ダンス・イン・ザ・ヘル(忍殺イグゾーション夢小説)   作:おじロリすこ太郎

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ダンス・イン・ザ・ヘル #3

マオが目を覚ますとそこは病室であった。折り目ひとつない真っ白のシーツに薬品の匂いが漂う清潔な明るい部屋。マオの首には止血用の包帯が丁寧に巻かれていた。イグゾーションはベッドサイドに置かれている椅子に腰掛けマオのことを見ている。

 

「マオ、君何か私に隠しているね?」

 

イグゾーションはおもむろに口を開く。彼の白金色の目は笑っていなかった。平和な雰囲気だった医務室の空気が唐突に冷たく張り詰める。マオはぼんやりした頭でイグゾーションを見やる。私どうしてベットで寝ているんだろう...何かしたっけ...直後冷や汗がドッと出る

 

(どうしよう....!)

 

記憶が甦る。訳のわからない言葉を大声で喚き散らす男。マオに突きつけられるナイフ。そして、

 

「ジ、ジツは...今日の分もう使っちゃって...」

 

パニックになりながら口を滑らしてしまった告白。マオはここ最近イグゾーションに隠れながらジツの稽古をしていた。イグゾーションの猜疑心を得るには充分すぎる発言である。

 

「ここは君にとって安全なスペースの筈だ。昨日のようなイレギュラーが起こった事は謝罪するが、他にジツを使う必要はない筈。どうしてジツを使っている?」

 

返答次第ではマオがネギトロと化す質問。背筋が凍る。マオは一瞬思考を巡らせたあとこう答えた。

 

「貴方のように強くなりたいと思い、個人的に訓練していたのです。ずっと貴方に守っていただく訳にはいかないですから。」

 

まるきり嘘というわけではない。嘘を言わず、かつ本心も言わず。サイバー遊郭で培ったスキルであった。

 

「どうだかな」

 

イグゾーションは目を細める。

 

「マオ、私はウソが嫌いだ。君のことを信用していない訳ではないけれど念の為テストしたい。もし君がウソをついていないなら...」

 

イグゾーションはマオの耳元で囁く。

 

「このテストも耐えられるね?」

 

イグゾーションの右手がマオの両手首を掴み頭上に固定する。マオはイグゾーションに押し倒されベッドに縫い付けられる形になった。

 

ここでジツを使えば間違いなくイグゾーションはマオはウソをついていたと考えマオをネギトロにするだろう。マオができることはただ大人しく従うのみであった。

 

イグゾーションの左手がマオの首元に伸びる。マオがあっという間もなく電撃めいた強烈な快感が身体中を駆け回る。頭の中が真っ白になりバチバチとニューロンが焼け焦げる音が聴こえる。腰がバネのように跳ね上がる。生理的な涙がマオの瞳から溢れ出た。イグゾーションのジツ、バリキ・ジツが発動したのだ。

 

「ん“ーーーーーー!????」

 

「大丈夫。私は慣れているからね、君を破壊するようなことはしない。ただ少し...君が正直に答えれるよう勇気をあげているだけだ。マオ、君はウソなんてつかないよね?」

 

マオは目に涙を浮かべながらこくこくと頷く。思考がぼやける。熱と快感に冒された脳は何も考える事ができない。ただ聞かれたことを答えるだけの単純な装置と化す。

 

「いい子だ」

 

イグゾーションは優しくマオの頭を撫でる。マオはなんだかそれがとっても嬉しく感じてしまって...ほわほわとした頭でイグゾーションのことを考える。彼は怒っているのだろうか。怒ってるなら謝らないと。どうしたら許してくれるだろう。

 

「マオ、なんで一人で勝手にジツを練習してたんだ?しかも私に秘密で?」

 

「ご、ごめんなひゃい…イグゾーションしゃんのことがこあくて...」

 

呂律の回らない口で告白する。

 

「私が怖い?」

 

「こあい」

 

哀れな少女は茹で上がって真っ赤になりながら答える。口からははふはふと息が漏れる。イグゾーションは「ふむ」と考えながらマオの方を見た。

 

思えば彼女との初対面時、イグゾーションは彼女の同僚と客を皆殺しにしていた。イグゾーションにとっては日常の風景であったが16歳の少女には刺激が強かったのだろう。イグゾーションは心の中で少し反省した。それと同時にこの女の感性は随分モータルに近いのだなと思った。

 

「私を殺そうだとか、そういった事は考えてない?」

 

マオは必死でふるふると首を振る。実際それは本心であった。マオは今、イグゾーションに対し複雑な想いを抱いていた。イグゾーションはマオの同僚を皆殺しにしたが、それでも確かに2回もマオのことを助けてくれているのだ。その事実は生まれてこの方ずっと一人で戦ってきたマオの心を絆すには十分だった。マオにとってイグゾーションは殺人鬼であり救世主だったのだ。

 

そもそもマオは同僚のことも客のことも嫌いであった。同僚はマオが遊郭に入ってから常にマオのことを酷く虐めてきたし、客はマオの事を辱めた。だから殺すほどにはないにせよ...マオは彼らがいなくなったことに対して少し安心していたのだ。

 

イグゾーションはマオに危害を加える意思がない事を確認すると少し力を緩める。イグゾーションは最後に付け加えた。

 

「私は君に信用して貰うためには、どうすればいいのかな?」

 

「も、もうふこし...やさしくしれ...」

 

「優しく?」

 

「ひゃ、ひゃい...」

 

そこまで確認するとイグゾーションはマオから手を離す。哀れな少女はへたりとベッドの上に倒れ込んだ。彼女の絹糸のような黒髪は白いシーツの上に乱れ、口からはハ、ハと絶え間なく息が漏れる。マオがまた寝静まるまでイグゾーションはずっとマオのそばにいた。

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