ロゴスを探して宛もなくテラを移動しているラズハにも、嬉しい変化はいくつかあった。
「おはようございます、ドクター」
執務室に来ると、言葉を流暢に話すようになったマッドグリーンが、両腕にマホガニーとツルギをぶら下げて遊び相手をしていた。
「おはよう、マッドグリーン」私は挨拶を返す。「マホガニーとツルギと仲良いのはいいけど、なんでも二人の言うことを聞かなくてもいいんだよ? マッドグリーン」
「しかし……彼らは俺の恩人なので」
性格もかなり紳士なペッローの男となり、ここに来たばかりは暴れ回っていたというのが信じられないくらいだ。ただ、マッドグリーンにはここで暴れ回っていた記憶も、砂漠で私たちを襲ったことも覚えていないのだが。
「マッドグリーン、回って回って!」
「いっぱい回って!」
マホガニーとツルギはマッドグリーンにぶら下がったまま更なる要求をする。執務室にはもう、スノーグラウスの見張りもなくなった訳だが、それにしても馴染み過ぎだ。
「分かりました、マホガニーさん、ツルギさん」
マッドグリーンが言われた通りその場で回ると、マホガニーとツルギはまるで空中ブランコのようにくるくるふわふわし始めた。キャハハと笑う彼らを眺めながら、私は彼らに、もっと色んなところに連れて行けたらなぁとしみじみ思った。
トントン。
そこにノック音が聞こえて私が応答すると、ケルシーが何か封筒を持って入ってきた。
「招待状が来ている」とケルシーは私に封筒を渡してきた。「この企業は、ロドスの時から世話になっている非常に大事な製薬成分販売会社だ。悪い社長ではない。お前がパーティに参加して来てくれ」
「え、私が?」
「互いの友好関係を築くためだ。お前も何度か会ったことはあるだろう。あの社長が引退して娘が引き継いだんだ。そのパーティだ」
私は封筒から招待状を取り出した。パールホワイト企業。確かにこの企業は本当にいい社長で、娘とも顔合わせはしたことがある。とはいえ顔を合わせたことがあるのは、ロドスのドクターだった時の話だ。
「鉱石病緩和薬に使える成分を販売している。そういう社交的な場はお前の方が向いているだろう」とケルシーはこちらの有無も言わせず話し続けた。「参加しないと印象が悪くなる。護衛はしっかりつけて参加することだ」
つまりそれは、交渉はこっちでするからパーティには参加しろと言われているようなもので。
「マホガニーとツルギを連れて行っても?」
「問題ない」
私の問いにケルシーは即答した。ケルシーがそう答えるということは、子どもを護衛にしていても悪く言う人でもないのだろう。
私は、まだマッドグリーンと遊んでいるマホガニーとツルギを振り返った。