ユニバース戦士補ジュウ計画   作:壱肆陸

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今日はキョウリュウジャーの2作目、
リオスさんの作品です!
(X:@rios_216)


これぞブレイブ!ダンシングフロンティア!

 何の日でもない平凡な日の昼下がり、とあるダンススタジオにて軽快な音楽と共にステップを踏む音が響いていた。

 

「タツくん、調子はどうですか?」

「……良さそうに見えるんなら、眼科の受診を勧めるよ、鳥羽くん」

 

 眼鏡をかけた人の良さそうな男が、ダンスの練習真っ最中の俺に声をかけた。

 俺の名は王野(おうの) 竜道(たつみち)、通称タツ。人気ダンスユニット『Charge』のメンバーだ。……1年前までは。

 

 

 『Charge』うちの事務所の中でも『高いダンスの技術をもつメンバーが揃ったユニット』をコンセプトに結成された、ハル、タツ、ゲンジョー、ユズル、ツルギの5人組のダンスユニットだ。デビュー以降、高いダンスの実力や圧倒的パフォーマンス力で若者を中心に人気が急上昇。一躍人気グループへとのし上がった。デビューシングルは50万枚の売り上げを叩き出し、その後もリリースもチャート上位常連、ライブツアーのチケットも入手困難となることが日常茶飯事と化し、一昨年行った武道館ライブも大成功を収めた。

 その中でも俺は幼少期からダンスを学んでおり、海外のダンス大会で優勝した経験もある。自分で言うのもなんだが、グループ内でもダンスの実力は抜きん出ていた。

 

 そして俺はいつしか、Chargeを世界でも通用するようなグループへと成長させたく、海外進出の計画を立てるようになった。俺の実力があれば、全世界でナンバーワンを取ることだって可能なはずだった。

 

 しかしそこが、Chargeの、俺の道の分かれ目だった。

 

 リーダーのハルを中心に、他のメンバーからは反対された。曰く、「ただ実力をひけらかすグループではなく、もっと身近に感じるような、色んな人々に楽しんでもらえるグループにしたい」と考えていたらしい。要はこの狭い日本でチヤホヤされているだけのこの現状に甘んじて満足していたってことだ。

 それが俺には到底理解できなかった。

 

「なんでだよ……俺らならきっと世界でも戦える! もっと上を目指せるんだぞ!」

「タツ……俺たちの仕事はファンを楽しませることだ。力を自慢することじゃないんだぞ」

「パフォーマンスのクオリティーが高いほど観客は喜ぶに決まってんだろ! 俺はそんな仲良しごっこをするためにChargeに入ったんじゃねえ!!」

「なんでわかってくれないんだよ……確かに世界を舞台で踊るってのも魅力的だが、今Chargeに求められてるのはそんなんじゃないんだよ! いい加減、俺達と一緒に踊ってくれよ!」

「……お前らがそんな腑抜けだったなんて思わなかったぜ……」

 

 そして俺はグループを脱退、そのまま事務所も退所しフリーで活動していくことになった。

 上を目指さない奴に未来はない。あいつらが頂上に立つ気がないなら、俺1人でナンバーワンになってやる。

 

 しかし、現実は甘くなかった。

 

 ソロでリリースした曲は初動こそ悪くなかったが、2ndシングル以降は泣かず飛ばずの結果が続いている。ライブやイベントの動員数もお世辞にも良好とは言えない。SNSでの評判も「ただダンスが上手いだけでそれ以上でもそれ以下でもない」だの「俺こんな踊れるんだぜ感がキツイ」だの「ちょっとダンスが上手いだけで勘違いしてて草」だの散々だ。とても海外に挑戦できるような状態ではない。

 

 一方で俺が抜けた後のChargeはというと、どんな年代でも踊りやすく歌いやすいようなわかりやすい曲を多く出すようになり、子供やその親を中心に新たなファン層を獲得するようになり、人気、売り上げ共に上昇している。

 

 

「なんでこうなったのかねえ……どこから俺の道は狂ったんだよ……!」

「まあまあ、根を詰めすぎても良くないですよ。そろそろ休憩しましょう」

 

 俺のマネージャーを務める鳥羽(とば) (さとし)が呑気そうに言った。……今の俺の現状一番分かってるのあんただよな……? なんでそんな気楽でいられるのか理解に苦しむが、実際長いこと練習してて少し疲れてきたので、とりあえずその言葉に従うことにした。

 と、その時、スタジオの扉が開き、見覚えのある顔が現れた。……見覚えがありすぎてうんざりする程の顔が。

 

「やあ、お疲れタツ」

「……なんでお前がここに……?」

 

 そこに現れたのは、元スーパーアイドル・百夜 陸王だった。

 

「久しぶりだね。しばらく顔を合わせないうちになんだか雰囲気変わったね」

「お前はちっとも変わってねえな」

「フッ……まあ僕の輝きは、はぐれ者になったところで消えるようなものじゃないからね」

「……本当に変わってねえな、お前」

 

 このキザな男……ナルシストすぎて逆に清々しさすら覚える男・百夜陸王はかつて俺と同じ事務所に所属していたアイドルだ。

 俺がChargeを抜けたのと同じくらいの時期にこいつも事務所を退所している。確かファンとの関係でいざこざが起きたとかなんとかの理由で追い出されたと風の噂で聞いたことがある。詳しいことはわからないが、ムカつく奴ではあるがそこまで悪い奴ではないと思っていたんだが……まあ、俺には関係のないことだ。

 ……で、先ほど2回も言ったが、本当に変わってないなこの男。シンプルながらも洗練されたセンスの私服、誰がどう見てもイケメンの部類に入る容姿に、眩しいほどの笑顔。コイツがスーパーアイドルと言われる程の人気を誇っていたのも頷ける。

 ……唯一変わった点といえば、右手の人差し指に妙な青い指輪をはめていることくらいか。

 

「……で? 嫌味を言いにわざわざ来たのか?」

「まさか……君にちょっと話があってね……」

 

 その瞬間、外で悲鳴ととてつもない爆音が響き渡った。俺がその声に驚いた瞬間、すぐさま百夜は外へと駆け出していった。遅れて鳥羽くんも様子を確認しようと外を駆けていき、俺もその後を追いかけた。

 

「さぁ! この近くに指輪の反応があるって聞いてきたがぁ〜? 行くぞ野郎共ォ!」

「キーン!」「コーン!」

 

 そこには、ベルのような頭部をした妙な生命体が周囲の建物を破壊して回っている、恐ろしい光景が広がっていた。どうやら言葉を喋る金色の頭の奴を中心に、銀色の頭をした、なんかキーンコーン言ってる無数の個体がいるようだ。崩れる建物や落ちてくる瓦礫から悲鳴を上げて逃げ惑う人々でごった返していた。

 

 そしてベル野郎に向かって、百夜が恐れる様子もなく語りかけた。

 

「こんなところで、一体何をしてるのかな?」

「俺様はブライダン所属! ケボン・リュソクールだ! テメェこそなんだ!?」

「答えになってない上に質問に質問で返すなんてナンセンスだね。そんなんじゃモテないよ?」

「うるせぇ! 俺様はファイヤキャンドル隊長の為に指輪を探しているだけだ! 死にたくなきゃとっとと失せやがれ!」

「そっか……生憎だけど君に渡す指輪はないし、これ以上街を壊させるつもりもないんだけどな……」

 

 百夜はそう言い放つと、どこからか刃のついた金色の……巨大な右手のようなものを取り出した。

 

「エンゲージ!」

 

 そして、人差し指から取り外した青い指輪にキスをし、巨大な右手にセットした。

 

『クラップ ユア ハンズ!』

 

 どこからか鳴り出した軽快な音声に合わせて百夜が手拍子と共に踊り出した。

 

『ゴジュウレオン!』

 

 すると、百夜が青いライオンの見た目をした戦士へと姿を変えた。

 さっきから何が起こっているのか何も理解できず、ただただ目の前の状況に困惑するしか出来なかった。

 

「テメェ、指輪の戦士だったのか!」

「そういうこと。悪いけど、君みたいなマナーのない人は出禁だよ。タツとマネージャーさんは下がってて!」

 

 そう言うと百夜は、ベル野郎の大群に向かって突っ走っていき、巨大な右手を武器に戦闘を繰り広げた。

 1対大勢という人数差をものともせず軽やかな動きで次々と相手を倒していく。

 

『レオンバスター50!』

 

 途中、また別の指輪をセットして胸のサークルからライオン型の銃を取り出し、精密な射撃で敵を撃ち抜いていく。

 

「なにがどうなってるんだよ……」

「と、とりあえず、逃げましょうタツくん!」

 

 その瞬間、鳥羽くんの背後で声がした。

 

(ナンバー……ワン……お前の……願い……)

「!?」

 

 その謎の声は更に鳥羽くんに語りかける。

 

(その男……ナンバーワンに……したくは……ないか……)

「え……そ、そりゃあ勿論……」

(そうか……生成(ジェネレイティブ)!)

 

 次の瞬間、鳥羽くんが謎の円に吸い込まれていった。

 

「鳥羽くん!!」

「うわああああああああああああああ!!」

 

『ダンス』『アイドル』『世界』『人間』『ナンバー1』

 

 鳥羽くんの悲鳴が止んだかと思うと、その姿はカタカケフクチョウのような、巨大な翼を持った派手な鳥の姿をした怪物へと変化していた。

 

「は!?」

「FOOOOOOO!!! 僕ちんはノーワンワールド・ダンスNo.1! ダンスノーワンだYO! チェケラ☆」

「しまった……ノーワンに取り込まれたか……!」

 

 俺は驚き尻餅をついた。先ほどから何が起こっているかさっぱりだが、鳥羽くんがこの怪物に捕まったことだけはわかった。

 考えるよりも先に体が動いていた。

 

「お前……! 鳥羽くんに何をした!?」

 

 俺は思わず怪物……ダンスノーワンに飛びかかっていた。普段の俺からは考えられないような腰のすわってない情けない動きで。

 

「ん〜? キミキミ〜そんなステップじゃダメダメ〜! Say☆」

「うわぁっ!」

 

 そしてあっけなく吹っ飛ばされてしまった。まあ、こいつの言った通り、こんなステップじゃ当然の結果だ。

 

「君〜全然ステップがなってないね〜そんなんじゃヒップホップの風上にも置けないねぇ〜HAHAHA☆」

 

 俺は心の底から悔しかった。こんなバケモノの言うことなんて耳を傾けるなと言われればそれまでだが、今までの俺のソロ活動の結果を見れば一発だ。本当は自分でも分かっていた。

 

 身勝手な理由、傲慢で独りよがりな考えでグループから去ったこと。

 

 大口ばかりで何もなしえなかったこと。

 

 そして、唯一支えてくれているマネージャー1人すらも助けられないこと。

 

 俺なんてなんの才能も、実力も、人望も無かったんだ。

 

 

「クソ……うあああああああああああああ!!!」

 

 うずくまって慟哭する俺。

 その時ポケットの中でなにかが光ったのを感じた。

 

「……?」

 

 取り出してみると、それは縁が金色の円形の指輪だった。

 赤いティラノサウルスのようなものと青いステゴサウルスや桃色のトリケラトプスのようなものが描かれていた。

 こんなもの、いつの間にあったんだ……?

 

「ナンバーワン……ナンバーワンだ……!」

 

 謎の声が聞こえてきた。

 

「!?」

 

 そして俺はいつの間にか、謎の異空間に飛ばされていた。気が付くと目の前には、黄金の体に赤い狼のような頭部をした巨大な巨神がいた。

 

「我が名はテガソード。王野 竜道……お前の願いを言え……」

 

 先程の声の主……テガソードと名乗ったそいつは俺に語りかけた。

 

「もうさっきからなんなんだよ次から次へと……」

「お前のことを指輪を通してずっと見ていたぞ。お前には叶えたい願いがあるはずだ」

「それは……!」

 

 どうやらこいつには全てお見通しのようだった。

 

「ああ、俺はダンスで頂点を……ナンバーワンを取りたい!」

「……そうか」

「でも今はそれより、あの怪物に捕まった鳥羽くんを助けたい!」

「……お前の願いは分かった。だが、叶えられる願いはひとつだけだぞ」

「ごちゃごちゃうるせえなぁ! じゃあどうすりゃいいんだよ!?」

 

 中途半端なその態度に俺は思わず苛つく。

 

「契約だ……」

「は?」

「私と契約し、指輪の戦士となれ……! その力ならばノーワンにも対抗できる」

「指輪……これとか百夜が持ってたやつか……」

「そうだ。そして指輪をすべて集め、ナンバーワンとなった者には、願いを叶えられる権利を与えられる。既にお前はキョウリュウジャーの指輪に選ばれたようだが、お前はどうする?」

「細けえことはいい! とにかく、お前と契約すれば鳥羽くんを助けられるんだな!?」

「ああ」

「じゃあ答えは決まりだ! やってやるぜ!」

「分かった。さあ、指輪争奪戦の新たな挑戦者だ……!」

 

 気が付くと、もとの場所に戻っていた。相変わらず、百夜とベル野郎、ダンスノーワンが激しい戦いを繰り広げていた。

 そして、俺は指輪と共に、百夜の持ってたのと同じような巨大な右手を持っていた。違いとはいえばそれが銀色なことくらいか。

 

「タツ……それは!」

「なんかよくわかんねえけど、やってやるぜ……!」

 

 

「エンゲージ!」

 

 俺はそう叫び、指輪を回転させ、右手……テガソードにセットした。

 

『センタイリング!』

 

 俺はどこからか鳴る音に合わせてステップを踏み、手拍子を刻む。

 

『キョウリュウジャー!』

『ガブリンチョ!』

 

 俺はティラノサウルスのような赤い戦士へと姿を変えていた。

 相変わらず何が起きてるのかさっぱりだったが、これで戦えるということだけはわかった。

 

「FOOOOOOO!!! 君も指輪の戦士だったか! それじゃあ、ダンスナンバーワンバトルといくかい!? Shall we daoce?」

「お前に勝てばいいんだな? 望むところだ! うおおおおおおおおお!!」

 

 俺は真っ直ぐに相手に向かって突っ走り、テガソードを振るった。

 

「そんなの、当たると思ったかい!?」

「当てようと思ってねえからなぁ!」

「!?」

 

 そして俺はダンスノーワンの目の前で体勢を低くし、ブレイクダンスの要領で足払いを仕掛けた。

 

「取った!」

 

 相手を体勢を崩した! ……と確信したのも束の間。

 

「やっぱり君はセンスないねぇ〜」

「!?」

 

 なんとダンスノーワンは翼を羽ばたかせ、空を飛んでいた。そしてそのまま煽るように空中でブレイクダンスを踊り始める。

 

「お前……! 空中に逃げるなんて卑怯だぞ!」

「ステージの指定は受けてないからねぇ〜Say YO!」

 

 そのままダンスノーワンは羽から音符型のエネルギー弾を飛ばし攻撃してくる。

 

「うわぁっ!!」

 

 その次々と飛んでくる攻撃を避け切れず、ダメージを受ける。

 

「クソッ! これでどうだ!」

 

 俺はガブリボルバーを取り出し相手を撃つが、それもあいつのブレイクダンスによって悉くかわされる。

 

「ノンノンノン! 当たらないよ☆HAHAHAHAHA☆やっぱり君のダンスは三流レベル! まだソーラン節とかの方がかっこよく見えるYO☆」

「くっ……ぐはあっ!」

 

 そして俺はその攻撃に耐え切れず、ついに変身を解除され生身の姿になってしまった。

 

「タツ!」

 

 百夜が叫ぶ。

 

「もう終わりかい? これでターンエンドだYO☆」

 

 ダンスノーワンは巨大なト音記号型のエネルギー弾を作り出し、俺に向けて放った。

 ……こんなところで終わるのか?

 そう思い、俺は観念し目を瞑った。

 

 ……が、それが俺に命中することはなかった。

 その代わりに俺を庇って変身解除した百夜の姿が目の前にあった。

 

「百夜! どうして……」

「君をこんなところで終わらせるわけにはいかないからね……」

 

 苦しそうに百夜は答える。

 

「実は君のマネージャーに相談を持ちかけられていてね……」

「……え?」

「僕はずっとソロでやってきてたからね……実は鳥羽さんから、君と2人で新たなユニットを組む話を持ちかけられていてね。今日はその話をするつもりで来たんだ」

「そうだったのか……」

「それに君のダンスの実力は本物だと僕も思ってるからさ。僕の輝きと君の輝き、そしてみんなの輝きが組み合わされば、ナンバーワンなんてあっという間さ!」

「みんなの輝き……」

「そう。アイドルは、ダンスは、1人だけが輝いているだけじゃ駄目なんだよ」

 

 そのとき、ハルの声を思い出した。

 

『いい加減、俺達と一緒に踊ってくれよ!』

「そうか、俺はずっと……」

 

 俺はようやく気づいた。俺はユニットを脱退したから1人で踊っていたんじゃない。ずっと前から、俺1人だけて踊っていたんだ。

 

「目が覚めた。礼を言うぜ百夜」

「……お礼ならあいつを倒してからにしてほしいかな」

「ああ、行くぜ!」

 

「「エンゲージ!」」

 

『クラップ ユア ハンズ!』『センタイリング!』

 

 俺と百夜は振りは違うが、確かにひとつになって、手拍子を打つ。

 

『ゴジュウレオン!』『キョウリュウジャー!』

 

「何度やっても同じことだZE☆」

「同じじゃないぜ……以前の俺とはな!」

 

 

『いざ掴め! ナンバーワァーーーーン!!』

 

 突如現れた謎の応援団が、俺たちにエールを贈る。

 

『GO! GO! ユニバース!』

 

「みんなが見る見るウィンドミル! 空も飛べるぜウイングKILL☆

 ブレイクSHOW TIME! ダンスノーワン! 

 僕ちんのテクでぶっ飛ばすZE☆」

 

『フレーーーーーー!!』

 

「思い出したぜ本当のブレイブ! みんなで決める真のブレイク! 

 ダンシング勇者! キョウリュウレッド! 

 踊るぜ! 止めてみな!」

 

『ダンス No.1 BATTLE!』

『Ready GO!!!』

 

 〈FIGHT! 〉

 

 

『レオンバスター50!』

 

「これでも!」

「食らえ!」

 

 俺はと百夜はダンスノーワンに向かってレオンバスター50、ガブリボルバーを連射する。

 

「だ・か・らぁ〜☆当たると思っているのかい!?」

 

 難無く奴にかわされる。だが、それでいい。

 

「思ってるさ! 君にじゃないけどね!」

「Whats!?」

 

 ダンスノーワンの上から無数の瓦礫が降り注いだ。

 そう。俺達はダンスノーワンではなく、奴の背後のビルを撃って破壊し、奴目掛けてその瓦礫を降らせたのだ。元々奴らの攻撃でボロボロになってたし、中の人も避難してるだろうから大丈夫だろう。

 俺達の狙い通り、ダンスノーワンはそれらを避けるため、大きく旋回した。

 

「今だ! タツ!」

「任せろ! アームド・オン!」

 

『メッチャムーチョ!』

 

 俺は百夜の肩を踏み台に高く跳び上がった。そしてガブリボルバーのシリンダーを右腕で回し、ティラノサウルス型のナックルを装備する。

 

「ガブティラファング!」

「Oh!?」

 

 ダンスノーワンが瓦礫を避けた先目掛け、思い切りパンチをお見舞いした。たまらず奴は地面に叩き落とされる。

 

「今だ! 充電(チャージ)!」

 

 俺はキョウリュウジャーの指輪の能力を発動。強力な電気によって相手の動きを止める。

 

「Oh My GOD……!? 今まで受けたダメージを蓄積して、電気にして放出する能力KA……!」

「「ハァッ!!」」

 

 間髪入れず、右の翼を百夜がテガソードで、左の翼を俺がガブリカリバーでそれぞれ切断した。

 

「Nooooooooo!?」

「これでお前ももう飛べねえ!」

地上(ここ)なら僕達のステージだ!」

 

 そのまま俺達はリズムを合わせ、まるでステージでダンスを披露するように、息のあった攻撃を連続で食らわせる。

 

「なぜDA!? 僕ちんの方がテクニックは上のはずだろ!?」

「まだ分からないかい!? ダンスは1人だけでは踊れない! 一緒にリズムに合わせて踊る仲間が! ひとつになって盛り上がる観客がいるから! 成立するんだ!」

「それに俺達ダンサーは、テクニックを見せびらかすために踊るんじゃない! 観に来てくれるファンを楽しませる為に踊り、歌う、エンターテイナーだ! かつての俺や、お前みたいに独りよがりのダンスで1人で気持ちよくなってちゃ意味がない!」

 

 そうだ、俺は見失っていた。

 

 自分が周りより少し踊れるからって、周りが見えていなかった。俺は俺のためだけに踊っていた。ダンスってのは表現なんだ。そんな独りよがりなダンスを見て、みんなが楽しめるわけはねえ。技術を自慢するだけなら、ダンサーである意味はない。

 

「これが僕達の!」「これが俺達の!」

「「ブレイブダンスだァァァ!!!」」

「Oh No!!!??」

 

 2人のキックが同時に炸裂し、ダンスノーワンは盛大に吹っ飛ぶ。

 

「タツ! 君のマネージャーは君が救うんだ!」

 

 そう言うと百夜は自分の金色のテガソードを俺に渡す。

 

「ああ!」

 

 そして俺はダンスノーワン目掛けてテガソードを突き刺す。

 

『フィニッシュフィンガー! レオン!』

 

「ぐはぁっ!?」

 

 するとダンスノーワンの体内に、苦しそうにしている鳥羽くんを見つける。

 

「掴め!」

「タ……ツ……くん……!」

 

 テガソードの刃を展開し、その右手でしっかりと鳥羽くんの手を掴む。そして、思いっきり引っ張り上げ、彼を救出する。

 

「さあ! 楽しいライブもここまでだ!」

 

『レオン! ガトリングバースト!』

 

 そして宿主が抜け出し空となったダンスノーワン目掛け、百夜がレオンバスター50の連射を浴びせる。

 

「これが僕ちんの……千秋楽〜!!!」

 

 そう叫ぶと、ダンスノーワンは爆散した。

 

「僕達こそ!」「俺達こそが!」

「「ダンスナンバーワンだ!!!」」

 

 俺と百夜は爆発を背にポーズを取った。

 

『WINNER! GOZYU LEON & KYORYU RED!!!』

 

「俺を忘れんなー! まだまだ終わってねぇぞー!!!」

「!?」

 

 上空から降ってきた謎の巨大なベルの形をしたロボットが轟音を立てて着地した。

 そういえばケボン・リュソクールとかいうのが(百夜曰く、アーイーと言うらしい)残ってたな。忘れてた。

 

「俺様のアイアイザー・バーベナで蹴散らしてくれるわァァァ!!」

「そうはいかないよ! おいで! テガソード!」

 

 百夜はテガソードの手の甲に当たる部分を開いた。

 

『アウェイキング!』

 

 するとどこからか、巨大なテガソードが現れ、変形を開始する。そして百夜は変身を解除した状態でやたらと神秘感のあるバトルドレスに身を包み、巨大な指輪の形のコックピットに乗り込み飛んでいく。

 

 更にまたどこから出てきてのか、巨大なレオンバスター50が現れて変形し、テガソードの右腕と合体し、立髪部分もテガソードの装飾のように合体する。

 

「リングイン!」

 

 百夜を乗せた指輪がテガソードの頭部に合体・変形し、顔が完成する。

 

「人神一体!」

 

 百夜はテガソードとシンクロし、宣言する。

 

『放て! 吠えろ! ブルー!』

『放て! 吠えろ! ブルー!』

『テガソードブルー!』

 

「テガソードブルー!」

「俺様の騎士道、見せてやるぜェェェ!」

 

 アイアイザー・バーベナは巨大な剣と盾を生成する。

 

「くっ!」

 

 テガソードブルーは右腕のガトリングから強烈な連射をお見舞いするが、あいつの盾で塞がれてしまう。

 

「どうしたァ? こんなモンかァァァ!?」

「おっと!?」

 

 テガソードブルーは近距離戦は不得手なのか、そのまま距離を詰められ大剣による斬撃を食らってしまう。

 

「百夜!」

 

 

 俺は見てるだけしかできないのか……?

 俺にできることは、ないのか……? 

 

 その時、とある時空の狭間の遠い場所で、一体の巨神が目覚めた。そして、巨大戦を繰り広げる前に巨大な円を通じて、それは現れる。

 謎のサンバのホイッスルが鳴り響きながら。

 

 

『ハッ! ハッ! シーハッハッ!』

『キョウリュウジン!』

 

「あれは……キョウリュウジン! ロボの墓場から蘇ったのか……?」

 

 テガソードが驚いたような声も漏らす。

 

「これはとんでもないサプライズだね……タツ! 行けるかい!?」

「ああ! 任せろ!」

 

 俺は勢いよく飛び上がり、キョウリュウジンに乗り込んだ。その中はとても広く、どこか神聖な雰囲気の感じる場所だった。そこでは俺も変身は解除されていた。

 

「なんだなんだ!?」

 

 ケボンは困惑し、取り乱していた。

 

「なるほど、王野 竜道のブレイブにキョウリュウジンが反応したと言うわけか……」

 

 テガソードが解説するように話したが、ブレイブだのなんだの正直よくわかってない。だがようやく、本当の俺を取り戻したような感覚があった。

 

「よし! 力を合わせよう、タツ!」

「ああ! ここからがアンコールって訳か……力を貸してくれ! キョウリュウジン!」

 

 俺の声に答えるようにキョウリュウジンが吠えた。

 

「ハァ!」

 

 俺はキョウリュウジンの操縦席のレバーを思いっきり引いた。そして右手に持った五連獣電剣を振るい、相手の剣を叩き落とした。

 

「ガァッ!?」

 

 相手が怯んだ隙に、肩のガブティラで盾に噛みつき、そのまま盾を噛み砕いた。

 

「俺様の剣と盾が!?」

「決めるぜ百夜!」

「OK! 最後はこの曲だ!」

 

「テガソード!」「キョウリュウジン!」

「キラリ☆ライオン流星群!」「ブレイブフィニッシュ!」

 

『レオン! ガトリングバースト!』

 

『バモラ! ムーチョ!』

 

 丸腰になったアイアイザーにガトリング砲とエネルギー砲が炸裂する。

 

「ハハッ……お前らのソウル……悪くなかったぜ……!」

 

 そう呟くと、ケボンはアイアイザー諸共爆散した。

 

 

 

「ありがとな、百夜。俺、まだまだ未熟だった」

「そうかな? 君のダンスの実力を認めているのは本当なんだけどね」

 

 戦いが終わり、俺達は『半世紀』というカフェで話していた。初めて来た場所だったが、雰囲気があっていい店だった。……近くの席で花の蜜を吸ってるやたら目つきの悪い男と、向かいの席でなにやら話してる総理大臣に似た男とハイクラスな見た目をした女が気になるが。

 

 ちなみに百夜はコーヒーを、鳥羽くんはクリームソーダを、俺はアイスクリームを注文していた。

 

「ハハッ。そいつはお世辞だとしても悪い気はしねえな」

「で? 僕からの誘いの返事はどうなのかな?」

「そのことなんだが、悪いけど、俺からの返事はNOだ」

「そっか……。人に振られたのは初めてだ。自分から女の子を振ったことは数え切れない程あるけど」

「……お前、やっぱムカつくな」

「で? これからどうするの?」

 

「俺は、海外でダンスの修行をすることにした」

「海外で修行?」

「ああ。世界にはいろんな奴がいる。そいつらもきっと、それぞれ自分達のダンスを踊ってる。だから、世界中を回って、いろんな人と一緒に踊って、俺のダンスをもっともっと磨きたい。そして、改めてダンスナンバーワンを目指す!」

「……なるほど。なんだかタツらしいね」

 

 すると、鳥羽くんが口を開いた。

 

「その旅、私も同行していいでしょうか?」

「へぇ?」

 

 あまりに意外な提案に思わず変な声が出た。

 

「タツくんの良さは私が一番良くわかっているつもりです。君を支えるのが、マネージャーの仕事ですから」

「……鳥羽くん」

 

 思えば、鳥羽くんはCharge時代からマネージャーとして俺を支えてくれた。俺が抜けた後も、わざわざ自分も事務所をやめて俺についてきてくれた。

 

「勿論だ。これからもよろしく頼むぜ!」

「こちらこそ、よろしくお願いします」

 

 

「……そーいや、お前は今どうしてんだ?」

 

 ふと思ったことを質問する。百夜だって、事務所を追い出されている身だ。こいつもこいつで大変なんじゃないだろうか。

 

「僕は今ちょっと、指輪争奪戦で一緒に組みたい人がいてね……なかなか苦戦してるんだけど」

 

 そう言うと百夜は自分のゴジュウレオンの指輪を見つめた。

 

「だから、君の指輪を頂くのはまたの機会にするよ」

「そーいや、俺達は指輪を奪い合うライバルなんだっけ。テガソードが言ってたわ」

「また合う時は一緒にステージで踊ろうぜ、百夜」

「そうだね。その時を楽しみにしてるよ」

 

 俺達は固く握手を交わした。その光景を鳥羽くんが感慨深そうに眺めていた。店の店内BGMが、心地よく流れていた。

 丁度その頃店の扉が開き、頑固そうな老人と、孫らしき高校生の男の子が入店してきた。

 

「いらっしゃいませー!」

 

 店の女性オーナーが明るく声をかける。その何気ない光景が、なぜか今の俺にはやけに眩しく感じた。

 

 

 

 

 

 1ヶ月後、海外出発を前日に控えた俺は、久しぶりにかつてのユニットメンバーに会いに行こうと、かつて所属していた事務所に向かっていた。その道中、関西弁で話す妙な男と出会った。

 その男も、俺と似たような赤いティラノサウルスの描かれた指輪をはめていた。つまり……。

 

「君、もしかしてキョウリュウレッドのユニバース戦士か?」

「……そうだったら、どうすんだ?」

「俺は戦隊考古学者や。色んなスーパー戦隊を調べとる。君のオムライス……スーパー戦隊魂が本物かどうか、是非見定めてみたい」

 

 ……つまり、俺と戦うってことだ。俺は銀のテガソードを取り出した。

 

「まあ、指輪争奪戦には興味ないねんけど、くれる言うんやったら貰っとこうかな」

 

 その学者も答えるように銀のテガソードを取り出す。

 

「ああ。くれてやるつもりはないけどな!」

「「エンゲージ!」」

 

『キョウリュウジャー!』『ジュウレンジャー!』

 

 

 2人の赤い恐竜の戦士が、互いの刃をぶつけ合った。

 

 

〜終〜

 




 キョウリュウレッド
 指輪/センタイリング キョウリュウジャー
 契約者/王野 竜道(おうの たつみち)
 職業/ダンサー
 願い/ダンスナンバーワン

「[[rb:充電 > チャージ]]の能力によって、受けたダメージを溜めて、電気に変換し相手に放射することができる。百夜陸王と共にダンスノーワンを撃破するが、その1ヶ月後にティラノレンジャー/往歳巡との戦いに敗北し、指輪争奪戦から脱落した」


以下作者様のあとがきです。

初めまして。リオスと申します。
この度『ユニバース戦士補ジュウ計画』に参加させていただきました。
今回キョウリュウジャーのユニバース戦士の話を担当させていただきました。
自分自身、こういった二次創作を本格的に書くのは今回が初めてでした。ですので、他の参加者の皆様の作品と比べると粗の目立つ出来だと思います。
幼い頃からずっとTVの前で応援してきたスーパー戦隊。最終作であるナンバーワン戦隊ゴジュウジャーも毎週楽しみに観てきました。
そんな思い出のスーパー戦隊が、50年の歴史に一旦のピリオドを打ちました。
勿論、現在放送中の『超宇宙刑事ギャバン インフィニティ』も毎週楽しませてもらっています。しかし、もう個性豊かなゴジュウジャーのメンバーや、ユニバース戦士の面々を見れないと思うと、どこか寂しさも感じていました。
そんなとき、何気なくXを眺めていると壱肆陸様のこちらの企画の募集が流れてきました。
ひとえに、スーパー戦隊が好きだから、ゴジュウジャーが好きだから、その気持ちで思い切って参加に手を上げさせていただきました。
そんな自分が一番好きなスーパー戦隊・獣電戦隊キョウリュウジャーのユニバース戦士のお話を書かせていただきました。拙いお話ではありますが、どうぞご一読いただけると幸いです。
 
さて、ここからは僕が執筆させていただいた本作の解説をしていきたいと思います。
まず、サブタイトルの「これぞブレイブ!ダンシングフロンティア!」ですが、元ネタはブレイブフロンティアとのコラボとして作成されたブレイブ33.5『これぞブレイブ!たたかいのフロンティア』です。
どんなところから持ってきてるんだ…
ゴジュウジャーのサブタイトルの法則である、「歴代戦隊の要素を入れる」という点も、「ブレイブ」でクリアしています。
そして、キョウリュウレッドの指輪の契約者・王野竜道(タツ)についてです。
名前の由来ですが、苗字の王野は本来のキョウリュウレッドの変身者・桐生ダイゴの通称であるキングから、名前はダイゴが父から受け継いだ信念である「竜の道」から取りました。
職業のダンサーは、「キョウリュウジャーといえばダンスでしょ!」くらいのノリで決めました()
ちなみに最終的に世界を旅するという結末にしたのも、ダイゴが世界中を旅する冒険家だから、というのもありますが、個人的には美琴も少し意識してたりします。
また、「個人的な理由でユニットを脱退してソロで活動している」という点は、何かと「戦隊」「チーム」であることを強調していたキョウリュウジャーのアンチテーゼとして入れました。
「圧倒的なカリスマで周囲や仲間を惹きつけ、戦隊を作るダイゴ」と「仲間を信じず孤独になったタツ」といった対比にしたつもりです。
ちなみに、キョウリュウレッドの能力の『充電(チャージ)』やタツがかつて所属していた『Charge』の名前の由来は、「獣電池→電池→充電→チャージ」といった感じに連想しました。
『Charge』のメンバー名も、「ハル→ノブ”ハル”」「ゲンジョー→(ひっくり返して)ジョーゲン→仮面ライダーザモナス→斉藤秀翼さん→イアン」「ユズル→アミィ”ゆ” う ”づ” き」「ツルギ→剣→ソウジ」たいった具合にキョウリュウジャーメンバーの名前を捩ったネーミングにしました。(ちょっと無理矢理すぎないか…)あと、考えたのは名前だけでキャラ設定などは特に考えていません。
陸王と絡ませたのも、ダンサーという点から絡ませたら面白いのでは?と考え、かつて同じ事務所に所属していた、というオリジナルの設定をつけて今回登場させることにしました。本編では主に禽次郎がキョウリュウジャーの指輪を使っていたので結構新鮮かな?などと思ったり思わなかったり。
 
今回登場したダンスノーワンですが、イメージ的にはカタカケフクチョウをモチーフにしており、カタカケフクチョウは非常に個性的な翼を広げて踊って求婚する、という生態をもつため、今回にぴったりかなと思ってます。ノーワン怪人らしく、空中で飛びながら踊って一方的に攻撃するという卑怯な一面も持たせました。CVは本編でトリンを演じられた森川智之さんをイメージしています。それもトリンのようなイケボよりかは、某国民的足臭とーちゃんのようなお声で演じてほしいなと(笑)
一緒に登場した金アーイー「ケボン・リュソクール」ですが、元ネタは言わずもがな『騎士竜戦隊リュウソウジャー』です。キョウリュウジャーは恐竜戦隊だと唯一リュウソウジャーだけ共演経験がないですからね。(一応ゼンキラセンパイでレッドだけ共演してたけど…)名前の由来も変身音の「ケボーン!」「リュウ SO COOL!」からです。
CVのイメージは本編で喜びの戦騎・キャンデリラを演じられた戸松遥さんをイメージしています。多分だけど、妖怪とともだちになるタイプの小学生みたいなお声になってそう()
アイアイザー・バーベナの名前に含まれるバーベナも、花の名前を入れるというアイアイザーの法則に従い名付けました。バーベナの花言葉には「団結」という意味が込められており、リュウソウジャーのテーマである「ソウルをひとつに」から連想してつけさせてもらいました。
 
先述して通り、初めての二次創作執筆ということで、過度に難しいことを考えすぎず、シンプルな作りを意識して本作を執筆させていただきました。
自分で読み返してみても、「もっと良い展開にもっていけたな」「ここの表現イマイチだな」など思うところは山程ありましたし、決してレベルの高い小説ではないと思います。
それでも、書いていてとても楽しかったです。
こんな自分でも企画の参加を許可してくださった壱肆陸様、Discordでお話やアドバイスをしてくださった皆様に、心から感謝を述べたいと思います。
本当にありがとうございました!

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