「瑞鶴」防空指揮所
零
「…大和型か」
士官妖精
「その様ですね。変なカラーリングがしてありますが…」
零は防空指揮所で他の妖精と共に双眼鏡で、艦隊外輪から約6kmの距離を保ったまま艦隊と並走する謎の艦隊を見る。本来なら航空隊による上空警戒、索敵行動が必要であるが、摩訶不思議な現象に遭遇しているため、機体と搭乗員の保護を目的に対潜対空対水上電探のみで上空警戒を行っていたが、格納庫では烈風改を始めとした艦載機群は命令が下り次第、何時でも甲板に揚げれるように整備妖精たちが待機していた。
零
「通信参謀、向こうは何か言っているかね?」
通信参謀妖精
「いいえ、なにも。」
零
「ん~。」
零は手を顎に当て様々な可能性を考える。そう考えていると別の士官妖精が「長門に無線が繋がった」と報告してきた。
零
「回線をこっちに回してくれ。」
通信妖精
「了解しました。回線、繋げます。」
そう言い、スイッチを回して通信回線を繋げる。
???
『こちらはブルーマーメイド日本支部所属、警備艦[ふち]。貴艦隊の所属及び航行目的を答えよ。』
その言葉に、艦橋に居た全員が頭の上に?マークを浮かべる。
零
「ブルーマーメイド?」
士官妖精
「アメリカの実験部隊でしょうか?」
零
「聞いた事ないな、少なくとも我が帝国領内にアメリカ軍の基地は80年代以降一切ない…ともかく返信をしよう。」
そう言い、無線機を手に取り側面のスイッチをオンにする。
零
「こちらは、大日本帝國海軍所属、第五航空機動艦隊以下聯合航空機動艦隊である。我が艦隊は訓練中に非常事態に遭遇し、現在急遽予定を変更し帝國本土に帰投中である。どうぞ。」
そう返信すると、数分後に
[ふち]
『貴艦隊に告ぐ、直ちに停船し投降せよ。繰り返す、直ちに停船し武装解除の後、投降せよ。』
予想外の返答が帰って来た。
零
「貴官等の言っている意味が分からない。どうぞ。」
[ふち]
『では、繰り返します。直ちに停船し、武装解除の後、投降せよ。です。これはブルーマーメイドからの命令です。直ちに従いなさい。』
零
「此方、聯合艦隊。我々は大日本帝國海軍である。我が艦隊は帝國議会によって定められた帝國憲法の下、その戦力の保有が認められた国家公認の実力部隊である。よって、我が艦隊に武装解除及び投降を命ずる権利は帝國政府及び天皇陛下のみであり、貴官等の命令に従う義務は無く。貴官等の要求を断固として拒否する。」
[ふち]
『大日本帝國海軍は存在しません。よって貴官等は所属不明の武装艦隊であり、我が国へ不法に侵入しようとしている武装集団である。これが最終警告です。直ちに停船し、武装を解除の後、投降せよ。』
電探妖精
『こちら電探室![ふち]と思わしき巡洋艦から火器管制レーダーの照射を確認!攻撃目標は長門!』
零
「火器管制レーダーの照射中止を要請、空母他補給艦は直ちに退避。」
士官妖精達
「「はっ!」」
其処からの聯合艦隊の動きは素早く、空母と補給艦を護衛を残して下げ戦艦群がブルーマーメイド艦隊と空母部隊との間に挟まるようにそれぞれ約8kmの間隔を開け川の字になるように陣取った。これほどまでに素早い機動は「瑞鶴」他各艦に搭載された高性能ガスタービン機関と自力離岸接舷用の高出力サイドスラスターの賜物であった。
零
「彼方さんは何か言ってきたかね?」
通信妖精
「はい、長門を介してこっちに回していますが、先程とは大して変わりま…至急スピーカーに繋げます!」
通信妖精が艦橋内のスピーカーに繋げる。
[ふち]
『こちら[ふち]、貴官等が大日本帝國海軍ならば、我が方は日本国として宣戦を布告する。繰り返す、宣戦を布告する。』
通信妖精
「…相手は、バカなのでしょうか?」
零
「多分、バカだ。我が百戦錬磨の帝國に刃を向けたんだ。大バカだよ。」
通信妖精
「どうしますか?宣戦布告を受けた場合の対応書に則るなら。」
零
「全艦全乗員に通達。総員、第一種戦闘配置。これは訓練ではない。」
通信妖精
「はっ!」
この通信は即座に、全艦艇に通達されると全員の気が引き締まる。
聯合艦隊side out
ブルーマーメイドside
真霜
「どう言うこと!藤山艦長!」
藤山([ふち]艦長)
『どう言うこと、とは?』
真霜
「なぜ
藤山
『宗谷監督官、相手は所属不明の艦隊ですが見た所、主力は長門型と天城型です。現在の我々の戦力だけで十分対処可能なので降伏勧告を行いました。それに相手は解体された大日本帝國の海軍を名乗って居るんですよ?今は日本国であり、彼らは大日本帝国海軍を騙る海賊艦隊です。ですので宣戦布告を行いました。』
真霜
「何を言っているの!海賊の場合なら通常通りに対処、けど今回の様なイレギュラーな場合は情報交換の後、会談をすると通達したでしょ!?今すぐ発言の撤回と謝罪文を送りなさい!!」
藤山
『その必要はありません、時期にあの海賊は投降しますよ。では』ブチッ
真霜
「あっ!ちょっと!藤山艦長!!藤山艦長!!」
藤山艦長が無線を一方的に切る。すると
藤山
『こちらは[ふち]。これより本艦はこれより海賊艦隊に対して先制攻撃を開始する。我に従う艦は海賊艦隊を攻撃せよ。』
[ふち]から全艦隊に向けられて無線が流れる。
平賀
「[ふち]が主砲を旋回!」
隊員A
「[ふち]が火器管制レーダーを照射!」
隊員B
「先頭の[はす]と[あさ]も火器管制レーダーを照射!」
真霜
「何ですって!?」
隊員C
「連合艦隊からの火器管制レーダーを照射確認!目標は[ふち][はす][あさ]!」
[ふち]の藤山艦長の呼びかけに「大和」の前方を航行していた「はす」と「あさ」が「ふち」と同じ様に主砲を旋回させ火器管制レーダーを照射したところ、聯合艦隊も戦艦を前衛に出し同じように主砲を旋回させ火器管制レーダーを照射してきたのだった。
真霜
「あの3隻には直ぐにレーダー照射を止めさせて!聯合艦隊に謝罪文を!」
平賀
「はい!」
急な事態の変化に後手後手ながらも対応をしようとしていると
バァン!!バァン!!バァン!!
3発の発砲音が響き渡り、飛翔した弾丸は見えない放物線を描きながら聯合艦隊方へ落下していき
バシャァ!バシャァ!ダガン!! バシュゥ!!
何と戦列の先頭を航行していた長門型の艦首付近に着弾と同時に信管が作動し爆発。火災が発生し、火の手が昇り始めた。
平賀
「長門型に命中!」
突然の発砲に艦橋で驚く真霜に報告した平賀も平静を装いつつ報告した。すると、
―――バシュウゥゥゥゥ!!!
問題の「ふち」「はす」「あさ」の3隻が今度はVLSから墳進魚雷を各艦8発、合計24発を発射した。
ブルーマーメイドside out
聯合艦隊side
士官妖精
「長門被弾!火災発生!」
士官妖精
「被害状況の確認を急がせろ!」
零
「私だ。長門、被害を報告せよ。」
長門
『こちら長門、前部甲板に被弾。第一装甲板で食い止めた。』
零
「火災状況はどうか?」
長門
『自動消火装置が作動し、完全に消火した。戦闘・航行共に問題ない。新たな指示を乞う。』
零
「撃ったと言う事は、撃たれる覚悟があると言う事だ。徹底的にやれ。」
長門
『了解した。』
「瑞鶴」の艦橋では、前線からの戦況報告や情報の収集と解析などでてんやわんや状態で、本来なら船体内部の戦闘発令所で指示を行うのだが、移動中の指揮機能の低下を防ぐために狭い艦橋で指揮を執っていた。
戦艦「長門」艦橋
士官妖精
「火災消火完了、非常点検も終了しました。」
長門
「反撃の許可が下りた。主砲、照準合わせ!電探連動交互第一射撃用意!弾種、四式重徹甲弾!後続艦にも知らせ!」
砲術長妖精
「全主砲右舷直角旋回!交互第一斉射用意!弾種、四式重徹甲榴弾。副砲は対潜弾装填の上で待機!」
副砲砲術長妖精
『こちら副砲射撃指揮所、右舷副砲群全砲対潜弾の装填完了。』
通信妖精
「陸奥、加賀、共に射撃準備良しとの事です。」
索敵妖精
「敵艦、ミサイル発射!数24!」
電探妖精
『こちら電探室、敵艦からの赤外誘導を確認。照準は本艦他、後続艦2隻』
長門
「各艦に8本か、対空戦闘始め!」
士官妖精
「空対空ミサイル発射!」
右舷の72式21連装近接防空ミサイル発射機から8本の空対空ミサイルが発射され、数分間飛翔し、墳進魚雷を全弾迎撃した。
索敵妖精
「敵ミサイル全弾迎撃!」
通信妖精
「陸奥、加賀、両艦共に全弾迎撃に成功。損害なしとの事です。」
長門
「分かった。各主砲!最終報告!」
1番主砲長妖精
『1番!発砲回路良し!』
2番主砲長妖精
『2番!発砲回路良し!』
3番主砲長妖精
『3番!発砲回路良し!』
4番主砲長妖精
『4番!発砲回路良し!』
各主砲から最終チェック報告が上がる。
砲術長妖精
「レーダー照準誘導良し!最終安全装置解除!」
長門
「警報、鳴らせ!」
ブゥゥウウウ!!ブゥゥウウウ!!
長門
「主砲、交互第一斉射!撃てぇ!」
ババァァァン!!!
轟音と共に「長門」の41サンチ砲が火を噴く。
ババァァァン!!!ババァァァン!!!
そして少し遅れて、後続の「陸奥」「加賀」も主砲を発射し、合計12発の四式重徹甲榴弾*1はレーダー照準誘導によって誘導され、各艦へミサイルを発射した巡洋艦へ向け飛翔し
ズギャァン!!ズギャァン!!ズギャァン!!
全弾が命中し、3隻の巡洋艦は爆煙に包まれた。
そして煙が晴れると、其処には左舷舷側から黒煙を噴き甲板、上部構造物の至る箇所から黒煙が噴き上がっている3隻の巡洋艦が居た。
砲術長妖精
「全弾命中!敵艦、火災発生と思われる!」
長門
「前部に2発、中部2発か。砲術長、良い腕だ。」
砲術長妖精
「ありがとうございます。」
長門
「(前部火薬庫、機関室に各2発か。あれでは最早戦闘は出来んな。)」ズガァァァン!
「長門」が爆発音のした方を向くと、艦中央から艦尾にかけて火災が発生し大きく傾斜した巡洋艦が弾薬庫に引火したのか小規模ながら連鎖爆発が起こっていた。
士官妖精
「敵艦隊、隊列が乱れています。」
士官妖精が言う様に先頭の3隻の巡洋艦は船足が徐々に低下し、後続艦が衝突回避のため回避行動を取っていたが、その動きには統制力は全く見られていなかった。
砲術長妖精
「艦長、撃って追撃か撹乱でもしますか?」
長門
「いや、その必要は無い。主砲、交互第二斉射用意!目標、敵大和型戦艦!後続艦は艦隊先頭の巡洋艦から順に照準を合わせろ!」
砲術長妖精
「了解!目標敵大和型戦艦!」
左右の砲身が入れ替わるように動き、主砲の照準を大和型戦艦に合わせる。
一方その頃、「ふち」はと言うと…
ブルーマーメイド所属「ふち」艦橋
ウーーン! ウーーン!
隊員A
「退避!総員退避!」
藤山
「そん…な… バカな…」
藤山は至る箇所が損傷し火災が発生した艦橋でただ一人、立ちすくんでいた。
今回の作戦において、上層部が立案した作戦に同行しつつも自身が立てた計画に基づき海賊に先制攻撃を仕掛け一気に一網打尽にする計画を立てていた藤山であったが、その戦力差を大きく見誤った。
藤山
「(墳進魚雷を墳進弾で撃墜するなんて…しかも、主砲全弾が命中なんて… ありえない、ありえないわ…)」
彼女は、ただ目の前で起こった出来事を呆然と眺める事しかできなかった。
副艦長
「艦長!急いで退艦を! 艦長!」
藤山
「分かった…わ…」
藤山は副艦長に促される形で退艦した。
「ふち」の損害は酷い状況であり、砲弾が装甲を貫徹し1発が前部火薬庫(主砲塔及びVLS)で爆発し火災が発生、緊急注水を行なった結果、艦前部の火器は使用不能となった。
また、艦中央部は1発が喫水線近くに命中し機関区画で爆発、ボイラーが爆発し内部爆発の結果左舷に巨大な破孔が生じ大量の海水が流れ込み艦は一時左舷に傾斜するも、縦壁がボイラーの爆発により吹き飛んで出来た破孔まで海水が達すると、右舷側へも海水が流入し奇跡的に傾斜が復元されるが、機関室浸水、全火器及び電子機器使用不能と言う悲惨な結果となった。
「ふち」左舷 海面
ザッパーンッ!! ザッパーンッ!!
隊員A
「ううぅ… 痛い…」
隊員B
「誰か!救命ボートを!」
隊員C
「退艦!退艦!」
隊員D
「プッファ! ハァ…ハァ…ハァ…」
隊員E
「これに掴まって!」
海面では「ふち」か脱出し海に飛び込んだブルーマーメイドの隊員が漂流していた。
藤山
「はぁ…はぁ…」
副艦長
「艦長!大丈夫ですか!」
藤山
「ええ…何とか…」
副艦長の肩を借りる形で海面を漂流する藤山艦長。その後、何とか展開に成功した救命ボートに拾われた。
その間にも「ふち」「はす」「あさ」は落城した城の様に轟々と炎上していた。
日米英独共同で1944年に開発された艦砲用徹甲榴弾。
ソ連海軍のソビエツキー・ソユーズ級戦艦の装甲を遠距離から貫徹すべく弾頭重量と炸薬を増加させており貫徹能力と破壊力を増加させている。実戦においては「ソビエツカヤ・ウクライナ」以外のソビエツキー・ソユーズ級戦艦との砲撃戦は3回しか行われていないが、以下の損害を与えている。
1回目
「ソビエツカヤ・ベラルーシア」
3番砲塔近くの防郭を突き破り3番砲塔が吹き飛ぶも、大戦終結まで修復されず終戦を迎える。
「ソビエツカヤ・ロシア」
艦首破断。
2回目
「ソビエツキー・ソユーズ」
2番砲塔天蓋を貫徹し爆発、艦内に火が回り43分後に1番砲塔も誘爆するも撃沈には至らず。損傷した「ソビエツカヤ・ベラルーシア」の1、2番主砲塔を移植し復帰するも目立った戦果を残すことなく終戦を迎える。
3回目
「ソビエツカヤ・ロシア」
右舷中央部を貫徹、一時は右舷機関室全停止に追い込まれるも、応急修理に成功し戦線を離脱するも味方海軍基地への入港とほぼ同じタイミングで再び機関が停止しそのまま浅瀬へ乗り上げ放置、以降は終戦まで防空砲台として運用される。
次回、第4話【悲劇の緊急交渉と舞い上がる鋼鉄の翼】
連合艦隊に新たに潜水艦隊を追加するならどの艦にするか?(うp主の趣味によりどの艦を選んでも船体は葉巻型になる模様。)
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[たいげい型]
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[そうりゅう型]
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[おやしお型]
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[はるしお型]
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[ゆうしお型]
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そんな事より、次回作はまだなのか!?