日本国 首相官邸 会議室
訪日したドランプ大統領は謝罪会見を終え、会議室で大高首相と話に花を咲かせていた。
ドランプ
「ふぅ〜。すまないな、ヤサブロウ。我が軍の兵士が友の国でやらかしてしまって。」
大高
「いやいや、幸いにも死者は出てないうえに、暴走した海軍関係者は全員捕まった。終わり良ければ全て良しだよ。」
ドランプ
「そう言ってくれると助かるよ。」
大高とドランプは同じ大学の学友で共に政治家を志した同志でもあった。そして2人が話を続けていると扉がノックされる。
大高
「どうぞ。」
零
「失礼します。」
真霜
「失礼します。」
零と真霜が入室する。
大高
「お待ちしておりました。紹介しよう、私の学友で現職の米大統領、ドラルド・ドランプ大統領だ。」
ドランプ
「ドラルド・ドランプです。初めまして、アドミラル・天崎。そしてお久しぶりですね、宗谷真霜監督官。」
零
「初めまして大統領。天崎零中将です。」
真霜
「お久しぶりです。ドランプ大統領。」
互いに握手をしてソファに向かい合う様に座る。
ドランプ
「今回お呼びしたのは、天崎中将にこれを見てほしくてね。」
零
「拝見します。」
そしてドランプ大統領が机の上に広げたのは複数枚の艦船の設計図であった。その設計図には三連装砲があったり、艦中央部に飛行甲板を備えたり、前記の図案の飛行甲板を艦首艦尾まで延長したり等、多数の図案であった。
ドランプ
「我が国では現在、航空母艦の整備を進めております。ですが、我々には空母の建造し運用する技術・知識・経験が全く無いのです。ですので、中将の下にいる海軍軍人の方から少しでもアドバイスを頂きたいのです。」
零
「なるほど。大統領、貴方は運が良い。」
ドランプ
「?? と言いますと?」
零
「私の父は生前、帝国海軍艦艇の設計を担当しており、私もある程度の指導が出来ます。」
ドランプ
「そっ!それは即ち、中将自らが我が国の空母設計にアドバイスをしてくださると言う意味ですか!?」
零
「設計に関しては多少は。私が出来るのは、空母艦隊を運用し指揮する者の視点からです。用兵側、造船側からの意見が無ければ何とも言えません。」
ドランプ
「いいや!アドバイスをして頂けるだけでもありがたい!早速お願いしたい! おい!秘書官!今すぐ海軍の奴らを呼んで来い!ビッグニュースだぞ!」
そう言うと、そばに立っていた秘書官が返事をして走って行った。
零
「此処では何です。空母を見ながらお話ししましょう。」
ドランプ
「!?それはつまり空母を間近で見る事が可能なのですか!?」
驚いたドランプ大統領は、零に念の為の確認をすると零は「はい」と答えた。
零
「横須賀造船所に点検のため入渠中の空母がおりますので、視察という名目なら問題ないでしょう。どうしますか?」
ドランプ
「ぜひ!ぜひお願いしたい!」
ドランプは即答した。その日のうちに零と真霜は内火艇で大高首相とドランプ大統領、アメリカ海軍士官達は専用車で横須賀造船所へ向かった。
横須賀造船所
横須賀造船所は海上都市となった現在、第十船渠までを持つ一大造船所となっておりその第六船渠には船底の清掃と点検のため空母「葛城」が入渠していた。
第六船渠 空母「葛城」
零
「これが我が艦隊所属の雲龍型量産型航空母艦の三番艦、葛城です。」
ドランプ
「これが空母…」
米海軍士官達
「「おぉー」」((((;゚Д゚)))))))
ドランプは間近で見る空母に顔には出していないが、非常に興奮していた。そしてすぐ側ではアメリカ海軍の士官達が空母を見上げていた。
ドランプ
「航空機はない様だが…」
零
「航空機は同型艦に移動させ一時的に収容しています。何せ整備の時に邪魔になりますからね。」
ドランプ
「なるほど、時に中将、主砲は積んでいないのかね?見たところ127mmクラスの火砲はついている様だが、アレだけでは対艦戦闘は厳しいのではないか?それに格納庫の側面には大きな扉もある。あれでは防御的に問題があるのではないのかね?」
史実と異なり日本空母は全艦が前後左右に引き戸を備えた開放型航空母艦となっており、現在の「葛城」は引き戸を開け換気兼物品の搬入口としていた。
零
「大統領や後ろのアメリカ海軍士官の皆様が思っている事はごもっともです。確かに対艦戦闘となれば空母が受ける被害は甚大となるでしょう。しかしながら、空母の基本戦闘は敵戦艦や巡洋艦からの射程圏外より航空隊を発進させ攻撃を行う超長距離戦闘であり、砲雷戦の様な中・遠距離の戦闘を行う事は前提とはしておりません。」
零
「また空母は基本、味方の艦隊と行動を共にします。空母単艦では自艦の防衛、船団の護衛、周辺の索敵など、単艦ではこれだけの対応を行うのは不可能であり作戦行動に支障が出ます。」
そして開けられた側壁の引き戸を指差す。
零
「そして、大統領がご指摘された側面の開口部は火災発生時に爆弾、魚雷、艦載機を投棄、格納庫内の換気に使用するためわざと開けられております。」
ドランプ
「なるほど、密閉してしまえば艦内で火災が発生した際に発生する有毒ガスが充満し乗組員を危険に晒すか。」
零
「その通りです。それ以外にも、漏れ出した燃料が気化して艦内に滞留するのを防ぐ役割もあります。そして空母が損害を受けるのは、上空から飛来する敵機の爆弾が当たる飛行甲板か、航空魚雷が当たる喫水線直下の船体なので飛行甲板側面を装甲化する事はしていません。逆に装甲化すると、トップヘビーとなり転覆する危険性があります。」
ドランプ
「ん〜」コクコク
米海軍士官達
「「……」」_φ(・_・;; _φ(・_・;;
ドランプは腕を組み納得したかの様に頷く。その後ろではアメリカ海軍士官が一言一句逃さない様にメモ帳にペンを高速で走らせていた。
零
「次に、この空母案について詳しくご説明致しましょう。」
そして横須賀造船所の事務総局の会議室で、空母設計案の解説を始めた。
零
「まず、モンタナ級空母改造案のM-01から05まで。」
そして、液晶テレビに映し出されてのはモンタナ級の空母改造案であった。
モンタナ級空母改造案
M-01 外観:WoWSの「キアサージ」*1
M-02 外観:WoWSの「ルイジアナ」*2
M-03 外観:WoWS の「デラウェア」*3
M-04 外観:WoWSの「ネブラスカ」*4
M-05 外観:両用砲群の配置以外、ほぼエセックス級航空母艦
画面の映された図案のうち、1番最初の〈M-01〉と明記された図案を拡大する。
零
「M-01は飛行甲板が短く艦載機の発着艦が非常に困難であり、搭載機数も船体の割に小さく戦力的価値は低いでしょう。格納庫面積から精々20機から25機までが精一杯でしょう。更に…」
それから約3時間にも及ぶ解説は真霜や大高首相、ドランプ大統領には非常に有意義な時間となるが、後に日本ブルーマーメイドでは航空隊の新設が、アメリカでは大統領帰国後に空軍の新設が議論され特にアメリカ海軍内では大艦巨砲主義と航空主兵主義の二派閥で建艦数と主力戦闘艦保有数で対立する事になるが、これは別の話。
同時刻 日本領 硫黄島近海
硫黄島には陸軍の基地とブルーマーメイドのレーダー基地があり日本本土絶対防衛線の前線監視を行うこの基地のレーダーが突如現れた艦隊を発見した。
レーダー担当隊員
「!レーダーに感!北西80km、中規模の船団を補足!」
基地司令
「至急、本土及び周囲の艦艇に通達!」
基地隊員
「はっ!」
硫黄島基地からの通報はすぐさま日本本土の大本営、ブルーマーメイド日本支部へ送られた。
通報を受け、海軍から航空巡洋艦「鈴谷」と陽炎型駆逐艦3隻、ブルーマーメイドからは汎用大型戦闘警備艦「さどしま」が派遣された。
次回、第11話【新規編入艦隊と空母整備計画】