ヒトモノガタリ   作:白骨

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初投稿です(貝木)

メタファーも書けてるけどこっちを先に投稿したくなった。

ゼンゼロがマイブームになってるよ。


みせばんヴァンプ

01

 

 

 

 

 

ちらほら客が見えるビデオ屋の店内のカウンターに頬杖を突きながら手元のおすすめビデオの一覧に目を向ける金髪ロングヘルメット幼女が居た。

 

 

「んーむ、お前の借りたいのはまだ未入荷じゃの。あとで店長に入荷出来るか伝えておくぞ」

 

 

どうでも良さそうに表の一覧に目を通した後、入荷するかどうかも分からないビデオに対してお客さんに適当な返答をした。

 

 

 

 

「ありがとう(しのぶ)ちゃん。お礼に近くで買ったドーナツあげるわね」

 

 

「ぱないの!必ず入荷しておくぞ!」

 

 

 

 

何時ものお客さん…所謂常連客の主婦の方がドーナツを渡そうとした瞬間、見えない速さで忍と呼ばれている金髪幼女は受け取り、即座に袋を開封し口に入れた。

 

 

 

「ん〜!チョコの甘みにサクサクとした食感が堪らないのぉ〜…先程のビデオに関しては店長にしつこく口酸っぱく勧めておくから安心せい!」

 

 

「それは助かるわね、息子が見たいって言ってた作品だから是非お願いするわ!」

 

 

「むぐっ……んっ……うむ!」

 

 

 

一瞬でドーナツを噛んで飲み込み、満面の笑みでお客さんに対して一番の回答をした。

 

 

 

まぁ彼女はそこまでの権限を持っているのかと言われれば持っていない為……

 

 

 

「あ〜!また新しい作品の入荷依頼勝手に受けたでしょ!」

 

 

 

ここのビデオ屋の店主の1人であるリンに叱咤を受ける事になった。

 

 

 

「なんじゃ、リン。こんなに在庫があるのに無いのがおかしいじゃろ。それにココは町一番のビデオ屋なんじゃろ?」

 

 

「だとしても限度があるでしょ!これで今週16件目だよ!?もうッ!相変わらずドーナツ受け取ったら承諾する癖治した方が良いって!」

 

 

「目の前に好物があった飛びつくじゃろ普通」

 

 

「それは忍だけっ!」

 

 

 

彼女はドーナツが大好物というのは目に見えて明らかであろう。

 

目の前にドーナツがあったら食べる、それが当たり前の彼女の認識だ。

 

ドーナツに対しての面構えが違う。

 

 

そんな言い争いに終止符を打ったのは、店のドアが開いた瞬間であった。

 

 

 

「せっかく仕事終わりに一緒に食べようと思った新作のドーナツを買って来たけど御預けになりそうだね、忍」

 

 

 

鼻腔に焼き立ての甘いドーナツの香りに高速で反応し忍はその方向に振り向くともう1人の店主であるアキラが苦笑いで片手に普段行きつけのドーナツ屋の箱を提げていた。

 

 

「な、なんじゃと!!?儂に対してなんという拷問をッ!?」

 

 

「大袈裟……とも言い難いんだよなぁ、忍の場合は」

 

 

「へっへーん!今回は私とお兄ちゃんだけね〜!」

 

 

 

リンの勝ち誇った顔と頬張るドーナツを目にした忍は目を潤ませ、アキラに懇願する。

 

 

「そんな……後生じゃ…儂にも一口……」

 

 

愛玩動物の泣き顔というかもう既にボロクソに泣きじゃくっているんだよね……そんな忍を見てしょうがないなと溜息を零し、救済を提供した。

 

 

「じゃあ入荷作業の手伝い今日出来るかい?」

 

 

アキラは身内に対してめちゃくちゃ甘い。今週の16件の内の15件は彼が全て対応しているが怒らず今回の件も手伝ってくれたらチャラにするこの心の広さ。

 

 

聖人かな?聖人だわ、間違いなく。

 

 

「……やる」

 

 

泣き終わって少し腫れた目元を擦り、鼻をぐすぐす鳴らしながら答えると、彼女の目の前にドーナツを近付けた。

 

 

 

 

「ほら忍、君の好きなゴールデンチョコレートだ」

 

 

それを見た瞬間目を輝かせ、口を大きく開く。その口の直径はアキラの手をも飲み込む程…リンは悟った、コレは後で彼女は痛い目を見ると。

 

 

「頂きますなのじゃッ!!!」

 

 

 

アキラの手ごと頬張った彼女は、後で説教を10分ほど受ける事になったのはこの数分後の出来事である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

02

 

 

 

先程の騒動から数十分後が経過し、ソファに3人座りながらのびのびとテレビのニュースを眺めていたらドアが思い切り開く。

 

 

入ってきた人物に対して、忍はテレビとその人物に視線を行き来させた後、なんでもないように告げる。

 

 

 

「お前ニュースに出てたの桃ツインテ、人気者じゃな」

 

 

ドアを開けた張本人、ニコ・デマラ。

 

 

彼女は今まさに窮地に陥っていた。

 

 

 

「それが人気番組だったら良かったんだけどねッ!プロキシっ!この事件は私達が起こしちゃったんだけど助けて欲しいのッ!!」

 

 

「「……今日はどうしたの、ニコ」」

 

 

 

リンとアキラの2人は普段通りの反応でニコに何が起きたのか確認していく。

 

 

 

──────────

 

 

 

 

 

 

「成程、大体は理解出来たよ。何時もの事だね」

 

 

「お前様の自業自得じゃな、はいりすくはいりたーんという奴じゃ」

 

 

 

「……まぁ、そうなんだけどぉ〜」

 

 

 

彼女は邪兎屋の社長であり、今回の依頼が赤牙組から金庫を取り戻すという内容で簡単に済む筈だったのだが予定が色々と狂い、ホロウに部下であるアンビーとビリーが呑み込まれたという。

 

 

 

 

「一生のお願いよ!プロキシッ!」

 

 

「お前様よ、一生のお願いを使い過ぎだと思うのは儂だけじゃろうか?」

 

 

「ううん、忍の言う通り月に3回位言ってるもんねニコ」

 

忍の言葉に首を横に振りながら答えるリン。

 

そう、言葉に全くと言って信用がなかった。だがそれは忍という幼女にも言える事。

 

 

お金がニコであるならドーナツは忍、と言ったところか。

 

 

「う、煩いわねッ!分かってるわよそれぐらい!」

 

 

先程の説明で状況を把握したアキラは腕を組みながら真剣な表情になり、鋭い視線をニコへ送る。

 

ニコはそれを受け、観念したかのように息を零す。

 

 

 

「……分かってるよねニコ」

 

 

「…今回の依頼の報酬でツケ払わさせて頂くわよ」

 

 

「分かった。この依頼、僕達『パエトーン』が引き受けよう」

 

 

 

交渉は上手くいったようで、ニコは先程とは違う安堵の息を吐き出した。

 

 

その話を終えた後、忍がふあぁと欠伸をしながらぐっと腕を天井へと伸ばしてぱきぱきと関節の鳴らしニコの方へと顔を向ける。

 

 

 

 

「なら儂はホロウに行くぞ、構わんかの?」

 

 

「え、アンタが?何時も店番なのに?」

 

 

「安心せい、道案内はぷろきし、イアスが着いてくる」

 

 

 

ヘルメットを被り直し、忍の身長(130cm)よりも少し大きい壁に立掛けてあった刀を手に取る。

 

 

 

「いや、私が言ってるのはたたか「えぇ!?忍が戦うのっ!?大丈夫!?「忍、絶対にホロウの中に入っては駄目だよ」ちょっと割り込み過ぎよッ!!!」

 

 

 

大反対どころか猛反対だった。

 

 

それでも彼女はそんな2人組に対してジト目を向けながら手元にある刀を足元の『影』に呑み込ませながら反論する。

 

 

そんな中、刀が彼女の影に吸い込まれる現象に目をぎょっとさせるニコ。

 

 

「偶には身体を動かさんと儂も鈍るのじゃ。お前様達よ、そんな前の事を引き摺る必要も無いのだぞ?」

 

 

「でも……」

 

 

「……本当に大丈夫なのかい?」

 

 

「口説いぞ、心配ならそのボンプで覗いておけ」

 

 

 

そう言ってイアスを指さした忍はニコへと向き直り話を続ける。

 

 

 

「戦闘面は基本儂が担当しておったのじゃが、前にちょっと色々あっての?それ以来この兄妹に行くのを止められてたのじゃがそこまで気にする必要性の無い内容じゃ」

 

 

「なら良いのだけれど……」

 

 

「安心せい、それに今のお前はお荷物じゃから此処で休んでおれ」

 

 

そう言いながらニコの肋辺りへと視線を向ける。

 

 

 

「……気付いてたのね」

 

 

ふーっと息を零しながら痛みを我慢していた分の汗を垂れ流す。ずっと傷んでいたのだろう、ソファに座った途端疲れを表現するかの如く彼女は一気に力を抜いた。

 

 

 

「怪我を我慢していたのか」

 

 

「お兄ちゃん、そこの作業台近くの医療キット持ってきて!……忍、気づいてたのならすぐ言ってよ!」

 

 

「言いたくなさそうじゃったからの。じゃがその状態じゃ足手まといじゃ、此処で暫く休んでおれ桃ツインテ」

 

 

そう言いながら片手でイアスを掴み引き摺りながら外へと歩いていく。

 

その後ろ姿を見ながらニコはさっきからずっと気になっていたのだろう発言に対して怒鳴った。

 

 

 

「後さっきから桃ツインテ、桃ツインテって!!私の名前はニコ・デマラよっ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

03

 

 

 

 

 

 

 

「ほれお前様よ、同調は大丈夫かの?」

 

 

『ああ、問題なさそうだ。ありがとう忍』

 

 

『こっちもOK!久々にこの姿で動くから楽しみー!』

 

 

「これぐらい問題ない、さて……」

 

 

 

あの話し合いの後、ホロウの入口には2人の人物が……と言うよりかは1人の幼女と1匹のボンプが目の前に立っていた。

 

 

忍とイアスの身体と同調しているリンである。

 

 

影から刀を取り出し手に取ると、隣にいるボンプが心配そうな顔と動きで此方を見ていた。

 

 

『その……本当に大丈夫?前みたいに無理しない?』

 

 

「……別に儂は全く問題なかったがお前様達にはちょっとしょっきんぐな光景じゃったらしいの…安心せい、もうあんな事にはならん」

 

 

『ならいいんだけど……ううん、ごめんね、私がしっかりしないと!』

 

 

「その意気じゃお前様よ、さてこの先には既にエーテリアスと戦闘しておる2人が居るのじゃな?」

 

 

『うん!間違いないよ!』

 

 

「では、思いっ切り行くぞっ!」

 

 

 

カチリと手元の刀の鞘を鳴らしつつ、ホロウへと突撃する忍と急いでその後ろを着いていくリンであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

00

 

 

 

 

 

 

 

コレは遥か遠い記憶。

 

 

 

彼女が、忍野忍(おしのしのぶ)と呼ばれる始まりの出来事。

 

 

 

『やぁ、君がキスショット・アセロラ・オリオン・ハートアンダーブレードかい?』

 

 

 

『誰じゃお主は』

 

 

 

片方は長身の絶世の美女、もう片方はアロハシャツを着た金髪のチャラそうなおじさん。

 

 

 

彼女は声を掛けた男に殺気を飛ばすが気にもせず話を続ける。

 

 

 

 

『はっはー、初めて見たよ純血の吸血鬼なんて…伝説かと思ったね』

 

 

『失せろ、儂は今機嫌が悪い』

 

 

 

 

周囲には死体が散らばっていた。

 

彼女の身体は血で染まっており、手元にある刀の付着した血が地面に滴る。

 

 

 

彼は煙草を口に咥え火を付けた後、彼女にこう告げた。

 

 

 

 

『君、忍野家の当主にならない?』

 

 

 

『……は?』

 

 

 

 

コレは、彼女の始まり、吸血鬼から、ヒトへと変わる物語だ。

 

 




※妄想を書き殴っている小説なのでいつ止まるか分かりません。団長はいません、いいね?
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