ユニバース戦士補ジュウ計画   作:壱肆陸

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本日は山形りんごを食べるんごさんの作品の後編です。
前回の続きとなるので、先にそちらをご覧ください。

以下、作者様のまえがきです。


 後編になります。
 御影 椿の結末、是非ご覧下さい。



咎侍極立(後編)

 忍者戦隊カクレンジャー。

 忍風戦隊ハリケンジャー。

 手裏剣戦隊ニンニンジャー。

 

 お笑い界ナンバーワンを目指すトリオ。ニンジャレッドの五猿(ごさる) (あかね)、ハリケンレッドの九十九(つくも) 紅鷹(あかたか)、アカニンジャーの二ノニ(にのに) 赤司郎(あかしろう)。忍者の力を使う指輪の戦士に選ばれた彼らは縦横無尽、変幻自在、疾風怒濤の連携でシンケンレッドを追い詰めていく。

 

「猿手裏剣!」

 

 ニンジャレッドがS字型の手裏剣を連続で投げ。

 

「ドライガン!」

 

 ハリケンレッドのドライヤー型銃から火炎弾が放たれ。

 

「忍烈斬!」

 

 アカニンジャーが赤いオーラを纏った剣を振り下ろした。

 

 連続攻撃をどうにか凌いでいくシンケンレッドだが、彼らは更に素早い動きで攻めていき反撃する隙が無い。3人はそれぞれの忍刀を手にして超スピードで駆ける。

 

『超忍法! 三連影の舞!!!』

 

 捉えられぬ影の如き斬撃。3人の忍びの刃がシンケンレッドを斬った。膝を付くシンケンレッド。今こそトドメを刺す時と、彼らは並んでから一気に飛び掛かる。だがシンケンレッドは咄嗟にショドウフォンで“壁”の文字を書いて地面に飛ばし、前面に大きな壁を隆起させた。

 

「どわっ!?」

「へぶっ!?」

「ぎゃっ!?」

 

 壁にぶつかった3人はそのまま地に落ちる。

 

「おいおい何やこの壁はぁ!?」

「まさかこれがお笑い界の壁!?」

「いやんな訳あるかい!!」

「俺らはこれを乗り越えて、お笑い界ナンバーワンになるんやぁ!!」

「九十九ぉ!!」

「二ノニぃ!!」

「いやお前ら何勝手に感動しとんねん!?」

 

 そんなコントをしてると壁が崩壊、刀に雷を纏わせたシンケンレッドが突っ込んで来た。それが横一閃に振られ、雷撃迸る一太刀を受けた3人は纏めて吹っ飛ばされてしまう。転がっていった彼らへシンケンレッドは更に駆け寄り、追撃となる斬撃を浴びせていく。

 

「ぐおおッ!?」

「があ!?」

「く、ううッ!? 調子に乗んなやあああああ!!」

 

 ハリケンレッドが指輪能力である旋風(ハリケーン)を発動して突っ込む。竜巻を纏い回転しながら自在に動き回り攻撃する能力だ。シンケンレッドはそれを正面から受け止めた。

 

「2人とも、今や!!」

「おっけいぃ!!」

「合点承知!!」

 

 ニンジャレッドが分身(わけみ)を発動して彼を囲み、四方八方から手裏剣を投げた。後方に大きく跳んでそれらを回避したが複数のニンジャレッドが傾れ込む様に襲って来る。これらの分身には実体と意思があり、更に全ての分身体が情報を常に共有しているという優れもの。絶え間無い連続攻撃で手間取ってる彼に、アカニンジャーが爆破(バーン)を使用した。一定範囲の地面を爆発させるその力で、彼の足下を吹っ飛ばした。

 

 爆発により大きなダメージを受けて地面を転がるシンケンレッド。それを見て忍者3人はガッツポーズをする。

 

「どや! これが俺らトリオの力だ!!」

 

 完全に不利な状況、ふざけてはいるが強力な連携。御影が実力者であっても苦戦するのは仕方ない。だがそれでも負ける訳にはいかない。シンケンレッドは立ち上がり、烈火大斬刀を構えた。それを見て一瞬息を呑んだ3人だが、すぐに迎撃体勢を取る。

 

 アカニンジャーが彼の足下を連続で爆破。しかしシンケンレッドは疾走してその中を突っ込みながら向かう。ニンジャレッドが分身達を向かわせ、ハリケンレッドが纏った竜巻をそのまま飛ばすが、彼は烈火大斬刀で全て薙ぎ払ってしまった。

 

「なッ!?」

 

 止まらず走りながら“猛火”の字を書き烈火大斬刀に付与。大剣が凄まじい勢いで燃え上がっていき、彼はそれを3人にへと一気に振り下ろした。

 

「百火繚乱……!」

 

 斬撃は3人を一網打尽。彼らは変身が解除されて地に伏した。指輪を奪う為に歩き出すシンケンレッド。しかし彼も少なくないダメージを負っており、足が止まり膝を付く。

 それをチャンスと見た3人は、そそくさと撤退するのであった。

 

「くっ………そ…………」

 

 三つの指輪を手にする機会をみすみす逃してしまい、変身解除した御影は拳を握り締める。そんな彼に、近付いて来る新たな三つの影があった。

 

「いやぁー、噂には聞いたったけど、ほんま凄い強さやなぁ!」

 

 ハットを被り蝶ネクタイをしたスーツ姿の男性は拍手して笑いながら御影に話しかけてくる。少し胡散臭く感じるその様は、以前戦った五代儀を連想させて癪に触る。

 

「俺の名は往歳 巡。戦隊考古学を研究してる学者や。あ、こっちは助手君と助手ちゃんな」

 

 雑に紹介された助手の2人は不満気な顔をし、特に女性……というか女子の方は額に青筋を立てているが、御影に取ってはそんなことどうでも良い。何故なら往歳の右手に輝くセンタイリングを見つけたからだ。彼は恐竜戦隊ジュウレンジャーの指輪の持ち主なのだ。

 テガソードを構え、再び戦う為に指輪を填めようとする。

 

「ちょい待ちぃ。今の君じゃあ、俺らには勝てへん。こっちだって弱ってる相手を嬲る様な真似はしとう無いし、ここはその矛、収めてくれんか?」

「本当に勝てないか……試すか……?」

 

 彼から放たれる闘気は尋常じゃなく、油断すれば一気に呑まれそうになる。しかし往歳は笑顔を崩さず御影を見つめた。

 

「自分の限界の分からん君や無いやろ? ここでやり合うのはお互い得にならん。やから頼むわ、な?」

 

 少し考えた後、御影はテガソードを下ろした。彼の言う通り、このまま戦っても自身の敗北で終わることになるだろう。頼みを聞いてくれた御影に往歳は満面の笑みを浮かべた。

 

「助かるでぇ。あ、それはそうと君、モヂカラを使えるんやなぁ!」

 

 御影は「モヂカラ」という言葉を聞いて首を傾げる。

 

「そのまんま文字の力、って感じや。シンケンジャーが使ってた戦う力の源で、書いた文字を具現化出来るっちゅうもんや。本来これは普通の人間が使えるもんや無い。シンケンジャーの指輪能力の塗装(ペイント)は、あくまでも描いた色の特性を与えるだけの能力……例え文字を書いたとしても、それを具象化したりその状態を与えたりするなんてのは普通は有り得へんのや!」

 

 往歳の言葉がどんどん熱くなっていく。

 

「これが指輪との相性によるものなのか、そもそも戦隊と同じ資質を持つ人間がいるのか……。明確な理由はまだ調査中やが、少なくとも君はその特殊な例に当て嵌まる稀少な人間なんや! 是非とも研究に協力したらもらいたい! そんでもって、俺らと戦隊を組もう!」

 

 目を輝かせながら手を差し出し仲間になれと言ってくる往歳に、ますます五代儀が重なり不快なる。何にせよ、仲間になる気など全く無い。

 

「消えろ。次に会った時は倒してやる……」

「え、ちょい、待ってくれや!?」

 

 御影は踵を返して歩き去っていく。伸ばした手は、空を掴むしかなかった。

 

「先生、本気であの人を仲間にするつもりだったんですか?」

「おお、もちろんや」

「絶対に辞めた方が良いですよ、あの人は……」

 

 助手2人が呆れながら往歳に対してそう言った。この人の無茶な行動に彼らは毎回振り回されている。2人の忠告を受けるが、それでも往歳は彼を仲間にしたい、彼のことを調べたいと思っている様だ。

 

「彼は本来のシンケンジャーと同じ力を持ってる、または異常な迄に指輪との相性が良くてその力を完璧にまで引き出せているかのどちらか。少なくとも俺が知る中でこの状態に当て嵌まると思われるのは他に常夏総理くらいや。そんなレアケース、ほっとく訳にいかんやろ!!」

「はいはい分かりました。でもあの人は辞めましょう」

「彼女に賛成です。あんな誰にでも斬り掛かる辻斬りみたいな人、危険でしかないでしょ……」

 

 2人から釘を刺され、「ほなしゃーないかぁ……」と少し項垂れる。そこまで言われるならもう諦めるしかない。日本の総理大臣に研究対象になってくれと言うのも引けるし、頑張って彼らの様な人物をまた捜すか、と思うのであった。

 因みに少女の指にも爆竜戦隊アバレンジャーの指輪が煌めいていた───

 

 

 

 

 

 

 御影はまた旭……トッキュウ1号からの襲撃を受けていた。マジレンジャーの指輪は具島が所持しているので意味の無いのだが、そんなこと知る由も無い旭は御影のことを狙う。

 

《乗り換えてぇ〜バイオレット〜》

 

 格闘特化の紫の姿になり拳を振るう。しかし躱されて、逆に峰での一太刀を浴びることになった。

 

「ぐうう……!? まだまだぁ!」

 

 トッキュウ1号は諦めずに突貫していくが、彼に一撃も与えることが出来ない。我武者羅に拳を突き出し蹴りを繰り出す。だが全てが空を切り、シンケンレッドからのカウンター攻撃を尽く喰らっていく。

 

 旭はあの日以来、何度も何度も御影のことを狙った。しかしその度にあしらわれ撃退され、その上で指輪も奪われないという状況が続いた。しかも繰り出される攻撃は手加減をしたものばかり。明らかにまだ子どもである自分のことを憐れんでのことだろう。そうやって舐められてることが、旭の怒りのボルテージを更に上げていた。

 

「舐めるあァァァァァ!!」

 

《乗り換えて〜オレンジ〜》

 

 豊富な武装を扱えるオレンジ色に乗換(トランスファー)。誘導棒型の武器を振り翳して接近。そしてそれを振り下ろした。シンケンレッドの刀で受け止められてしまったが彼は構わず何度も振るう。ドリルの力を宿した突き、タンクの様な重さを宿した打撃。様々な攻撃を繰り出すが、どれも通じない。募る苛立ち。御影と旭の間には、決して越えられない実力の壁があった。

 

 具島の為にも彼を倒して指輪を奪わなければならない。しかし子どもである彼を強く傷付けることを御影は躊躇していた。捨てたと思っていた躊躇いが足を引っ張り刃が鈍る。

 目的を果たすのなら相手が子どもでも容赦するべきではない…………そんなことは分かっている筈なのに、どうしても余計な慈悲が産まれてしまう。いや、慈悲などではない。これはエゴ。自分にはまだ優しがある……そんなことを思い、自身を正当化したいが為の何とも愚かな考えだ。

 

「ッ……」

 

 奥歯を噛み締める。

 躊躇うな。容赦をするな。戦え。倒せ。奪え。

 頭の中で何度も自身に連呼するが、腕が震えて重くなり、それをやれないでいた。

 

「真凜姉の為に……!! 絶対に俺は、僕は……!! 必ずお前を、倒すだああああああああああ!!!」

 

 コイツのせいで真凜は傷付き、ピアニストとしての道を断たれた。憧れの人の未来を奪われ、その恨みを果たす為にも彼は絶対に負けられないと復讐心を燃やしている。

 赤い姿に戻り、両刃剣を握り締めて突っ込む。刃と刃がぶつかり合って火花を散らした。

 

「あああああああああああああッ!!!」

 

 絶叫するトッキュウ1号。必ずシンケンレッドを、御影を倒すべく彼は憎しみの全てを解放、全力で彼を押そうとしていく。シンケンレッドは体勢をずらしてトッキュウ1号を往なし、足を引っ掛けた。勢い良く前に転倒してしまうトッキュウ1号。起き上がろうとした彼の眼前に、シンケンマルの鋒を向けた。

 

「ッ!?」

「……降参して、指輪を渡せ」

「なッ!? ふざけるな……俺はまだ負けて……!」

「君じゃ俺には勝てない」

 

 事実だった。どれだけ旭が足掻いても、御影に敵うことは無い。以前の様に仲間達と共に来るならともかく、たった1人では決して勝つことは不可能だろう。旭も頭の片隅で理解はしている。どれだけ足掻いても届かないことを。しかしそれを、認める訳にはいかない。憧れの人の復讐をする為、そしてその人に認められる男になる為にこの指輪を手にしたのだから、こんな奴に渡す訳にはいかない。

 トッキュウ1号は剣を振るって彼の刀を弾き、立ち上がる勢いに任せて振り抜こうとした。

 

「お前をォォッ、殺す!!」

 

 

 

 だが突如、彼の目の前に空間の穴が空き、そのままの勢いで突っ込んで見知らぬ森の中に放られてしまった。

 

「何!?」

 

 地面を転がってしまうトッキュウ1号。

 こんな真似が出来るのは1人しか居ない。入ってしまったら穴の方へ振り向くと案の定その男だ立っており、表情だけは申し訳なさそうにしながら手を合わせている。実際は、そんなこと微塵も思ってないのに。

 

「五代儀ぃぃぃぃぃ!!」

 

 彼は剣を突き出しながら再び穴を通り元の場所に戻ろうとするがそれよりも早く穴は閉じてしまい、少しだけ入れていた剣先は向こう側に持って行かれてしまった。

 先の失われた剣を見ながら、彼は変身を解除。青年の姿に戻るが、段々と縮んでいき本来の少年の姿になる。右手のテガソードの大きさは不釣り合いで、自分の小ささを感じさせられた。こんな身体ではまともに戦えないからと巨神テガソードに強く訴えて大きくなれる様にしてもらったが、実際には大きくなった所で戦えているかと言われたらそうでも無い。

 

「ふざけんな……!? ちくしょう……ちくしょう……」

 

 大粒の涙が溢れる。

 

「ちくしょおおおおおおおおおおおおお!!!」

 

 どうしようもない叫びが、森の中で轟いた。

 

 

 

 

 切断された剣先が五代儀とシンケンレッドの間に落ちている。

 

「ひっさしぶりー。元気ぃ……では無そうだな」

 

 相変わらずヘラヘラしながら話しかけて来る。今回は1人だけの様だが、シンケンレッドは警戒を解かず刃を向ける。

 

「今日は戦いに来た訳じゃねえ。お前の願いを今度こそ聞きに来たんだ」

「答える義理は無いと言った筈だ」

「言われたな。でも知りたい。だからまたお前に、椿に会いに来た。教えてもらえるまで、俺は何度でも来るぜ?」

 

 この男なら本当にやりそうだ……そう思いシンケンレッドは仮面の下で眉を顰め、観念した様に刀を下ろす。それを見て五代儀は笑った。

 

「俺には、命の恩人がいる……。その人は今、不治の病で死の危機に瀕してる。俺はその人を、救わなければならない。それが俺の望みだ」

 

 具島の命を救うこと……それが彼の望み。何があっても具島を助ける。その為に、ただひたすらに刀を握り締め振い続けているのだ。

 

()()()()()()()()()()、ねぇ……」

「…………何か文句がありそうだな……?」

「まあ、救いたいっては言わねえんだなって」

 

 そう言われて心臓を握られた様な感覚に襲われた。

 

「普通なら“救いたい”とか“救う”とかって言うだろ? でもお前は“救わなければならない”と言った。まるで自分の意思じゃなく他人から強要されてるみたいじゃねえか? いや、みたいじゃなくてその通りか」

 

 「違う」と反論しようとしたが声が出ない。

 

「誰かを助けたい、救いたいって願いを持ってた奴はこれまでもたくさん会って来たさ。でもソイツらは同時に、自分の為でもあった」

「自分の為……?」

「いえーす。その誰かに側に居て欲しいから、助けた自分を認められたいから、ソイツを好きな自分が好きだから。そんなこんなで結局は自分の為でしかないんだ」

 

 語りながら、「だが」と更に続ける。

 

「お前は違う。本当に他人の為に自分の願いを捨てている。中途半端な欲しか持たないつまんねえ奴だ。俺が一番嫌いで、同時に一番好きなタイプさ」

 

 にやりと笑う。それを見てシンケンレッドは寒気を感じた。

 

「なあ、椿。お前の願いは何だ?」

「俺は、あの人を───」

「それはソイツの願いだ、お前のじゃあ無い。教えろよ……お前がお前自身の何を願いながら他の指輪持ちを倒して来たのか? 答えられねえってんならお前は、指輪に相応しく無い人間ナンバーワン、になっちまうぜ……」

 

 何も言えなかった。具島を救うということだけをひたすらに目標にして来たがそれを自分の願いでは無いと言われ、ならば自分は何の為に戦って来たのか……?

 気付いたら変身が解除されており、目は虚ろになっていた。自分のこれまでのこと全てが無意味に思えてくる。どれだけ探しても、答えが見つからない。

 

「やっぱりねぇ……。何も持たない空っぽな奴。そんなのをよくもまあテガソードも指輪も、資格者に選んだもんだな。…………いや、空っぽだから逆に、か?」

「だったら、お前の願いは何だ……!?」

 

 半ば逆ギレの様な質問。自分が答えられないから、それを彼にぶつけて場を濁そうとしてるのだろう。そのことを理解した上で、五代儀は笑いながら答えた。

 

「俺はな……人間の願いが、欲望が、大好きなんだ! 愛してる! 生きる為の活力になり指針になり、未来に繋がっていく人間の一番醜くて一番美しい部分を! 俺はその全てを、叶える存在になる!!」

「神にでも、なるつもりか?」

「いえーす、神だ! いや、それ以上の存在……。不老不死、全知全能、完全無欠。この世界の全てを統べて頂点に立ち、宇宙すらも自由自在に操れる! そんな最高最強完璧な存在に()()んだ!!」

 

 高らかに宣言する五代儀。そんな滅茶苦茶な存在、なれる筈が無いと御影は思うが、彼からは必ず成るという絶対的な自信が伝わって来た。

 

「俺がこの指輪争奪戦で勝てば、自由に願いを叶えてやることが出来る。だからフラン達は俺の仲間になってくれたんだ」

「叶うかも分からん願いで、買収したという訳か」

「叶う……叶えさせる。例えテガソードを殺してでもなぁ。俺が奴の代わり……いや、奴以上の存在に成る」

 

 五代儀はニヤリと笑う。

 

「だから椿も仲間になれ。お前の本当の願いを俺が叶えてやる」

 

 御影に手を差し出した。五代儀の言葉に嘘は無い。もしこの戦いに勝ち抜くことが出来たら彼は神をも超越した存在になり、人々の願いを叶えていくだろう。そうなれば、具島の命も救われるかも知れない。彼の命が助かるのなら……そう思い手を伸ばそうとするが止まる。

 五代儀が求めるのは御影の本当の願い。それは具島を助けることでは無い。ならば何かと聞かれても分からない。彼に図星を突かれたことで空いた穴は、胸でじわじわと大きくなっていった。

 

「俺の……本当の願い……」

「ある筈だ。お前が人間なら必ずなぁ」

  

 手を伸ばしたまま近付いて来る五代儀。彼はどうしても御影を仲間にしたいのだろう。

 

 しかし御影が、その手を取ることは無かった───

 

 

 

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 2025年4月。

 

 

 

「お兄さん、どうかした?」

 

 緒乙にそう声を掛けられ、御影は少し驚く。

 

「何となくそんな気がしたんだ。ギャルの勘? ってやつ!」

 

 あれから御影の持って来たギャル関連の雑誌を読みまくり、気分はすっかりギャル。一人称も“私”から“うち”を多用する様になった。

 

 あれからまた、御影は様々な指輪戦士と戦って来た。そうすれば何かを見つけられると思ったからが、しかし戦っている間にも苦悩は余計に増えて蝕まれ、それに圧し潰されそうになり、心臓を締め付けられていく。それでもひたすらに刀を振るい続けたが、結局何も変わらない。

 五代儀の言う通り、自分は空っぽで指輪を持つには相応しく無い人間であったと痛感させられる。

 

「いや、俺は……」

「絶対悩んでるよね? うち、何でも聞くよ?」

 

 緒乙が御影の顔を覗き込む様に見る。

 彼女の言う通り、御影には自分では抱えきれない悩みがある。だがそれを彼女に言う訳にはいかない。何せ彼女の自由を奪ってしまっていることがバレてしまうからだ。

 そんなことを言えば、どれだけ責められるだろうか……?

 

 その恐怖から、彼は何も言えなかった。

 

「…………よし!」

 

 立ち上がった緒乙は、彼の背後に周りそのままぎゅっと抱き締めた。

 

「お、緒乙ちゃん……?」

「大丈夫だよ、お兄さん」

 

 彼女の温もりが背中から拡がっていく。

 

「お兄さんはいっぱい頑張ってる。今は辛かったり、苦しかったりすることあるかも知れないけど、それもいつか必ず報われるから」

「でも……」

「大丈夫。お兄さんは絶対大丈夫だから。うちが保証する!」

 

 にっこりと笑い、また抱き締めてきた。少し震えながら、御影は緒乙の手に自分の手を重ねる。彼女の手は暖かく、まるで心が溶かされる様に感じた。

 口を開いて彼女に感謝や想いを伝えようとするが、唇の震えと罪悪感によってそれらが口から出ない。どうしようもない自分のことを嫌悪しながら、彼女の優しさに甘えてしまっていた……。

 

「俺は……俺には……願いがあった……」

 

 ようやく言葉が出て来る。

 

「俺の叶えたい願い……そう思って、信じて、ずっと戦って来た。でもそれは、俺の本当の願いじゃなかったみたいなんだ……」

「本当の願い?」

「うん……。他人に言われて、その指示しに従って、その人の為に誰かを傷付けて……。俺は自分で覚悟してやってると思ってたけど本当は何処にも、俺の意思なんて無かった。空っぽのまま動いてただけの操り人形だったのさ……」

 

 自虐する様に笑う。緒乙は自分が何を言っているのか分からないだろう。真実を知れば、彼女は間違いなく自分のことを軽蔑し拒絶する。今そんなことをされたら、自分は壊れてしまうかも知れない。

 渇いた笑いを漏らした彼の前に緒乙は周り、その手を握った。

 

「うちはね、病気を治したらオシャレなカフェに行きたい! 美容室でヘアセットやカラーリングもしたいし、洋服買ったりネイルもしたい! あとパンケーキも食べたい! 他にもたくさんたくさんやりたい!」

 

 彼女の瞳はキラキラと輝いている。

 

「願いって言うにはちっぽけかも知れないけど、うちにはやりたいこといっぱいあるの。それはね、お兄さんがうちの為にたくさん頑張ってくれて、その時間の中で見つけれたものなんだよ」

 

 御影は緒乙の為にやれることをやってくれた。時間としては僅かなものなのだろうが、それが彼女にとってとても嬉しいかったことは変わらない。

 

「私はお兄さんに心から感謝してる……。今こんなに楽しいって思えるのは、お兄さんのおかげなの」

 

 握った手を、胸元に持っていく。彼女に付けられたシンケンジャーの指輪が淡く光った様な気がした。

 

「だから、お兄さんには元気で笑ってて欲しい。うちがお兄さんを笑顔にしたい! あ、これもやりたいことの一つだね」

 

 眩しい笑顔が御影に向けられた。優しさが胸に染み渡る。こんな優しい子を自分は……。

 もうこれ以上、彼女を騙し続けたくない。真実を伝えよう……例え彼女にどれだけ恨まれることになろうとも。自分が犯した罪の罰を、全て受け入れよう……。

 意を決し、御影が口を開いたその時である───

 

 

 

 

「お? 元気そうだね」

 

 背筋が凍る。心臓を握られた様な感覚に少し震えながらゆっくり振り返ると、そこには和かな笑顔をした具島の姿があった。

 

「あれ? もしかして……お兄さんが言ってた先生!?」

「ああ。こうして会うのは初めてだね、緒乙ちゃん」

 

 御影から聞かされていた自身の病気を治す為に頑張ってくれている医師に出会うことが出来て感激。そんな彼女に具島は近付いていく。

 

 一方、御影は血の気が引き何も喋れなくなっていた。

 彼女のことはバレない様にして来た筈なのに、具島はまるで全て知っていたかの様に接している。

 何故……?

 どうして……?

 考えようとするが思考が働かず何も分からない。具島と緒乙が話しているが、その内容は一切御影の頭には入って来なかった。

 

 それから暫くして、緒乙はまたカプセルの中で横になり、指輪を外されて眠りに着く。彼女から取った指輪を呆然としている御影へ具島は差し出した。

 

「御影さんはさ、自分にとって一番都合の悪い事を大丈夫だろって思うの、辞めた方が良いよ」

 

 彼の手を取り指輪を握らせる。

 

「普通に監視カメラだって仕込んでるし、データを見ればどのタイミングで起きてたかだって分かる。多分御影さんもその可能性は考えたけど、きっと大丈夫だろうって思ってたんだよね? だから彼女を起こしてた。…………俺に黙って、ね」

 

 心臓を潰された気がした。

 具島の言う通り、監視カメラや緒乙を起こしたことによって記録が残ってしまうのではないかとは確かに考えた。しかし、御影は大丈夫だろうと過信し、ずっとバレてないと思い続けていた。冷静になって考えれば、そんな筈無いのに。

 

 笑顔を浮かべながら肩に手を置いてくる具島。御影は考えが纏まらず、何も言うことが出来ないでいる。何か言い訳をしなければ、自分も消される……いや、自分なんかどうで良い。それよりも、緒乙が何をされるか……。

 

 指輪を握らされた手に力が入る。

 いっそ、ここで彼を倒してしまえば……しかしそれは、自分の命を救ってくれた恩人を裏切るということ。今の御影には、まだそんな勇気は無かった。

 

 どうすれば良いんだ……?

 御影が戸惑う中、具島は言葉を続ける。

 

「別に責めてはないさ……寧ろ感謝してる。おかげで指輪の可能性を深く知ることが出来た」

「指輪の、可能性……?」

 

 ようやく声が出る。

 彼に対して「そう……」と言った後、具島は自身の右人差し指に付けられた指輪を見せて来た。何の戦隊も描かれていないまるで星座早見盤の様な物で、形はセンタイリングと同じではあるが明らかに異質な雰囲気を放っており、その気質は具島自身からも放たれ、御影に強いプレッシャーを与えていた。

 

「これは厄災の指輪。これが俺を救ってくれるんだ……」

 

 左掌にマジレンジャーの指輪を置き、それに厄災の指輪なる物を近付けた。すると、マジレンジャーの指輪は吸収されてしまう。御影が目を見開いてるのを見て笑う具島。指輪が妖しく輝く。

 もしや、自分のシンケンジャーの指輪も奪って吸収するつもりなのか……?

 そう考えた御影は思わず指輪をぎゅっと握る。

 

 彼のその考えを察したのか、具島は軽く首を横に振った。

 

「安心してよ。御影さんからそれは奪わないから」

「どうして、ですか……?」

「だって御影さんは、俺を裏切れないでしょ?」

 

 彼からそう言われ反論は出来なかった。

 “裏切らない”では無く“裏切れない”。全くその通りであり、まるで全部見透かされている様な感覚になる。

 

「だから緒乙ちゃんのことも大丈夫、殺しはしない。それに彼女は試験体の中で一番利用価値があると思ってるからね」

 

 平然と言ってのける具島。裏を返せば、利用価値が無くなれば即処分するということだろう。そんなことさせる訳にはいかない。でもどうしたら良いんだ……?

 先程まで緒乙と触れ合い感じていた希望が全て絶望に塗り替えられ、愚かな男は何も踏み出せずに立ち尽くすしかなかった─────

 

 

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 5人の指輪戦士による激闘が繰り広げられていた。正確には、3対1対1という状況。3人組なのはゼンカイザー、ゴーカイレッド、キラメイレッド。それに対してメガレッドと、ガオレッドが個々で戦っている。

 

《ボォーーケンジャァーッ!》

 

 以前戦ったことのある轟轟戦隊ボウケンジャーから鍵化(パイレート)したキーでボウケンレッドになり、ボウケンジャベリンを手にしてメガレッドを強襲。メガレッドのユニバース戦士である安藤(あんどう) 狩光(かるひ)はハッカーナンバーワンを夢見て戦っている。

 ドリルセイバーを振るい、奴が突き出す槍と火花を散らしていた。

 

 一方キラメイレッドは研磨(ポリッシュ)の能力で地面を氷上の様に変えてから剣でガオレッドに何度も斬り掛かっていた。ゼンカイザーも座って適当に滑りながら銃を連射してある。しかしそれらをガオレッドは上手く回避し、逆に接近して来たキラメイレッドに対してライオンファングによる打撃をカウンターとして叩き込んだ。

 キラメイレッドは吹っ飛ばされて能力も解除される。

 

「ぐうッ……やりますね……」

「悪いがやることがある。リク・イヨギ、リアノ・アカイシ、お前らには負けられない」

「俺らのこと知ってんの? 光栄だねぇ。ならせっかくだ、ちょっとマジで戯れようぜ」

 

 五色(カラフル)で黄色くなったゼンカイザーは大きなクロー型の武器を手にして彼へと突っ込む。ライオンファングを分割し、放たれる爪撃に対抗。

 

「ハハッ、良いねぇ! 等々力 凱亜、俺の仲間になれよ!」

「魅力的な誘いだ。だが敢えて断ろう!」

 

 炎を纏った両爪を振るうガオレッド。喰らえばひとたまりも無いが、ゼンカイザーは素早い動きで躱していく。

 

 

 

 槍を水平に構えて突進し、一気に薙ぎ払うレッドゾーンクラッシュがメガレッドに放たれた。しかし彼はそれをドリルセイバーで受け止める。

 

「やるなぁ……! だけど!」

 

 後方に跳んで離れ、ドリルセイバーとメガスナイパーを合体させた銃・ドリルスナイパーにして光弾を連射。ゴーカイレッドは槍で防いでいくが後退してくことになり、肩口に命中したことによって更に退がり本来の姿に戻った。

 

「よっしゃ! お?」

 

 メガレッドの身体が光る。彼の指輪能力である成長(レベルアップ)が発動したのだ。戦闘経験を積むことでどんどん強くなっていくという、単純ながら強力なもの。強くなったメガレッドは、更に光弾を連射しめゴーカイレッドを倒そうとする。

 

Shit(クソッ)……!」

 

 走りながら攻撃を躱し、こちらもゴーカイガンを連射して反撃。どちらも一歩も譲らず、激しい銃撃戦へと発展していく。

 

 ゴーカイレッド、フランシス・ロバーツはテガソード信奉者だった。神たるテガソードへの祈りをひと時も忘れず、その身の全てをテガソードへと捧げていた。そんな中、彼は日本で偶然ゴーカイジャーの指輪を、入手。テガソードに出逢い感無量になりながら、この力をテガソードの為に使うことを誓ったフランシス。

 そして彼は自分以外の指輪の持ち主がどの様な願いを持ちテガソードに導かれながら戦っているのかを知りたいと思い、彼らに会いへと向かった。

 

 しかし、出会って来た者達はテガソードへの信仰心を持つ者は居らず、更に低俗としか思えない願いを持つ者達ばかりであった。自分の様な敬虔ですら指輪を一つ手にしてテガソードに謁見するのに相当な時間が掛かったというのに、こんな下賤な人間達が選ばれるとは……。

 彼は少しだけ、テガソードへの不信感を覚えることになってしまう。

 

 そんな時、彼は五代儀と巡り逢った。自分が神になり、全ての人間の願いを叶えると豪語する五代儀。余りにも滅茶苦茶で、神に対する冒涜としか思えない様な願いだが、本気でそれを成そうとする彼の姿が、フランシスには神々しく見えてしまった。そして気付けば彼を崇拝し、彼こそがテガソードに変わる真の神に成る者だと確信。五代儀を神にし、自分がその宣教師となることが彼の願いだ。

 

 

《ファーーイナルウェーブッ!》

 

 ゴーカイガンにキーを差し込んで必殺技を発動。強力な弾丸を、メガレッドの足元に向けて放った。弾丸は爆発し、彼は爆風に飲まれることになる。

 

「うおっ!? く、くそっ!?」

 

 ダメージは無いが目眩しを受けて焦るメガレッド。どこから襲って来るかと銃口を機敏に動かして警戒する。

 だがいつまで経ってもゴーカイレッドからの攻撃は来ず、爆風が晴れた時にはその姿は無かった。

 

「まさか……逃げた……?」

 

 

 

《ジェェェェットマンッ!》

 

 レッドホークに変身したゴーカイレッドが上空から急襲。メガレッドの背を剣で斬り裂いた。火花が散り、彼は蹌踉(よろけ)ながら前へと進まされる。

 

「ぐううッ!? こ、この野郎!」

 

 振り向きドリルスナイパーを連射。剣を振るってレッドホークとなっているゴーカイレッドは斬り落としていった。

 

 

 

 高速で動きながらガオレッドへと攻撃するゼンカイザー。その攻撃を避けながら、獣皇剣で反撃する。剣の一振りがゼンカイザーに当たり火花が散った。

 

「うおッ!? やるねぇ! そういうの、大好きだ!」

 

《22バーンッ!》

《ババババーンッ! ギィーンガマンッ!》

 

「炎のォォォッ! 立髪ィィィッ!!」

 

 突き出した掌から火炎がガオレッドへと向かう。それに対して獣皇剣から光線を放って相殺させた。ゼンカイザーは笑い、銃口からビームソードを発生させて突っ込み振るう。

 

「くっ……! 流石、やるな!」

「だろ? でも、まだまだこっからだぜ!!

 

 獣皇剣で攻撃を受け流していくガオレッド。ゼンカイザーは大笑いしながら後方へ宙返りしながら跳び、着地した後に新たなセンタイギアを装填。

 

《32バーンッ!》

《ババババーンッ! ゴォーオンジャァーッ!》

 

 ゴーオンジャーのギアで召喚されたコンドルとスポーツカーを合わせた様な機械生命体は、エンジンを唸らせながらガオレッドへと突っ込んでいく。

 

「行って来ぉぉぉいッ!!」

 

 スポーツカーによる猛スピードでのアタックを躱し、ガオレッドは袋を取り出してそこからある楽器を出した。

 

「コンドルにはバイオリンだ!」

 

 そう言ってからバイオリンを演奏するとスポーツカーが止まる。一獣一奏。楽器を奏でることで対象となる動物やその動物の特性、モチーフを持つものを操れる能力だ。コンドルがモチーフとなっていたスポーツカーはそれによってガオレッドに操られてしまっているのだ。

 

「うおっ、よっと!?」

 

 襲って来るスポーツカーをゼンカイザーは回避。そしてバイオリンを奏でているガオレッドへと、キラメイレッドが銃を連射していく。ガオレッドは演奏を中断してそれを避けた。

 

「いつまで遊んでいるのですか?」

「ははッ、良いじゃねえか」

 

 キラメイレッドからの質問にそう答えてながらスポーツカーを蹴り飛ばして地面にぶつけて消滅させた。それから銃を構えて彼と共にガオレッドへと向け、ガオレッドもファルコンサモナーを手にしてその後部のハンドルを引き絞る。

 一方、ゴーカイレッドも元の姿となり、メガレッドと銃口を向け合っていた。

 

 どちらの戦況も一触即発。そんな時、轟音と共に砂煙が舞った。何かと思い全員が音の方を向く。砂煙が晴れ、そこに居たのは剣を地面に叩き付けてる怪物の姿であった。

 

「俺の名はバトルノーワン! 最強のノーワンだ!」

 

 名乗りを上げたバトルノーワンは、剣を彼らへと向けた。

 

「さあ! バトルNo. 1を賭けた戦いを始めるぞ!」

 

 そして振り翳しながら突貫してくる。大振りながら鋭い剣戟を皆は躱していくが、即座に左手に銃を握りそれから光弾を放った。まともに喰らったメガレッドが吹っ飛ばされてしまう。

 

「ぐはあ!? な、なんだアイツは!?」

 

 バトルノーワンは斧を両手に持ってキラメイレッドに襲い掛かる。彼は剣で防ぐが、素早い連撃で後退させられていき、クロスしながら振り下ろされた一撃を受けてしまって吹っ飛んだ。

 

「ぐううッ……!?」

「やるなお前!」

 

 ゼンカイザーとゴーカイレッドか銃を乱射。しかしバトルノーワンは槍を取り出してそれをプロペラの様に高速回転させて弾丸を打ち落としていきながら接近し、その槍を振り回した。ゼンカイザーは躱すが、ゴーカイレッドは突かれてしまい火花を散らす。

 

 そこへガオレッドがガオメインバスターを構えて光線を連射する。バトルノーワンは巨大なバスターソードを出現させてそれを盾代わりとして光線を防いだ。それから剣を地に叩き付けて発生させた衝撃波を、地面を抉る様に走らせてガオレッドを吹っ飛ばした。

 

「ぐああああッ!?」

「どうした、こんなものかぁ!?」

 

 両手に剣を持ってその場で横に回転して斬撃を飛ばす。ゼンカイザー以外の4人にヒットし、彼らは火花を散らして倒れた。余裕の表情を見せるバトルノーワンに、ゼンカイザーも仮面の下でニヤリと笑う。

 

「やってくれンねぇ。なら俺も割とマジでいくぜ? 結合(ユナイト)

 

 ゼンカイザーの右腕から光のラインが伸びて瓦礫など近くに落ちていた物にくっ付く。そしてそれらが引き寄せられて彼の右腕に集まり、剣にへと再構築させられた。周囲の物を自身に引き寄せて装備にするゼンカイザーの4つ目の指輪能力・結合(ユナイト)である。

 銃を乱射しながらバトルノーワンに肉薄し、その剣を振り下ろした。

 

「ぬうッ!? やるな貴様!」

「だろ?」

 

 互いに剣を振るって斬り結ぶ。どちらも決して譲らない。

 

 彼らの戦いを息を呑んで見ていたメガレッド。そこへ、ゴーカイレッドがテガソードを構えて突っ込んで来た。

 

「何!?」

 

《ゴーカイジャー!フィニィーーッシュ!》

 

 エネルギーを纏ったテガソードでメガレッドを斬る。するとメガレッドは光に包まれ縮小、そして小さな人形型の鍵となる。これは鍵化(パイレート)の力によって相手を鍵に変えてしまい、それを利用することが出来るというもの。相手の情報から作成した鍵よりも強力な力を発揮することが出来る。

 

 ゴーカイレッドは鍵にしたメガレッドをモバイレーツに装填。メガレッドの姿となりドリルスナイパーカスタムを構えてエネルギーをチャージし、バトルノーワンへと狙いを定めた。

 

「お? ならよろしく!」

 

 バトルノーワンを蹴って離れたゼンカイザー。そこへハイパーメガニックバスターが放たれた。竜巻の様な破壊光線が、奴のことを飲み込んだ。

 

Did do it(やったか)……?」

「フランそれフラグだぜ」

 

 爆風を裂いてバトルノーワンが姿を見せてビームを放った。横に転がって回避しながらゴーカイレッドの姿に戻り、その際にメガレッドは元に戻って放り捨てられ地面に叩き付けられる。

 

「があッ!? て、てめえ……!?」

 

 起き上がろうとした彼の腹へゴーカイレッドは瞬時に銃口を突き付け、そして弾丸を連発して撃ち込む。メガレッドは吹っ飛び、指輪がテガソードから外れて変身解除されてしまった。狩光は腹部を押さえながらどうにか立ち上がってこの場を離れていく。

 

 

 

 

 これらの様子を見る赤い影があったことに、ここに居る誰もが気付いてなかった────

 

 

 

 

 ゼンカイザー、キラメイレッド、ゴーカイレッドがバトルノーワンに立ち向かい、ガオレッドが少し離れて状況を伺う。バトルNo. 1と豪語するだけあり、多対一でも一歩退かず、武器を巧みに換えながら彼らに優位を取っていた。

 蝙蝠の様な翼を広げて飛び上がり、そして急降下して4人に体当たり。全員を吹っ飛ばしてから着地、それから高らかに笑う。

 

「フハハハハハッ、どうだ! これが俺の力! バトルNo. 1の最強の力だ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────違う……。

 俺が求めたのはこれじゃあ無い……。

 もっと強く……もっと激しく……もっと血に塗られた戦い……。

 

 

「ッ……!? な、なんだ……!?」

「あ?」

 

 バトルノーワンの動きが止まる。

 

 ────バトル……?

 そんな言葉で終わらせられるものじゃあ無い……。

 俺が求めるのは……俺の本当の願いは……。

 

 

「ぐおお……!? 何が……何が起きて……!?」

 

 

 ────戦争だ。

 

《戦争》

《兵器》

《殺戮》

《■■》

《ナンバー1》

 

 

 

 姿が変わる。翼は戦闘機の物になり、身体には弾帯が巻かれ、足はキャタピラが備えられている。戦車の砲身、ミサイルポッド、頭部には魚の形をした装飾があり、その口先は鉄砲の様な銃口があった。

 バトルノーワンよりも攻撃的で破壊的な兵器の塊と言える姿……。戦争ノーワンの誕生である。

 

「あれは……!?」

「マジかよ」

 

 両肩からガトリング砲が現れ、そこから弾丸が雨霰の如く放たれる。全員回避していくが、遅れたキラメイレッドが足に弾丸を受けて倒れてしまった。

 

「ううッ……!? 一体何が……?」

「良い……ザマだなァ……」

 

 戦争ノーワンの仮面が剥がれていき、中に取り込まれていた人間の顔が現れる。有流真のものだ。

 

「有流真?」

「Why……?」

「な、何故貴方が……!?」

「久しぶりだなァァ……。見ろよ……この最高の力を。指輪なんかより、ずっと良い……!!」

 

 恍惚とした表情を浮かべる彼にキラメイレッドは特に困惑する。

 

「あの時の仕返し、たっぷりさせて貰わねえとなァァ!」

 

 有流真の顔がノーワンの顔に覆われ、彼は複数のミサイルを放った。それらは3人、特にキラメイレッドを狙って放たれており、摩擦(ポリッシュ)で地面を滑る様にして疾走しながら躱していくが足元を破壊されていき吹っ飛んでしまう。

 それから戦争ノーワンはジェット噴射をして一気に接近。首を掴んでから地面に叩き付けてもみじおろしするかの様に引き摺り回していった。

 

「ぐうううッ、がああああああ!?」

「ハハハハァッ! 楽しいよなァァァ!」

 

 ゼンカイザーとゴーカイレッドが止める為に銃を撃つが奴はキラメイレッドを掴んだまま躱しながら上昇し、そして地上へ向けて無数の爆弾を落としていく。

 

「空襲かよ!?」

 

 青い姿となって防御力を上げて耐えようとするゼンカイザー。一方はゴーカイレッドも鍵を使ってピンチを切り抜けようかとしたが間に合わず、爆撃を受けて大きく吹っ飛ばされてしまった。

 

「ちょ、フラン!?」

 

 助けようにも自身のことで手一杯な彼。それを見て笑った後、戦争ノーワンは対物(アンチマテリアル)ライフルを片手で構えてゼンカイザーに向ける。

 

「うそーん」

 

 放たれた弾丸は彼の胸に直撃。大きな火花を散らして地に倒した。いくら防御力が上がっているとはいえ、この一撃はそう簡単に耐えられるものではない。

 それから戦争ノーワンは、降下しながら掴んでいたキラメイレッドを投げ落とした。

 

 

 

「あのノーワンという怪人……。まさか、あの一本角の野獣も……?」

 

 何かを思い付いたガオレッドは凱亜の姿に戻り、そのままこの場を去っていく。この戦いに、これ以上付き合う必要性は無い……。

 

 

 

 仰向けで倒れているキラメイレッドの胸を踏み付けて嬉々として笑う戦争ノーワン。あの日の報復をやれると思うと楽しくて仕方なく、何度も何度もストンプする。

 

「最高だぜぇぇ! お前はどんな気分だァ? 最悪かァァァ?」

「ぐうッ!? ううッ……貴様……!?」

「ヒャァハッハッハァァァッ!! オラァッ!」

 

 蹴り飛ばしてキラメイレッドを転がす。どうにか立とうとした彼へ戦争ノーワンは砲身から砲弾を放って吹っ飛ばされた。

 

「痛ててッ。有流真……変わり果てちまったなぁ」

「五代儀ィィ……悪りぃが俺は願いを叶えたぜ……。この力で、最高の戦争を楽しんでやンよォォォ!!」

 

 身体中から機関銃が生え、弾丸放たれて地面や周囲の建造物を抉り破壊していく。ゼンカイザーは防御特化の姿で耐えるが凄まじい衝撃により動きを止められ、ゴーカイレッドはギリギリで避けて近くにあった遮蔽物に隠れたがそれもどんどん削られていき、キラメイレッドはまともに掃射を受けて火花を散らしスーツや装甲が破壊されてしまった。

 苦悶の声を上げながら地に伏せたキラメイレッドに、戦争ノーワンは接近してまた掴み、今度は空へと遥かに高く上昇して行く。10000、20000、そして遂には30000フィート。マッハのスピードで飛んでいき、キラメイレッドは抵抗が出来ないでいる。

 

「ぐうッ、貴様ァ……!」

「お前も、墜ちろ」

「まさか、辞めろ!?」

 

 手を離す戦争ノーワン。

 キラメイレッドは重力に引かれ、真っ逆さまに墜ちていく。彼にこの状況を打破出来る手段は無い。数十秒の後、猛烈な勢いで地面に叩き付けられた。

 

 

 

「おいおい……」

 

 彼が墜落した場所へとゼンカイザーは走る。

 

 

 

 

「ゴフッ……。ぐうう……ああッ……!? がッ……」

 

 リアノの姿に戻り苦しんでいる。叩き付けられた衝撃でキラメイジャーの指輪は何処かに飛んで行ってしまっていた。息をするだけでも身体中に激痛が走り、その所為で気絶することも出来ない。吐血は止まらず、骨はいくつも折れており、筋肉はズタズタ、内臓も潰れている。もう風前の灯となっている命。そんなリアノの側に、戦争ノーワンが降り立った。

 

「き……ゴフッ………き……さ……ま………がはッ……!」

「哀れ、だなぁ。まだ生きてるなんて悪運に感謝か? いや、さっさと死んだ方が楽だったかもな」

「だま………れ……!」

「黙れ? 残念だが、黙るのはお前だ。…………永遠に、な」

 

 頭部の銃口が向けられる。こんな終わり方認められない……リアノはそう思い動こうとするが身体は一切言うことを聞かず、そもそももう戦う力も何も無い状態。どうしようも無かった。

 

「まっ………」

「死ねよクソが」

 

 放たれた弾丸がリアノの脳天に風穴を作る。彼は、物言わぬ肉塊となってしまった。

 そこへゼンカイザーがやって来た。

 

「一歩、遅かったか」

「ああ……。おかげで最高にスッキリ出来たぜ……次はお前だァァ!!」

 

 戦争ノーワンがグレネードを発射。ゼンカイザーは次元穴(ゲート)の中にそれを入れ、奴の前にもう一つ穴を作ってグレネードをそこから排出させ爆発させた。しかし戦争ノーワンは無傷で爆風の中から飛び出して来て、接近しサーベルを振るう。

 

「ハハハハァッ! 楽しめよ!」

「殺し合いは、趣味じゃねえんだ」

 

 刃を躱しながら後退。

 

「俺は好きなんだよ殺すのが……。だからお前も死ねえええッ!!」

「…………悪いが」

 

 勢いよく突っ込んで来た戦争ノーワンの前に穴を作成。奴はそれを通り、その先にあった海に落ちた。

 

「ぐッ、何のつもりだ!?」

 

 見上げるとそこには桃色の姿となり、宝玉の付けられた杖を向けるゼンカイザーが居た。その宝玉が光ると、強烈な重力が戦争ノーワンに掛けられ、奴を海の中へと沈めていく。

 

「ぐおおッ!? 何を……!?」

 

 100メートル、1000メートル、2000メートル……どんどん、どんどん沈んでいき、強烈な水圧が奴を襲う。マリアナ海溝……その中でも最も深いチャレンジャー海淵に、ゼンカイザーは戦争ノーワンを飛ばして沈めていってるのだ。

 

「海の底で燻ってな」

 

 奴の叫びが聞こえた様な気がするが、気にせず次元穴(ゲート)を閉じる。それから無惨な姿となったリアノに目を向ける。

 

「…………」

 

 何も言わずに近付き、しゃがんでからそっと手を添える。それからその手を、ギリギリと握り締めるのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 戦争ノーワンの猛攻をどうにか凌ぎ切ったゴーカイレッドことフランシス。ダメージは残っているが、急ぎ五代儀と合流する為に彼が走っていったキラメイレッドが落とされた場所へと自分も向かっていた。

 

 だがその前に、中年の男が立ち塞がった。薄汚れた格好だが、その佇まいからは強者の風格が放たれている。

 

Who are you(誰だ)?」

「通りすがりの校長……いや、用務員さ。君の持つ、その指輪を俺に譲って欲しい」

 

 そう言って男は手を伸ばして来た。これは自分の、五代儀の願いを叶える為の物。そう簡単に渡す訳にはいかない。

 

「No」

「そうか、ならば……」

 

 男は自身の持つ指輪を取り出して回転させる。

 

「エンゲージ!」

 

《センタイリング!》

 

 銀のテガソードをクラップするその動き一つ一つから強者としての格を感じさせられる。最後に前に突き出したテガソードを叩くと、男の姿は闇夜に潜み、不敵に笑うシルエットの真紅の快盗となった。

 

《ルパンレンジャー!》

《Lupinranger!》

 

 ルパンレッド。とある目的の為に動く晩堂 深也が変身した指輪の戦士だ。彼が変身したのを見て、フランシスも即座にゴーカイレッドとなり迫る。

 

 2人は接近して剣を振るい合った。刃と刃がぶつかる度に火花が散る。ゴーカイレッドが突き出したサーベルを身体を大きく逸らして躱し、それを払って身体を捻りながら回って体勢を整え銃を構えて連射。正面からまともに喰らったゴーカイレッドは後退させられてしまった。

 

「君のその指輪には、人を鍵の様な形にする力がある。そうだろ?」

「…………」

「沈黙は肯定と取らせて貰うぞ。学園を救う為にその力が必要だ……何としてでも、奪わせて貰う!」

 

 駆けるルパンレッド。ルパンマグナムを手にして強烈な砲弾を発射しながら進む。ゴーカイレッドはサーベルで防ぐが、その威力に押されてしまう。接近したルパンレッドは素早く蹴りを叩き込み、更に連続で痛烈な打撃を打ち込んでいった。

 

「oh……!?」

「ハッ!」

 

 ジャンプしてから高威力のキックを放つ。それは胸に深々と突き刺さり、彼をより遠くへと吹っ飛ばす。

 

「ッ………… I won't lose(負けはしない)……!」

 

 気合いで立ち上がるゴーカイレッド。そんな彼に対して、ルパンレッドはルパンマグナムとVSチェンジャーを連結させた必殺武器の砲口を向けた。

 

「決める!」

 

《アン・ドゥ・トロワ!》

《イタダキ・ド・ド・ドストライク!》

 

 放たれた光弾はゴーカイレッドに直撃して炸裂。彼の身体は壁を砕きながら大きく吹き飛び、そして地面を転がっていった。衝撃でバイオマンとメガレンジャー、そしてゴーカイジャーの指輪がルパンレッドの足元へと転がっていき、フランシスは指輪の戦士としての資格を喪失する。

 

「イヨ……ギ…………sorry……」

 

 気を失うフランシス。ルパンレッドは指輪を拾ってから彼のことを見る。彼にも譲れないものがあったのだろうが、自分も目的の為に手段を選んでいる場合では無い。少しの罪悪感を感じながら、彼は監獄となってしまっている学園へ失った大切なものを取り戻す為に向かって行くのだった。

 

 

「フラン!」

 

 少し遅れてからフランシスの元に駆け寄って来た五代儀。一先ず彼の首元に手を当てて脈の確認をする。傷だらけではあるが生きており、ふぅと息を漏らした。

 武蔵は敗れ、旭は脱退、フランシスも敗北し、リアノは死亡……そして有流真は怪物と化した……。集めたチームは全員バラバラになってしまい、残ったのは五代儀ただ1人(独り)

 

「難しいもんだな、戦隊ってのは……」

 

 誰に聞かせる訳でもなく、そうポツリと言葉を溢すのであった。

 

 

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 2026年5月。

 

 

 具島に緒乙とのことがバレてから……というより、バレていたことを知ってから二週間程が経った。あれから具島は御影といる時に何度か緒乙を目覚めさせて話した。内容は些細なものだったと思う。“思う”というのはその時のことを強い緊張と恐怖、罪悪感から明確には覚えてないからだ。

 もしも彼が真実を話したら……。そんなことばかりを考えてしまっている。

 

 彼がこうやって御影と共に緒乙と交流してるのは強い罪悪感を与える為と、彼女の命を自分が握っているというのを理解させ、御影が自分の元から逃げない様にする為だ。実際その効果は出ており御影はもう具島に従うことしか出来なかった。

 

 逢魔時の公園にあるベンチに腰を下ろし考え込む。自分がこれからどうすれば良いのかをずっと模索しているが、何一つ良い考えは浮かばない。強いて言うなら、早く指輪を集めることくらいだろうか……。

 

「よお、久々」

 

 そんな彼に声を掛けて来たのは五代儀である。

 

「五代儀……」

「まーた浮かない顔してんな。てか昔の映像以外でお前の顰めっ面じゃない顔見たこと無いんだけど。基本笑わないタイプ?」

「…………黙れ」

 

 立ち上がった指輪の盤面を回転させ、テガソードに装填。そして五代儀へと少しフラつきながら向かっていく。それを見た五代儀も、ちょっと面倒くさそうな表情になりながら指輪を装填した。

 

 接近して剣を突き出す御影。五代儀もそれを剣で受け止めた。互いに一閃、二閃とテガソードを振るって打ち合い、その度に火花が散る。両者が踏み込み、強く振るった刃がぶつかり合うと同時に2人は変身。鍔迫り合いとなりシンケンレッドが強く睨み、ゼンカイザーが笑いながらそれを見返す。

 

「いきなりじゃん。もう少しトークとかしない?」

「お前と話す事など無い……!」

 

 ゼンカイザーの腹にキックして蹴り剥がす。退がった彼へテガソードを突き出すが、身体を反ることで回避された。

 

「酷ぇなぁ……。あの時少しは分かり合えたと思ったんだけど」

「理解はした。だが、分り合うつもりは無い」

「そうかい、そりゃ残念」

 

 黄色で“土飛剣”と書き、シンケンマルを三つの刃を備えた大きな手裏剣の様な武器に変化。投げられたそれは土煙を纏いながらゼンカイザーへと向かう。彼はその攻撃を、結合(ユナイト)で近くにあったベンチを引き寄せて左腕を盾にして防いだ。

 弾かれた手裏剣を掴んでシンケンマルに戻し、テガソードとの二刀流で襲い掛かる。

 

「どうした、なんか前より焦ってんじゃん? 悪い事でもあった?」

「黙れ!! お前の言葉に付き合ってる暇など無い!! 俺は……俺は!!」

「さっきから無い無いばかりだなぁ。話してみろよ、楽になるかも知れないぞ」

「断る!!」

 

《シンケンジャー!フィニィーーッシュ!》

 

 テガソードをクラップして必殺技を発動し、更にシンケンマルの鍔も回転させる。二つの刃が炎を纏い、それらを持ってシンケンレッドはゼンカイザーへ突貫していく。

 

「おお、やば。なら俺も」

 

 ゼンカイザーは赤くなって取り出した剣に彼と同じ様に炎を纏わせ、地面に突き立てて火炎を噴き上がらせる。それによって一瞬だがシンケンレッドは怯む。ほんの少し出来た隙を突き、ゼンカイザーは剣を振って彼を斬り飛ばしてしまった。

 吹っ飛ばされ、地面を転がっていくシンケンレッド。起き上がろうとした彼の目と鼻の先に、ゼンカイザーが突き出した鋒が向けられた。

 

「俺の勝ち。で良いよな?」

「ま、まだ……だ……!」

「やめとけよ。今のお前じゃ俺に……てか、誰にも勝てねえ」

 

 変身を解除して手を差し伸べる五代儀。シンケンレッドも御影の姿に戻るが、その手は取れなかった。歯を食い縛りながら、握った拳を地面に叩き付ける。

 

「何イライラしてんだか。ほら、立ちな」

 

 腕を掴んで少し強引に立たせた。それからベンチに座らせようとしたがさっき結合(ユナイト)で素材にしたことを思い出し、とりあえずブランコに座らせた。それから自分も隣りのブランコに座る。

 

「で、どうした? 聞いてやるから全部話せよ」

 

 ブランコを漕ぎながら五代儀はそう尋ねた。項垂れる御影。何から切り出すべきか、そもそも彼に話すべきなのかを迷っていた。

 

「お前さー。そうやって黙ってても何もならないぜ。何もしなかったらどんどん悪い方向に行って、そんでどうしようも無くなる未来が来ちまう。大方、今だってそんな感じだろ?」

 

 図星だった。

 自分は結局何も出来ず……いや、何もしておらず、最悪の未来に突き進んでいるだけ。余りにも愚かな状態だった。

 

「俺は……────」

 

 御影は全てを語る。

 具島に命を救われたこと。その恩返しをしていたが、気付いたらとんでもない悪事の片棒を担がされていたこと。緒乙のこと。そして何より、彼女を救いたいということを。

 

「なるほどねぇー」

 

 日を完全に沈み、月明かりが彼らを照らしている。そんな中、五代儀は御影の話を全て聞いた。

 

「馬鹿だよな、俺は……。先生に逆らえず、緒乙ちゃんをずっと利用してる……。俺が弱くて、何も出来ない所為で……」

 

 御影はまた項垂れる。全てを吐いて少し楽になった気がするが、それはまるで罪から逃れようとしている様であり、自分の卑しさを感じさせられた。

 すると五代儀が、ブランコから立ち上がる。

 

「よし。じゃあ行こうぜ」

「行く、だと……?」

「もちろん、その緒乙って子を助けにだよ」

 

 「当たり前だろ?」とでも言うような顔をする五代儀。彼の言葉を聞いて御影は驚愕した。

 

「何言ってるんだ、そんなこと……!?」

「だってお前の願い、その子を助けることだろ? そんで自分もその罪悪感から解放されたい。違うか?」

「なッ……!?」

 

 その通りだ。どちらもずっと思っていたことであり、しかし踏み出す勇気を持てなかったことである。それを五代儀は簡単に言ってのけた。

 

「叶えたいんなら叶えようぜ。それが人間ってもんだ」

「…………」

「てな訳で早速行くぜ」

「ま、待て! どうしてお前も……?」

「はあ? 前に言っただろ。俺は人間の願いが好きだ。それを全部叶える存在になる……だから椿のその願いも叶えるんだよ」

 

 ニヤリと笑う五代儀。彼と力を合わせればもしかしたら……そんな思いが、御影の中に浮かんで来ている。

 

「で、もちろんやるよな? お前の願い、お前が逃げたら何にも何ねえぜ」

 

 瞳を閉じる御影。もうこれ以上、迷っている場合では無い。このままじゃ緒乙は救えない。例え命の恩人を裏切ることになろうとも、あの子だけは救わなくちゃならない。

 意を決して立ち上がり、歩みを進めていく。

 

「そう来なくっちゃなぁ」

 

 覚悟を決めた彼の後に五代儀が着いて行く。ようやく気付き、向き合えた自分の願い……叶える為に、彼は歩みを進めていった。

 

 

 

 

 しかしそんな2人の前に、何かが勢い良く降着。猛烈な土煙が立ち込める。

 

「何だ……!?」

「おいおい、まさか……」

 

 煙が晴れ、姿を見せたのは戦争ノーワン。身体の幾つかの部分が凹んだり、傷付いていたりするが、その瞳には凄まじい殺気が込められていた。

 

「見つけたぞ五代儀ィィィッ!! あの時の仕返ししっかりさせて貰うからなァァァァァ!!」

「うーわっ、タイミング最悪」

 

 2人は即座に指輪をテガソードに装填。

 

「こいつ、何者だ?」

「有流真……あー、ほら、お前がホテルの上からぶん投げた奴」

「アイツ、人間じゃ無かったのか……?」

「ちょいと前に人間捨てたらしいぜ」

「あァッ? お前、御影 椿かァァ……?」

 

 蘇る記憶。あの日彼によってホテル屋上から投げ落とされ、それが原因で有流真は半身不随となってしまった。こいつさえ居なければ、自分はあんな惨めな思いをせずに済んだ。

 こいつも五代儀と同じく、殺さなければならない相手だ。

 

「あの時の恨み、果たさせてもらうッ!! テメェら纏めて死ねええええええええ!!!」

 

 複数の棘が付いた棍棒を振り上げ、一気に下ろす。彼らは横に回転して躱しながらクラップし、それぞれ変身をする。

 戦争ノーワンは両腕をガトリング砲に変えてからそれらを2人へと放った。彼らは駆け出して襲い来る弾丸の嵐を回避していく。

 

「くそっ、どうすんだアイツ!?」

「多分前みたいに海の底に沈めようが南極に放り出そうが絶対有流真は追って来る! なら、ここでやるきゃねえだろ!」

 

 シンケンレッドは刀を烈火大斬刀へと変化させて立ち止まり、その大剣を盾に弾丸を防ぐ。ゼンカイザーもその後ろに来て凌ぎ、更に顔を出して銃で反撃した。光弾が戦争ノーワンの頭部に命中。奴の攻撃が止まる。

 

 それをチャンスと見た2人は一気駆けて肉薄。烈火大斬刀を振り下ろして叩き潰そうとしたが戦争ノーワンはサーベルで受け止め、そして大剣を払う。更に繰り出されたゼンカイザーの蹴りも払い除けた。2人からの攻撃を戦争ノーワンは巧みに捌き、逆に近距離でのミサイル攻撃を浴びせて来た。直撃を受けたシンケンレッドとゼンカイザーは吹っ飛ばされてしまった。

 

「くっ……!?」

「ぐおっ!?」

「その程度かああああああ!!!」

 

 左肩から生えて来たレールガンが2人に向けられ、そこから強烈な電磁砲が放たれた。着弾と同時に猛烈な爆発が起きて、2人の身体は更に吹っ飛ぶことになる。

 

「痛ぇ………有流真、マジでやば過ぎだろ……」

「ぐぅ……」

「ハッハッハッ! もう少し抵抗してくれよ。でなきゃ殺し甲斐が無いからなァァァ!!」

 

 飛び上がって彼らの上空で止まり、幾つもの爆弾を降下させていった。まるで戦時中のB-29による爆撃を連想させるそれは2人を苦しめ、その悲鳴すら搔き消す程の爆音を鳴らしながら業火と噴煙の中へ閉じ込めてしまった。

 

 笑いながらその様子を見下ろす戦争ノーワン。気に食わない相手が苦しんでいるのは凄く気持ちが良い。正に最高の瞬間だ。

 そう思ってた矢先、何か複数の物が勢い良く爆煙の中から飛び出して、自分目掛けて飛んで来た。ギリギリで躱す戦争ノーワン。「何だ!?」と声を荒げながら下を見ると、そこにはテガソードにある指輪を装填したゼンカイザーの姿があった。彼がクラップすると、幾つもの隕石が現れて戦争ノーワンへと向かっていく。

 以前自分の使用していたキュウレンジャーの指輪能力・隕石(メテオ)による攻撃だったのだ。

 

「どうだ、懐かしいだろ?」

 

 次々と飛んでくる隕石。戦争ノーワンはそれらを回避しながら機銃は大砲を放っていった。撃ち合いが続く中、ふと戦争ノーワンはあることを思う。

 

「あいつは何処だ……!?」

 

 御影の姿が消えていた。一体何処にと攻撃を止めて辺りを見回す。すると彼の背後に、大きな次元穴(ゲート)が開いた。

 

「なッ!?」

「ハァーッ……!!」

 

 穴から飛び出したのはシンケンレッドだ。彼は炎を纏った烈火大斬刀を振るい、戦争ノーワンのことを地面へと叩き落とした。

 

「がはッ!?」

「さっすがぁ〜」

「フンッ……」

「咄嗟にしちゃ良いコンビネーションだったろ?」

 

 着地したシンケンレッドに近付いて来たゼンカイザーがそう言うが、彼は適当に返事をしてから戦争ノーワンに構えた。奴はこれくらいで倒れる様な相手ではない。

 ゼンカイザーもそれを察してか、銃からビームの剣を出して構える。

 

「お前らァァァ……! やってくれたなァァァッ!!」

 

 怒り心頭の戦争ノーワン。背部からミサイルを放ち攻撃するが、ゼンカイザーが前に出て剣を振り回して次々とミサイルを斬り裂いて行く。そのまま接近し、剣を腹部へ突き立てた。

 

「ぬうッ!?」

「喰らいな」

 

 その状態でトリガーを引き剣を光弾の様に発射。大きな火花を散らしながら戦争ノーワンは後退する。

 

「椿!」

 

 彼からの声を受け、走り出したシンケンレッドがゼンカイザーの肩を踏み台にして高く跳び上がり、ショドウフォンで“豪炎”の文字を赤で書いて烈火大斬刀に付与。その豪炎を纏った大刀を振り翳しながら戦争ノーワンへと向かっていく。

 

剡炎漲天(えんえんちょうてん)

 

 空を照らす様に燃える大剣を脳天へと叩き落とす。強烈な一撃を受けた戦争ノーワンは後方へと吹っ飛んでしまった。

 

「ぐああッ!? クソがァァ……!」

「殺し甲斐、出て来たか? あ、それとも強過ぎて殺せないか?」

「黙れええッ!! 2人纏めて、八つ裂きにしてやるゥッ!!」

 

 身体中からチェーンソーや円形の電鋸、ドリル、破砕機など様々な物が飛び出し、それらを纏った状態で戦争ノーワンは2人へと突っ込んで行った。このまま突撃して彼らをミンチにするつもりだ。しかしそれを悠長に待ってる彼らでは無い。

 

《33バーンッ!》

《ババババーンッ! シィーンケンジャァーッ!》

 

「行くぜ椿」

「……ああ」

 

 ゼンカイザーは歯車(ギア)の力でシンケンレッドと同じ烈火大斬刀を生成してそれを握る。そして2人はそれぞれの大剣を燃え盛らせながら、同時に振るって巨大な火炎球を放ち奴へと撃ち込んだ。

 業火の一撃を受け、爆発によって戦争ノーワンはまた吹っ飛ばされる。

 

業火剣爛(ごうかけんらん)……って名前はどうよ?」

「好きにしろ」

「がああ……!? ぐううッ、うううッ……!?」

 

 苦悶しながらも立ち上がる戦争ノーワン。

 

「有流真、諦めな。動ける様になったことはめでたいが、俺らには勝てねえ。…………リアノを殺したこと、ちゃんと償ってもらうぜ」

「うるせえッ!! 俺様に指図するんじゃあねえッ!! どいつもこいつも……この世界の人間、全員皆殺しにしてやるよオオオオオオオオッ!!!」

 

 彼の憤怒の絶叫に呼応する様に身体が肥大化していく。腕が、脚が、ゴリゴリ、バキバキと嫌な音を立てながら大きくなり、巨大な翼や機関砲が生えていく。肉体はどんどん巨大化し、遂に奴は50メートル級の怪物へと姿を変貌させるのだった。

 

「おいおいマジか。何でそうなんだよ?」

「厄介な……」

 

────ハァーッハッハッハァッ!! 死ねえッ!!

 

 上げた脚をシンケンレッド達へと踏み下ろす。ゼンカイザーが次元穴(ゲート)を開き、その中に入ってどうにかそれを躱した。彼らが居た場所には大きなクレーターが出来る。

 近くのビルの屋上に移動した2人。戦争ノーワンもそれに気付いてそちらを睨んだ。

 

────ちょこまかと、逃げてんじゃねえぞ……!!

 

「あんなの当たったら死にかけるっての。俺は命は張るが、死ぬのはごめんだ」

 

────ハッ! だったら必ず殺してやるよォ!!

 

 彼らがいるビルへ大砲を放った。再度次元穴(ゲート)を通って回避。ビルは粉砕されてしまう。奴の背後に出て来た2人だったが、即座に気付かれ幾つものミサイルが襲って来た。

 戦争ノーワンには索敵用のレーダーも備えられており、それによって2人が出て来る場所を特定したのだ。等身大の時よりも遥かに威力の増加したミサイルを受けて、彼らは吹っ飛ばされてしまう。

 

「ぐっ……!?」

「だあッ!? ちっ……くしょう、調子乗りやがって……」

 

────最高の調子だぜ!!

 

 彼らへバルカン砲を連射。体格差故に攻め手に欠いてる2人はどんどん追い詰められていく。

 

「クソが!」

 

《大ゼンカイ!》

 

「これで、どうよ!?」

 

 必殺光弾を放つ。しかしそれは左手で簡単に弾かれてしまう。シンケンレッドも烈火大斬刀を大筒の形状にして兜の力を持った砲弾を放った。右肩に当たって少し怯ませるが、それだけだった。

 

───効かねえんだよ、そんなヌルい攻撃なんかよォ!!

 

 サーベルを2人へ振り下ろし、地面も破壊して纏めて吹っ飛ばす。滅茶苦茶な強さ。今の奴を、止められる者は居ないだろう。高笑いをしながら身体中の武器を放って街を破壊していき、それに巻き込まれた多くの人の命が奪われていく。

 

「あー、くそ。椿、お前先に具島って奴の所に行きな」

「お前はどうするつもりだ?」

「こいつとの落とし前付けてから追う。俺が行くまで死ぬなよ?」

 

 笑いながらそう言うとゼンカイザーは次元穴(ゲート)を開いた。そこを通ればここから離れ、具島の所まで行けるだろう。

 

 しかしシンケンレッドはそれを通らず、ゼンカイザーの横に並んで刀を構えた。

 

「行かねえのか?」

「あいつを倒してからだ」

「へへっ、そうかい」

 

────無駄な足掻きだなァ!

 

 構えている2人のことを鼻で笑った後、戦争ノーワンはナパーム弾をばら撒いた。弾が爆発して炎が燃え盛る中を、シンケンレッドとゼンカイザーは駆け抜けていく。シンケンレッドが火炎の斬撃を飛ばし、ゼンカイザーが銃を連射。しかし戦争ノーワンからしたら蚊に刺された程度の威力でしかない。奴はキャタピラを駆動させて突っ込み、2人を轢き潰そうとする。

 

 次元穴(ゲート)を前に出してそれを通りギリギリ回避した彼ら。背後に現れ、再度攻撃するがやはり効き目は無さそうだ。

 

「これじゃあ焼石に水だな。どうするよ?」

 

 振り向いた戦争ノーワンが砲身を向ける。

 

「俺は……今までずっと逃げて来た……」

「椿?」

「先生のこと、緒乙ちゃんのこと、そして何より自分自身から逃げて、自分を正当化し続けた……」

 

────何言ってんだ貴様ァ?

 

「もう、逃げることはしない。緒乙ちゃんを助けて……先生を止める。そしてその為に、奴を倒す……!」

 

 彼のその想いに応える様に、シンケンジャーの指輪が赤く発光を始めた。

 

「これは……?」

 

 赤光が夜空に伸び、次元を裂いて鎧兜を纏った侍の巨人が降臨した。その名はシンケンオー。かつてユニバース大戦で厄災に立ち向かった存在である。

 驚いているシンケンレッドだったが、その身体がシンケンオーの中へとワープさせられ、変身が解除されてバトルドレスがウェアリングされた。理由は分からないがとにかく奴と対等に戦う力を得たと感じた御影は、レバーを握り締めて立ち向かう。

 

────チィッ! 何だそれはァァァッ!?

 

 ガトリング砲を連射する戦争ノーワンだが、シンケンオーは秘伝シールドでそれを受け止めながら接近していく。そして巨大な日本刀・ダイシケンで斬り裂いた。

 

────があッ!?

 

 続けて刀を振るって痛烈な斬撃を喰らわせていく。奴の攻撃も受け止め、払い除け、そして刀の一撃が刻まれる。先程までのピンチが嘘の様に、形勢は完全に逆転していた。

 

────クソがァァァァッ!!

 

 戦争ノーワンは全力でサーベルを振るって盾を叩き落とした。そして続けてサーベルで斬り裂こうとするが、日本刀で受け止められる。競り合う2体の巨人。するとシンケンオーは左脚をバネの様に伸ばして高く跳躍。体勢を崩してしまった戦争ノーワンに、落下しながらの一撃をお見舞い。奴は大きく後退していくことになる。

 

 

 

 

「あははッ、すげぇなぁ!!」

 

 シンケンオーの戦いぶりを見て笑うゼンカイザー。彼がこんな面白いことをしてるのに、自分は何もせずにいるなんて出来やしない。

 彼は最高出力で結合(ユナイト)の能力を発動。周囲にある瓦礫などを次々と自分の身体へ引き寄せていく。猛烈な負荷が掛かるが、そんなことお構い無し。彼は大笑いしながらその身に瓦礫を纏って巨大化していった。

 

 それにより、彼はまるで巨大な怪獣の様な姿へと変貌を遂げた。

 

「しゃあああああああッ!!」

 

 吼えながら戦争ノーワンに突撃して吹っ飛ばし、シンケンオーの横に並ぶ。

 

「何だ、それは……?」

「名付けてゼンカイジュウオー、ってのはどうよ?」

 

────クソがッ、舐めやがってェッ!

 

 機関砲を速射するが、ゼンカイジュウオーは構わず突っ込んでいき、そして接近して咬み付いた。そのまま奴を持ち上げて、一気に地面へと叩き付けてから更にブン投げる。それから再度迫ってドリルの様な尻尾を振るって弾き飛ばし、更に更に何度も何度も攻撃を繰り返していく。

 戦争ノーワンも爆弾や射撃、砲撃で対抗するが、彼はどんな攻撃にも怯むと無く向かって来た。

 

────があああッ!? ぬうッ……! 俺様が、負ける筈がァァ……!? 

 

 起き上がった奴に、シンケンオーが日本刀で突いた。堪らず後退していく戦争ノーワン。そこへ続けてシンケンオーによる斬撃とゼンカイジュウオーからの尾の打撃を喰らってしまう。

 

────クソがァ……クソがァァァァッ!!

 

 戦争ノーワンはジェットエンジンを出現させ、一気に空へと飛び上がる。そして遥か上空で停止して彼らを見下ろした。

 

────お前らも……この世界もッ!! 纏めてこいつで消し飛ばしてやる!!

 

 胸部が開き、そこから大きな爆弾の様な物が見える。

 

「何だ?」

 

────最強の戦争兵器ってのは銃だ……。一人一人、たくさんの人間を殺せるからなァ。だが、一瞬で大量の人間を殺すのなら、こいつこそが最強だと俺は思っている……。

 

「お前、それまさか!?」

 

────核兵器だァ……! 全部吹き飛べええええええッ!!!

 

 投下された巨大な爆弾。それは空中で炸裂し、この街の人も物も全てを消し飛ばしていく。爆風と衝撃波で建物は粉々になり、凄まじい熱で人々が一瞬で蒸発し、放射線が全てを侵す。川は干上がり、辺り一面炎に包まれ、夜空はまるで昼間の様に明るくなってしまう。数万、数十万、数百万……数え切れない命が容易く奪われてしまった。

 

 そしてそれは御影達も例外では無い。シンケンオーもドロドロに溶けて、中に居た御影も業火に身体を焼かれてしまい、ゼンカイジュウオーも粉砕されてしまう。

 

 全てが崩壊した地上。そこへ戦争ノーワンが降り立った。邪魔な物が全て消えたことへの喜びから、奴は大笑いした。

 

────ヒャァーハッハッハッハッハッハァッ!! 全部!! 全部!! 全部死んだ!! 最高だァ!! これが俺様の願いが叶った!! これからも、どんどん壊して潰して殺してまくってやる!!! 

 

 笑いが止まらない。とにかく最高の瞬間だった。

 地上の炎に照らされて赤くなってる空を見上げ、戦争ノーワンはひたすらに歓喜していた。

 

 

 

 

 

「じゃあ、やり直し(リセット)だ」

 

 

 

 

────ハッハッハッハッハァー!! ……………はッ?

 

 空が、段々と闇夜を取り戻していく。不自然に思い辺りを見回すと、炎が消えていき、破壊された街並みがまるでビデオの巻き戻しの様に修復していく。死んだ筈の人々も戻っていき、戦争ノーワンが破壊したもの全てが本来の形を取り戻していった。

 

 一体何が起きているのかと困惑する戦争ノーワン。そんな奴の前でシンケンオーが再生していき、中に居た御影も蘇生。彼もどういうことなのかと驚いている。

 

 

 

「これの力だ」

 

 近くのビルの屋上にゼンカイザーの姿があった。彼はテガソードに付けられたゼンカイジャーの指輪を見せ付ける。

 

やり直し(リセット)。俺にとって何か不都合な事があった時、それらを無かったことにしてやり直せるって能力だ。まあ、そのまんまの意味だな」

 

────やり直すだと……!? ふざけるな!? そんな事が……!?

 

「出来るんだよ。尤も、これ死人も復活させられるし、何なら俺が負けた事も帳消し出来るから一回しかやれないんだけどな」

 

 そう言って笑うゼンカイザー。自身のこれまでの破壊と殺戮を全て無かったことにされてしまった戦争ノーワンは怒りで歯を食い縛り、再び飛び上がろうとする。

 

────だったらもう一度、今度はさっき以上の威力の核をブチ込んでやる!!

 

 だがそれよりも早く、シンケンオーが先程叩き落とされた秘伝シールドを拾ってブーメランの様に投げた。直撃を胸に受けた戦争ノーワンはそのまま落下。起き上がろうとした所へ、シンケンオーは一気に間合いを詰め刀を振り翳した。“斬”の文字を書き、それをダイシンケンにへと伝わらせて斬れ味を増加させる。

 

 ダイシケン侍斬り。

 

 シンケンオーの放つ最強の斬撃が、戦争ノーワンを袈裟懸けに斬り裂いた。

 

────俺がァァァ……!? 俺様がァァ!? こんな所でえええええッ!? 

 

 断末魔を轟かせながら戦争ノーワンは爆散し消滅する。中に居た有流真も、炎に包まれて消えていった。

 戦いが終わり、昇り始めた朝日がシンケンオーを照らすのであった。

 

 

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 あの戦いの後、2人は具島が拠点としていた場所に来ていた。どうやら具島は居ないらしく、御影の先導で緒乙達が収容されている部屋にへと入っていく。

 

「うわぁー。如何にも秘密のやばい実験してますって感じだな」

 

 並べられたカプセルとその中に入れられた人達を見て五代儀がそう言う。一方御影は迷わず緒乙の所まで行ってカプセルの蓋を開いた。そして彼女を抱える。

 次元穴(ゲート)を開いた五代儀は次々とカプセル内の人達をその中へと入れていく。送っている場所は彼の実家らしく、祖父母に説明したら連れて来いと言われたらしい。

 

「その子で最後だ、早く行こうぜ」

「…………ああ」

 

 暫く緒乙の顔を見て止まっていた御影だったが、五代儀からの声を受けて動き出す。

 これでやっと、この子を救うことが出来る……。そう思い次元穴(ゲート)に向かって歩いていき……───

 

 

 

 

 

 

「酷いなぁ、御影さん」

 

 

 

 

 足が止まった。振り向くとそこに居たのは具島 玲……彼にとっての恩人であり、彼を縛る存在でもある男。

 具島は笑いながら近付いて来る。

 

「先生……」

「まさか御影さんが裏切るなんてねぇ……。いや、裏切るかもとは思っていたけど仲間がいるのは想定外だったよ」

「五代儀 凛九、椿の親友だ。よろしく頼むぜ、噂の誘拐犯先生」

 

 煽る様な五代儀の言い方に少し眉を顰める具島。

 御影は彼のことをじっと見つめていた。

 

「先生、俺は貴方に命を救われました。貴方が居なかったら、今の俺は無い」

「そうだね。だから、君は俺の為に生きるべきだって言ったのを忘れたのかな?」

「断ります。貴方が俺の命を救ったのだとしても、他の人の命や人生を奪っているのを見過ごして良い理由にはならない」

「何を今更……」

 

 今更。確かにそうだ。決断するのはあまりにも遅過ぎただろう。だとしても、大切な人を救う為にもやらなければならない。

 

「今更でも良いじゃねえか」

 

 そう言ったのは五代儀だ。

 

「遅かろうが早かろうが、その決断は無駄にはならねえ。椿はアンタの支配を断ち切って前に進むんだ。めでたいことこの上ねえだろ?」

「貴様……」

 

 ケラケラと笑う五代儀。思わず御影も笑みが溢れてしまい、それを見た具島の表情が少し険しくなる。

 

「なら……君はもう用済みだ」

 

 具島が左手を伸ばすと、次元穴(ゲート)が掻き消されてしまった。予想外のことに驚く御影達。今の行動は、明らかに人間業では無い。御影は緒乙を一旦近くのカプセルに寄り掛かからせる。

 それから具島はあの厄災の指輪を2人へと見せ付ける。すると指輪は、あの日吸収したマジレンジャーの物へと変化。指輪の盤面を、具島は回転させた。

 

《マージ・マジ・マジーロ!》

 

 炎の魔人の様な幻影が彼に重なり、具島は赤き魔法使い・マジレッドへと変身した。そしてマジスティックソードを手にして2人へと斬り掛かっていく。

 

『エンゲージ!』

 

 彼らも即座に変身してマジレッドからの攻撃を回避する。そしてそれぞれの武器を手にして反撃。

 シンケンレッドがシンケンマルを振るい、ゼンカイザーがテガソードの刃を突き出す。マジレッドは巧みな動きで躱していった。

 

「お前、テガソード無しにエンゲージ出来んのかよ」

「テガソードなんて必要無いさ。俺には、厄災の力があるのだから」

「厄災、ねえ」

 

 踏み込んだシンケンレッドが刀を振り下ろし、マジレッドはそれを受け止める。2人は強く、睨み合った。

 

「もう辞めて下さい先生……!」

「辞める? 酷いこと言うなぁ……辞めたら俺は死んでしまうんだ。だから辞める訳ないだろ……!」

 

 刀を払って二度マジスティックソードで斬り付けた。後退していくシンケンレッドをゼンカイザーが受け止め、お返しとばかりに弾丸を連射。それを喰らったマジレッドも退がってしまう。

 

「んッ……本当に面倒な奴を連れて来てくれたねぇ、御影さん……」

「羨ましいか? お前友達居なさそうだもんなぁ!」

 

 再び構える彼らを見て、マジレッドは鼻で笑う。

 

「友達……? そんなもの、俺には必要無いさ」

「強がんなよ。良いもんだぜ、友達ってのは」

 

 シンケンレッドと肩を組むゼンカイザー。少し鬱陶しそうにしながらも、シンケンレッドはそれを払い除けることはしなかった。

 

「馬鹿馬鹿しい。…………俺にはそれ以上の、最高の力がある」

 

 具島は変身を解除。そして2人に対して不敵な笑みを浮かべる。すると彼は、黒い瘴気の様なものに包まれていく。

 

「先生……!?」

「何だぁ?」

「見せてやるよ……俺が手にした最高の力を……!」

 

 具島の姿が変わる。漆黒の甲冑を纏った様であり、メカニカルな印象を与え、赤い単眼が妖しく輝く姿。胸部には顔の様なものがあり、先程まで戦っていたノーワンとは明らかに違う、異質なプレッシャーを感じさせる存在へと具島は変わり果てた。

 

「その姿は……!?」

「我は深淵なるクラディスの一角、戦渦のベルルム。貴様らに、災厄を与える者だ」

 

 ベルルムと名乗った存在は、片手剣としても使えるビームライフルを2人へと向けた。それを見た彼らも武器を構える。が、ベルルムは一瞬で2人の背後を取り、その剣を振るって斬った。2人は反応出来ず、敢えなく斬り飛ばされてしまう。

 

「があッ!?」

「ぐお!?」

「纏めて、地獄へと堕としてやろう」

 

 ライフルからビームを出して更に攻撃。カプセルに叩き付けられて破壊しながら、彼らは吹っ飛ばされる。戦争ノーワンも強敵だったが、ベルルムはその比では無い程の強さを持っていた。次々と攻撃を受けて蹂躙される2人。

 

「くっ……!?」

「がッ!? 半端なく強えなぁ、こいつ……」

 

 吹っ飛ばされながらも立ち上がるゼンカイザー。そして彼は頬を叩いて気合を入れた。

 

「よっしゃ。名乗るぜ、椿」

「名乗り……?」

「戦隊には必須だ。これで気合入れて、この甲冑野郎ブッ飛ばすぜ!」

 

 彼は一歩前に出て、仮面の下で笑いながらベルルムを指差した。

 

「厄災天災お茶の子さいさい!

全開で粉砕ゼンカイザー!!

倒して浴びるぜ、拍手喝采!!」

 

 彼の名乗りを見たシンケンレッドは、立ち上がってその横に並ぶ。

 

「シンケンレッド、御影 椿……!

貴方のことを、必ず止める!」

 

 見栄を切った2人はベルルムへと突っ込んでいく。シンケンレッドの刀と、ゼンカイザーのビームサーベルが奴へと振るわれるが奴は盾で防いだり容易く躱したりしていった。そして逆に振るわれた剣が、彼らを傷付けることになる。

 2人は倒れてしまうが、すぐに立ち上がって再度攻撃を仕掛けていく。何が何でも奴を倒して具島を止めるという気迫が伝わって来た。彼らの猛攻で、ベルルムは少しずつだが退がってしまっていた。

 

「五代儀!」

「応よ!」

 

 二つの銃を持ち、それらを連射。ベルルムはそれを盾で受け止める。その隙に、シンケンレッドが懐へと潜り込んで剣を突き立てた。

 動きの止まるベルルム。シンケンレッドは鍔を回して刃に炎を纏わせ、そしてそれを横に薙ぐ。

 

「ぬうッ……!?」

「うらァ!」

 

 後退したベルルムに、ゼンカイザーが跳躍して蹴りを叩き込んだ。奴は大きく後退して壁に叩き付けられた。

 

「くっ……まだ完全では無いか……」

 

 2人がベルルムにトドメを刺す為に駆け出す。

 ここで奴を倒せばきっと具島を止められる……。これで全てが終わる……。シンケンレッドは、御影は強く刀を握りながら向かって行った。

 

 

「小癪なァ……!」

 

 

 しかしそんな彼らの前に、無数の怪物達が現れて進撃を止めた。死の厄災・モリス。ベルルムによって呼び出された戦闘員軍団である。奴らはビーム銃を放って2人を撃って後退させた。

 

「がッ!?」

「ぐおッ!? 何だ……!?」

「これは死……貴様らの運命だ」

 

 モリス達が剣や槍などを持って突っ込んで来る。奴らは1体1体は大した力ではないが圧倒的な数で2人のことを翻弄し、どんどん追い詰めていく。

 ゼンカイザーが1体の剣を受け止めて蹴り飛ばしそれを奪い、他のモリスを斬りながら銃を乱射して倒していく。だが背後から数体のモリスに飛び掛かられ抑え付けられてしまう。

 それを見たシンケンレッドが助太刀しに行こうとするが、モリス達に道を防がれて進むことが出来ない。

 

「この……!? 鬱陶しいなァ、オイ!」

「くっ、こいつら……ッ、緒乙ちゃん!?」

 

 シンケンレッドの目に、緒乙へと迫っていくモリス達の姿が映った。モリス達を押し退けながら彼は彼女の元へと行く。

 

「椿!?」

 

 緒乙を抱え、刀を振るってモリス達の攻撃を払っていく。しかし奴らの攻撃は激しく、この状況では彼女を守っていくことは難しいだろう。

 必死で抵抗するシンケンレッド。その肩を、ベルルムが放ったビームが貫いた。

 

「ぐうッ……!?」

 

 激痛が走り、刀を落として膝を付く。そこへモリス達が一気に飛び掛かって来た。このままだと、奴らの武器によって無惨にも引き裂かれてしまうことになるだろう。剣が、槍が、爪が、シンケンレッドと緒乙へと向かう。

 躱すことは出来ない、ならば……。彼は緒乙に覆い被さり、庇おうとする。せめて、彼女だけでもとの思いからの行動だ。迫る攻撃。例え死んでも、彼女だけは守ってみせる……。

 

 

 

 

 そう思っていたのだが攻撃は彼らに届かなかった。2人のことを、ゼンカイザーが庇ったからだ。彼の背に、幾つもの刃が突き刺さっている。

 

「五代儀……!?」

「ぐうッ……!? クッソ痛えなぁ……」

 

 変身が解除された五代儀の口からは血が溢れている。彼は次元穴(ゲート)を開き、その中へシンケンレッドと緒乙を押し入れた。

 

「おい、待て!?」

「じゃあな」

 

 そう言って笑った後、彼は次元穴(ゲート)を閉じた。シンケンレッドが伸ばした手は空を切るしかない。

 

 

 

 

 

「馬鹿な男だ」

 

 ベルルムは具島の姿に戻り、瀕死の状態の五代儀のことを見下ろした。

 

「ははッ……親友守って死ねるんなら上等だろ?」

「そうか。なら、死ね」

 

 モリス達が一気に襲い掛かる。血肉が飛散し、赤く染まったゼンカイジャーとキュウレンジャーの指輪が具島の足下へと転がっていき、彼はそれを拾う。

 

「逃がさないよ、御影さん」

 

 

 

 

 

 

 緒乙を抱え、少しフラつきながら裏路地に逃げ込む。そして自身の指輪を取り、彼女の指に付けた。それにより、緒乙は眼を覚ます。

 

「あれ……?」

「やあ、緒乙ちゃん」

 

 緒乙は周囲を見回した後、御影の顔を見た。

 

「貴方、誰……?」

 

 まさかの言葉に驚く御影。具島が何かしたのか、先程までの戦いの余波によるものなのか、彼女は記憶を失っていた。

 衝撃を受ける御影だが、ある意味好都合なのかもしれない。彼は緒乙に、これまで自分が渡して来た雑誌や服の入っている袋を渡した。

 

「これを……」

 

 緒乙は少し戸惑いながらもそれを受け取る。

 

「今から君は自由だ。大変なこともあるかもしれない……でも、君なら大丈夫」

「自由……」

「それとこの指輪……これを外したら君は意識を失ってしまう。だからこれは、絶対に外しちゃダメだ。それにこの指輪は、君に願いを叶える力を与えてくれる」

「願いを?」

「ああ。……俺は何も出来なかった。でも、君ならきっとやれる筈だ」

 

 そう言って御影は緒乙に微笑む。

 その時、背後から物音が聴こえて来た。モリス達が追って来たのだ。

 

「ごめんね……」

「え……?」

「さあ、行って」

 

 緒乙の背を後押ししてこの場から離れさせる。彼女は数度振り返るが、手を振る御影に見送られながら小走りで去って行った。

 

「これで……」

「罪滅ぼし、ってところかい?」

 

 御影の背後に現れた複数のモリス。その合間を割って具島が姿を見せた。彼は不敵な笑みを浮かべながら御影にそう言う。

 

「そうですね……。五代儀は、どうしました……?」

「あの彼かい? 今頃、空から君を見てるんじゃないかなぁ?」

 

 振り向いた御影に血の付いたゼンカイジャーの指輪を見せる。自分の所為で、彼を死なせてしまった……。また一つの罪を重ねたことが、御影の胸に重くのしかかる。

 具島達の方へと向かう御影。もう戦う為の力は無い。だがそれでも、もう逃げる訳にはいかない。

 

「先生、貴方を倒します」

「はぁ? 出来る訳無いでしょ。君はもう指輪も何も無い、ただの人間なんだから」

「だとしても……俺は……!」

 

 具島へと向かっていく御影。奴はゼンカイジャーの指輪を厄災の指輪に吸収させ、そしてゼンカイザーへと変身した。放たれた御影の拳を容易く受け止める。

 

「無駄な」

 

 腹部に拳が叩き込まれ、内臓が傷付き血を吐き散らす。だがそれでも、御影は諦めず拳を振るう。アーマーに弾かれて逆に拳が傷付いても、立ち向かうことを決して辞めない。

 そんな彼の首を掴み、次元穴(ゲート)でとある港まで移動し、ゼンカイザーはそのまま彼の首を絞めていく。

 

「先生……いや、具島 玲……!」

「…………」

「俺じゃなくても……貴方を、止める者が……必ず……現れる……! いつ、か……貴方も……!」

 

 首を掴んでいるゼンカイザーの手首を握った。

 

「罪と向き合う、時が……来る……!」

「そう。なら……」

 

 銃口を腹に押し付け───

 

「さよなら」

 

 引鉄が弾かれた。

 手を離され、御影の身体は吹っ飛んで海に落ち沈んでいく。意識がだんだん消えて、目の前が暗くなる。

 

 彼女は逃げ切れるだろうか……?

 いつか先生は救われるだろうか……?

 

 そんなことを思いながら、御影は闇に沈むのであった────

 

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 現代。

 

 

 

「────その後、俺は偶然助けられて、そこの診療所に運ばれた。運良く生きていて、そして明日には退院出来る。まあ、こんな所かな、俺の最低な罪の話は」

 

 御影は自分を卑下する様に笑う。

 

「結局俺は誰も助けられなかった……。緒乙ちゃんも、先生も……。それに助けてくれた五代儀も死なせてしまった……。そんな俺に、その指輪を持つ資格は無いさ」

 

 吠の掌にあるシンケンジャーの指輪を見ながらそう言った。

 

「…………本気でそう思ってんのか?」

「ああ」

「嘘だ。願いを持たねえやつの所に、指輪は来ねえ。お前にも本当はある筈だ、譲れない何かが!」

 

 彼に叫ばれて眉を顰める。

 今の自分にそんなものは無い。いや、元から無かったのかも知れない。ただ具島の言うがままに戦い続け、ずっと誰かを苦しめていた様な自分は、何も無い空虚な存在なのだろう。吠に背を向け、そのまま去ろうとした。

 

 しかし……。

 

 

 

 

 

「お兄さん!」

 

 懐かしい声が響いた。衝撃を受けながら振り返ると、そこ居たのは……。

 

「緒乙、ちゃん……!?」

 

 髪型は変わっており、メイクもしているがその笑顔はあの時と変わらない。そして何より、あの日自分が渡した服を着てくれている。

 誰よりも助けたいと願っていた人物・一河 緒乙が立っていた。彼女は笑顔で、御影にへと近付いていく。

 

「久しぶりだねっ!」

「え……何で……!?」

「神様に治してもらって、それで記憶も全部取り戻したの!」

「神様……?」

「俺様のことだ!」

 

 上空を見上げるとそこには1人の男が後光を放ちながら浮遊していた。熊手 真白。厄災クラディスとの戦いの果て、世界の理を変えて神に等しい存在になった者だ。熊手は緒乙に頼まれてここまで連れて来たらしい。

 神になったなど、五代儀が聞いたら羨ましがるだろう。

 

「吠さんがシンケンジャーの指輪の持ち主を見つけたって聞いて、もしかしたらお兄さんなんじゃないかなって思って来たんだ。そしたらドンピシャ! やっぱギャルの勘は当たるね!」

 

 彼女はあの頃と変わらない笑顔でそう言った後、御影の手を握った。

 

「全部聞いたよ、お兄さんのこと、先生のこと」

 

 その言葉を受け、心臓を握られた様な衝撃に襲われる。全部聞いた……つまり自分や具島が彼女にして来た事を、彼女自身が知ったというのだ。

 どれだけ責められるだろうか……?

 そう思い、手が震えてしまう。

 

 だが緒乙はその手を優しく握って微笑んだ。

 

「先に言っとくけど、うちは怒ってないよ。そりゃあ、具島先生がやったことはダメなことだし、お兄さんもそれに協力したのはダメだって思う。でも、お兄さんがうちを助ける為に必死で頑張って来たってことは、十分に伝わってから。だからうちは、お兄さんを責めたりしない。むしろ、すっごく嬉しかったよ!」

 

 彼女からそう言われ驚く御影。

 

「でも……俺は……!?」

「これ以上、自分を責めて苦しまないで。前に言ったでしょ? お兄さんを笑顔にするのも、うちのやりたいことだって。だから笑って、お兄さん。そして、自分の願いを持って」

 

 何よりも優しく暖かい言葉に、彼の心が解かされていく。

 

「だが、俺には願いが……」

 

 今の御影には望むことが思い着かない。それを聞いて緒乙は「うーん……」と少し考え込み、それから「そうだ!」と声を上げた。

 

「うちはギャルナンバーワンでしょ?」

「そう、なの……?」

「うん! だからお兄さんは、ギャル男ナンバーワンを目指せば良いんだよ!」

 

 彼女のその発言に御影はキョトンとしてしまう。

 

「いや、ギャル男って……俺そんな歳じゃ……」

「ギャルになるのに、年齢なんて関係無い! 必要なのはなりたいって気持ちだよ!」

 

 胸を張る緒乙に少し困惑する御影。すると、シンケンジャーの指輪が赤く輝き、吠の手を飛び出して御影の元へと向かった。彼が指輪をキャッチすると、その手の中で更に熱く輝きを放つ。それはまるで、彼に戦えと伝えている様であった。

 

 御影は指輪を見つめる。それから少し笑い、吠の方を向いた。

 

「逃げるのは辞めるって決めたんだ……。なら、やるしかないな」

 

 指輪を付ける。その瞳にはもう曇りは無い。

 

「君の挑戦、受けて立とう」

「ああ、そう来なくっちゃなぁ!」

 

 御影が指輪の盤面を回してからそれを取り、吠も指輪を取る。それから彼らは、同時にあの言葉を叫ぶ。

 

『エンゲージ!!』

 

《クラップ・ヨア・ハンズ!》

《センタイリング!》

 

 軽快に円を描きながらテガソードをクラップしていき、そして吠の姿が真紅の狐狼・ゴジュウウルフにへと変身を遂げる。

 

 一筆、刃で点を書いて二度手を叩き、一筆、払って一度手を叩く。そして“人”の字を書き二度叩いて、完成した赤い“火”の文字を、反転させる為にテガソードを振るうと同時に最後の一叩きを響かせる。“火”の文字が御影に重なり、彼は赤き侍・シンケンレッドにへと変身した。

 

 

 

「いざ掴め、ナンバァーワァァァァァンッ!!」

 

\\Go! Go! ゴジュウジャー!!//

\\Go! Go! ゴジュウジャー!!//

 

「俺は所詮この世はぐれもの。

それでも掴むぜ、お前らとの絆!

はぐれ一匹、ゴジュウウルフ!

見せてろ、お前の魂を!!」

 

\\Go! Go! ユニバース!//

\\Go! Go! ユニバース!//

 

「過去に犯した罪を数えて……。

未来を目指して、前進む!

シンケンレッド、御影 椿!

天下御免……いざ、参る!」

 

「No.1 BATTLE! READY FIGHT!」

 

 

 互いに駆け出す。ゴジュウウルフが振るったテガソードの刃を、シンケンレッドはシンケンマルで受け止める。

 

「面白え、俺は剣術ナンバーワンだ! その実力を見せてやるよ!」

 

 一度後退してからウルフデカリバー50を取り出して再び、シンケンレッドに斬り掛かった。逆手に持ったそれを振るって攻撃していくが、彼はその刃を全て見切って躱し受け止める。そして受け止めた剣を弾き、逆にシンケンマルを振り斬り付けた。

 

「があッ!?」

 

 更に素早く刀を振るって攻める。シンケンレッドの苛烈な剣撃は、どんどんゴジュウウルフを追い詰めていく。

 振り下ろされた刀をゴジュウウルフは膝を付いた状態で受け止めた。

 

「剣術ナンバーワンは返上か?」

「誰が!」

 

 剣を振るって弾きシンケンレッドを下がらせる。それから斬撃を飛ばして空間に複数のブラックホールを出現させ、その中にゴジュウウルフは飛び込んだ。そしてブラックホール間を移動しながら、彼にへと何度も何度も襲い掛かっていく。

 

「オラァァッ!」

「くっ……!?」

 

 連続攻撃をシンケンレッドは捌いていくが、次第に苦戦する。

 

「ハァッ!」

 

 背後から迫り振るわれた剣を、振り返りながらテガソードで受け止めた。2人は押し合い、火花が散る。

 すると、テガソードに付けられたシンケンジャーの指輪が輝き始めた。

 

「何だ!?」

「これは……! フンッ!」

 

 ゴジュウウルフを蹴って後退させる。輝きは強くなり、指輪の形と絵柄が変化。何かを感じ取ったシンケンレッドがショドウフォンで“真”の文字を書くと、それが重なり白い陣羽織が彼に羽織られる。

 

 スーパーシンケンレッド。以前ファイヤキャンドルも変身したことがある、シンケンレッドが強化された姿だ。彼とは違い、御影はオルカブースターの力無しでこの姿に到達した。

 

「オルカブースターを使わずに……!?」

「どうやら、あいつとシンケンジャーの指輪の相性は、お嬢ちゃんやファイヤキャンドル以上……最高の相性らしいな」

 

 その様子を見た熊手が冷静に分析する。実際御影は、シンケンジャーの指輪の力を十二分に発揮していた。

 シンケンレッドは一気に間合いを詰めて刀を振るった。ゴジュウウルフはそれをギリギリで避けて穴の中へ飛び込む。そして側面から飛び出して斬り掛かろうとした。

 

 しかし彼はそれを見切り、鍔を回転させて刀を燃え上がらせて振り上げ斬り裂いた。

 

「ぐはああああッ!?」

 

 吹っ飛ばされて転がりながらも何とか立ち上がったゴジュウウルフに、彼は刀を構えて再び接近する。何度も振るわれる強力な斬撃。それを喰らってしまったゴジュウウルフはどんどん追い詰められる。

 

「がッ!? この野郎、だったら!」

 

《ワイルドパワーアップ!》

 

 ゴジュウウルフが紅に輝き、深紅と黄金の戦士・ワイルドゴジュウウルフにへとパワーアップ。天に手を挙げると、何処からか赤い鯱の様な銃型アイテム・オルカブースター5050が飛来。そしてそれから水圧弾を連射する。シンケンレッドは刀を振るってそれらを斬り落としていった。

 

「やるじゃねえか! だったら!」

 

 オルカブースターのリング部分に、サンバルカン、ジェットマン、ガオレンジャー、ゲキレンジャー、ゴーバスターズの五つの指輪を装填し、後部の撃鉄を引いてからトリガーを押した。

 

《オルカ・ブーステッドノヴァ!》

 

 鷲、鷹、ライオン、虎、そしてチーターの5種の生物の幻影が撃ち出されてシンケンレッドにへと襲い掛かっていく。彼はそれらを刀で斬り裂いていき防いだ。

 

「次はこいつだ!」

 

 指輪をジュウレンジャー、アバレンジャー、キョウリュウジャー、リュウソウジャーに変更し、再びトリガーを押す。すると今度は4体のティラノサウルスが現れてシンケンレッドのことを見下してた。ティラノサウルス達は牙を剥き出しにして襲って来る。

 しかしシンケンレッドは、猛牛を模した大筒・モウギュウバズーカを手にし、奴らの攻撃を躱しながら砲弾を放っていった。4匹のティラノサウルスは倒れて消滅。そこへ水圧弾を放ちながらゴジュウウルフが突っ込んで来た。

 

「ハァ!」

「フッ!」

 

 負けじと砲弾を撃って銃撃戦となる。互いに駆けながら撃ち合い、そして2人とも止まってゴジュウウルフはオルカブースターの撃鉄を引き、シンケンレッドはモウギュウバズーカの銃身にシンケンマルをセットした。

 

《オルカ・ブーステッドノヴァ!》

 

 2人が放ち合った砲撃が衝突。相殺され、凄まじい衝撃波が周囲に広がった。ゴジュウウルフもシンケンレッドも、少し後退する。

 

「くっ……!?」

「ぐうッ!? 常夏や紅葉さん並みに強いな……!」

 

 それぞれの武器を構える2人。するとオルカブースターが突如叫びを上げた。そしてそれに呼応する様に、シンケンレッドの指輪がまた輝く。

 

「な、オルカブースター!?」

 

 陣羽織が赤く染まる。更にシンケンマルの刃も赤くなり、先端が竜の頭部の様な形に変化した。これこそ彼の更なる強化、ハイパーシンケンレッドである。オルカブースターの力を受けたことにより、この姿に辿り着いたのだろう。

 

「はッ、面白え! いくぜ!」

 

 駆け出すゴジュウウルフ。テガソードの刃を向けて飛び掛かるが、シンケンレッドはシンケンマルが変化したキョウリュウマルを鞭の様に伸ばす。それを受けてゴジュウウルフは叩き落とされてしまった。

 

「ぐあッ!?」

 

 倒れたゴジュウウルフに、シンケンレッドは再度刀を伸ばして連続攻撃。激しい連撃で彼を攻めていく。

 

「舐めんなァ!」

 

 テガソードをがむしゃらに振るって刀を弾き、またシンケンレッドへと走り出した。そして指輪に付けられたスコープを展開してその中に彼のことを捉える。

 

「お前は俺の、獲物だ!!」

 

《フィッシュフィンガァーッ!》

 

 周囲が闇夜に染まり、天空に満月が輝く中、ゴジュウウルフはシンケンレッドを中心に高速で回転し、そして四方八方から斬り付けていく。

 圧倒的スピードでの斬撃だが、シンケンレッドはキョウリュウマルを思いっきり振って自身に纏う様に伸ばして全て弾き切ってしまう。それから踏み込み、刀を伸ばしてゴジュウウルフに痛烈な斬撃を喰らわせた。

 

 ゴジュウウルフは吹っ飛ばされて地を転がる。シンケンレッドの、御影の強さは本物だ。だが、自分も負ける訳にはいかない。立ち上がった彼は手を伸ばす。するとその手に、青い究極の剣が飛来して握られた。

 

「いくぜ! エンゲージ!」

 

《最強! 頂点! ユニバース!》

 

 剣・リョウテガソードにリングをセット。それから円を大きく描いて振り下ろす。

 

《テガソード・ナンバーワン!》

 

 彼はテガソードと一体化。黄金のアーマーを纏い、最強の姿・テガソードゴジュウウルフへと進化を遂げた。

 

「ほお……」

「まだまだ、こっからだ!」

 

 肉薄し、互いに刃を振って打ち合う。どちらも一歩も引かずに攻めていくが、少しずつシンケンレッドが押され始める。

 素早く剣を横に振るゴジュウウルフ。それをシンケンレッドは受け止め、それから刀を伸ばして彼の剣を絡め取った。

 

「何ッ!?」

「ハァッ!」

 

 そのまま刀を振り上げてゴジュウウルフから剣を奪い空へと投げ捨てさせる。武器を失った彼にシンケンレッドは刀を振り下ろすが、アーマーが展開して腕となり片方でそれを受け止めた。

 

「な……!?」

 

 驚いくシンケンレッド。ゴジュウウルフは落ちて来たリョウテガソードをもう片方の腕でキャッチしてそれでシンケンレッドを突いた。彼は火花を散らして後退させられてしまう。

 

「くっ!? やるな……」

「これくらい当然だぜ! さあ、決着つけてやる! 行こうぜ関本さん!」

 

 リョウテガソードに秘密戦隊ゴレンジャーの指輪を装填。

 すると彼の隣りに、ゴジュウレオン、ゴジュウティラノ、ゴジュウイーグル、ゴジュウユニコーンの4人の幻影が、リョウテガソードで強化された状態で並んだ。

 ゴレンジャーの指輪能力・集合(ゴー)。自身の仲間や関係性のある者を擬似的に集結させて共に戦うことが出来る能力であり、それをリョウテガソードの力で更に強化したのだ。

 

「ゴレンジャーハリケーン! オールアタック!」

 

《ゴレンジャーハリケーン!》

 

 5人が一気に接近して剣を振る。まさに嵐の様な攻撃は、シンケンレッドに大ダメージを与えて吹っ飛ばしてしまった。地面に叩き付けられてしまったシンケンレッド。痛烈な一撃であったがまだ負けてはいない。彼は立ち上がり、刀を構える。

 

「へっ、お前もやるじゃねえか。だが、これで終わらせてやる!」

 

 剣をシンケンレッドへと向けた。もう少しで彼に勝てる……だが油断は禁物。ゴジュウウルフは剣をぐっと握り締めて構えた。

 一方シンケンレッドも自分が危ういことは理解していた。しかし負ける訳にはいかない。

 

「頑張れ、お兄さん!!」

 

 緒乙からの声援が聞こえる。この声に応える為に、必ず勝つと胸の中の炎を燃やした。

 

「俺は負けない……掴み掛けたこの願いを、必ず叶える為に!」

 

 シンケンジャーの指輪が三度(みたび)赤い輝きを放つ。先程までとは比較出来ない程の輝きに、周囲の者達は思わず目を瞑ってしまう。

 

「何だ!?」

「これは……!?」

「お兄さん……!?」

「必ず勝つ。俺は今、その為にここにいる!」

 

 テガソードで真紅の“甲”の文字を書いた。それが彼の身体に重なり新たな姿に進化する。赤い大鎧を纏い、両肩と胸の鎧には“甲”の文字が記させている。将軍という言葉の似合う最強の形態。諦めない御影の想いに指輪が応えたことで成り得たもの。

 シンケンレッド極鎧侍(キワミヨロイザムライ)である。

 

 彼は腰に備えられたシンケンマルの進化した真剣極大太刀(シンケンキワミオオダチ)を抜き、ゴジュウウルフに鋒を向けた。

 

「いくぞ」

「ハハッ……面白え! 全力でいくぜ!」

 

 駆け出した2人。どちらも重厚な鎧を纏っているとは思えないスピードで動き、刃を振るい合った。ぶつかり合い、火花が散り、彼らは一歩も引かず戦う。

 

 ゴジュウウルフはブンブンジャーの指輪を剣に装填。ブンブンドライバードライブを発動して攻撃。しかしシンケンレッドはその一撃を正面から鎧で受け止めて弾いた。驚いたゴジュウウルフに、彼は大太刀を横一閃に振るい斬り飛ばした。

 

「がああああッ!? クソッ!」

 

 転がりながらも膝立ちになって構えるゴジュウウルフ。シンケンレッドは大太刀を手に接近していき、ゴジュウウルフも立ち上がって走る。

 

 肉薄した2人は刃を振るって鍔迫り合いとなる。どちらからも決して譲らないという気迫が感じ取られた。

 

「俺は必ず、お前に勝つ!」

「俺も、君に勝ってみせる!」

 

 同時に後方へ跳んで距離を置いた。互いに今から放つ攻撃で、真の決着を付けるつもりなのだ。

 

「いくぜ!」

 

《オーバーロード! オールハンズ!》

 

 展開した両腕にウルフデカリバーとオルカブースターを装備して斬撃と銃撃を飛ばす。だがシンケンレッドはその鎧で攻撃を弾きながら構わず走っていき、ゴジュウウルフへと迫る。手にしている真剣極大太刀は、烈火の如く燃え盛っていた。

 

「極豪炎侍斬!!」

 

 全力を込めた一刀が、振り下ろされる。ゴジュウウルフもそれに応え、リョウテガソードに全ての力を込めて振るった。

 衝突する二つの刃と2人の魂。凄まじい咆哮が空を揺らし、そして──────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2週間後。

 

 

 

「ねえ、これとかどう!? 絶対似合うと思うよ!」

 

 御影はとあるファッション店で、緒乙から着せ替え人形の様に扱われていた。彼女に勧められるがまま髪を染めたり、アクセサリーを着けたり、少し前までとは雰囲気は変わってしまっている。

 

「い、いや、流石にこれ以上派手になるのは……」

「何言ってんの? ギャル男になるならまずは派手に決めなきゃ!」

「そう……なの?」

 

 彼の疑問に緒乙は「そう!」と答えた。三十代後半の自分が、こんな格好をするのは少し引けていた。

 

「でも……ほんとに嬉しいな。こうやってお兄さん……御影さんと一緒に遊べて!」

「…………俺もだよ」

 

 笑い合う2人。互いに叶えたいと思っていた願いの一つが、今こうして叶えられていることが何よりも嬉しく思えていた。

 

「さ、次行くよ! 今日は御影さんを最高のギャル男にするんだから!」

「はは……お手柔らかにね……」

 

 緒乙が自分の手を掴んで引く。それから伝わる温もりは、彼の心に広がっていくのであった。

 

 

 

 

 

 犯し続けた罪。罰から逃げ続けた日々。

 許されはしないだろう。だからこそ少しずつそれを償い、前へと進む。

 

 自分を想ってくれる、大切な人と共に。

 

 1人の侍の物語、これにて一時終幕。

 




・御影 椿(みかげ つばき)
・所持リング/シンケンジャー
・指輪能力/塗装(ペイント)。筆で塗った色に応じた状態を付与。更に御影の場合、書いた文字のものに変化させたり、それを具現化させたりすることが可能。
・願い/具島の為に働く→緒乙を救う→ギャル男ナンバーワン

 元メジャーリーガー。事故で死に掛けていた所を具島 玲に救われた。それ以降彼に強い恩義を感じるが、その感情を利用されて彼の手足となり働かされることになる。シンケンジャーの指輪との相性は最高クラスであり、その為通常では使用不可なモヂカラを使うことが出来、更にはシンケンオーの召喚も可能とした。それに加えて身体能力の高さもあり、全ユニバース戦士の中でも常夏や紅葉と同じくトップクラスの実力を誇る。メンタル面の不調により苦戦することもあったが、吠との最終決戦時はそれも完全解消されている為、オリジナルにも匹敵する力を見せた。オルカブースター無しでスーパーシンケンレッドに進化したり、オルカの力で更にハイパーシンケンレッドに、そして自力でオリジナルのシンケンジャーには無かったシンケンレッド極鎧侍に進化をした。
 名前の由来は「御影」の「御」は位の互い人物、つまりその「影」。ということは……。「椿」は時代劇でお馴染み、椿 三十郎から。

・剡炎漲天(えんえんちょうてん)
 オリジナル技。高く飛び上がり、塗装(ペイント)の力で豪炎を纏わせた烈火大斬刀を敵の頭上に叩き付けるという技。名前の由来は四字熟語の煙炎漲天から。

・業火剣爛(ごうかけんらん)
 オリジナル技。シンケンジャーのギアの力で烈火大斬刀を生成したゼンカイザーと並び、同時にそれを振るって火炎球を叩き込む。名前の由来は四字熟語の豪華絢爛から。

・シンケンレッド極鎧侍(きわみよろいざむらい)
・身長/208cm
・重量/5.05t
 御影の気持ちに指輪が呼応し、シンケンレッドが究極の進化を果たした姿。全能力が格段に向上。重厚な真紅の鎧を見に纏っており、それはどんな攻撃も無力化する程の硬度を誇る。その重量と見た目とは対照的にスピードや跳躍力も向上しており、高速で動きながらヘビー級の攻撃を叩き込んでいくことが可能。武器はシンケンマルが進化した真剣極大太刀。一振りで山すら断つ斬れ味を持ち、彼はこれを手足の様に巧みに使用する。最大の必殺技は極豪炎侍斬。未使用だが、この他にも塗装(ペイント)能力との組み合わせで多くの技を放つことが出来る。
 元ネタは海外版シンケンジャーであるパワーレンジャー・サムライに登場したショウグンモード。

・五代儀 凛九(いよぎ りく)
・所持リング/ゼンカイジャー
・指輪能力1/次元穴(ゲート)。空間に穴を開けて別の場所へと繋げることが出来る。五代儀の知っている場所なら何処へでも行ける。何かが通過してる最中に穴を閉じれば、それを切断することも可能。
・指輪能力2/五色(カラフル)。基本の白以外に四つの色に体色を変えて能力値を変動させる。赤は攻撃特化で剣と盾を武器にし炎を操る、黄色はスピードが上昇して爪を武器に、桃色は杖で魔法を使う特殊形態であり、青は防御力が向上してツルハシで戦う。
・指輪能力3/歯車(ギア)。触れた相手から歯車型のメダルを生成し、それをギアトリンガーにセットすることでその戦隊の能力、技、武器などを使える様になる。また、実際に使用してなくても、その戦隊からイメージ出来る概念的な能力も使えてしまう。一度使うと消滅するが1人のユニバース戦士から複数生成することも出来、使用しなければ残るのでストックすることが可能。
・指輪能力4/結合(ユナイト)。身体から光のラインが伸びて周囲の物に付着。それを引き付けて纏い、自身の装備へと変化させる能力。纏う物体の重量が多ければ多い程負荷が掛かる。五代儀はこれを利用して本編のゼンカイジュウオーに酷似した姿となった。その際、筋肉や骨が軋む程の多大な負荷が掛かったが、彼はそんなこと気にせず強行した。
・指輪能力5/やり直し(リセット)。五代儀が不都合と感じた事象を無かった事にし、彼の望む状態からやり直す能力。破壊行為や自身の敗北、人の死等、とにかく彼が望まなかった事は全て無かった事にされる。指輪を奪われたとしても即座に発動してそれ無かった事にして五代儀の元に戻る。強力な能力故、争奪戦中一度しか使えない。また、実は次元穴(ゲート)以外の能力は五代儀がゼンカイジャーの指輪を手にしたことにより発動した能力である為、他者では使用することは出来ない。
・願い/全知全能、神をも超える存在になる。

 旅人の青年。破茶滅茶で奇天烈、恐ろしい程破天荒な男であり、自分が神以上のどんな願いも叶える存在になると豪語していた。実力はかなりのもの。本来なら存在しない指輪能力を発動させる等、彼も御影同様指輪と最高の相性であり、尚且つかなり特殊な体質の持ち主。チームを集めて戦隊を組みたいとも考え、様々な指輪の持ち主に願いを叶えるから仲間になれと誘いをかけていた。仲間想いな所はあり、最期は御影を庇ったことにより、モリス達と具島の手によって命を落とした。
 名前の由来は苗字にある“五”と名前にある“九”をかけるとゼンカイジャーの作品番号である45になることから。


・フランシス・ロバーツ
・所持リング/ゴーカイジャー
・指輪能力/鍵化(パイレート)。対象の人物の情報を読み取りその力を宿した鍵を複製する。また、ユニバース戦士から複製したそれをモバイレーツに装填すれば、その戦士と同じ姿と同じ能力を得る。必殺技を発動すれば対象自身を鍵にしてしまうことも可能。
・願い/五代儀を神とし、自分がその宣教師となる。

 元テガソード信奉者。しかし争奪戦の中でテガソードに失望していき、偶然出逢った五代儀に陶酔。彼を神になる存在として崇拝し、自分が彼にとって1番の信奉者となろうとしていた。これまで戦って来たユニバース戦士の力を鍵化(パイレート)の能力で鍵にしており、御影からバイオマンの指輪を奪ったり、メガレンジャーのユニバース戦士を倒したりと戦闘能力は高い。戦争ノーワンの乱入により混乱した戦場で、ゴーカイジャーの力に目を付けた晩堂 深也と戦うことになり、これまでのダメージと晩堂の高い戦闘能力に押されて敗北した。
 名前の由来は実在した海賊、フランシス・ドレイクとバーソロミュー・ロバーツから。指輪能力の名称パイレートは海賊版という意味。


・赤石 リアノ(あかいし りあの)
・所持リング/キラメイジャー
・指輪能力/研磨(ポリッシュ)。触れた物を研磨することが出来る。剣を磨いて斬れ味を上昇させたり、地面を磨いて摩擦係数を下げ氷上の様に滑る状態にすることが可能。
・願い/スケート界に戻りたい。

 世界大会出場が期待されていた有能なフィギュアスケート選手だったが、ある日彼の才能に嫉妬した者達の企みでドーピング疑惑をかけられてしまう。本人に否定したが認められず、結果スケート界から永久追放されてしまった。冷静沈着だが他人を見下している。研磨(ポリッシュ)で地面を滑る状態にし、スケートの如く疾走しながら敵を攻撃する戦法を得意とする。五代儀のことは能力は高く買っており、最悪自分が負けても彼が勝ち残れば願いは叶えられると考え味方に付いていた。基本他のメンバーのことは見下しているが、特に喧しい旭と野蛮な有流真のことは卑下していた。しかし最期はそれまでの行動が仇となり、戦争ノーワンとなった有流真の手で殺害された。
 名前の由来はルビー(“赤”い宝“石”)とルビーを好んだと云われる教皇ユリウス2世(ジュ“リアーノ”・デッラ・ロベーレ)から。


・波郷 武蔵(なみさと むさし)
・所持リング/ジュウオウジャー
・指輪能力/猛獣招来(ビーストコール)。様々な猛獣達を召喚して操ることが可能。鮫の様な水棲生物達は空中を泳ぐ様に活動することが出来る。猛獣達のサイズはその生物本来のサイズよりも巨大なものを呼び出すことも可能。また、動物の特性を持つ相手の行動を多少ながら制限することも出来る。
・願い/声を取り戻す。

 元配信者。オリジナル、カバー問わず様々な歌を投稿して人気を集めていた。しかしある時病を患い、声を失ってしまう。絶望感に襲われてた時に指輪を手に入れ、声を取り戻す為に争奪戦に参加した。五代儀と組むことで声を取り戻す確率を上げようとしていた。他のメンバーと共に御影を強襲し、野生解放による飛行能力やジュウオウゴリラへの変身等で戦ったが、彼の能力によって出来た隙を突かれて敗北し指輪を奪われた。後に百夜 陸王被害者の会の岩下に御影が渡した。
 名前の由来は本来のジュウオウイーグルに変身する風切 大和と対になるものから。風に対する波、大和に対する武蔵(戦艦ネタ)。


・江ノ島 旭(えのしま あさひ)
・所持リング/トッキュウジャー
・指輪能力/乗換(トランスファー)。全7色に体色を変化させ、武器や能力地を変化させる。なれる姿はバランス型で長剣を使う赤、射撃特化で銃を使う青、パワー特化でハンマーを使う黄色、スピード特化で斧を使う緑、近接特化でクローを使うピンク、豊富な武装を誘導灯型の武器を介して扱えるオレンジ、格闘特化の紫。
・願い/真凜に認められる男になる。

 小学生。近所に住んでおり憧れの存在であった星羅 真凜が指輪争奪戦で御影に敗れ、更にその際の怪我でピアニストとして再起不能になったと知って激昂。それから偶然トッキュウジャーの指輪を入手し、御影を倒して真凜に認められる男になる為に争奪戦に参加した。その際子どものままでは戦えないとテガソードに訴え、大人の姿になれる様にしてもらう。あくまでも自分が真凜に認められることが目的になっており、彼女の怪我を治す等は思い付かなかった。何度も御影に挑んだが一度も勝てず、最後に彼に挑んだ時には五代儀によって適当な場所に移動させられてしまう。その後日、神を名乗る白い男に敗れて指輪を失った。
 名前の由来は電車のメトロえのしまと超特急あさひ。


・獅子仲 有流真(ししなか あるま)
・所持リング/キュウレンジャー
・指輪能力/隕石(メテオ)。小型隕石を降り注がせる。これは上からや正面、側面からも放つことが出来、更に地面から打ち上げる形でも放てる。
・願い/戦争がしたい。

 傭兵。殺戮を好む狂気に満ちた性格。幼い頃海外で拉致され、兵士として利用されて来た中で殺すことに快楽を覚えてしまった。五代儀に敗れ、彼からこれからも戦いたければ仲間になれと言われたのでしぶしぶ着いて行ってる。御影との戦いの中で高所から落下し、それが原因で下半身不随に。指輪も奪われ、怒りに満ちていた所を付け込まれてバトルノーワンとなってしまった。だが彼の願いは闘争ではなく、虐殺。それへの強い渇望がノーワンの意識を消滅させて乗っ取り、戦争ノーワンへと変質させた。
 名前の由来は獅子身中の虫とアルマゲドン。

・バトルノーワン
・媒体/獅子仲 有流真
・身長/196cm
・体重/262kg
・秘技/バトルウェポンスイッチ
・生成ワード/戦い、武器、破壊、人間、ナンバー1
・ナンバー1/バトルナンバー1

 有流真の戦いたいという想いに反応してジェネレイティブしたノーワン。多数のバトルウェポンという武器を持ち、遠距離、中距離、近距離、全ての間合いで問題無く戦える。また蝙蝠の羽の様なマントを拡げることで空を飛ぶことも可能。他者と戦って勝つことを嗜好とし、指輪の戦士では無くてもバトルウェポンを強制的に持たせて戦わせてしまう。ゼンカイザー達の戦いに乱入し、彼ら相手に互角以上の実力を振るっていたが、取り込んだ筈の有流真が深い渇望から目覚めてしまい、肉体を乗っ取られ戦争ノーワンに変化。その際バトルノーワンの意識は消滅してしまった。
 混ざった生物は蝙蝠。バトル→battle→“bat”tle→バット→蝙蝠。

・戦争ノーワン
・身長/201cm(巨大化時51m)
・体重/397kg(巨大化時603.9t)
・秘技/暴虐なる破壊と殺戮
・生成ワード/戦争、兵器、殺戮、ナンバー1

 バトルノーワンの肉体を乗っ取った有流真が変化した怪物。正確にはノーワンでは無いが、便宜上そう呼称される。有流真が人間を捨ててしまった為「人間」のワードが消滅し、他のワードもブレている。様々な殺傷能力の高い兵器を武装し、それらで虐殺の限りを尽くす。頭部には鉄砲魚の様な形の銃口があり、そこから放たれる弾丸でリアノを殺害した。戦闘機の様な翼で空中を高速で移動し、ジェットを装備することで瞬間的に加速して上空まで一気に移動することも可能。どの能力もバトルノーワンより向上しており、武装をどんどん生成していくことで肉体を巨大化させることも可能。通常のノーワンとは一線を画す存在となっている。リアノを殺し、五代儀達も殺そうとしたが彼によって海底深くに沈められてしまう。しかし無理矢理脱出して再度彼の前に出現し、御影と五代儀のタッグと戦った。様々な兵器で攻めるが苦戦して、怒りの果てに巨大化。圧倒的優位に立ったもののシンケンオーとゼンカイジュウオーによってまた苦戦。ヤケクソで核兵器を使用して全てを焼き払ったが、ゼンカイジャーの指輪能力でそれも無かった事にされる。最期はダイシンケン侍斬りで切断され、有流真諸共消滅することになった。実は無理矢理な変化の為肉体は崩壊の道を辿っており、例え勝利していたとしてもいずれは死滅する運命にあった。
 混じった生物は鉄砲魚。魚→うお→うぉー→war→戦争。更に銃火器という事で鉄砲を。


・和伊波 都楽(わいば とらく)
・所持リング/ブンブンジャー
・指輪能力/再構築(リ・ビルド)。触れた物を即座に分解して別の物に再構築する能力。これでバクアゲソードやズンズンブラスターを創り使用した。
・願い/子ども達が笑顔で暮らせる世界。

 若き大企業の社長。御影と戦ったが、途中バルイーグルに乱入され退散した。この後に、ゴジュウレオンこと百夜 陸王と1話では語り尽くせない戦いを繰り広げることになり、指輪を陸王に渡す事になる。
 名前の由来はワイパーとトランク。元々作者がこのユニバース戦士補ジュウ計画で書く予定だったキャラクター。


・岩海 空斗(いわみ そらと)
・所持リング/サンバルカン
・指輪能力/太陽光(フラッシュ)。触れてる物から強烈な閃光を放つ。出力を上げ、一点集中させればレーザーの様に使う事も可能。
・願い/剣の道を極める。

 とある剣術道場の師範。正々堂々とした剣の勝負を好み、この指輪争奪戦でもそれが出来ると思っていたが、御影の絡めてによって動きを封じられて敗れた。指輪は後に川島という百夜 陸王被害者の会の男性に渡される。
 名前の由来は陸海空の要素からで岩は陸、その他はそのまま。


・星羅 真凜(せいら まりん)
・所持リング/マジレンジャー
・指輪能力/灰化(アッシュ)。炎攻撃が出来る他、相手を灰色にすることで負の感情を増加させて戦意を喪失させる。後に具島がゼンカイザーになってこれを自身に使い、ベルルムの負の力を増加させることで逆に強化に繋げた。
,願い/ピアニストナンバーワン。

 旭の幼い頃から近所に住んでいた幼馴染的存在の女性。コンクールで賞を取ったことも有るくらいには有名なピアニストだったが、指輪を手にしたことでより高みを目指したいと思う様になる。しかし御影との戦いに敗北して指輪を失い、更にその時受けた怪我が原因で指が以前の様に動かなくなってしまった。本人は指輪なんかの力に頼った罰だと受け入れており、子ども会等のイベントで簡単な曲を弾いたりしている。その中で献身的に支えてくれる男性と出逢い交際。後に結婚することになる。旭が指輪の戦士になったことは知らない。
 名前の由来は魔女裁判で有名な土地・セイラムとアーサー王伝説に登場する魔女マーリン。


・直哉 竜兎(なおや たつと)
・所持リング/タイムレンジャー
・指輪能力/赤熱(ファイヤー)。炎を纏い、ファイヤーモード(つまりはタイムファイヤー)へと変化する。攻撃に炎属性が付与される様になる。
・願い/行方不明の妻を見つける。

 会社員。1年前、妻である直哉 百合が行方不明となり、彼女を捜し続ける中で指輪を手に入れ、その力で妻を取り戻す為に戦う。五代儀から仲間に誘われるが拒否し、それからも妻を捜し続けたが常夏と戦い敗北。しかし常夏は彼の妻の捜索に力を貸すことを約束してくれた。実は百合は具島にサンプルとして誘拐された1人であり、御影と五代儀によって救い出された後に再開することが出来た。2人により妻が救われたことを、竜兎は知らない。
 名前の由来はタイムレッドの竜也とタイムファイヤーの直人のアナグラム。


・火張 星南(ひばり せな)
・所持リング/ダイナマン
・指輪能力/魔球(ダイナマイ)。使用者の意思で自由に動く爆発性の光球を投げる。また、自身の目の前に複数浮かび上がらせて、それを打ち放つことも可能。
・願い/女性初のメジャーリガー。

 女子高生で野球部に所属している。御影のメジャーでの試合を観て憧れ、自分もそんな選手になるという夢を持つ。かなり前向きな性格。後にガリュードに敗れる。
 名前の由来は「“火”薬を“張”る」と、オリジナルのダイナレッドになる弾 “北斗”の名前の対になる“南の星”から。


・光 勝利(ひかり しょうり)
・所持リング/フラッシュマン
・指輪能力/綺羅星(ジュエル)。宝石を操って相手に飛ばして攻撃したり、密集させて防御に利用したりすることが可能。
・願い/究極の激辛料理を作る。

 中華料理店の店長。激辛料理を愛し、誰もが求める究極の激辛料理を作り激辛ナンバーワンになることを目標としていた。後にブーケに敗れる。
 名前の由来はフラッシュ=光と、レッドフラッシュのプリズムであるルビーの宝石言葉の一つである勝利から。


・十文字 十破(じゅうもんじ とわ)
・所持リング/ターボレンジャー
・指輪能力/飛行(フロート)。妖精を連想させる4枚の光の羽根が背中に現れて空中を自由自在に動き回る。
・願い/テニスのダブルスでナンバーワンになる。

 テニスプレイヤー。チェンジドラゴンになる竜頭 龍直はパートナー。前衛を担当している。身体能力はかなり高い。後にガリュードに敗れる。
 名前の由来はオリジナルのレッドターボが単体で敵を撃破した数の最多記録(10回)を持つことから。“十”体撃“破”。


・竜頭 龍直(りゅうとう りゅうな)
・所持リング/チェンジマン
・指輪能力/伝説龍(レジェンドパワー)。ドラゴンに変身。稲妻を操り、口からは火炎を放つことが可能。
・願い/テニスのダブルスでナンバーワンになる。

 テニスプレイヤー。レッドターボになる十文字 十破はパートナー。後衛を担当し、分析力に優れる。後にガリュードに敗れる。
 名前の由来はモチーフであるドラゴンと、オリジナルのチェンジドラゴンがそれ以前のレッドと比べると直情気味のレッドであったことから。因みに原点のレッドターボとチェンジドラゴンには高校球児という共通点がある。レッドターボ・炎 力は現役で、チェンジドラゴン・剣 飛竜は元。


・ヨン・チョンギ
・所持リング/キョウリュウジャー
・指輪能力/武装祭(カーニバル)。左右の腕に様々な武器を装備する事が可能。
・願い/ナンバーワンのメイクアップアーティストになる。

 韓国出身のメイクアップアーティスト。仕事で日本に来た際に指輪を入手した。元々日本文化が好きで日本語は堪能。後に往歳に敗れる。
 名前の由来は韓国語で竜の意味を持つヨンと、同じく韓国語で電気を意味するチョンギから。


・遊輪 海燕(ゆうわ かいえん)
・所持リング/ゴーグルファイブ
・指輪能力/登破(クライミング)。壁や崖を駆け上がることが可能。どれだけ反っていても登ることが出来、逆に降りることやそのまま停止したりも出来る。
・子どもが喜ぶ遊園地を作る。

 遊園地職員。心優しい性格で、子ども達が楽しめるテーマパークを作ることが願い。後にガリュードに敗れる。
 名前の由来はオリジナルのゴーグルレッドの赤間 健一が遊園地の警備だったことからと、ゴーグルレッドのレリーフである海に沈んだ文明アトランティスから。


・初赤 一民(はつあか ひとたみ)
・所持リング/デンジマン
・指輪能力/鉄拳(ナックル)。パンチ力が強化される。デンジパンチ装備状態なら鋼鉄すら粉砕する。
・願い/格闘界ナンバーワン。

 格闘家。突如行方不明になった伝説の格闘チャンピオン・黄虎 直斗を目標としている。後にガリュードに敗れる。
 名前の由来はデンジレッドが戦隊で初めてレッドと付けられたヒーローだったことから。


・五猿 茜(ごさる あかね)
・所持リング/カクレンジャー
・指輪能力/分身(わけみ)。複数の実体のある分身を生み出すことが可能。分身には意思があり、常に情報を共有しあっている。
・願い/お笑い界ナンバーワン。

 お笑いトリオ・ニンジャリズのツッコミ担当。ある有名な武将の末裔であり、その血筋を利用してバラエティ番組に出ることもしばしば。後に仲間達がガリュードに倒されていく中唯一生き残るが、こちらの世界に来たオリガレッドと戦って敗れる。
 名前の由来はアラフィフとニンジャレッドのイメージである猿から。また、お笑いトリオの名前には“赤”に関する字がある。


・九十九 紅鷹(つくも あかたか)
・所持リング/ハリケンジャー
・指輪能力/旋風(ハリケーン)。竜巻を発生させ、相手に飛ばす能力。それを纏って自身が高速回転しながら突撃すること等も可能。
・願い/お笑い界ナンバーワン。

 お笑いトリオ・ニンジャリズのボケ担当1。自称伝説の男だが、内容はかなりショボい。後にガリュードに敗れる。
 名前の由来はは99スタッフサービスと、ハリケンレッドのモチーフである鷹から。


・ニノニ 赤司郎(にのに あかしろう)
・所持リング/ニンニンジャー
・指輪能力/爆破(バーン)。一定範囲内の地面を爆破する能力。
・願い/お笑い界ナンバーワン。
 
 お笑いトリオ・ニンジャリズのボケ担当2。とにかく真っ直ぐで滑る様なギャグも全力でやり、その姿勢が意外と人気を得てたりする。
 名前の由来は手裏剣戦隊ニンニンジャー初放送日から。なお、忍者戦隊3人には名前に漢数字があるという共通点もある。


・安藤 狩火(あんどう かるひ)
・所持リング/メガレンジャー
・指輪能力/成長(レベルアップ)。敵と戦うことで能力値が上昇していく。
・願い/最強のハッカーになる。

 中学生。漫画やアニメ、ドラマ等で見たハッカーに憧れ、それになる為に毎日学んでいた所で指輪を手に入れる。犯罪行為なのを余り理解はしてなかった。フランシスに敗れて指輪を奪われ、その後フランシスが晩堂に敗北して指輪は彼の手に渡る。
 名前の由来はパワーレンジャー・イン・スペースでメガレッドに変身するアンドロスと、原点で変身する伊達 健太の好物の焼肉のカルビから。


・往歳の助手1

 往歳の助手の1人で男性。もう1人の助手と共に、御影に彼を誘うべきでは無いと警告した。

・往歳の助手2

 もう1人の往歳の助手で女子高生。少し血の気が多い。彼女も御影を仲間にすることに反対した。御影は気付いてなかったが、実はアバレンジャーの指輪の所有者。
 上記助手2人のモチーフは、この企画の1話目の投稿者であり、企画の立案者でもある壱肆陸様が書かれた迎 龍郎と氷川 華蓮。もちろんあくまでもモチーフで、本人では無い。

・リュウソウジャーリング
・指輪能力/竜騎鎧装(りゅうきがいそう)。赤い竜騎士の鎧(要は赤いガイゾーグ)を身に纏い攻撃力と防御力を増加させる。防御力はデカレンジャーの装甲(アームド)以上だが、こちらは武器が剣と盾のみで基本近接戦専用となり、汎用性とスピードはあちらの方が上である。

 御影がリュウソウレッドのユニバース戦士を倒したことで手に入れていた指輪。後に御影が桜庭に渡すが、桜庭は常夏に敗北して奪われる。


・バイオマンリング
・指輪能力/粒子化(パーティクル)。肉体を粒子に変化させて攻撃を無力化したり、様々な場所に侵入したりなど可能。粒子状態での攻撃も出来る。暴風を受けると飛ばされて能力が解除されてしまうのが弱点。

 御影がバイオマンのユニバース戦士を倒したことで手に入れてた指輪。フランシスに奪われ、後にフランシスも他の指輪と同時に晩堂に奪われる。


・ゴレンジャーリング
・指輪能力/集合(ゴー)。様々なものを集結させる能力。

 御影との戦いの際に吠が使用。関本に勝利して手に入れていた。リョウテガソードに装填して他のゴジュウジャーの仲間達をテガソードと融合した状態で召喚し、同時攻撃を放った。




 ここまでお付き合い頂きありがとうございます。

 私事ですが戦隊の中ではシンケンジャーが1番の推しでして。
 なのでどうにかシンケンを書けないかと考えた末にこの様な形になりました。皆様、楽しんで頂けたでしょうか?

 実は締切ギリギリだったこともあり、終盤は結構駆け足になったりもしてますが……。なんやかんや纏められたのではないかと思ってます。
 今回の企画、約半年程の付き合いになりましたが本当に楽しかったです。主催者の壱肆陸様には心から感謝致します。そしてこのユニバース補ジュウ計画を楽しんで下さった皆様にも。

 皆様、本当にありがとうございました。
 最後まで本企画を、是非お楽しみ下さい。
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