第五航空機動艦隊、はいふり世界に展開する。   作:天崎零総帥

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第8話【講和条約締結と艦隊防衛戦闘】

フロート沿いの遊歩道

 

真夜中に聯合艦隊が停泊した近くのフロート沿いでは、夜が明けるや否や暇な住民や国内外の報道陣が異世界の日本艦隊を一目見ようと押し掛けていた。

 

女性キャスター

「連合艦隊の艦艇は現在、横須賀湾に停泊しております。4隻のながと型大型直接教育艦の他にはかげろう型・ゆうぐも型等の航洋艦が見受けられますが、大型の飛行船母艦についての情報はなく政府も発表しておらず、また先の発表にありました鳥型の飛行機械は現在のところ確認できておらず、現在は政府からの発表に注目が集まっております。また艦隊の艦艇の艦首には菊の家紋が取り付けられており、天皇家との繋がりに関しても注目されています。」

男性キャスター

「現在、各国大使は日本政府に説明を求めております。また各国政府は声明を発表しておりますが概ね日本政府の発表を待っている状態であります。」

 

フロート沿いの遊歩道は見物人やTV中継で溢れ、警察が交通整理に駆り出されるほどであった。

 

午前10時、内閣総理大臣大高弥三郎を始めとした、複数名の外交団がホワイトドルフィン所属の高速警備艇外観:はやぶさ型ミサイル艇「みたか」に乗船しその後、駆逐艦「雪風」に移乗、そして「長門」へ乗船した。外交団ほか聯合航空機動艦隊と政府より許可を得たTVカメラが同乗し、本土へ生放送していた。

 

「長門」 前部甲板

 

艦橋真横の飛行甲板に飛行甲板を横切る様に置かれた小さなテーブルの艦尾側に聯合艦隊、艦首側に日本政府のメンバーが向かい合って座っていた。

 

テーブルの上では、双方が書類内容の確認を行い最終的に聯合航空機動艦隊総司令長官天崎零と日本国首相大高弥三郎が講和条約書にサインし、講和条約が締結された。

 

聯合艦隊は暫くの間、横須賀湾を仮泊地として停泊し続ける事が取り決められ、移譲権限の発動後に再結成された日本海軍への編入も決まっているが、突如現れた異世界の艦隊と未知の技術である飛行機に世界各国は注目していた。

講和条約締結と同時に歴史情報交換が行われ、同艦隊の最終所有権が天皇家にあると知った日本政府は、宮内省に何かしらの問題がないか問い合わせ、天皇陛下から使用の了承を得たため菊花紋章についてはそのまま維持された。

同時に日本政府、海上安全整備局、ブルーマーメイド、ホワイトドルフィンに艦隊編成表、搭載兵装、搭載機(主に艦載機)等の情報(スペックの7割ほどの性能で書かれた偽造版)を公開した。海上安全整備局上層部は艦載機のスペック表(偽造版)に驚き真霜を含め全員が言葉を失っていた。特に〔継戦派〕の面々は顔面蒼白状態となり何名かが体調不良を起こし早退して行った。

 

そして1週間後に議会で全会一致の末、横須賀を始めとした日本海軍基地の強化補正予算が承認されるも大本営では急遽盛り込まれた対航空攻撃対応工事による設計の変更の影響で工事が遅れていた。

 

その間に日本は国内での航空機製造技術の確立に関して聯合艦隊司令部と協議を重ねていた他、国外への技術輸出も考えており、太平洋での安全保障強化の観点から技術提供第1号国としてアメリカ合衆国が選ばれ、技術提供に加え空母建造技術すら盛り込まれており、合衆国政府はその日のうちに声明を発表しており〔我が合衆国と日本との繋がりは鋼のように硬く、決して千切れる事はないでしょう。〕と発表した。

 

1週間後 聯合航空機動艦隊 旗艦「瑞鶴」 艦橋

 

「まだ居るのか?」

士官妖精

「はい、変わらず横須賀湾を封鎖するように陣取っています。」

 

海図の上には味方艦を示す青い駒と敵艦を示す赤い駒が現在の敵味方の艦隊配置を示していた。赤い5つの駒が横須賀湾内に停泊している青い駒を横須賀湾に閉じ込めるように陣取っていた。

 

「対潜哨戒機は?」

士官妖精

「既に祥鳳、瑞鳳の機体が警戒態勢に入っております、また麾下の駆逐艦隊は対潜攻撃態勢に移っており、何時でも攻撃が可能です。」

「…陣取っている潜水艦。何処のだと思う?」

士官妖精

「…ブルーマーメイド。いや、ホワイトドルフィンでしょうか?現在スクリュー、機関音を解析中でありそれが分かるまでは何とも言えません。」

「……」

 

艦橋内にピリピリとした空気が広がる。その時、艦橋の扉が開けられ一人の士官妖精が入室した。

 

士官妖精

「司令、音紋の解析が終了しました。」

「それで?」

士官妖精

「スクリュー音の解析の結果、米国海軍のディーゼル潜水艦でした。恐らくUSSバーベル級潜水艦です。機関音は別の物を使用しているようで、かなりの騒音でした。」

「米潜か。機関が違うのは別世界だからで済ませるが、この陣形は妙だな。」

士官妖精

「そうですね、並走航行や浮上航行はせずに我々を包囲して停船している。」

「匂うな。航空隊には引き続き監視をm「展開中の駆逐艦が魚雷を探知!」…総員戦闘配置!」

 

 

数分前 横須賀湾口 深度40m アメリカ合衆国 在日アメリカ海軍所属 USS「サミュエル」

 

艦長

「魚雷全門発射!」

乗組員A

「発射!」

 

「サミュエル」の魚雷発射を合図に他4隻の潜水艦が魚雷を発射した。この攻撃は合衆国が命じたものではなく、在日アメリカ海軍の司令部が勝手に計画し実行したものであった。これは日本の戦力拡大を恐れた事と、司令官が自国に驚異的な存在が出現したため、国家の敵となる前に撃滅する、という超我儘な考えが出した結果であった。この時司令部は現場の指揮官に〔日本には訓練と通達済み〕という虚偽の情報を教えていた。

 

[雪風] 艦橋

 

索敵士官妖精

「右舷より雷跡10以上!」

雪風

「対魚雷戦用意!」

士官妖精

「対魚雷戦用意!」

砲術士官妖精

「対潜弾打ち方用意良し!」

雪風

「撃てぇ!」

 

「雪風」他陽炎型駆逐艦6隻の主砲が右舷へ向くと、主砲は火を吹き対魚雷防御用の対潜弾を発射した。

 

全艦の対潜弾がほぼ同時に着弾すると、爆圧に吹き飛ばされた魚雷が誘爆した。

 

索敵士官妖精

「魚雷全弾迎撃!」

雪風

「目標、敵潜水艦!対潜弾第二射、打ち方用意!」

士官妖精

「了解。哨戒機、敵潜の位置を送れ。」

 

[瑞鳳]対潜哨戒機1号機

『敵潜、貴官より右舷4.600m、深度60m』

 

雪風

「了解、全艦対潜弾一斉射!撃てぇ!」

 

「雪風」を始めとした陽炎型6隻の主砲が再び火を吹くと、装填された対潜弾が発射された。

 

[雪風]士官妖精

「全弾着弾…今!」

 

対潜弾が着弾し小さな水柱が上がると砲弾はそのまま沈降し所定の深度で信管が作動し爆発、海面には無数の水柱が上がり海中では潜水艦群が周囲から来る爆圧に晒されていた。

 

USS「サミュエル」

 

艦長

「うぐっ…被害報告!」

乗組員A

『魚雷発射管室に浸水!攻撃不能!』

乗組員B

『機関室浸水!速力低下!並びにスクリュー大破!航行不能!』

艦長

「なに!?」

乗組員B

『シャフトが完全に折れています!』

艦長

「何と言う事だ…他の艦艇の状況は?」

副長

「お待ちを、今来ました。二番艦、〔サーマス〕機関室に浸水し航行に支障有、三番艦〔セルベガス〕艦前部に浸水し魚雷発射管室は側壁が歪み完全に水没、四番艦〔ソミー〕司令塔区画に大浸水が発生、セイル区画を放棄、五番艦〔シニー〕舵が全損し操艦不能との事です。」

艦長

「クソッ!!」

 

艦長は怒りの余り潜望鏡に拳を叩きつける。

 

艦長

「何が訓練だ!あのクソ司令め!訓練なんかじゃねぇ、マジの実戦じゃねぇか!!」

副長

「…艦長、お気持ちは分かりますが、このままでは我々は海の藻屑となります。浮上し降伏するしか。」

艦長

「もちろんだ。もう命令には付き合ってられん!全艦に浮上命令、マストに白旗を掲揚せよ。副長、関連資料をまとめておけ、あのクソ野郎をぶっ潰す良い証拠になるはずだ。」

副長

「はっ」

 

数分後、「サミュエル」以下4隻の在日アメリカ海軍所属の潜水艦は浮上し白旗を掲げた。その後、潜水艦は駆逐艦で曳航され、並列に並べられ左右に軽巡洋艦と駆逐艦が接舷した状態で投錨された。乗組員については潜水艦内の武器、魚雷を完全撤去し燃料を抜き、ハッチを取り外した上で潜水艦内に収容した。

 

そして、今回の一件は政府から在日アメリカ大使館を通じて米国本土のホワイトハウスに届くことになった。

 




次回、第9話【超大国、激怒の日。】
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