翌朝。
久しぶりにぐっすり眠ったと思ったら、柔らかいベットで横になっていたと気づいて数秒。私のお腹の上に、何か温かいものがあった。
「マホガニー、ツルギ」
「ん……」
「朝……?」
私が呼びかけると、マホガニーとツルギが私のお腹の上でぬくりと起きる。二人の寝癖の酷さに、クスッと思わず噴き出したりして。
「ふふっ、寝癖ついてる」
私が双子たちの髪を手グシしても、まだ寝ぼけているのかボーッとしている。そういえば六年間、こんな日々ばかりだったなぁと囁かな幸せに私は一人笑む。
「さ、起きようか」
私は時刻を確認し、体を起こした。ラズハでやることはまだまだ沢山ある。
身支度を済ませると、私はマホガニーとツルギを連れてある部屋に向かった。
トントン、と扉をノックして部屋に入る。何か声は聞こえるが言葉までは分からない。目の前の白いカーテンを開けると、そこには二人の男女の子どもが抱き合ってこちらを睨みつけていた。
「おはよう、イウニ、セネト……」
「”古代サルカズスラング”!!」
威勢のいいイウニと名付けた少年が、明らかに暴言らしき言葉を吐いた。そばにいるマホガニーとツルギはビクリと震える。
「ごめんね、古代サルカズ語は分からないんだけど……」私は膝をつき、イウニとセネトと目線の高さが合うようにする。「マホガニーとツルギと、仲良くしてくれるかな?」
私に対して敵意はあるかもしれないが、実際小屋から二人を助け出したのはマホガニーとツルギである。歳も近いようだし、仲良くしてくれるかもしれない。マホガニーとツルギは快く承諾してくれた。あとはイウニとセネト次第だ。
「……”古代サルカズ語”」
少女の方のセネトが、か細い声で指を差した。指を差しているのはツルギの方だった。
「あたし、ツルギ。仲良くしよ」
ツルギはそう言って二人のベットに上がった。いつもマホガニーの後ろにいるばかりだったツルギが、自分からそうやって動いたのを私はここで初めて見た。彼女も成長しているんだ、と私は改めて感じる瞬間だった。
「〜〜? ……ツルギ?」
「うん」
「〜”古代サルカズスラング”」
「あのね、その名前はいい意味じゃないんだって」ツルギは何を汲み取ったのか、セネトにそう言った。「だからきみの名前はセネト」
「セネト?」
ツルギはそうやって、身振り手振りを加えてコミュニケーションを取り始めた。
「んー、ぼく、なんか絵本持ってくる!」
マホガニーは何か思いついたように病室を飛び出した。
その間も、ツルギは一生懸命、イウニとセネトに話しかけ続けていた。間もなく絵本を持ってきたマホガニーと一緒にベットで並んで座る。
マホガニーとツルギは、私の姿をしっかり見て育っているのだと感じた。私がマッドグリーンに根気強く話し掛け続けたように、今度はマホガニーとツルギが、イウニとセネトに話し掛け続ける番なのだと思う。
もう大丈夫。私はゆっくり立ち上がり、イウニとセネトを双子たちに任せた。