そうして私たちは、ラズハ・シップを「ロドス・ラズハ・アイランド」と改名して活動を再開することとした。
元ロドスはほとんど壊れてしまったが、骨格はほとんど残っていた。だからここはクロージャと……そうそう、ブルーグラスたちも手伝って、残った破片や瓦礫から、すっかり元通りのロドスへと形を戻したのだった。
ブルーグラスたちとは契約書を更新して、新たに「ロドスの人間」として雇うこととなった。ブルーグラスは多くの研究者や技術者を連れているから、ロドスはますます大きくなっていったのである。
元々コピー人間だったスノー戦隊やホーン戦隊のメンバーも、同じくロドスのオペレーターとして再契約を結んだ。もう彼らはコピー人間ではない。他の人たちと変わらない私たちの仲間だ。
それに伴い、ブルーグラスはもう「コピー人間」を作らないとわざわざ私に誓約書を出してきた。自分が作った人造人間たちがもう二度とこんな悲しい扱いをされないように、コピー生命体に関する情報を全て焼却したのだった。
だが、秘匿情報であったアビサルハンターたちのことを一目見ただけで正体に気づいたブルーグラスの観察眼には驚いたものだが。情報を漏らさないことを条件に、ブルーグラスは今では鉱石病の完治方法の研究に貢献してくれている。
ゼロとその軍隊はというと、コピー人間たちを連れてしばらく行方をくらますことにしたようである。怪しい点が多かったトイフェルが壊滅したことで、ラズハが目立たない代わりにゼロたちがテラ中の注目の的となったのだ。トイフェルを壊滅させたのはゼロという謎の組織団体なのだ、と。
「あなたたちが目立たなくなるなら、これくらいのことは背負うわ」
ゼロはそう言って私たちの前から姿を消した。ゼロなりの罪の償い方だったのかもしれない。
他にも変わったことがあった。身よりのないイウニとセネトのことである。
「行くぞ、イウニ、セネト」
「あ、待って待って、サンドレコナー!」
「早く行こ、イウニ!」
サンドレコナーがイウニとセネトを連れて外に出てきた。今日は遊園地に行くらしい。
「急がなくても大丈夫ですよ、イウニくん、セネトちゃん!」
サンドレコナーの隣にはムースがいる。ロドスラズハの研究者たちのおかげで、ムースは一時的だが左腕に侵食していた鉱石病の症状を和らげることが出来、ほとんど普段と変わらない姿となっていた。
「サンドレコナー、ありがと」
イウニが、サンドレコナーと手を繋ぎながら言った。サンドレコナーの表情はあまり変わらなかった。
「養子縁組を受け入れただけだ」
なんて短調的なことを言って。
「ムース、上手く出来るか分かりませんが、ママみたいになれるように頑張りますね!」
とムースがセネトと手を繋ぎながら言った。左手で手を繋いでいた。
「じゃあムースママ、もっと仲良くなろうね!」
セネトが楽しそうに笑うのを私は見送ってロドスラズハに戻った。イウニとセネトはまだ小さく、何か外での行動をするには保護者が必要だった。そこでムースがイウニとセネトを養子にすると言い出し、サンドレコナーはムースだけだと心配だからとかなんだかと言って両親代わりになってくれたのである。
そして今日は、イウニとセネトの夢だったという遊園地に向かった。ああやって並んでいるのを見ると、種族は違うが、本当の親子みたいだった。
「いいなぁ、あのガキたちは。ちゃんといい大人に会えてよ」
ロドスラズハに戻ると、どうやら密かにイウニとセネトを見送り出していたらしいホーンバーンが呟いた。
「ホーンバーンもいい大人だよ」
と私が言うと、くすぐったいような、苦々しい顔を浮かべて肩をすくめた。
「俺様は……そんなにいい大人じゃねぇよ」
「そう思うことがいい大人なのかもしれないね」
「んだよそれ」
ホーンバーンは小首を傾げていたが、私は何も答えずに笑みを返すだけにした。
「グラウス、枝豆食うか?」
「いや、いい。俺は父さんみたいに皮ごと食えないんだ」
「そうなのか? 美味いのに」
「それはお前だけだ、エアース」
宿舎に寄ると、早速賑やかな会話が聞こえてきた。エアースカーペがスノーグラウスに枝豆を勧めているのを、フリントが止めに入っている。
「あ、スノーグラウス!」
そこにネイルが近づいてきた。スノーグラウスはネイルに気づいて立ち上がる。
「ネイル、渡したかったものがあるんだ」
「え?」
「これを」
スノーグラウスがネイルに渡したものがなんだったのか私には秘密のようだが、後日、二人が同じ耳飾りをつけていたことから関係性は一目瞭然だった。
ドーン!!
なぜか今日もロドス・ラズハ・アイランドは爆発が起こる。バタバタと騒がしい足音と悲鳴と怒声に、私は心から幸せだなと感じるのだった。
「あのソーンズ、また爆発を起こしたぞ!」