ビビるくらい男尊女卑の世界で俺がハーレム築き上げるまでの物語 作:rikka
(くっそぅ、まさか家まで売り払う羽目になるとは思わなかったな)
バッドティース。
元日本人にして現異世界人の自分にはなんとも言えない名前の街に住んでいた俺は、闇夜の道なき道の中、身をかがめて盗賊や獣を全力で警戒しながらジリジリと足を進めている。
(あんの馬鹿親め、まさかパンすら買えない程度の貯金しか残さねぇとは)
日本人としての人生を終えた俺が再び産まれた世界は、魔法はないが剣と弩が全てを支配するトンデモ世界であった。
電気技術こそあるがどれもこれも昔に残された技術の一部。
盗賊に獣――もうほぼほぼモンスターがうろついているため外に出たのはこれが初めてだが、外のアチコチに宇宙船っぽいなにかの残骸や痕跡が転がって風化している。
……。
ついでに言えば、ネーミングセンスもおかしい。
なんだよ俺の名前。
ズゥだぞズゥ。
動物園でも開けってか。
――グゲェェェェェェ……
(っ、おっと!)
聞こえてきた明らかに人間の物ではない鳴き声に、足を止めて背後を確認する。
こちらに迫ってくるような影や気配はない。
ジリジリと、ゆっくり動いて辺りを見回せる場所に移動し、身を潜めて動く影を確認する。
(……よかった、
人間よりもややデカい、二本足でのっしのっしと歩く恐竜図鑑に載ってそうな生き物が十匹前後の群れを成して歩いている。
恐らく寝床を探しているのだろう。
本当は自分も適当な寝床を確保して身体を休めたい。
だが野外で下手に眠ると野盗にザックリやられる可能性があるし、蜥蜴と違い積極的に人を襲うオオカミのような獣もここらには出る……らしい。
(幸い、獣を引きつけるような食料も持っていない。このままどうにか、デカい街までたどり着ければ……)
そんな中こうして危険と隣り合わせの野外で動いているのは、ひとえに俺の親父がなにかしらやらかして犯罪奴隷に、残された俺も家を失くしたからである。
この世界での実の父だが、正直そこまで悲しくはない。
まぁ、酒に溺れていた典型的なクソ親父だったしなぁ。
俺が酒場や食料品店で働いた稼ぎでどうにか飲み食いさせていたが、正直そのうち出ていくつもりではあった。
むしろパンすら買えない資金しか残っていなかった事に怒りしかねぇ。
200
飲んだくれの癖に俺の隠していたへそくりまで見つけて使い込みやがって……。
あのままだと俺まで奴隷にされかねなかったから家も売って審問官にアレコレ媚売って……その結果住まいまで失った訳だ。
(なんとか北のブリスターヒルまでたどり着ければ……)
この世界では外が危険な分、街が全てだった。
外の情報は碌になく、かろうじて知っているのはホーリーネーション首都ブリスターヒルの位置のみ。
(あの虫歯の街じゃあ、ナルコの闇だとかに囚われた親父の息子である俺を雇う所はないだろうし、他に稼げる話もないし、せめて場所だけでも変えねぇとな……)
持ち物は身に着けている衣類以外は、護身用の短い鉄の棒と緊急用の医薬品少々、そしてある意味で必需品。
この国の国教たる『オクラン教』の聖書、聖火の教典。
まぁ、男の自分はまだ大丈夫だが女性がこの本を持たずに歩いていると、殺されたり奴隷にされたりするからな。
(ホーリーネーション。中々のクソ国家だけどこの世界ではかなりの大国だし、ある程度安全を保障してくれる。他の国がどうなのかは知らないけど、農奴によって生産される食料が出まわってるおかげである程度は安定してる)
念のために蜥蜴の気配が遠ざかってから、また進み始める。
幸い首都ブリスターヒルまでの道がある程度出来ていて、途中にある川を渡る橋も架けられている。
しかもホーリーネーションの上位戦士であるパラディン率いるパトロール隊が多く歩き回っていて領内の賊や獣を毎日狩りまくっているため、比較的安全度は高い。
お腹の中がスッカラカンになって歩けなくなる前にたどり着ける可能性は十分ある。
(それでもどっからか現れる盗賊や肉食のボーンドッグに出くわさなければ、だけどな)
この国はそれなりに武力を持って領内を安定させている。
おそらく治安に関してはまぁまぁマシな方なのだとは思う。
だが同時にオクラン教の教えという絶対の規約がある。
『人間の男は聖『オクラン』を模した存在であり、聖なるものである』
『対して女は堕落の女神『ナルコ』と同じく、悪魔のような存在である』
『聞け、子孫達よ』
『不純で穢れた亜人種はオクランの導きによって生まれ変わらせよ。闇の手に落ちないように』
『女は怠けないようにもっと働かせよ。闇の手によって男達を誘惑しだす事のないように』
と、教典には書かれている。
マジで。
マジでこの通り書かれている。
男尊女卑ここに極まれりだ。
江戸時代とかのレベルじゃねぇぞコレ。
徹底的に女は不浄の者として扱われる。
男に声をかける事すら基本的には許されない。
その時点で誘惑と見なされ、場合によっては即奴隷である。
治安がいいとは言ったがそれは自分が男であるからであって、もし女としてこの地に生まれていたら地獄だったろう。
(ただ、それで国がずっと成り立っているのも確か)
ならば、俺もそれに倣わねばならない。
なにせ自分はホーリーネーションの民。
この国で生まれて育った男なのだ。
(ならば、俺がそうしたところでそれもオクランの導き!)
まずは金を稼ぐ!
最低でも二人の人間を
(なにせこんな娯楽の少ない世界なんだ! 俺の好きにやらせてもらう!)
(行くぞ、俺はこのホーリーネーションで伸し上がって!)
(誰にも文句を言わせねぇ俺のハーレムを作るんじゃい!!!!!)
ぶっちゃけクリアしたと言えるまでプレイした事がなく、拠点で敵勢力を安定して撃退出来る所まで成長させたらなんとなく満足してしまう事が多かったゲーム。
こう書くと駄作っぽく聞こえるかもしれませんがマジで面白いスルメゲーです。
elonaから魔法要素抜いてリアルタイムにしたRPGと書けばいいのかな。
今回の『ホーリーネーションの市民』スタートでのプレイ日記というか記録を小説風にしております。
完全に息抜きの作品なので、超不定期更新になりますがよろしくお願いいたします。