私が飲んだ若返りの薬はまだ試作品段階で、元に戻す薬はないのだそうだ。
だが薬は三日間で切れるとのことで、私はこのまま小さな体のまま仕事をすることとなった。
「ブラックローズ、いるかい? 薬草が欲しいんだけど……」
「わ、ドクター本当にちっちゃい!」
ブラックローズにも驚かれてしまった。今の私の体は恐らく六歳か七歳くらいの背丈しかない。ブラックローズとほぼ同じ目線の高さだった。
「昨日話した通り、若返りの薬を飲んでしまってね……」
と私が話していると、ものすごくデカイ体の大人が近づいてきた。
「ブラックローズ、誰と話して……ってはぁあ?! ド、ドクター?!?!」
ほぼ療養庭園にいるホーンバーンも、私の小さくなった姿はここで初めて見たのである。ホーンバーンは衝撃を受けていた。
「明日まで小さな体だけど、仕事は問題なくやるから大丈夫だよ。よろしくね、ホーンバーン」
と私が話している間に、ホーンバーンは私を首根っこから掴んで持ち上げた。
「へぇ、こうして大人が突然小さくなると変な気持ちになるもんだなぁ」とホーンバーンはガハハと笑う。「いい気味だなぁ、ドクター。俺様ももう一度子どもからやり直したら、もっとマシになってたかもな!」
「言いたいことは色々あるだろうけど、とりあえず上司の首根っこ掴むのはやめてよ……」
「ガハハハ、悪い悪い!」
ホーンバーンはすぐに下ろしてくれた。ここに来てからしばらく経つが、ホーンバーンもよく笑うようになった気がする。
「お、ホーン隊長! 早速ドクターをイジメてんのか?!」
そこにやって来たのは黄色と黒の髪の毛のフェリーン。スノーグ戦隊に所属しているガイターである。
「やぁ、ガイター。私は薬草を取りに来ててね」私は服を整えながら挨拶をした。「ガイターは届け物に来たのか」
「おう、まぁな! スノーグ隊長に言われて薬草の種を届けに!」
とニカリと笑うガイター。ガイターはスノーグラウスが名付けたブルー生命体の一人だ。こうして見ると、しっかりした人間になったんだなぁと関心する。
「なんだぁ? ドクター。そんなに見つめてても何も出ないぜ?」
と爽やかに笑うこのガイターを見ていると、ある赤いヴァルポを思い出してじんっとしてしまう。彼もあんなふうに笑う人だったな。色んな機材を変な風に改造してしまうのは困りものだったが。
「いいや、なんでもないよ」
私は早々に療養庭園を出て息をつく。苦しい。何かある度にロドスのことを思い出してしまって。
「……薬草、取り忘れたな」
まぁいいか、後で来よう。私は、子どもの足だとかなり遠く感じる執務室へ向かった。