ビビるくらい男尊女卑の世界で俺がハーレム築き上げるまでの物語   作:rikka

10 / 12
010:この世界のスライム・ゴブリン枠(体感レベル10位になるまで実質勝てない)

―― いたぞ、獲物だ!!

―― 捕まえろ! 持ってるもんは全部剥ぎ取れ!

 

 ハブ周辺は野盗の縄張りが絡み合っている場所でもある。

 

 主にホーリーネーションからの逃亡者で構成された、名も無き飢えた野盗集団。

 防具も武装も大したものは持っておらず、個ではそこまで脅威と言えないが、圧倒的な数を頼りに旅人や獣に襲い掛かり、口に出来る物は全て奪い取っていく集団。

 

 そしてもう一つがダスト盗賊団。

 ハブの南東部にある山岳地帯のどこかに拠点を持つと言われる盗賊集団。

 こちらは統一した武装で身を固め、サーベルやクロスボウを手に商隊を襲う立派な賞金首。

 

 スクインを往復する旅に出たイヌ達を執拗に襲い続けたのはそういった者達だった。

 

「イヌ、クロスボウに気を付けろ! 奴ら、ダスト盗賊団だ!」

「まさかスクインの目の前に襲撃キャンプを張るだなんて」

「街を襲うつもりだったんだろうさ!」

 

 ハブ内部に今後の拠点機能を向上させるための研究設備を作る。

 それこそが今のイヌ達が果たすべき主からの主命であり、だからこそ一人も欠けずにここを切り抜けなければならない。

 

「幸い、敵は数が少ない」

「大方シェクの百人衆あたりに斬られたんだろうさ。門の辺りに死体が転がっていた」

 

 ダスト盗賊団はいつも飢えていて武器を碌に振るえない飢えた野盗とは全く違う。

 ある程度は武器を振るえる存在だが、それでもシェクの戦士に敵う程ではない。

 

―― ちくしょう、さっさと斬り伏せてこい!

―― 金目のモンを少しでも回収しねぇとキングがキレるぞ!

 

 もっと数が多い集団だったのだが、その脇をすり抜け走り続けている間にどうやら数が減ったようだ。

 だがその残った連中がしつこい。

 鉄板の入ったバックパックを背負ったスウィフにすら追いつけないのだが、それでもそれでもしつこく追ってくる。

 

「このままハブなり隠れ宿なりに飛び込むか?」

 

 アイスの提案に、イヌは肯定しそうになって――すぐに否定する。

 

「ハブは放浪者の町。確かにシノビ盗賊団の護衛がいるとはいえ、自助救済が基本よ」

「それはスタックやブリスターヒルでも同じだろう」

「その割合が大きいでしょう。厄介者は叩き出される」

 

 隠れ宿の方ならばともイヌは考える。

 

「どうしようもない時は盗賊団の力を借りますが、今回は私達でも対処できます」

「……迎撃するなら、やっかいなのはクロスボウだな」

「私とスウィフで出来るだけサーベル持ちを引きつける。その間にアイスは走ってクロスボウ持ちを斬ってちょうだい」

「やれやれ、無理難題を……っ」

 

 今も追ってきている追手は六人。

 剣を持って斬りかからんとしているのが四人に、時折矢をデタラメに撃ち込んできているクロスボウ持ちが二名。 

 

 この六人を斬れば終わる。

 

 イヌ達はもはや持ち慣れた武器を抜き、足を止めて構えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「つ、疲れたぁ……」

「スウィフ、戻っても水をがぶ飲みするなよ? ここはブリスターヒルの家じゃないんだ」

「分かってるよアイス……」

「……ハブは食料品の補給に難があるのが最大の懸念ですね」

 

 ダスト盗賊団を斬り伏せ、いつの間にか巣を作っていた狼の群れを避けるために遠回りをしてどうにかハブに帰還した三人は疲れ切っていた。

 

「イヌゥ、出る前に食料保管庫に物入れてたよねぇ?」

「魚に米、野菜料理にドライミート、それにブロックフードが確か」

「ミートラップは?」

「贅沢言うな。ちゃんとした料理があるだけで満足しろ」

 

 医療士であるが、同時に時折甘えるような話し方をするスウィフをアイスがたしなめながら、修理したばかりの家へと足を進める。

 

「……空き巣が入ってなければな」

「一応、鍵は掛けたよねぇ」

「ブリスターヒルの建材屋で仕入れた、結構ピッキングが難しい鍵を着けていたので大丈夫とは思いますが……」

 

 ここは警備隊の哨戒などないハブなのだ。

 治安の悪さは相当な物。

 時折飢えた野盗が街の中まで入り込む事だって珍しくない。

 

「? イヌ、どうした?」

 

 そうして小屋までたどり着き、出入り口の引き戸を確認したイヌの手が止まる。

 

「……鍵、開いています」

 

 そしてその言葉を聞いた瞬間、イヌも含めた三人全員が得物を抜く。

 幸い三人とも武器は取り扱いやすい適度な長さの刃物であるため、屋内での戦闘にも支障はない。

 

「イヌ、離れろ。先陣は私が行く」

 

 このグループの中では二人目であるにもかかわらず、剣の腕――正確には継戦能力がもっとも長けている。

 

 空き巣ならば多人数で動くとは思えない。

 もし残っていれば容易く押さえられる。

 

 帰ってきた家主の持ち物を狙っている強盗の類ならば、アイスが耐えている間にイヌとスウィフが踏み込んで畳みかけられる。

 

 そうしてイヌは扉から放し、階段の下へとアイスが引く。

 このストームハウスというタイプの小屋は、土台がしっかりしているために出入口まで階段があるのだ。

 

 アイスは小刀を抜いたままイヌがいた所に立ち、引き戸に手を掛ける。

 イヌが言うように、鍵はかかっていない。

 

 一度振り返ったアイスはイヌとスウィフの二人が頷くのを確認し、

 

「動くな!!!」

 

 バァンッ! と勢いよく扉を開けて、中へと踏み入る。

 そして――

 

「うぉっ!!!?? ……あぁ、アイスか。イヌ達もいるな? ビックリしたぁ」

 

 

「!? ご主人様!!?」

 

 

 

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

 強盗かと思って思わずサブウェポンの刀を握って反応したら、そこにいるのは見慣れた青い髪の美人。

 アイスが呆気に取られた顔に突っ立っている。

 

『旦那様!?』

『え、ズゥ様来てんの!??』

 

 という声に続いてイヌとスウィフも入ってきた。

 

「旦那様! どうしてハブまで……」

「ブリスターヒルの方で色々あってな。で、それを伝えるためにこっちに来たのさ」

「ここまで護衛は……」

「? 付けてないよ?」

「そんな……不用心にも程があります!」

「道中、俺の脚についてこれる傭兵がいなくてね」

 

 いやホント、マシな扱いをしているとはいえホーリーネーションの中ではって言葉が付くのに、随分とイヌには懐かれたものだ。

 まだそれほど経っていないとはいえアイスにスウィフも。

 

「実は、ホーリーネーションで代替わりがあった」

「! っでは、ホーリーロード・フェニックスが?」

「ああ、62世になる事が決定した。多分、俺達が帰る頃には式典終わって新体制に移行するだろう」

 

 俺が出発する直前なんだが、聖伐隊という部隊が改めて編成された。

 要するにシェクを始めとする亜人種――と、ホーリーネーションが見なしている種族を絶滅させるための部隊だ。

 さすがに今すぐシェク王国と戦争になったりはしないと思うが……。

 ホーリーネーションがかなり過激な国に変わろうとしている。

 

「特に、女だけで歩くのがかなり危険になった。ちょっと予定を変更せざるを得ない」

「……スタックにて旦那様がなにかしらの生産業を修業し、売り物になると見た物品を私達が他の町へ売りさばいていくのが当初の予定でしたが」

「下手すれば逮捕されかねない――最悪そのままリバース送りになる可能性を考えると、な」

 

 ちくしょう、三人も囲えている時点で割と人生に満足しつつあったのに、ここに来てその維持がとんでもなく大変な事になるとは!!

 

「まぁ、こう言っては何だが鉱石採掘や消費を通して、ウチはホーリーネーションという国体に対しての貢献率はかなり高い」

「ですが、先日のような密告が――」

「それに関して、教会側も後ろめたい気持ちがあるようだ。一度お前達が働いてナルコの手先である事を公式に否定したのだから、今後は恐らく大丈夫だろうと思う」

 

 実際、一度判定を下したから今後密告があっても重要視する事はまずないと言っていた。

 比較的仲のいいパラディンのビッグスとウェッジが、俺達の外での活動についても意見してくれると言っていたし、本当に厳しくなるとしてもしばらくの間時間も稼げる。

 

「ただ、ホーリーロード・フェニックスのお膝元であるブリスターヒルで、思いっきり多くの女を囲っている俺はいきなり立場が悪くなりかねない」

 

「こうして無事に合流するのが第一の目標。そこで次の緊急計画として――」

 

 

 

「俺はしばらくここで技術の研究をしている。その間にお前達で、スタックの適当な物件を買って整理しておいてほしい」

 

 

「一応挨拶のために一度は帰る必要があるけど」

 

 

「今後、俺達はスタックを本拠点として活動する」

 




じみに傭兵って最近使ってなくて覚えてないんだけど、万が一プレイキャラが負傷で倒れた時って治療してくれるんですかね?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。