真雪
「…いつから気付いておられたのですか?」
零
「戦場に長く居ると、自然と気配に敏感になるんですよ。一時期、海軍陸戦隊と陸軍に所属していたのでね。」
真雪
「そう…ですか…」
真雪は複雑そうな表情を浮かべる。
零
「まっ、そんな辛気臭い話は此処までにしましょう。」
そう言うと、椅子から床へ敷かれた座布団へ座り、疾風が二人へ座布団へ座るように促すのを横目に、鞄から小さな木箱を取り出す。
零
「さて…どこから話そうか。」
木箱の蓋を開けると、中にはオルゴールが入っていた。
零
「私の人生は複雑怪奇。」
小さなピンを取り出すと、箱の外側の小さな穴に差し込み、何回か回すと[カチカチカチ]とゼンマイが巻かれ
零
「そうですね、先ずは私の前世からお話ししましょうか。」
ピンを抜き、元の位置へと戻すと
真雪
「あら?この音楽は…」
真冬
「何だっけ…どこかで聞いたことがある…」
真霜
「私も何処かで…何の曲だったっけ…クラシック音楽なのは覚えてるけど、曲名が思い出せない…」
オルゴールの内部機構が作動し、音を刻み始める。
真白
「えーっと…確かカノンでしたっけ?」
真霜
「あー!それよ!それ!」
真冬
「そうだ!カノンだ!いや~スッキリスッキリ♪」
3人はモヤモヤが晴れ、首を縦に振る。
零
「では、私の前世をお話しよう。」
其処で、零は自分自身の過去を全て話した。
―――
――
―
数十分後
零
「…そんな感じで、今の私が居る。」
宗谷家
「「「「………」」」」
零
「転生と転移を経験した人間なんて私ぐらいでしょうな。」
疾風
「ちげぇねぇ!アッハハハハハ!!!」
疾風が爆笑するが、宗谷家の面々は重苦しい雰囲気に包まれていた。
零
「なに、そう重く捉える必要は無いよ。」
そう言うが、4人は気まずそうな雰囲気を漂わせていた。
零
「ふむ、ではこいつを試してみますか?」
そう言い、鞄から紫色の液体の入った瓶を取り出した。
真冬
「ん?なんだ、それ?」
零
「ただのぶどうジュースですよ。」
疾風
「たしかワインを造ってる所が出したんだよな?」
零
「ああ、先輩からお土産で貰ったやつだ。確か一瓶が…2万ちょいだったかな?」
「「「「にっ、2万ちょい!?」」」」
零
「ええ、たしかそのぐらいだったと。航海中に飲もうと思って、自室の冷蔵庫に入れといたんだ。真雪さん、コップはありますか?」
真雪
「そっ、そんな貴重な物、いただけませんよ。」
零
「こういう祝いの時に飲まないと、勿体ないですよ。さっ、どうぞ。」
真雪
「…では、いただきましょう。」
そう言い、お盆に乗せていた空のコップを差し出すと、ぶどうジュースが順に注がれ全員に配られる。
零
「では、乾杯。」
「「「「乾杯。」」」」
その後は、雑談をしたりして時間を潰すと真雪と真白の2人は部屋に戻り、零と疾風は席に戻り再び仕事を再開し真霜と真冬は2人の手伝いに戻る。そして二人の手伝った甲斐もあったのか、深夜の1時頃に無事に資料の作成が終わり、二人は部屋に戻り床に就いた。
次回、第17話【新規編入予定艦】