「おー、その子が二人の子どもかい?」
ロドス第二艦に入ると、またよく知った顔に私は硬直したように足が止まった。
「クロージャ……!」
そうか、彼女も無事だったのか。私が感動して何も言えないでいると、クロージャは人懐っこそうにカラリと笑った。
「なーにそんな顔してるの! 再会出来たことを喜ぼうじゃん!」
「ああ、そうだな……」
私が泣き出してしまいそうになるのをグッと堪えていると、クロージャの興味は子どもたちの方へと向いていた。
「この子たちがソーンズとレッドの子ども? ほんと、すごくよく似てるね〜」とクロージャは二人の前でしゃがんで話している。「あ、私はクロージャ。ここの第二ロドス艦も、私がロドスの中で念の為に作っていた緊急脱出用の子艦だから、ここを第二の家だと思ってゆっくりしてね!」
「クロージャお姉さん、ぼくはマホガニー。よろしくお願いします」
矢継ぎ早に話すクロージャに全く動揺していない様子でマホガニーは普通に自己紹介をした。
「お、挨拶もしっかりしてるねぇ。そっちの子は?」
「あたし、ツルギ。よろしくお願いします、クロージャお姉さん」
クロージャに対し、ツルギもしっかり挨拶をする。クロージャは満足そうに何度もその場で頷いた。
「いい子たちだね〜。でも私のことは、気楽にクロージャって呼んでいいからね?」
気さくなクロージャに二人は少し緊張が解れたみたいだ。マホガニーもツルギも、微笑んだ。
「そろそろ俺の紹介もしていいか?」
そこにもう一人の人物が現れた。顔を上げて私はハッとした。その人物が、一瞬エアースカーペに似ていたからだ。
「この子は……?」
と私が聞いたのは、彼は大人びてはいるがまだ十代のように見えたからである。黒い長い耳が常に下に向いていている少年だった。
「ドクターなら分かるんじゃない? 誰の子だと思う?」
「え?」
ソーンズとレッドの子ども以外にも他に誰か子持ちがいたんだっけ……? 私は困惑したが、ロドスには何人か、子持ちオペレーターもいたのだ。封印してきた記憶から、一つのことを思い出してきた。
「まさか、エアースカーペとフリントの子ども……?」
そう、二人は付き合っていたのだ。ただ、二人に子どもがいたという話は聞いたことなかった。クロージャが話し始めた。
「ロドスに来るか来ないかは子どもに任せるからって、ちょくちょく交流はしていたみたいだけど、子どもは別のところで預けていたみたいなんだよね」
「そう、だったのか……」
私が衝撃的事実に言葉を詰まらせていると、エアースカーペとフリントの子どもらしい彼が、私の方に半歩近づいてきた。
「俺はスノーグラウス。ドクターの話は、父さんから聞いていた」
声を聞いて、私はまた衝撃を受ける。その声はまるで、声変わりをする前のエアースカーペのようだったからだ。私はそこにマホガニーとツルギがいなければ、その場で泣き崩れたい思いだった。
だがそこに冷水を浴びせるのは彼女であって。
「感動の再会を喜んでいる暇はないぞ。クロージャ、この艦はもう動くんだろうな?」
ケルシーだ。
「もちろん! 今準備するからね〜」
クロージャは駆けてどこかに向かい、ケルシーも奥へと姿を消して行った。私たちはスノーグラウスと取り残されることとなってしまった。
「案内は俺がしよう。といっても、色々と散らかっているがな」
スノーグラウスもケルシーの冷ややかさとクロージャの気ままさには慣れているのか、全く動じている様子もなく私たちの案内役をしてくれた。