第五航空機動艦隊、はいふり世界に展開する。   作:天崎零総帥

18 / 23
第12話【航空研究所製作、試作試験研究機「羽ばたき」離陸。】

横須賀海軍航空隊飛行基地併設飛行研究所

 

研究所の横に併設された格納庫から黄橙色に塗装された1機の複葉機が整備服を着た妖精達に滑走路まで押されていた。

 

『くーちゃん、ラーちゃん、マリちゃ~ん。聞こえてる~?』

マリ

「良く聞こえていますよ~。」

ラウラ

「良く聞こえています。」

クロエ

「はい。よく聞こえます。」

 

管制塔から操縦席に座るマリと後方の観測席と後部銃座席(機銃なし)に座るクロエとラウラに話しかける束。その間に滑走路まで押し運ばれた複葉機から妖精達が離れる。

 

『オッケー!ユイさーん!準備できたー?』

ユイ

『OKよ、冬月先生の方も準備出来たみたい。』

『よ~し、航空研究所作!試作試験研究機「羽ばたき」離陸せよ!』

マリ

「了解、発動機回せ!」

 

マリがそう言うと、エンジンの横に居た航空妖精がシナーシャハンドルを回し始め、ゆっくりと回転速度が上がっていく。

 

整備妖精

「発動機点火!」

マリ

「点火!」

 

マリがコックピット右下の赤い「点火」と印刷されたボタンを押すと、エンジン点火し小さな爆発の後、連続した爆発と共に2枚のプロペラが勢いよく回り始め、整備妖精が退避する。

マリは管制塔から上がった白い旗を確認するとスロットルレバーを奥へ少し押し込み、ブレーキペダルから足を離すと研究機「羽ばたき」がゆっくりと前進し始め、更にレバーを奥へ押し込みスピードを上げていく。

 

マリ

「羽ばたき、離陸!」

 

そっと操縦桿を引き、機体を上昇させる。複葉機の「羽ばたき」は素直に上昇し高度を上げて行った。

 

 

見学台

 

――カァァァァン

 

政府関係者・陸海軍関係者・ホワイトドルフィン関係者・ブルーマーメイド関係者他各国大使館員他観戦武官

「「「「「おおぉ!!」」」」」

 

今日は飛行研究所が初めて制作した試作機の初飛行日であり、滑走路脇に設置された見学台には政府関係者からブルーマーメイド、ホワイトドルフィン関係者が押し詰めていた。

 

地上観測室

 

ゲンドウ

「…順調だな。」

冬月

「ああ。だが、油断は禁物だぞ碇。我々は人類未知の世界へと足を踏み入れたんだからな。」

ゲンドウ

「分かっている、すべてはこれからだ。」

 

見学台

 

「あれが試作試験研究機「羽ばたき」か。」

瑞鶴

「イギリスのソードフィッシュとうちの九六式艦攻を参考にした鋼管骨格布貼り機の様です。旧式ですけど、こっちの世界なら今のところ最新鋭機に類別されますね。」

 

「羽ばたき」は滑走路の上空で八の字飛行を始めとした初歩的な飛行を行い飛行データを収集していた。

 

瑞鶴

「流石は複葉機、よく曲がりますね。」

「複葉機の取り柄は旋回性能の高さと離昇距離が短い事だからな。」

 

一通りの飛行試験を終えた「羽ばたき」はゆっくりと着陸した。

 

「ちょっと行ってくる。」

瑞鶴

「分かりました、私は先に戻っておきます。」

 

そう言い、見学台を降り「羽ばたき」の方へ向かう。

 


 

「羽ばたき」side

 

着陸した「羽ばたき」は整備妖精の誘導に従い、観測台の前で停止しエンジンを切った。

 

マリ

「どう?ゲンドウくん?良いデータは取れた?」

ゲンドウ

「ああ、問題ない。冬月がやっている頃だ。」

冬月

「丁度、データ化と送信もさっき終わらせてきたよ。全くお前は本当に人使いが荒いな。」

 

冬月が隠すつもりのない小言を言いながらやって来た。

 

ゲンドウ

「冬月、内容はどうだった?」

冬月

「まずまずだな。やはり今後も改良が必要だろう。だが、このデータは貴重だぞ。」

ゲンドウ

「良し。マリ、クロエくん、ラウラくん。着替え終わったら直ぐに解析と改修に行くぞ。」

マリ

「はいは~い!」

クロエ

「はい、碇教授。」

ラウラ

「行きましょう。」

 

マリ、クロエ、ラウラの三人は飛行服から作業服へ着替えに格納庫内の更衣室のへと向かって行った。

 

「お疲れ様です、碇教授。」

ゲンドウ

「天崎中将、お疲れ様です。」

「どうですかな?良いデータは取れましたかな?」

ゲンドウ

「はい、とても素晴らしいデータが取れました。我々も速度上昇、重量軽減のために鋼管の骨格に布製の翼というコンセプトを試しましたが、ヘリウムという簡単に浮く物質に拘り過ぎた様です。それに中将が提供して下さった大量の資料の一つである[鯖の骨]は翼の骨格形状の良い参考となりました。」

「技術の発展は日進月歩。ただ基礎が有るか無いかで未来はかなり変わります。航空機が正しくそれだ。」

ゲンドウ

「確かにそうですね。」

冬月

「お話の途中に申し訳ない。碇、ユイ君達が呼んどるぞ。」

ゲンドウ

「分かった直ぐ行く。では中将、この辺で。」

「ええ、試験飛行お疲れ様でした。」

ゲンドウ

「ありがとうございます、では失礼します。」

 

そう言い残すと、冬月と共に格納庫の方へと歩いて行った。試験機の初飛行は大成功を収め、各国では「世界初のヘリウム不使用の飛行」と大々的に報じ、特にアメリカでは補正予算の一部を研究所へ資金提供を行う事がアメリカ上下院議会で決定し、英国は観戦武官と大使館からの報告を受け、「羽ばたき」と類似した高速試験機の開発に着手するも翼を始めとした空力学関連の技術開発で大苦戦し、ドイツでは大手自動車メーカーが開発したエンジンを流用した、小型高出力エンジンの試作に成功するも前述の空力学系の課題が山積みであり、機体の量産配備には後数十年掛かると見込まれている。




次回、第13話【天崎兄弟、宗谷家ニ居候ス。その1】
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。