ブルーグラスはなんでも協力する、と言ってくれたので、書類上での契約もその場で済ませ、すぐにラズハに迎えることとなった。
とはいえブルーグラスには、ブルーグッピーのようなコピー人間を百人程従えていた。彼らをゾロゾロと連れていく訳にはいかないと、いくらか小隊を組んでラズハに向かうこととなった。
「この者たちをラズハに案内したらよいのだな?」
何かあった時のためにロゴスを連れてきて良かった。ロゴスは快く隊長を引き受けてくれた。
「私はブルーグラスと行動しよう」
ケルシーはまだブルーグラスを信用していないのか、ブルーグラスと共に行動することとなり、マホガニーとツルギも初めてここで隊長となってコピー人間を連れて行くこととなった。
「ちゃんと無事に連れて帰るからな!」
「みんな、気をつけてね」
マホガニーとツルギは、ちょっと緊張しているみたいだった。
「マホガニーなら大丈夫だよ!」
「うん、信じてる」
マホガニーとツルギの部隊にはイウニとセネトもいる。彼らの力を、私は信じているのだ。
そうして私も、二十五人程のコピー人間を連れてそれぞれのルートでラズハへ向かうこととなった。私の護衛には、ブルーグラスのコピー人間、ブルーグッピーがついて来ている。
一応確認してみると、トイフェルのマークではないが、ブルーグッピーにも項に何か模様がついていた。ブルーグラス特有のマークなのかもしれない。
「あの、すみませんでした」
私がコピー人間たちを連れてラズハへ向かっていると、傍らのブルーグッピーが唐突に謝ってきた。
「何を謝っているんだい? こっちは人手不足だったし、むしろ来てくれてありがたいんだよ」
と私が言っても、ブルーグッピーは俯いたままだった。
「ロドスのトップの話をしたのはわたしです。ロドスを乗っ取ったのはわたしたちの方なのに……」とブルーグッピーは言った。「トイフェルが、わたしの初めて見る家でした。だから、知らなかったんです。わたしと同じ仲間が兵士となって、ロドスを襲ったこと……」
聞くところによると、ブルーグッピーはブルーグラスと共にあちこち放浪しながら暮らしていたらしい。だがある日、トイフェルの人間に目をつけられ、コピー人間を作らせられていたのだ、と。
「おうおう! この道をそんなゾロゾロと大人数で歩くとは、どこのファミリーのもんだ!」
私がブルーグッピーの身の上話を聞いていると、いかにもというスーツ男が突っかかってきた。後ろにはゾロゾロとそれらしい人間たちの影もある。
「あの……」
ブルーグッピーは何か言い返そうとしたが私が静止させる。こんなところでケンカをしている場合ではないのだ。
「すみません、この辺りのことを知らなくて。大通りにはどこへ行けばいいですか?」
と私は穏便に済むようにしたかったが、向こうは許してはくれないようだ。
「お前、誰に向かって口聞いてんだよ? 俺らの島ぁ通ったら、それ相応の対価を払うんだよぉ!!」
この手の者は妙な拘りがあって厄介だ。私は相手の言葉に気圧されて半歩後ずさった時にブルーグッピーが動いた。
「明鏡留水」
聞いたことのない呪文を口にしながら、ブルーグッピーは相手に斬りかかったのだ!
「ぐぅああ!!」
倒れる相手。ブルーグッピーの片手には真っ青な剣があり、もう片方には盾のようなものが握られていた。
「ブルーグッピー、反撃すると……」
私はわなわなと言葉を震わせながらブルーグッピーに言いかける。だがブルーグッピーはニコリと笑った。
「大丈夫ですよ。ドクターのことはわたしが守りますから!」
ブルーグッピーは、そう言って本当に私のことを守ってくれた。その場から全く動かないまま、次から次へと襲いかかってくるマフィアたちを倒したのだ。
「さて、もういませんか?」
ニコニコ顔でもう誰もいないマフィアたちに呼びかける。そうか。テラ中をあちこち放浪しながら暮らしているのなら、それくらいの実力はあるはずなのだ。
「もういないよ。さ、早く行こう……!」
私は目の前で見た恐ろしい光景に動悸が止まらないままブルーグッピーの手を引いた。ブルーグッピーは分かりましたと素直について来たが、私は内心焦っていた。
もしかして、ラズハにヤバイ人を受け入れてしまったのでは。
私は今後のラズハの未来が心配になっていた。