ビビるくらい男尊女卑の世界で俺がハーレム築き上げるまでの物語 作:rikka
「アイス! 側面からボーンドッグが来てる!」
「分かっているスウィフ! 私の後ろに!!」
枯れ果て、砂嵐が吹雪く荒野に獣の唸り声と剣戟の音が響く。
ブリスターヒルからの本拠地移転が決定し、そのためにもイヌ達は自ら獣に戦いを挑み、傷だらけになりながらも確実に力を付けていた。
そうして
ハブに拠点を築け、と。
「くそ、まだスタックにも辿り着いていないのにボーンドッグの群れにかち合うとは!」
「スウィフ! 私とアイスが殿を務めるから貴女はスタックの中まで逃げ込んで!」
「わ、わかった!!」
「アイス!」
「分かっている、彼女が一番大きい荷物を背負っているんだ。追わせるわけにはいかない」
入念な情報収集の結果、現地を管理している盗賊団と話が着けば建築物の所有が可能になるという話を聞き、ズゥはその日から建材を買いためるのが日課になっていた。
イヌ達が
一人でひたすら鉱石を掘り、貯めては売り、その資金で食料と医療品を補充し、今後の計画に必要な物も並行して買い貯める。
双方に信頼があって初めて成り立つ関係をズゥは必死に維持し、イヌ達は応えようとしている。
だから――
「旦那様が買いためた建材や鉄板です! 万が一にも失うわけには!」
スウィフ目掛けて飛び掛かろうとするボーンドッグを、イヌが手にしたサーベルで叩き落とす。
砂嵐で視界が塞がれている間に、運悪くその巣に近づいてしまったための遭遇戦。
そのため三人共に思わぬ攻撃に初手から負傷してしまうが、最も重い荷物を背負うスウィフが、両足を守り切ったのが不幸中の幸いだった。
「走って! スタックまで!!」
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
(イヌ達は大丈夫かなぁ……)
ブリスターヒルからの引っ越しを決めて俺がやったのは、必要になるだろう物資の購入と並行してひたすら『貯蓄』する事だった。
これから先を考えると、単純に家を買って生活環境を整えるのと同時に製業を始めるための
設備は当然だが、それを使って売り物になるまでの物を作れるまでの間の原料費や生活資金。
大勢を養うと決めているのだ、金策に関しては考えに考え抜く必要がある。
とはいえ、現状ではこうしていつものようにピッケルを振るって鉄鉱石を掘り出し、いつものように売りさばく事しか出来ない。
(スタックで小屋を買えば、引っ越すつもりだろうと察した連中がどう動くかまだ分からん。だから、万が一に備えて逃げ込める場所としてハブでの拠点確保は絶対だと思ったんだが……)
スタックはぶっちゃけ、寝泊まりするだけならば拠点はいらないのだ。
あそこは手ごろな値段の宿屋が豊富だし、金さえあればどうにかなる。
(もし変な方向に暴発したら、シェク王国に逃げ込む算段だけど……)
クロスボウに頼る自分が散々馬鹿にされそうだが、徐々に強くなっていっているイヌ達ならば大丈夫だろう。
加えて更に力を付ければ、
(とはいえ……ハブまでの道が危険なのも事実なんだよなぁ)
一対一ではもはや野盗程度には負けないだろうが、奴らの力は数だ。
本人らは逃げ足には自信があるから大丈夫だと言っていたし、実際追いかけっこで野盗程度に追いつかれるとは思わん。
「……今は信じるしかないかぁ」
とにかく今は頑張って鉱石堀りだ。
イヌ達がぶっ倒した
「金は渡したし、持たせられるだけの資材も持たせた。ついでに作ってほしい設備の設計図も」
問題は無事にたどり着けるか。
そして物資が足りるかだなぁ。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「……っ……うぅ……」
「イヌ、大丈夫か?」
「えぇ……幸い、骨折までは行かなかった。とはいえ、しばらくはスタックで足止めね」
スウィフを逃がすためにイヌとアイスは、その後ジリジリと巣から遠ざかりながら全力で戦うも
幸いだったのはボーンドッグがすでに満腹だったのか倒れた二人を捕食せず、その場で眠り出した事。
スタックまで逃げ込んだスウィフが真っ先に確保した宿に、運よく傭兵の集団が来ていた事だ。
少し前ならば大金だった2000Catの契約金も、今のイヌ達には自由に使える金額である。
すぐさま契約したスウィフが彼らを引き連れ二人の側にいたボーンドッグを蹴散らしたおかげでスウィフが無事二人を回収することが可能になり、どうにかスタックの宿で身体を休める事が出来ている。
「ムゥっていう傭兵団の団長に聞いたけど、ちょうどブリスターヒル~スタック間にオオカミの巣が大量発生したらしいって」
「運が悪かったか。……いや、それで命があったのは運が良かった」
「……
イヌは右足を、アイスは両腕を負傷している。
スウィフはもっとも軽傷だが、それでも左腕がボロボロだ。
雨除けのテントこそあるが、それでもふきっ晒しの宿の屋上のキャンプベッドの上で、少しでも熱を逃がさないように掛布団を深く被って三人は生きている事に安堵する。
「とはいえ、肉と生皮を回収できたおかげで雇った金もほぼ回収できたのは有難い」
「ええ。十分なお金を預けられていますけど、それでも目減りするのは心苦しかったです」
ズゥはこのグループで稼いだ金を、基本的に共有財産として個人が好き勝手に使っていい事にしている。
イヌ達からすれば勘弁してほしい所ではある。
主人の物でもある財布から好き勝手に使うなど、売買そのものを恐る恐る行わなければならないからだ。
とはいえ、こういう緊急事態で豊富に金が使えるのは正直助かる。
ひとえにズゥが、こういう使い道だったと説明すれば大体納得して『もっと使っていい』と言う男だと三人が理解してきたのもある。
「でも、あれだね」
詰めるだけの建材と鉄板でギッシリしていたバックパックを背から下ろし、だが盗まれないように横になって抱きしめているスウィフがボヤく。
「強くなっているのは自分でも実感しているけど、頭数が欲しいよね」
「……ですね。ええ」
ズゥは女好きだ。
だからこそ自分達はその庇護下に入る事が出来たのは理解しているし、実際女だけのチームという事で安心できる事も多い。
「スウィフはイヌが雇ったのだろう? イヌ、君はご主人様から人材の登用権を?」
「ええ、一応頂いておりますが……」
「……ズゥ様の事だから、女だけ?」
「まぁ、……はい」
「身をもって知っているけど好きだねぇ、ズゥ様」
ただ、時としてそれが枷となる事があるのも確かだった。
「とはいえ、下手に男性を引き入れても面倒な事になりかねないのは確かだろう」
「ま、そうだね。それまで実質自由民だったのに、ホーリーネーションで市民権を得た途端に横暴になる男なんて珍しくない」
最低限の仕事をすれば、ホーリーネーションで男は市民権を得られる。
そうして市民になった男は、女を労働へ従事させ管理するのが仕事に数えられるようになる。
「……今の所ホーリーネーション領でフリーの女は大体雇ったのだったな?」
「ええ。もし人材を探しに行くとしたら……」
「ウェイステーション? とはいえ、わざわざホーリーネーションの男の下に付こうっていう女がいるかどうか」
イヌもアイスも、スウィフの言葉に曖昧に頷く。
確かにホーリーネーションの女に対する扱いの悪さは広く知られている。
「とはいえ、行き場のない女が身売りも兼ねてどこぞの酒場にたむろしているのは珍しい光景ではない。だろう? イヌ」
「ええ、そうですね」
だが、それ以外の場所で女が普通に生きていけるかというと話は別だ。
地獄だと分かっていても縋る女がいてもおかしくない。
「……とりあえず、ご主人様の言いつけ通り『ハブ』に拠点を構えましょう」
「最悪頼まれていた
「ええ、キャンプベッドを敷いておけばとりあえずの寝床としては機能しますし」
ズゥから渡されたのは、かなり緻密に記された作業台――大型研究台の設計図であった。
これを作った上で、建材屋や交易店などでたまに売られている、家具や道具を自主制作した人間がそれを書き記した書籍を買い集めて研究台の中の保管場所にしまっておいてくれ。
それが三人の主人であるズゥの言い付けだった。
「実際、この作業台は大事だよね。この前迷い込んだオクランシールドでもらった医療品の設計図も、しっかりした台の上で材料と手順を確認しながら練習しないと理解しきれない」
剣を振るうための敵を求めてブリスターヒルの周辺を歩き回っていた時に迷いこんだホーリーネーションの東の果て、都市連合からの侵入者を通さぬオクランの盾。
偶然たどり着いたその地の軍医と医療知識のあるスウィフは意気投合し、快く貴重なレシピを譲ってくれた。
だが、現状ではそのレシピの数々を活かせない。
「……スウィフ、貴女の怪我が治ったら店を回って建材や鉄板、出来れば布も集めていてくれないかしら?」
「わかった。でも、布も?」
「包帯にせよベッドにせよ、作れるようになってから集めるのは手間でしょう? それに――」
ブリスターヒルもそうだが、このスタックも物資を売買で手に入れるには最適な町である。
稼ぐ方法さえあれば、良質な武器以外の大抵のものが容易く手に入る。
「先に南部まで探検したズゥ様曰く、あの周辺は特に布が手に入らないらしいわ」
対して、もしハブを本格的に開発するならばその資材のおおよそを外から持ち運ばなければ碌に設営は進まないだろう。
いかにして
のんびり進行で申し訳ないですが、プレイ日記風ということでどうか一つ……
このゲーム、この序盤が一番楽しいんですが同時に物語にするのが難しい場所でして……
Kenshiも自由にあれこれできますが、捕まえた捕虜を解体して臓器売買金策ができる名作RTSゲーム『RIM WORLD』もヨロシク