だった。まぁ、ボクサーだから当たり前のことではあるが…。
指輪を手に入れてから三週間ほど、僕はいつものようにトレーニングに向かっていた。
「キャーッ!」
突如どこかで誰かが叫ぶ声が聞こえた。誰かが助けを求めている…、今この力があれば助けられるかもしれない、だから僕は急いで向かうことにした。
現場へ着くと、銀色の鐘のような頭をした集団が人々へ襲いかかっていた。
「やめろ!」
僕は鐘のバケモノ達に向かって叫んだ。
「キーン!?」
鐘のバケモノ達は、鐘の音のような声を上げ一斉にこちらへと視線を向ける。
「皆を襲うのをやめろ!僕が相手になってやる!」
さぁ、今こそ指輪の力を使う時だ。気合を入れ指輪を外し、サークルを回転させる。
「エンゲージ!」
僕は指輪をセットし、デンジレッドへと姿を変えた。
「来い!」
僕の掛け声を聞き、奴らは僕目掛けて襲いかかってきた。最初に近いて来た者の腹目掛けて、僕は渾身のボディーブローを叩き込んだ。しっかりとダメージが通ったようで、相手は怯み少し後退をした。
「デンジパンチ!」
その隙に、僕は即座にデンジパンチを装着して顔面目掛け右ストレートを打ち込む。カーンと甲高く心地のいい音色が辺りに響き渡り、オレンジ色の火花が散った。どんどんと向かってくる奴らに対し、僕は次々に拳を叩き込んで行く。
何体か倒すと、リーダー格と思わしき頭の鐘が金色の者が声を上げた。
「なかなかやるな!だが次はこのジューケン・ゲキが相手だ!」
ジューケンと名乗る奴はこちらへ向かって走りながら続けて声を上げる。
「貴様を倒して指輪を女王様に献上するのだ!」
「女王…?うわっ!?」
ジューケンは手に持っているトンファーをクルリと回し、横一文字に振る。僕はギリギリのなんとか避けるも、体制を崩してしまった。
「足元がお留守だぞ!」
「あっ!」
僕はジューケンに足を蹴られ転ばされてしまった。地面に倒れる僕の顔面に対し、奴は拳を叩き込もうとする。拳が顔面に到達する前に、僕は奴の鳩尾の辺りに思い切り蹴りを入れた。
「ぐへっ!」
怯んでいる隙に、僕は即座に立ち上がり体制を立て直す。そして反撃だとばかりに渾身の右フックを奴に打ち込んだ。さっきの銀色の奴らよりも心地のよい鐘の音が響く。
「もう一発!」
僕は更に左フックを打ち込もうとするが、奴はトンファーで受け止める。
「貴様…!大人しく指輪を渡せ!トンファーキック!」
ジューケンはそう言いながら僕の鳩尾目掛けケンカキックを繰り出した。だが僕はその蹴りをかわし、奴の胸元にワンツーパンチを入れる。そして続けざまに僕は奴の頭にどんどんと拳を叩き込んで行く。
「悪いけど…!この指輪は…!渡さないよ…!」
何十発もの拳を叩き込むと、奴はカンコンと音を鳴らしながら頭をフラフラさせる。
「トドメ…!」
僕は最後の一撃として顎目掛けてアッパーカットを繰り出す。勝利のゴングの如く、鐘の音が大きく響き渡り、奴は空高く打ち上がった。
『WINNER!!デンジレーッド!!』
僕は勝った……勝ったのだ!喜びに打ち震えて、僕は腕を天高く突き上げた。
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それから数日、僕はまたアイツらが出てきていないか探していた。
すると、前から黒いジャケットを着て、ニョロリとした長い前髪をした男が歩いてきた。僕はその男にどこか見覚えがあった。
「……!クオンAIコンツェルンの社長…!」
そう、彼は大企業クオンAIコンツェルンの社長、クオンだった。なぜそんな人がこんなところを歩いているんだろう、そう疑問を持った時、クオンは突如僕に声をかけた。
「やぁ、突然ですまないけど、君のその指輪、僕にくれないかい?」
「指輪の戦士…!悪いですがそれはできません…!」
それを聞いたクオンはどこか狂気的な笑みを浮かべた。
「じゃあ…奪い取るしかないね、エンゲージ」
そう言ってクオンは白い指輪を外し、いつの間にか右手に持っていた白い手型の銃に指輪をはめる。
『ガリュード!』
クオンは胸に赤いバツ印と、黒いボロボロのマントを付けた戦士になった。
「エンゲージ!」
『デンジマン!』
僕も対抗するためにデンジレッドへと姿を変える。その瞬間クオンは僕に銃口を向け発砲する。
「うわっ!」
放たれたエネルギー弾が僕に着弾し、火花が散る。
距離があっては不利だと考えた僕は折りたたみ式の剣、デンジスティックを取り出す。
「デンジウォーター!」
僕はデンジスティックの剣先から高圧水流を放水する。それを正面から食らったクオンは怯み後退する。その隙を見て僕は高く飛び上がる。
「デンジジャンプ!」
飛び上がった僕はデンジスティックを持った腕を振り上げる。
「電子稲妻落とし!」
落下と同時に、クオン目掛け振り上げた腕を思い切り振り下ろす。しかしクオンをヒラリと避ける。ドカンと大きな音とともに地面にクレーターが出来た。
「当てられなくて残念だったね」
僕が立ち上がった瞬間、背中に氷のようにヒヤリと冷たい感覚が走る。
「グハッ!?」
背中に強い衝撃を受ける。僕はその衝撃に耐えれず、膝を着き、倒れ込み、意識が闇へと沈んでいった……。
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目を覚ますと僕は病院のベッドにいた。道端に倒れていた所を誰かが救急車を呼んでくれたようだった。ふと右手を見ると、指輪は姿を消していた。争奪戦に負けたのだ。
その夜、ベッドの中で考えた。誰かに叶えてもらえる形で手に入れるナンバーワンでいいのだろうかと。ナンバーワンというのは自分で掴むからこそ良いのではないかと。
そう考えた僕は退院後、今までよりも厳しいトレーニングを開始した、自らの手でボクシングナンバーワンを掴むために。
デンジレッド
指輪/センタイリング デンジマン
契約者/犬飼 大慈
職業/ボクサー
願い/ボクシングナンバーワン
デンジパンチを使いアーイー達と交戦し、勝利を収めたが、後日リングハンター・ガリュードの襲撃に会い指輪争奪戦から脱落した。