ビビるくらい男尊女卑の世界で俺がハーレム築き上げるまでの物語   作:rikka

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003:この世界は一人だと死ぬ。いやマジで

 このホーリーネーションという国で生きる女であれば、誰であれこう言うだろう。

 

 この国は女にとって地獄だと。

 

 女として産まれた時点で、少なくとも父親からは諦められる。

 生んだ母親は「お前がナルコの――堕落の女神の誘惑にどっぷり浸かっているから俺の子が女に産まれてしまったんだ!」と罵声を、時には殴る蹴るの暴行まで受ける。

 

 そうして育った女児は常に父の機嫌を窺わなくてはならず、時には口にするのも悍ましい真似もただただ肯定せねばならず、どうにか家を出たとしても働き口を探す事も難しい。

 店をやっているのは大体男で、その男に働き口の有無を尋ねる事すら厳格なオクラン教徒には禁忌となる。

 

 だから大抵の女は、表からは見えない所で集まり闇娼館を開いたり、結果歩哨に乗り込まれ捕まり、奴隷としてリバースに送られ終わりの見えない採掘作業や夜伽役に従事させられる。

 

 本当に、これが普通なのだ。

 

 真っ当に生きていける手段は適当な男の庇護下に入る事。

 それ以外では外に時折転がっている、歩哨が打ち倒した獣に止めを刺して肉を切り取り焼いて食べ、その生皮を剥いで店に売りつけるくらいだ。

 

「……ふぅ」

 

 イヌ。

 文字通り『犬』と名付けられた女は、そうしてかろうじて生き延びていた女である。

 

 剣戟の音が街の外から聞こえれば覗きに行き、それが盗賊であれば恐る恐る身包みを剥ぎ、獣であれば取られないように急いで肉を取れるだけ取って、他の獣や盗賊に怯えながら焚火を焚いてその肉をあぶって口にする。

 

「まぁ、まずは食事にしよう。腹が減るのは辛い。気楽に食べてくれ」

 

 だから自分が口にするのはほとんどがクズ肉と水ばかり。

 野菜など、時折食べられそうな野草をクタクタになるまで茹でるくらいだ。

 

 こうして目の前に並ぶキチンとした野菜の料理や、肉を丁寧にパン生地で包んで焼いたミートラップなど一度も口にした事がなかった。

 

「……聖なるオクランの兄弟よ、貴重な食料の恵みに感謝を。それで一体この身に何用で?」

 

 ズゥ。

 

 最近このブリスターヒルで噂になっている、まるで女のように働く男。

 その男が、いつも時間を潰している酒場のお決まりのテーブルについている。

 

「なに、単刀直入に言おう」

「? タントーチョクニュウ?」

「……すまない、先に本題を言うねっていう意味だった」

 

 ズゥという男は、ほとんどの雑務を女達に押し付けるホーリーネーション市民とは違いかなり体がガッチリしている。

 

「で、その本題なのだが」

 

 珍しく、蔑む目ではない。

 ホーリーネーションの男特有の嫌な圧がない男だ。

 

「イヌ、君を雇いたい。無論、君さえ良ければ」

 

 その男が、自分に罵声でも命令でもなく、提案をしてきた。

 

「仕事内容は?」

「とりあえず自分の採掘作業の手伝い。採掘はもちろん運搬も手伝ってほしいし、最終的には護衛役も兼ねて色々と覚えてほしいが」

 

 随分とふわっとした内容だが、それでも多忙なのには違いない。

 

(……断ろうと思えば断れる。この男は事前に交渉の手順を踏んでいる。けど……)

 

 この男はブリスターヒルでは新入りにして変わり者だ。

 つまり――目立つ。

 今こうして食事を共にしているだけでも注目の的だ。

 

 男達からは、恐らく女にわざわざ食事を恵んでいる変わり者だという目が。

 それに付き従う妻や召使いの女からは、やや自分への妬みや羨望の目が。

 

 この中で下手に断れば、この街で自分はますます生きづらくなるだろう。

 

「……私を雇うんですね?」

「ああ」

「ならば、3000Catで」

 

 小さく、特に女の人達がザワめく。

 金を提示したからというのもある。

 だが一番気にしたのは、恐らく相場通りの額を提示したことだ。

 

 出稼ぎの果てにこの国に流れ着いた女ならばそう珍しい物ではないが、ホーリーネーションで生まれ育った女はまずそうしない。

 

 雇うと言った時点で最低限の環境は――本当に最低限だろうが保障されている。

 

 無論、実際にそうだという保証はない。

 

 だが、男が雇うと言うのならば雇うだけの環境があると女は信じなければならない。

 

 そしてホーリーネーションで生まれた女はナルコの象徴。

 生活のための金を要求するのはともかく、男と同じ相場を求めるのはまずありえない。

 

「そうか」

 

 普通ならば恐ろしくて出来ないふっかけだ。

 下手な男ならば殴り倒され、あるいはどこかの小屋や物陰まで引きずられて犯され、打ち捨てられる事もあり得る。

 

 この街の新入りだからこそ出来る、ギリギリの挑発だった。

 自分をしっかり養う金を見せなければ、さっさと立ち去れと。

 

 果たして、このズゥという男は。

 

「思ったよりも安かったな」

 

 ズンッ、と。

 大量の銅貨が入った大袋をテーブルの上に出してみせた。

 

「ズゥだ。今日からよろしく頼む」

 

 嫌味の一つも零さずに、平然と大金を――少し上乗せすれば家が買える額を渡してきたのだ。

 

 

 

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

(いやぁ、安い買い物だった)

 

 防具屋の店主に人を雇う時は基本前金。金額はおおよそ3000Catから上で、腕や技術に自信のある奴はその自身に応じて額を上乗せしていくというから、ならば実際の相場は5000Catくらいかと読んでいたんだが。

 

―― カァン。カァン。カァン。

 

 その彼女――イヌという、自分で適当な刃物で切ったのだろうざんばらに短い栗色の髪を持つ家臣一号と共に、こうして採掘を続けている。

 

 正直、上乗せした方がいいのかなぁ。

 飯食った後そのまま採掘手伝ってもらっているけど。

 

―― カァン。カァン。カァン。

 

「イヌ、そっちはどうだ?」

「もう少しで袋五つ分溜まります。このまま採掘を続けますか?」

「……いや、溜めすぎると運搬がキツい。ここは南門からそこそこ離れているし、獣が出ないわけでもない。最低限の量の往復を繰り返そう」

「分かりました」

 

 とにかくは自分も彼女も体力作りだ。

 最初は護衛役に男の家臣団も作ろうと思ったが、男女の揉め事は考えてみるとすごくお断りしたい。

 醜男というわけではないが絶世の美男子というわけではないし、ましてやエロゲーの竿役でもない。

 自分自身も戦闘用意は必要だが、彼女達にも護身の術は身につけてほしい。

 

「イヌ、武器は使えるのか?」

「一応護身用の小刀は持っていますが……正直、碌に振るったことはありません」

「やっぱりかぁ……」

 

 というか、この世界では武器の扱いがほぼ必須だ。

 街の中に仕事がない俺達は特に。

 

(となれば、大怪我覚悟で何度か実戦を繰り返して、武器を使える身体にするべきなんだろうなぁ)

 

「ん、よし。五袋溜まったか」

「では、私が倉庫まで運んできます」

「いや、俺が――」

「待遇が良い事を明らかにしているのです。ここで貴方に荷物を持たせたら、最悪審問官に捕まります。紛失していた聖火の経典まで買い与えてくださったのです」

 

 

「雑務に関しては私にやらせてください」

 

 

 にしてもこの子、すっごい真面目だなぁ。

 初手から大当たりを引いたんじゃないか? 可愛いし。

 

 

 

 ………………………………。

 

 

 

 

 夜の扱いに関してはどこで踏み込むかな。




ズゥ君は『危険な事は出来るだけしないクソガキご主人様RP』の主人公なので、冒険面ではイヌが主人公っぽくなるかもしれぬ

そしてSS風のプレイ日記を書くならと見せ場を作りにちょっとフォグアイランドまで





戦闘スキル平均30でフォグアイランドはちょっと無理があった……
単体はともかく数の暴力やべぇ
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