貞操逆転世界で目覚めたけど、俺がTSした元男だって周囲の女子たちにバレてるんだが?   作:メソポ・たみあ

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第2話 俺が男だってバレてるんですが?

 

「はぁ……面倒なことになった」

 

 女子トイレの洗面鏡の前で、がっくりと項垂れながら俺は呟く。

 気付けば女子トイレに入ることにすら抵抗がなくなってしまった自分がいる。

 そりゃ貞操逆転した世界で女子が男子トイレに入るなんて真似をしたら、ただのド変態女になってしまうワケで。

 そもそも身体が女になってるんだから、否応なしに慣れるしかなかったんだけど。

 

 ――全部奢ってやるから、放課後遊びに付き合えと花山院に言われてしまった。

 ぶっちゃけ面倒くさい。行きたくない。

 別に花山院のことが嫌いってんじゃないが、そもそもなんでアイツが俺を気にかけてくるのかがわからない。元からそんなに親しかったワケでもないのに。

 だからハッキリ言って、なんか不気味なのだ。

 本心が見えないというか。

 

 この世界の俺は本当にどこにでもいる女子の一人で、金も権力もない。

 容姿はちょっとくらいはいいかもだが、俺以上の美人なんていくらでもいる。

 なのに、あの花山院が俺に執着する理由がわからない。

 だってアイツなら友達なんて選びたい放題だろうに。

 

 う~ん……考えれば考えるほど、背筋が寒くなってくるな……。

 

「まあいいや、適当な理由付けて断ろう。()が何度も断ってりゃ、花山院だって――」

「――諦めると思った?」

 

 突然声が聞こえて、反射的に俺は正面の洗面鏡を見る。

 すると――俺の背後に、花山院が立っていた。

 

「うっ、うおわああああああッ!? か、花山院……!? いつの間に……!?」

「クスクス、なにをそんなに驚いてるの? ここは女子トイレなんだから、アタシがいても別におかしくないでしょ?」

 

 振り向くと同時に仰け反る俺に対し、如何にも面白いモノを見るようにニヤニヤと笑う花山院。

 やはりというかなんというか、俺はこの花山院の目つきが苦手だ。

 

「それより悲しいな~。せっかく遊びに誘ったのに、すっぽかそうとするなんて」

「そ、それは……」

 

 ――いや、もうこの際だ。

 今この女子トイレには俺と花山院しかいない。

 思い切って、問い質してみるか。

 

「……ねぇ花山院、どうして()に付きまとうの? 私とあなたって、別に親しいワケじゃないわよね」

「親しいよ。少なくともアタシはそう思ってるけど」

「いや、あのね……」

「晶は――アタシが友達になるのは嫌?」

 

 そう聞き返されて、俺は思わず返答に詰まる。

 確かに、俺は花山院のことが苦手だ。だってなに考えてるかわからないから。

 だが嫌い(・・)かと聞かれれば……どうなんだろう。

 理由もわからないまま距離感を縮めてこられるので不気味ではあるが、それはコイツの人格を否定する理由にしていいものか?

 花山院は気さくでいい奴だと周囲には思われているし、性格が悪いとは俺も思わない。

 だから友達になるのが嫌かと聞かれてしまうと、なんとも返事に困ってしまうのだが……。

 

 そんな感じで返答に窮していると――

 

「……どうしてアタシが晶に付きまとうのか、教えてあげよっか?」

「え?」

 

 花山院はそう言うと俺の腕を掴み、グイッと引っ張る。

 そしてそのまま俺は個室トイレの中へと連れ込まれ、ガチャンと鍵までかけられた。

 

「ちょっ!? ちょっと花山院、なにを……!?」

 

 勢いのまま便座に座らせられる俺。

 どうして個室トイレの中に二人で入ったのか理解が追い付かず、困惑してしまう。

 花山院はそんな俺の両肩に手を置き――

 

「ねえ晶、アンタさ――〝男〟でしょ?」

 

 俺の目を見つめて、そんなことを言った。

 

「――え?」

「バレてないとでも思った? アンタの仕草ってどう見ても男のソレだし、ハッキリ言ってエロいんだよね」

 

 肩を掴んでいた花山院の手が、俺の太股の上へと移る。

 今の俺は女子の身体で、着ている制服もブラウスにミニスカート。だから花山院の手は素足を直接触っていることになる。

 花山院は肌が白く、指は細く、手を見ているだけでもとても綺麗。

 そんな手が、感触を確かめるように俺の太股の上を伝い――徐々にスカートの中へと滑り込んでくる。

 

「か、花山院!? あのっ、私たち女の子同士なんだよ!?」

「アンタがどうして女の身体してるのかは知らないけど、アタシは別に構わないから。アタシ、女でも男でもイケる口だし」

 

 恍惚とした表情で舌なめずりする花山院。

 その目つきは、完全に捕食者のソレ。

 

「晶って顔もスタイルも悪くないし、なのに中身は男とか……お得(・・)だよね」

 

 花山院の指先が、俺の履いている下着(パンツ)のウエストゴムにかかる。

 

 ――わかった。

 ようやくわかった。

 どうして花山院が俺と距離感を縮めにきてきたのか、その理由が。

 コイツは、俺の中身が男だと見抜いていたのだ。

 その上で俺を狙っていたのである。それも性的な意味で。

 

 しかもどっちもイケる――つまり同性愛もOKだったとは――!

 コイツ、そういう趣味の持ち主だったのか……!

 

「もうじれったいからさ、ここで食べちゃう(・・・・・)ね」

 

 花山院の指先に力が入り、下着(パンツ)を下げにかかってくる。

 俺は緊張と恐怖から身体が強張ってしまい、ギュッと両目を瞑った。

 すると――その時、

 

『おーい花山院、先生(センコー)が呼んでるぞ~』

 

 俺たちがいる女子トイレに、同じクラスの女子の声が響き渡る。

 どうやら花山院のことを探しているようだ。

 

『アレ、いないのか? かっしーな、てっきり晶を誘って連れションでもしてるかと思ったのに』

「……はぁ」

 

 花山院が小声でため息を吐く。

 そして俺の下着(パンツ)から手を離すと、

 

「いるよ、ここにいる。すぐ行くって先生に伝えといて」

『おお、いたいた。んじゃしっかり伝えたからな~』

 

 それだけ言い残すと、クラスメイトの女子はトイレから去っていった。

 

「……残念、邪魔が入っちゃったみたい」

 

 花山院は名残惜しそうに言うと、ガチャリと個室トイレの鍵を開ける。

 

「アタシ、晶のこと気に入ったから。絶対堕とす(・・・)つもりでいるから――覚悟してね」

 

 微笑を浮かべてそう言い残し、花山院は個室トイレから出ていった。

 

「た……助かった……」

 

 その場に一人残された俺はようやく捕食者(・・・)から解放され、どっと肩から力が抜けるのだった。

 




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