ユニバース戦士補ジュウ計画   作:壱肆陸

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今日と明日は鎧丸さんの作品です!
(X:@yo_roi0913)

1作目は「マスクマン」の物語です。


翔べ!いじけ老婆の歌

「……ふん、ヤキが回っちまったか」

 

 病院のベッドに横たわり、ふてくされながら天井を見上げる老婆。

 

 髪はすっかり白くなっているが、きりっとした顔立ちから「昔はきっと美人だったんだろうな」と察することができる。

 

 須賀田タケ。マスクマンのセンタイリングを所有する……いや、「していた」ユニバース戦士である。

「あの白いやつ……がりゅうど、とか言ったか。ふん、オレのマスクマンのリングを奪いやがって……」

 

 ため息をつきながら、数日前の戦いを思い出し憎々しげに虚空を見つめる。

 悔しいが、圧倒的な力の差だった。センタイリングの所有数もそうだが、何より実力差がありすぎたのだ。

 

(ふん、悔しいが……命があっただけマシってもんかね……いや、オレはもう……生きていてもしょうがないのかもな)

 

 一気に生きる気力を失いつつあるのか、日に日に弱っていくのを実感してしまう。悔しいかな、これが老いるということなのか……そう思っていた時だった。

 

「ばあちゃん、入るよ」

「おばあちゃん、体の具合どう?」

 

 二人の孫娘、雅夢(がむ)美緒(みお)が心配そうにしながら入ってくる。

 

「おぉ、二人とも……安心しろ、だいぶ調子を取り戻してきたよ」

 

 二人を心配させないように笑顔を見せながら体を起こすタケ。それを見て孫たちもほっとしたように笑いかける。

「よかったー、びっくりしたんだよ? おばあちゃんがいきなり襲われたって聞いて」

「そうそう、須賀田流空手の五代目師範のばあちゃんが大けがしたなんて、父さん……めちゃくちゃ心配してたんだよ?」

 

 孫たちから父親の話題が出て、タケは心なしか顔を曇らせてしまう。息子とは長らくまともな会話をしていなかったことを思い出したから。

 

「あぁそうだ、ばあちゃん! ばあちゃんの友達って人がお見舞いに来てるんだよ!」

「おばあちゃんにも友達がいたんだって、びっくりしちゃったんだから! そこで待っててもらってるから、今呼んでくるね!」

 

 孫たちがいそいそと病室を出ていくのを見送りながら

 

(オレの友達……? この年になって、友達なんて残ってないだろうに)

 

 そう思っていると、病室に入ってきたのは同じ年代位の老人だった。タケは、その男に見覚えがあった!

 

「お前……譲二! 譲二じゃねえか!!」

「久しぶりだな、タケちゃん。何十年ぶりだろうなあ」

 

 懐かしそうに笑いながら、譲二と呼ばれた男はタケの傍らに座る。

 

「まったくだ、最後にあったのがいつか覚えてねぇくらいだ! 譲二、まさかまた会えるとは思わなかったぜ!」

「タケちゃんこそ、相変わらずだな。思ったより元気そうじゃないか」

「あったり前田のクラッカーよ! この須賀田タケ、そう簡単にくたばってたまるか! 美緒、雅夢! こいつがオレがいつも話していた親友の……」

「猛原 譲二です、美緒ちゃんと……雅夢ちゃん、だったね? 二人とも若いころのタケちゃんそっくりだ」

「ありがとうございます! おばあちゃん、いっつもあなたの事話していたんですよ! オレに毎日挑みかかってくる一本気な男って」

「ばあちゃんがじいちゃんや父さん以外の男の話題を出すなんて滅多にないから、どんな人なんだろうって思ってて……思ったより優しそうな人だなぁって」

「はっはっは、ありがとう……悪いけど、タケちゃんと二人きりにしてくれないかな? 少し、話したいことがあるんだ」

 

 双子たちは顔を見合わせて譲二に向き直り、うなずいてから二人にお辞儀をしてそのまま病室を出て行った。

 

「礼儀正しい、いい子たちだなあ。さすがはタケちゃんの孫だ」

「へっ、柄にもないこと言いやがって……孫はともかく、オレの息子はろくでなしだよ」

 

 苦々しげにうつむきながら答えるタケに、譲二はきょとんとしながら

 

「何言ってるんだ、タケちゃん。良男くん……「オーラパワー★エクササイズ」ってチャンネルやってるんだっけ? わしも見たが、かなりの人気じゃないか」

「……息子は……あいつは、須賀田流空手に泥を塗った大馬鹿野郎だ」

 

 悔しさに顔をゆがめつつ、忌々しいといった口調で続ける。

 

「あいつは……須賀田流空手を……見世物にしやがったんだ……! 何がえくささいず、だ……真剣に武術を伝えようというオレの心を無視しやがって……! あいつは親不孝者だ……!!」

 

 目に涙を浮かべながら、悔しそうに言葉を放つタケに譲二は優しく肩に手を置き話しかける。

 

「落ち着きなよ、タケちゃん……良男くんだって、いろいろ考えたはずだよ。何もしなかったら、須賀田流空手は途絶えていたかもしれないんだ」

「そのほうがよかった……! あんな、あんなおちゃらけた見世物になるくらいなら……! 潔く無くなったほうがマシだ……!!」

「タケちゃん……」

 

 息を荒くさせながら、何回か深呼吸をして譲二に向き直るタケ……その顔には「久しぶりに会った友に向けて話すことではなかった」という後悔の念がにじんでいた。

 

「すまねえな……せっかく来てくれたのに、こんな辛気臭ぇ話題になっちまって……」

「いいんだ、タケちゃん……なあ、タケちゃん。一回だけ、一回だけでいいから……良男くんの動画を見てあげなよ。ほら……タケちゃんの親父さん言ってただろ? 百聞は一見に如かず、己の目で見てから判断せよ! って」

 

 諭すように話しかける旧友の言葉に、タケは拍子抜けしたような顔で彼を見つめる。

 

「親父の事を出しやがって……だが……そう、だな。オレもずっと寝てて暇だったし、暇つぶしがてら見てやるよ」

「それがいいよ。じゃあタケちゃん……そろそろ行くよ。あんまり長い間話していると治りが遅くなる」

「あぁ……じゃ、またな譲二」

「またな……タケちゃん」

 懐かしそうに微笑みあいながら、譲二を見送るタケ……しばらく孫たちと会話したのち、スマホを操作して息子のチャンネル……「オーラパワー★エクササイズ」を見始めた。

 

 最初は退屈そうにしていたが、何かに気づいたのか……食い入るようにじっと動画を次々と見始めるのだった……。

 

 

 

 

 

 それから数か月。

 

 退院したというタケは一人、誰もいない道場で瞑想をしていた。

 

 そんな時、ふっと背後に人の気配を感じ……そのまま振り返らずに話しかけた。

 

「よう、譲二……ずいぶん若作りじゃねえか。やっぱりお前、指輪の戦士だったんだな」

 タケの言葉通り、立っていたのは猛原禽次郎……孫の同級生として何度か顔を合わせていた少年だった。

「さっすがタケちゃん、感づいていたんだぁ。ボクもまだまだ、修行が足りないなあ」

「馬鹿言うな、オレだって今ようやく確信したところだったんだ……で、なんでオレのところに来たんだ? オレの指輪なら、がりゅうどってやつに奪われちまった……もう俺に用なんてねぇはずだ」

「……友達に会いたくなった、それだけだよ。なんてったって、タケちゃんはボクの友達……それに、友達のおばあちゃんでもあるんだからさ」

 その言葉に、タケは立ち上がって向き直り……少し微笑みながら懐に持っていたスマホを操作して画面を見せた。そこには「オーラパワー★エクササイズ」のエクササイズ動画が流れていた。

 

「……なあ、お前の勧めで……良男の奴の動画見てみたよ……最初はおふざけとしか思えなかったけどよ。だが……えくささいずを見てて気が付いた。ありゃ……須賀田流空手の型を取り入れていたんだ。禽次郎……いや、譲二。おめえ……気づいていたんだな」

「最初は分からなかったけど、美緒ちゃん達に誘われてゲストで動画に出た時にいろいろ教わっているうちに……親父さんにちょっとだけ稽古つけてもらった時の型と同じって気づいたんだ。……タケちゃん、もう一つ気づいてほしいことがあるんだ」

 

 禽次郎が言葉をつづけ、自分のスマホを操作して画面を見せる。そこにはこう書かれていた。「須賀田流空手出張所」と……

「良男さんに聞いたんだ、エクササイズチャンネルはあくまでコマーシャルの一環……興味を持ってくれた人に空手の面白さ・素晴らしさを理解してもらうのが本当の狙いだって。いやーすごいなぁ。登録者数10万人だって! 門下生が10万人もいるようなもんじゃないか!」

 

 禽次郎の無邪気な発言に苦笑しつつも、遠い目をしながらタケは言葉をつづけた。

 

「………………あれから、思い出したんだ。親父の言っていたことを。親父はいっつも言ってたんだ……『川の水が美しいのは、常に流れているからだ。一か所にとどまれば、どんな清水でも濁って腐り果てる』『物事は諸行無常……いつまでも同じものは無い、全ては変わりゆくものだ』ってな……息子は、親父の言っていることを忠実に守っていたんだな」

「……タケちゃんだって、変わったよ。あれだけ嫌っていたエクササイズチャンネルをきちんと認めてるじゃないか」

「……そう、かもな。テガソードの力を借りなくても、オレの願いはかなっていたんだな」

 

 吹っ切れたように笑いながら、タケは禽次郎の肩に手を置き

 

「しっかし、あれだけ堅物で頑固だったおめぇがぱーりーぴーぽーを目指すなんてなあ! おめぇも変わったな!」

「ボクなんてまだまださ、真のぱーりーぴーぽーになるまで僕は諦めない!」

 かつては頑固でおちゃらけた事が苦手だった旧友が、明るく笑いながら楽しんでいる姿を見て、タケは大きくうなずいて

 

「……オレも、変わらなきゃな……おめぇが変わって成長したみてぇに、オレだって前に進まなきゃな」

「……じゃ、ボクそろそろ行くよ。またねタケちゃん!」

「あぁ……またな」

 道場を出ていく禽次郎の背中を、さわやかな気持ちで見送るタケだった。

 後日、テガソードの里で動画を見ていた禽次郎の目に飛び込んできたのは「ギャラクシーおばあちゃん」として動画デビューしたタケの姿だった。

「手応えあり!!」と息子と並んで決めポーズをして楽しそうに笑いあう姿を見て、うれしくなった禽次郎はその勢いのまま吠たちにエクササイズを強いるのだった……。

 

 

 

 

 

 

 時は流れて。

 

 ゴジュウジャーとファイアキャンドルの最後の決戦が行われている中で、ゴジュウイーグルは苦戦を強いられていた。

 

 背後から攻撃を仕掛けるアングラー兵とコットポトロに気づかず、一手反応が遅れ絶体絶命……と思われたところに。

 

「油断大敵だぜ、ゴジュウイーグル!」

 銀のテガソードを持つ、20代くらいのチャイナドレス姿の女性がゴジュウイーグルの背後を守っていた。

 

「ま、まさか……タケちゃん!?」

「テガソードが、マスクマンの指輪を返してくれたもんでな。オレもせいぜい力を貸してやろうってわけよ!」

 栄養補給といわんばかりに懐からスキットルを取り出し……中に入っていた脱脂粉乳を一気に飲み干し、マスクマンのセンタイリングを愛おしそうに見つめ……そのままセットした!

 

「エンゲージ!!」

 

 変身シークエンス

 1:左手で「陣」「列」「闘」「臨」の印を組み、そのままハンドクラップ。

 2:両手で「在」の印を組み(テガソードを握っているため右手はそれっぽく構えるのみ)2回ハンドクラップ。

 3:右手を上・左手を下に構え円を描くように位置を入れ替えハンドクラップ。

 4:両手を頭上に掲げハンドクラップ2回

 

 一連の変身シークエンスが終わり、レッドマスクに変身したタケが立っていた。

 

 いざ掴め! ナンバーワン! フレェェェェェェェェェェ!!

 

「落ち目のままと諦めた、思い違いを悔い改めた! この世はでっかい愛の星! レッドマスク、須賀田タケ! さあ! いっちょやってみっか!!」

「ここは任せな、ゴジュウイーグル! オレはこれでも須賀田流空手五代目師範だからな!!」

「サンキュー、タケちゃん! 頼んだよ!!」

 

(BGM:光戦隊マスクマン(インストゥルメンタル))

 

「さあ、かかってきな! 手始めにこいつだ、瞑想(メディテーション)『陣』!」

 

 そのまま「陣」の印を組むと紫色のオーラがレッドマスクを包み、そのまま正拳突きを繰り出すと手近にいたドロドロ達が吹き飛ばされてしまう。

 

「どうしたどうした! だらしねぇぞ!!」

 

 その勢いのままゼニットを持ち上げ、そのまま放り投げるとクライマーの一陣もろとも爆散してしまう。

 

「出し惜しみなんてしねぇぞ! 瞑想『列』!」

 

 続いてタケが印を組むと青いオーラが包み込み、空高くジャンプしてリンシー・ワンパー・ジンマーの三体を飛び蹴りであっと言う間に倒していく。

 

「まだまだ! 瞑想「臨」!」

 

 薄桃色のオーラが包み込んだ次の瞬間、ダストラーの大鎌が振りかざされるが……

 

「こんな物騒なもん、振り回すんじゃないよ!」

 

 いなすようにダストラーの鎌を奪い、そのままカウンターのように大鎌でダストラーを攻撃・撃退する。

 

「もういっちょ! 瞑想『闘』!!」

 

 薄黄色のオーラが包み込んだ次の瞬間、レッドマスクが分身・カットマンの一群をあっと言う間になぎ倒してしまう。

 

「さあて、そろそろシマイと行こうか! とっておきだ、瞑想「在」!!」

 深紅のオーラが包み込んだ次の瞬間、左手にマスキーブレードが握られていた。そのままクライマーの群れに飛び込み、右手のテガソードとの二刀流で切り捨てていく。

 

「とどめだぁ!! アルティメット・オーラ斬りぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」

 

 オーラをまとわせたマスキーブレードとテガソードを振りかざし、残っていた戦闘員たちを切り捨て……そのまま敵を全滅させてしまう。

 

「ふぃー……さて、あっちも終わった頃合いかね」

 

 そう呟いた次の瞬間、タケの手にしていたテガソードからマスクマンのリングが消え……テガソードも消滅してしまう。

 

「……これで、借りは返したからな……譲二」

 

 そうつぶやくと、晴れやかな表情のままタケはその場を後にしたのだった……。

 

 




名前:須賀田 タケ(すがた たけ)/レッドマスク 90歳
センタイリング:マスクマン
職業:空手道場5代目師範
夢:須賀田流空手を世界中に広める
固有能力:瞑想(メディテーション)

「須賀田流空手道場」の5代目師範にして、90歳という高齢ながら現在も現役として第一線を張る女傑。現在は一人息子の良男(りょお)を6代目師範として盛り立てようとしているものの、自分の代になって門下生が激減・存続の危機に立たされていたが息子が設立したエクササイズ専門Youtubeチャンネル「オーラパワー★エクササイズ」が流行したおかげで格闘技風エクササイズ教室として生まれ変わったおかげで生徒は増えたものの「真摯に格闘技を習いたい」という人間は一向に増えず歯がゆい思いをしている。
7代目として目をかけている孫の「美緒」(みお)と「雅夢」(がむ)は父に傾倒してYoutubeチャンネルの双子看板姉妹として活動していることも歯がゆさに拍車をかけている。
テガソードにより、脱脂粉乳を飲むことで20代前半の体に若返る特殊体質を得ている。
なお、ゴジュウイーグルこと猛原禽次郎とは孫の二人が同級生であるのと同時に自身も昔からの顔なじみという複雑な関係となっている。

映像外で何度かゴジュウジャーの面々(ゴジュウポーラー除)と散発的に戦闘になっていたものの決着には至らず、正体も謎のままだったが禽次郎のみは感づいていた様子だった。が、実際に決着をつける前にガリュードに完敗。指輪を奪われてしまい直接対決はかなわなかった。
指輪を奪われた後、禽次郎との交流を経て己を見返すことになり紆余曲折を経てセンタイリングを集めることへの未練を捨てることになる。

ユニバース戦士としての固有能力は「瞑想」(メディテーション)、その場で印を組み、その印の形に応じた効果を発揮する。効果は下記の五種類であり、オリジナルのマスクマンの戦闘スタイルに関連している。
「在」(レッドマスク)→マスキーブレードの召喚および全体的な身体能力の向上。テガソードとマスキーブレードの二刀流による戦闘を得意とする。
「陣」(ブラックマスク)→筋力の向上および防御力強化。素手による空手を始めとしたパワースタイルの格闘技メインで戦う。
「列」(ブルーマスク)→脚力の向上による跳躍力強化。軽やかな身のこなしで敵を翻弄・一撃離脱戦法を得意とする。
「闘」(イエローマスク)→分身の術が使用可能。分身との連携攻撃や身代わりによる防御などトリッキーな戦法が可能。
「臨」(ピンクマスク)→身体の柔軟性強化。攻撃を受け流してからのカウンターをメインとした防御的な戦いが得意。

欠点としては「印の重ね掛けや連続使用をすることは不可能」「一度印を使用すると一定時間変更不可能」などがあるが、最大の欠点としては「再度使用するためには座禅を組み瞑想しなければならない」というものであり、印一つにつき1時間の瞑想が必要となり最大5時間の瞑想をしなければ能力を使用することができない。
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