洞窟はそこまで深くなかったが暗かったので、ロゴスが周りを照らす光を浮かべて中に踏み入った。
奥に進めば進む程強くなる異臭に私は防護服を着ているというのに顔をしかめながらとうとう突き当たりに辿り着いてその正体を目にした。
遺体の山だったのである。
「嘘……こんなのはなかったはずよ」
と真っ先に声をあげたのはイネスだった。それもそうだろう。遺体はだいぶ腐敗は進んでいるが、かなり最近のものだ。
「オレが確認してきます」
自分が源石に対して強いからと分かっているからだろう。率先としてマッドグリーンは進んで遺体の確認をしに行った。例え君が作られた生命体だとしても大事な仲間なのだから無理しないで、と私はいつも思ってしまうが、こういう状況だとつい言葉を飲み込んでしまう。
「……項にトイフェルのマークがあります」
マッドグリーンが遺体を確認しながら報告してきた。異臭を感じた辺りから、そんな気はしていた。この光景を、砂漠の廃墟でも見たからだ。
私たちも遺体に近づいてそれぞれ確認してみる。ブルー生命体は鉱石病にならないと聞いているが、それでもこんな大量の遺体が乱雑に積み上がっていると嫌悪感がある。どうしてこんなことをするのだろう……私は悲しい感情を抱いた。ブルーグラスはあんなにも自分の作った生命体に愛を持って接していたし、献身的に接してきたマッドグリーンだって今では立派なラズハの重装オペレーターだ。どうして、どうしてこんな……。
「この遺体はどう見ても儀式の類ではなさそうだな」とロゴスが口を開いた。「わざわざ呪術を掛けていたところ、遺体を隠すためにここに運んできた可能性が高い」
「私はこの遺体を見せにあなたをここに連れてきた訳じゃないわ。この辺りに、儀式用の祭壇があったはずなのよ」
とイネスは辺りを見回すが、探さなくても分かった。遺体は恐らくその祭壇を隠すために積み上げられた。ここに人が近づかないようにわざと……。
「あ、これじゃない?」
そこに、遺体がある山とは真反対の方向に向かってしゃがみ込んでいたレオンハルトが暗がりから何かを見つけた。レオンハルトが両手でやっと持ち上げられるくらいのそこそこ大きな石。それは、報告書に書かれていた石の形も色も全く同じで私は驚いた。
「それが、術攻撃を吸収する石なのかい?」
と私が聞くと、レオンハルトが何か言うより早く、ロゴスが言葉を発した。
「それは、雨乞いの石ではないか?」
どうやら何か知っているようだ。