寄稿作2本の同時投稿となります。
(X:youzuolian8)
(Pixiv:https://www.pixiv.net/users/115189178)
1本目はトッキュウジャーです。
彼の名前は
今日も働くぞと意気込む若者の世界の闇の空を輝きで救う。闇空輝人はそんな人生を送りたいと願う人間だ。
だが心を許せる友達さえ今は一人も居ない。
世間一般にはエリートと呼ばれる人生なのは自覚している。1年目にして一流の成果を上げ、社会人としては満点以上と言えるはずだ。
だが、社会人になってから時間は激流のように過ぎ、本心で人と関わりを持つことも、何かを願う余裕も、忘れかけてしまっていた。
そんな日々の中、「当たり障りなく生きてる皆の輝きを守りたい」と、過去によくそう語ってくれていた小中校からの親友から、急に会いたいと連絡が来た。
あの頃を懐かしむつもりで親友に会いに行った。だがそこで見たのは、銀色の頭の兵士の前で骸となった親友の姿だった。
現実を受け入れる間なんか無かった。輝人はその兵士、アーイー達から一心不乱に逃げた。なぜ親友が襲われたのか、何もわからないまま地上を逃げる。しかしその時、地面に落ちていた金色に輝く指輪に、不自然なくらい目が惹きつけられたのを感じた。
それは親友の持ち物のようだった。その指輪、『トッキュウジャーリング』を見つめていると、恐怖も忘れて足が勝手に動き、腕が指輪へと伸びる。
その手が指輪に触れた。すると、そこには暗闇の空間と巨神がいた。
「契約だ、我が名はテガソード、全ての指輪を集めたものに願いを叶える。さぁ願いを言え」
巨神テガソードが言う。
なんとなく、この指輪を巡る全てを理解できた。あの兵士は何なのか。なぜ親友がこれを持っていたのか。これから何をするべきか。
この世界は見渡す限りが闇だ。光を信じた者から全てを奪われる。そんな世界で何か一つ望んでいいと言うのなら、光を信じられる強い人間が救われてほしい。
「じゃあテガソード、俺は親友の望んだ夢……みんなが夢を追って輝ける世界を願う!!」
輝人が叫び、テガソードが頷く。
元の空間に戻って目を開けると、そこにはもう一体、奇妙な姿の怪人がいた。
「俺こそはノーワンワールド、海賊ナンバーワン! 強奪、侵略、無断複製に権利侵害! ルールなんざ怖くねぇ海賊ノーワン様だ!」
海賊ノーワンとアーイーどもに驚きながらも輝人の思考は冴え渡っていた。指輪を見つめながら「俺もみんなの輝きを守る」と呟き、右手に現れた銀色のテガソードに回転した指輪を嵌める。
「エンゲージ!」
テガソードを装備した右手を差し出し、上にあげて手拍子。次に腰を右側に回して手拍子。そして、腰を左側に回して右手と左手を合わせ、最後に右手を前に出して左手で弾く。
『トッキュウジャー!』
『トッキュウ1号〜トッキュウ1号〜』
トッキュウ1号へと変身した輝人は、指輪に備わった能力「
まるで虹が空を駆けるように。この指輪能力は空間の点と点を、見えない
この能力を駆使して目に見える範囲の全ての人々を守り、アーイーたちを次々と倒していく。
「レールスラッシャー!」
線路を模った剣を握り、トッキュウ1号はアーイーどもと海賊ノーワンを切り刻んでいく。だが倒された銀の雑兵の裏から、金色のアーイーが現れた。
「俺の名はシャ・ドー!俺が海賊ノーワンをサポートする!さぁ行くぞ俺に……!」
「レンケツバズーカ!!!書類!!!」
輝人はレールスラッシャーに色とりどりの装備を連結させ、巨大な銃「レンケツバズーカ」を作り出した。
レンケツバズーカの砲弾は想像力そのもの。
重たいものといえば仕事だ。発射された光弾はシャ•ドーの頭上で書類の束となり、現実と重量でシャ•ドーを押し潰して討伐に成功した。
しかし、子供が逃げ遅れている。息つく間もなく指輪の能力である「
「大丈夫?怪我はない?」
輝人がそう言うと子供は頷き逃げる。
だが、海賊ノーワンが襲ってくるのに気づかなかった。海賊たる所以か、手下のアーイーたちの増援も止まらない。
「エンゲージ!!!高くつくぜ俺様は!」
『ゴジュウポーラー!!』
その時、高所から力強い男の声が聞こえた。
白い戦士がコートを脱ぎ捨てて、輝人の前に立つ。
その指輪の戦士の名はゴジュウポーラー。
「ベアックマ!!!」
ゴジュウポーラーは左フックと右ストレートと、熊の玩具のようなベアックマから放たれるビームで、アーイーたちを次々と薙ぎ倒していった。
「散歩がてらまた町内会の用心棒をしていたら、この騒ぎだ。ノーワンに指輪の戦士、まとめてこのゴッドネス熊手が世直ししてやるぜ」
その男は自信に満ち溢れた様子で、言葉の一つ一つに力があり、言い表せないような魅力があった。世界がどうあろうが自分色に染め上げるのみという、圧倒的な自我。
彼は紛れもなく、自分を信じて輝ける強い人間だ。
ゴジュウポーラー対トッキュウ1号対海賊ノーワン、三つ巴の戦いが始まる。
「海賊といえば船だ。船作りを競わないか?貴様ら」
「いいぜ」
海賊ノーワンが喋り熊手が即答する。
「みんなを守るためならNo.1を決めますよ」
輝人も答える。
船造りNo.1バトル!!!READYィィィィFight!!!!!!
こうして始まった船造りナンバーワンバトル。
熊手が向かったのは森だ。
使い道の無い山を権利者から買取り、ベアックマのレーザーで木々を倒して丸太を作る。
「船や材料を金で買うのは簡単だ。だが俺様は不可能を可能にする熊手様。作ってやるぜ、この一つの山から海賊船をな!」
紐や帆、錨すらも山から調達可能な材料のみで作り、熊手はとてつもない船を作ってみせた。
一方で輝人は会社の技術や人脈を最大限に利用する。
巨大船の製造は不可能と判断した輝人は、即座に技術の粋を集めたミニチュア船で勝負をかけることを決めた。
まず自身のパソコンで計画書と仕様書を発行。あらゆる手段を駆使して連絡を繰り返し、最先端の3Dプリンターを持つ会社と契約に成功。こうして理想の船の製造が確約された。
そして判定の時。
その場に船を持って来たのは、熊手だけだった。
「間に合わなかったみてぇだな」
いくらミニチュア船とはいえ、人を介するほど仕事というものは遅くなる。熊手という圧倒的な個人が仕事を完遂するスピードに、他人に頼るしかなかった輝人は追いつけなかった。
「それがお前の船か。それなら俺はこいつだ」
船の無い海賊ノーワンは余裕そうに設計図を空に出した。
それは輝人が作った設計図だった。
「俺の仕事を盗んだのか!」
「海賊は奪うもんだろ!」
そして、その設計図は海賊ノーワンの能力で瞬く間に現実となり、輝人が空想に描いた巨大帆船の海賊版が完成してしまった。そのスケールも、完成度も、明らかに熊手を凌駕している。
アーイーによる評価が始まる。
そこでNo.1が決まった。
船造りNo.1
WINNER!!熊手真白!!!!
「何っ!?」
「どういうことですか。悔しいけど、俺の理想の船は完璧なはず…」
「そこのアーイー共は気づいたようだな。奪うだけが海賊か? 違うな。海賊にとって船は、荒れる海を共に旅して、時には敵と戦うまさに一心同体の存在。俺様にとってのベアックマみてぇにな」
「それなら俺の船の方が遥かに…!」
「お前じゃねぇ、それはそこのトッキュウ1号の船だ。お前は他人から奪った船に自分の命を預けられんのか? それでも海賊か!?」
自分の意思で選び、自分のイメージを完遂してこそ海賊。理想を妥協して他人に委ねて敗北に甘んじた輝人と、他人の想像力を掠め取っただけの海賊ノーワン。
もはや誰の目からも勝敗は明らかだった。
「こうなったら!!!
戦いで倒すだけだ!!!」
ヤケクソになって襲いかかる海賊ノーワンを、熊手と輝人はエンゲージして迎え討つ。しかし勝敗が明らかなのは、実力でも同じだった。
『フィニッシュナックル!!!』
グーデバーンに左手を構えて海賊ノーワンに叩きつけた。その衝撃でノーワンに吸収された中の人を引き摺り出し、胸のリングでワープさせて救出に成功する。
素体を失った海賊ノーワンは力を失い、拳を食らった部分から凍りついていく。そして、氷の塊と化した海賊ノーワンに二度目のパンチが炸裂し、その体は粉々に砕け散ったのだった。
残るはトッキュウ1号VSゴジュウポーラーの対決。
いざ掴め!No.1!
Go-ユニバース!
Go-Go-GOユニバース!
「夢をかける闇を虹色で変える。乗り遅れご注意を、トッキュウ1号!友の夢、俺が受け継ぎ叶えてみせる!」
Go-ゴジュウジャー!
Go-Go-GOゴジュウジャー!
「……友の願いを受け継ぐ誓い、気に入ったぜその覚悟。世直しゴッドネス、ゴジュウポーラー!本気で相手してやるぜ」
最後の戦いがゴングを鳴らした。
「ほぼ神に任せて指輪を寄越せ」
「友の願いを、みんなが輝ける世界を俺は守る!!レンケツバズーカ!!上司!!」
怖いものといえば上司。レンケツバズーカから発射された上司が凄まじい剣幕でゴジュウポーラーに突っ込んでいくが、軽々と殴り飛ばされた。
これは陽動の攻撃、捨て石だ。トッキュウ1号はその隙に指輪能力の「
しかし、ゴジュウポーラーはそれをコートで弾いた。
窮地を予感し身構えるが、ここで指輪能力の代償が輝人を襲った。想像力と身体能力を酷使するこの力は、とんでもないカロリーを消費する、つまり腹が減るのだ。
動きが鈍った瞬間、トッキュウ1号はゴジュウポーラーのフィニッシュナックルを食らってしまう。
WINNER!ゴジュウポーラー!!!
「安心しろ。俺がその輝ける願いも継いでやる。ほぼ神に任せておけ」
変身を解いた熊手真白が告げる。
トッキュウジャーの指輪が熊手の手に収まったのを見て、闇空輝人は自分の負けを理解した。
何も残らなかった。友も、友が遺したものさえも。そして明日も変わらない一日が来る。
目まぐるしくて自分を忘れそうになる毎日が。
みんなが輝ける世界を作れる人がいるとすれば、どんな時でも自分を見失わない、そんな神様のような人なのだろう。
「ははは、任せたぞ、ほぼ神様」
その未来を想像して、闇空輝人は目を閉じるのだった。
2本投稿になりますので、続けて次話を読んでいただければ幸いです。