バカ強スペックの沙条愛歌になったので、可愛さ布教します 作:だっちゃまん
ノリと勢いで書いたので、色々勘弁。ブルアカ二次創作のシリアス分を濾過してくれる癒しです。
迫り来るのは、死の風。
圧倒的な暴力、ベル・クラネルに掠ってしまえばそれだけで致命傷になりうる。牛頭人体の怪物、ミノタウロスによる一撃は強く、重い。
Lv1の彼には到底、勝てる相手でも無ければ───奇跡の積み重ねによって生還できている現実に尻餅をついて、脳裏にミノタウロスに殺される未来の自分を幻視した。
(…あ、死んだ)
目を瞑り、来るであろう死の一撃から逸らすように身を縮め、ぐっと顎を引いた。
だが、来ない。
代わりに来たのは、怪物の呻き声。
それと同時に、コツン、と靴の音が鳴った。
開かれた景色の先、不可視の風によって切り刻まれた姿を最後に飛び散る鮮血の中で、決して汚れること無く慈愛の瞳で彼女は───彼に微笑んだ。
天衣無縫の権化、されど可憐な少女がひとたび腕を振るうと、怪物の呻き声を最後に敵は息絶えていく。
薄暗く、不気味な世界に聴こえた玲瓏の声。
「───大丈夫?怪我は、してない?」
金糸のようで、薄くも艶のある黄白色の髪。
知性を湛えた
戦闘衣を纏わず、日常の延長線上のような姿。
思えば、幾らでもある違和感を前にしても──それら全てが彼にとって思考するに値しない、道端の路石。
しかし、彼の思考は目の前の彼女に注がれて。
「う、う……うわぁぁぁぁ!!!!」
ダンジョンから消えていった。
推しに生まれ変わったら、まずやる事と言えば───推しの布教だろう。遠くなる主人公の背を見ながら、転生者こと───沙条愛歌の姿を模した彼女は、この結果にご満悦そうに微笑んだ。
「ふふふ…!!!主人公に会えた!!この可愛さを早くギルドのエイナちゃんにも教えてあげてね!!」
独り狂ったように愛を爆発させた彼女の犠牲者は、止まることを知らない。
■
起きたらチート少女になってた件について───。
言葉通りの意味です。起きたら、マジで知らない湖と森に囲まれた場所で立ち尽くしていた。状況が読めない?あーなるほど。ざっくり話すと、部屋で寝て起きたら知らない場所でポツンと立っていたってことね。
はい。皆さんご察しの通り、俺は異世界に転生しました。ちなみに元男で、転生後の容姿が
まぁ、狂喜乱舞したよね。性別が変わってるだなんて些細な事よ。いや、むしろこれは天からのお告げだ、この可愛さを広めよ!とご神託を賜ったに違いない。
なぜなら、色々力を試してみたけど見た目だけじゃなくてマジで能力もそのまま。
もはや、沙条愛歌の良さを周りが理解してくれない前世の俺を哀れんだ神様がくれたチャンスだろう。いくら可愛くてもやってる事がちょっと引く…とか、テメェ俺の目の前で言ったこと後悔させてやるよ!!俺の推しは抜群に最高だってこと、この身で証明しちゃる。
そんな誓いを立てた俺は、早速行動に出ようとして、この世界の名前を検索した。沙条愛歌と言えば根源──実質Googleを装備させられたスパコンと常に接続されている。
だから、此処がどこなのかっていう疑問も楽勝よ。どーせFateの世界じゃねぇの?
───と、思っていた時期が俺にもありました。
「…ここダンまちかよぉ……っ!?」
めちゃくちゃFate世界かと思ったら掠りもしなかった。なんでよりにもよってダンまち!?スペック的には余裕だと思うけど、レベルが全ての世界でこの状態は自殺だろ!?
え、あ、はい。大丈夫みたいです。なんならくそ竜こと、黒竜もぶっ殺せるらしいです…はい。根源引っ張れば余裕で葬れるらしいです。
え、まって。ダンまち終わりじゃね?
ENDやんけ。始ま───る1時間前ぐらいか?
うん、ダンまちが始まる1日前らしいです。え、始まる前に終わるってどゆこと?それじゃあ意味無いだろ……なんのために来たんだよ!いや、知らねぇうちにいたけどさ!
俺をここに送ったであろう第三者に恨み言を残したい気分だ。なんでこんなクソ高ハイスペックにしたんだよ!
しかもなにこれぇ!なんで才能の災禍スペックもあんだよおかしいだろうが。ゲームバランスって知ってる?沙条愛歌のスペックだけでも、Fate内でぶっちぎりのチーター候補なのに、ダンまち世界の公式公認チーターアルフィアのスペックて……馬鹿か?馬鹿なのか?
そうだろ。何が悲しくて、原作開始前に原作終わろうとしてんだよ。なんでこの状態で黒竜ぶっ殺せんだよ。アホ並みに強ぇよ、馬鹿なんじゃねぇの?笑笑
なに笑てんねん、シバくぞゴラァ…って自分のことか。
過剰戦力でしかないけど、まぁ……平穏に生きられる力って思うことにしよう。この身体の力も両儀式に劣るとはいえ、反則並みの強さだし。てか、なんなら欠点だった魔術回路がアルフィアの才能もあってか、バカ増えてるし……これやばァくね?今なら世界変えれるぞ…?
いや、しねぇけどさ。そもそも、俺はこの身体でそんなクソみたいなことしたくない。だって、沙条愛歌は普通に好きだし。可愛いじゃん。中身は純粋無垢のクソサイコパスだけど。
だから、この身体で悪さはしたくないんだよな。
それはそれとして。
「うーわ、やっぱ最強だわ」
近場にあった湖の反射を鏡のように使い、よく見てみれば、あら可愛い。マジで可愛い、何こいつ。喧嘩売ってる可愛さだろ。やば、マジでヤバ。俺はこれから毎日のようにご尊顔を拝めるの?前世の俺は徳を積みすぎじゃね?奈良の大仏様もパリピになってダンスホール歌ってるって。
じゃなくて。俺の見た目は推し同様に沙条愛歌のような容姿だが、片目だけ金色になってる。そこら辺の違いはあれど、他は全くもって一緒。この場合どうなるんだろう、俺も成長がほとんど止まるのかな?
あ、止まるらしいです。なんか、めっちゃ頭に根源が濁流みたいに流れてくるんだけど。Siriかよ。こいつはGoogleじゃねぇ、Siriだ。
なんか、根源が怒ったのか、情報の供給が急に止まったんだけどウケる。
てか、ダンまちの世界は分かったけど、ここ何処?
「湖がある場所ありすぎてわかんね…って、え、ここダンジョン」
え、ダンジョン?マジ?あー…原作でベルがヒロインズの裸見たあそこ?───あ、ここ18階層!?通りでなんか見覚えあるなぁって思ったわ。お?ちょっと待てよ…?ここの住人たちを手篭めにしたら、ワンチャンこれからの展開がスムーズになるんじゃね…?
愛歌ちゃん信者を増やす絶好のチャンスと言えるだろう。むしろこの可愛さを以てすれば、美の女神だろうがヘスティア様だろうがイチコロだろ、勝てん勝てん無理無理。
ゾウリムシがアリに愛嬌で勝てるかっての。ちょっと意味がわからない。てか、アリの顔ってドアップにしたら悪魔みてぇな顔してっからな。おい俺、その理屈で言ったら愛歌が悪魔みてーじゃねーか!!!ぶちのめすぞ!!
はい、一旦落ち着いて。まず最初にやることは、衣食住の確保だな。幸いにして、ここがダンジョン内の18階層って事なら衣食住には困らないだろう。
唯一の問題点は、住まわせてくれるかどうか。意外とケチぃからな〜ここの住人含めたボスも。名前忘れたけど。
「…あー、ボールスか。凄いなぁ根源、マジで有能すぎる」
しかし、有能な反面ワクワク感やドキドキ感、未知への探究心というのが薄れていくなぁこれ。愛歌も生まれながらに全てを識ったせいで興味とか好奇心がほとんど消えたって感じだし。あらゆる未知が即知となった自分とか……なるほど、これは宜しくない。
俺の目的は布教にあるけど、その前にこの世界が楽しくないってなると複雑なんだよな。布教する楽しさも大事だけど、一先ずこの世界に生まれ落ちたのなら、純粋に世界を楽しむのも一興じゃん?
……うん。そうだな、根源ちょっと切るか。ただ、ベルと会うまでは少しだけ知識を拝借する感じにして、ベルと邂逅後、接続を絶とうか。その方が楽しいだろうし。
という事で、やるべき事が定まった。
第一の目標が推しの布教。
第二に衣食住。
第三にこの世界を楽しむこと!
大雑把だけど、まぁこんな感じでいいだろ。
そして、忘れちゃならないのが今の俺の姿。推しを布教するなら、推しに恥じない己になるべし。性格を寄らせるのはちょっと難しいから、口調を変えて、淑女みたいな感じに……。
「あーあー…ごきげんよう。私の名前は、沙条愛歌。よろしくね」
おうおう、こんな感じだな。
「ふふ……声もかわいいぜまったく…」
自画自賛が止まらん、これは麻薬ですわ。推しの独占禁止法違反でしょっぴかれる前に、布教してくるぜ!!
待ってろよ!!ボールス!!リヴィラの街ぃ!
主人公は両儀式と比べたらマシと思ってるが、実際のところトントンな気がします。明確な実力差が分からないんでアレだけど、両儀式が出来ることは大体出来るって勝手に解釈してる作者です。
ネジが外れたやつってだいすき。まだまだFate歴が浅いんで、間違ってるところすげぇあると思うのでそこんとこ良しなに……おねがい
2話は明日投稿するよ