しののんさんの作品です。
(X:@OMi34mzEih51823)
これは吠が指輪を手に入れ、竜儀達に会う少し前のお話。
「参ったな…」
僕は街で思わず苦言を漏らした。
だから指輪の力なんて嫌いなんだよ…
少し前
僕、新堂研は散歩ついでに指輪の戦士を見つけるため街を歩いていた。どうやら計50人ほど指輪の戦士はいるらしいから歩いていれば誰か1人くらいには会うだろう、そう思っていた。
僕がテガソードとかいうどう見ても怪しいやつから与えられたのはゲキレンジャーの指輪。各指輪それぞれにある固有の能力は
だけど僕は全ての指輪を集めなければならないんだ、僕の願い、「ピアニストNo1」となり、あの忌々しい暴神竜儀を超えるという願いを叶えるために…
学生の頃、僕は数々のピアノコンサートを総なめした、いわゆる「神童」だった。
天才ピアニストと呼ばれた母の厳しい指導の元、僕はピアニストNo1になった、つもりだった。
高校最後の大会、突如として現れ、最優秀金賞を僕から奪っていった男、暴神竜儀…
僕は彼に負けてからというもの、今まで頂点にいたのに急に引きずり下ろされたような感じがしてとても不愉快だった。しかし、最も不愉快なのはそこじゃない。あいつはあの大会以降ピアノの世界から姿を消したことだ。僕はぽっと出のあいつに負けたことが何としても許さなかった。母もそんな僕に愛想をつかし、何も言ってこなくなった。
僕は、全ての指輪を揃え、ピアニストNo1になってみせる。母、そして暴神竜儀を超える。それが僕の願いだ。
と、息巻いたは言いものの、実際僕は学生時代ずっとピアノしかしてないため運動が苦手だ。戦うことなんて以ての外、そんな僕がこの指輪争奪戦を生き残ることができるのだろうか。
ゲキレンジャーという戦士は知らないが、ユニバース戦士として戦っていくうちにこの戦士の戦闘スタイルが少しわかった。どうやら中国武術を使う戦士のようだ。
僕は基本的に西洋の文化を好むため中華はあまり知らず、ヌンチャク?とかトンファー?とかいう武器が内蔵されていたがよく分からない。扇のようなものも出てきたが中国人はあんなものを武器として使っているのか…?
「ゲキワザ」というオーラのようなもので動物を具現化する技もあったが、僕は暴神竜儀の次に動物が嫌いなんだ。動物を具現化する技なんて使ってたまるか。
「チッ!参ったな…」
更に数日前、今日と同じように散歩していたら僕はオーレッドのユニバース戦士と遭遇。そのまま戦闘した。
相手も僕と同じように戦いに慣れてないなら勝てるかもしれない。そう思ったが、彼は強かった。僕じゃ到底勝てそうにないほどには…
その場は
だから、散歩ついでの指輪の戦士探しと言っても実際は誰にも会わないことを心のどこかで望んでいたのかもしれない。もう帰ろう、帰って朝から煮込んである豚の角煮でも食べよう。と思ったそんな時、
「「キャー!!」」
少し遠くの方から叫び声が聞こえたのと同時にその方向から良くない気配をビンビンと感じた。
「参ったな…」
僕の指輪の能力だ。このままこの場所から離れれば恐らく危険に晒されることは無いだろう。そう思い僕はその場から離れようとすると、何か大きい声が聞こえてきた。
「俺はノーワンワールド ピアニストNo1!ピアノーワンだ!貴様ら人間全員、俺様のピアノを聴け!!」
それを聞いた時、僕は声の方向に走っていた。何も考えず、勝手に身体が動く感覚だった
「エンゲージ!」
「ゲキワザ!咆咆弾!」
僕は声の主の化け物に攻撃を入れる。
普段なら動物は嫌いだから絶対に使わない技のはずだが、迷いは無い。今はすこぶる調子がいい。
「誰だ貴様は」
「僕は新堂研。ピアニストNo1となる男だ!」
僕は何を言っているのだろう、こんな化け物に大口を叩いて。だが不思議と頭はスッキリしていた。ピアニストNo1だと?No1はこの僕だ。
「フン!面白い。ではピアニストNo1をかけて勝負だ!」
「いざ掴め!ナンバーワーン!!」
「ピアノは表現!見せてやろう俺のマイワールド!ピアノーワン!貴様はまだまだ銅賞だ!」
「ピアノは理論だ。突き詰めればそのうち答えが見えてくる!天才ピアニスト、新堂研!あいつを超えるために、咲かせてやるよ大輪の花!」
「ピアニストNo1 Battle!!Ready Go!!」
「で、どうやってNo1を決めるんだ?まさかここにピアノを持ってくるのか?」
「その通り!ハァァ!」
そういうと化け物はどこからともなくグランドピアノを取り出してきた。
「これを今から交互に演奏し、良かったと思った人が多い方が勝者だ!先行は私が貰おう」
どんな勝負を持ちかけられると思ったが、思ったよりシンプルな勝負だな。それなら僕にも勝機はある。
「〜〜〜」
月光か。ノーワンワールドピアノーワンとかよく分からないこと言ってたがいい曲をチョイスするじゃないか。
本人もモーツァルトのようなカツラを被っててふざけてるのかと思ったが、腕前もそれなりにいい。だがお前が今弾いてる月光はベートーヴェンの曲で彼はカツラをしなかったはずだが…まぁ気にしない方がいいだろう。
「次は貴様の番だ。やってみろ」
僕は椅子に座り、目を閉じ、鍵盤を感じ取る。僕のルーティーンだ。
僕が演奏に選択した曲である「英雄ポロネーズ」は僕が一番得意な曲だ。
暴神竜儀に負けて以降後悔と嫉妬から封印していた曲だが、今は関係ない。最高の音であいつを打ち負かす。そのためにピアノの弾き方や音の伝わり方を必死に勉強してきたんだ。
良い、体が軽い。今の僕なら足でも弾けそうな気分だ。
音楽は理論だ。
きちんと定めたように指を動かし、人の好みにあうよう適切な弾き方を加えればいい演奏になる、感情なんて、僕の音楽には必要ない無駄なものだ。
フィニッシュ!僕は演奏が終わり椅子から立ち上がった
「どうだ!僕の演奏は!」
「まぁまぁ良かったじゃないか。だが勝つのは俺だ!判定の時間に移ろう」
そういうとピアノーワンは周囲にいた人達へ聞いた。
「さぁ!どちらの演奏が素晴らしかったか、言ってみろ!」
そういうとピアノーワンは自分の周囲に向かって衝撃波のようなものを放った。
「ピアノーワン様の方が素敵でした!」
「ハァ?」
なんだ今のは、今間違いなくみんな僕の方が上手いと言う、はずだった。皆僕の演奏に釘付けだったはずだ。だが結果はピアノーワンの満場一致。あいつ、もしかしてあの衝撃波で印象操作ができるのか?同時に何故か体がゾワゾワしてきた。
「ハハハ!俺の勝ちだ!貴様は私に負けた敗北者だ!」
ピアノーワンは勝ち誇ったように笑う。
「違う!お前は今不正をした!勝負になってない!」
体のゾワゾワは治らない。
「それがどうした?勝負は結果が全てだろう?不正は見抜けない方が悪いんだ!これでピアニストNo1は私のものだ!」
「違う!違う!違う!!No1は僕だ!エンゲージ!!」
僕はその事実と体のゾワゾワを否定するかのようにエンゲージし、ピアノーワンを攻撃をしかけた。
「ゲキトンファー!ロングモード!!勝ったのは僕だ!僕が!ピアニストNo1だ!!」
「フッ見苦しい、アーイー!」
ピアノーワンがそう言った瞬間、どこからか銀色の化け物が無数に出てきた。
「こんなに、チッ!ゲキワザ!咆咆弾!」
さっきから直感がビンビン鳴り響いてる。今すぐここから離れた方がいいかもしれない。だけど!僕は証明しなきゃいけない!僕がピアニストNo1だということを!
「ゲキセイバー!双剣合身!ゲキワザ!波波斬!」
今までが比にならないくらいよく動ける!戦い方もよく分かる!いける!これなら!あいつを倒せる!
「ガリュード」
そう後ろから聞こえた瞬間、僕は胸を撃ち抜かれていた。
変身が解け、地面に倒れる。
「リングハント。
ありがとうピアノーワン。君のおかげで無駄な戦闘せずに指輪が手に入ったよ」
「フン、何も難しくない、簡単なことだ。私はまた人間を襲いに行ってくるとしよう。」
そういうとピアノーワンはその場を離れた。
後ろから聞こえた声の主は僕からゲキレンジャーの指輪を奪っていった。さっきのゾワゾワはこいつの気配だったのか…?
「か…えせ!!!」
「まだ意識があるなんて頑丈だね。でも残念、君はもう戦えない 」
僕の指輪を奪った黒いやつはそう言うとどこかへ去っていった。その刹那少し遠くから声が聞こえた。
「ノーワン!テガソード様のお導きにより!私が倒す!エンゲージ!!」
あれは、!見覚えがある顔…間違えるはずがない。暴神、竜儀!!
やつも指輪の戦士だったのか……ちくしょう…今すぐ戦いたい、そして、あいつを倒したい!!
だがもう指輪は黒いやつに奪われた。もう戦える術はない。
「こんな所で、僕はまた、あいつに負けるのか……」
そう言い残し、僕は意識を失った。
僕の指輪争奪戦はここで敗退となった。
「フッ!このピアノーワン様に勝ちたければピアノ演奏勝負だ!」
「そのような事なら簡単だ。私が勝つ!」
俺は先程の小童と同じようにピアノをノーワンワールドから取り出し、先制を貰い、同じように演奏した。
例えあいつがどんなにいい演奏をしてもこちらは客の印象をいくらでも変えられる。この俺の勝ちでしかないのだ。
「お前の番だ、やってみろ。」
「うむ、では……いーやーさーかー。いーやさーかテーガソード様〜〜……」
「判定の時間に移ろう。どちらの演奏が良かったか言ってみろ」
俺はそう言い、先程のように衝撃波を周りに放つ、だが…
「いやさか〜テガソード様〜〜」
周りの人間はみな、このようなふざけたことを言いやがった。何故だ?俺は確かに…
「フッ謀ったな。テガソード様のお力にかかれば、貴様の不正をねじ伏せるなど容易いことよ!」
「貴様!気づいていたのか…」
「テガソード様に勝るものなど無い。この勝負、私の勝ちだ。」
「ピアニストNo1 Battle!!WINNER!!ゴジュウティラノ!」
「負けたお前は大人しくやられているがいい」
「フィニッシュフィンガー!!ティラノ!!」
その言葉が聞こえた時、俺は既にあいつに倒されていた。
初めて純粋なピアノの実力で負けた。だが、意外と悪くない気分だ。負けることも、成長のために時には必要だったのかもしれない……甘んじて、敗北を受け入れよう。
「ピアノーワンも倒された。今回はゲキレンジャーの指輪が手に入ったからもう十分、ここで引こう」
先程の黒い男は暴神竜儀の戦いを見ていたようだ。
「ゴジュウティラノ……いずれ交わる時が来るだろう」
指でばってんを作り、彼はそう言い残すとその場を離れた。
しばらくあと、目を覚ました僕は先程のことを思い出していた。どうやらピアノーワンは竜儀か倒したらしい。
「ちくしょう、暴神竜儀…ちくしょう!!!」
僕はあいつへの憎悪を地面へぶつけた。夕日が綺麗な空に僕は一人、泣きながら敗北を叫んでいた。
「僕はあいつに勝つ、そのために!頑張ってきたのに!!また僕は、あいつに負けた!」
暴神竜儀に勝つために奮闘した男の戦いはここで幕を閉じたのであった。
〜後日、吠が指輪争奪戦に勝利し、指輪争奪戦をやり直す願いを叶えたことで指輪が戻った研。早速血眼で竜儀に勝負をしかけたが、竜儀は研の事など微塵も覚えておらず、全く相手にされなかった研は絶望し、指輪を求められた吠に指輪をあげたのはまた別のお話〜