ビビるくらい男尊女卑の世界で俺がハーレム築き上げるまでの物語   作:rikka

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009:鉄鉱石が掘れるんだから研究進めれば鉄板もすぐ作れるべ。勝ったな、ガハハハハハ。設備を入れる小屋を買っておくか

「スウィフ、建材はまだあるか? この部分の壁が相当傷んでいる。一度崩して煉瓦を敷き直さないと、いつ壊れてもおかしくない」

「建材はあるけど、相当減っちゃったね。……後でご飯買うついでに建材が仕入れられてないか確認しとくか」

「この街は飢えた者が多い。シノビ盗賊団の警備員がいるとはいえ、食料を買うなら念のために全員で行きましょう」

 

 イヌ達三人はスタックで身体を十分に休めてからその足でハブへと到着。

 故買屋を兼ねた酒場にて最低限の補充をしようとした時、シノビ盗賊団の方から接触を受けた。

 

 思えば当然の事だった。

 ホーリーネーションの、それも明らかに身綺麗な女三人が現れたのだ。

 この地を管理する者としては警戒に値する。

 

 とはいえ、イヌ達からすれば含む物は何にもない。

 一般人として、この地に拠点が欲しいというだけの話だ。

 

 シノビ盗賊団としても、この地にある程度金なり物を落としてくれるというのならば拒む理由はなかった。

 

 4800Cat。

 壊れかけているとはいえ大きな小屋――ストームハウスと呼ばれる屋上まで使用できるタイプの小屋の代金としては妥当な金額を支払い、ホーリーネーションの軍勢が何度も制圧しては手放すことになった不気味な町の中に、ズゥという男の拠点が完成した。

 

 正確には、完成しつつある。

 

「イヌ、研究台の方はどうなってる?」

「こっちも並行して組み立てているけど……こちらは確実に資材が足りないわ」

 

 下手な男よりも鍛えているとはいえ女手のみ。

 その修復には時間がかかっており、またズゥが命じた大型研究台の作成も行わなければならないために手間取っていた。

 

「こっちも建材か?」

「いいえ。……石造りの物じゃちょっと不安よ。これには鉄板が必要だわ」

「……鉄板か」

 

 スタックを出発する前に必要になりそうな物は一通り交易商や建材屋で購入していたが、その中で優先したのは建材だった。

 

 当然だ。ハブが廃墟だらけというのは、事前に立ち寄っていたズゥがその目で確認しており、その情報は全員で共有している。

 

 であれば修理に相当な資材が必要だろうと考えるのは当然であり、そのために建材をバックパックに詰めるだけ詰めるのも当然であった。

 

「あそこの店だけで足りるか?」

 

 ハブで営業している酒場は、ホーリーネーションの一般的な酒場に比べて多種多様な品を取り扱っている。

 一般的な食料から交易品、果ては武器まで。

 今ズゥが手にしているクロスボウとその弾もここで購入したものだ。

 

 だが。

 

 品の種類は多くとも、だ。

 

 その質と量は僻地らしい乏しさである。

 食料も多く揃えているわけではなく、他も似たり寄ったりだ。

 

「……ええ。三枚も売りに出ていれば運が良い方でしょうね」

「ハブの外に似たような店舗を兼ねた逃亡者の隠れ家があったけど、あそこは?」

「似たような物でしょう。一応顔は出してみるけど、アテにするわけにはいかない」

 

 イヌは口元を手で覆って考える。

 鉄板が確実に手に入るのはスタックだ。

 スタックまで再び走り、鉄板を買い集めればいい。

 

 ただ、ここに来る前にすでに鉄板は可能な限り買っており、在庫はかなり少なくなっていたハズ。

 補充していれば買い足せるだろうが、無駄足の可能性も十分にある。

 

(無論、再度仕入れるまで待つという手もある。多少長引こうとも、その間の宿と食事の代金には十分なお金を預けられているが……)

 

 主人であるズゥの引っ越し計画を考えると、今この三人がズゥが側にいない状況で目立つ事は避けたい。

 そもそも彼の引っ越し計画は、無論ズゥ自身のためでもあるが自分達三人を守るための意味合いが大きい事をイヌ達はよく理解していた。

 

「とりあえず、この家の修理だけは何とかなりそうなんだ。これを終わらせてから行動開始といこう」

「どこに?」

「近くにある、そういう者が買える町は一か所しかないでしょう」

 

 オクラン教の敵ですが、と前置きしてイヌは修理の後の行動を決定する。

 

「シェク王国領スクイン。製鉄業が豊富なあの街ならば、十分な量の鉄板をすぐに補充できるでしょう」

「なるほど、確かに」

 

 スウィフはイヌの言葉に頷き、修理されつつある家の中を見回す。

 

「んじゃ作業急がないとね。キャンプベッドはともかくとして研究台と……出来れば食料保管庫は設置しておきたい」

「この町の中で大丈夫か?」

「一応ここはアタシらの小屋ってシノビ盗賊団の人達も認めたし、鍵をかけておけば盗まれる心配は減ると思うよ」

 

 一番怖いのは食料を直接持っている事だろうと断言するスウィフの言葉に、イヌとアイスは確かにと頷く。

 この辺りではわずかでも食料の匂いを嗅ぎ取ったら襲い掛かってくる、痩せ細った野盗がいくらでもいるのだ。

 

「ズゥ様もここは拠点としても使えるようにしたいと言ってたし、資材が多めに回収出来たら作っといた方がいいでしょ? 別に今すぐ主要拠点にするわけじゃないし、ちょっと貯蓄出来れば十分だからさ」

 

 ね? というスウィフの言葉に、残る二人は顔を見合わせる。

 

「……まぁ、一理あるか。どうする、イヌ」

「そうですね。それくらいならばいいでしょう。どうせ室内灯も設置する必要がありますし」

 

 ここへの滞在は少し長くなりそうだと、イヌは少し疲れた肩を軽く回しながら息を吐く。

 

「とりあえず、壁の補修だけでも終わらせて皆で食事を買いに行きましょう」

「ミートラップは置いてあるかな……」

「贅沢を言うな、スウィフ。ここはご主人様の膝元ではないんだ」

「だよねぇ」

 

 ここはハブ。

 ズゥがいるブリスターヒルからは遠く、審問官の目は届かないがそれゆえに治安の悪さが付きまとう地だ。

 

「仕事を終わらせたら、家に帰ってのんびりしたいな……」

「……それには同意する」

 

 

 

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

「代替わり?」

「ああ、内での儀式はもう終わって、今度式典があるからブリスターヒル民は出席しろとのことだ」

「そりゃ、そんな大事ならばそうだろうさ」

 

 ホーリーネーションでの男の大事な仕事は、意外だが情報交換である。

 酒場なりなんなりで出会った男や歩哨らと雑談を交わして周囲の状況を正しく認識しておくこと。

 これを怠るととんでもない事が起こる事がある。

 具体的には、先日俺の留守中に起こった労働徴収とか。

 

「となると、ホーリーロード・フェニックス62世になられたのか」

「あぁ。先代の61世は(まつりごと)に長けていらしたが、その御子様である62世は戦士として相当鍛えられているらしい。俺らみたいな一般の歩哨は会わないが、上級パラディンらは実際に手合わせを許され誰も敵わなかったとか」

「……ってことは、あの『十字架』も容易く振れるんだろうな」

 

 この国の歩哨はともかくとして、パラディンクラスの上級戦士となると手にする武器が決められる。

 パラディン・クロスという馬鹿でかい大剣だ。

 斬ると言うか、もうほぼ殴り殺すための武器。

 ホーリーネーション内の武器屋でも売られているんだが、これを完璧に使いこなすには相当な筋力が必要になる。

 

 ホントにホーリーネーションは!

 もうちょい振りやすい武器も仕入れてくれよ!

 おかげでイヌ達の装備が全然更新できない。

 イヌはサーベル、残る二人は刀を装備しているが質がいいとは言えない。

 

 本人らは命令とあれば鍛えて振ってみせると言っているが、君らの筋肉は程々でいいんだよ。

 

「なんだ、ここでズゥと飲んでたのか?」

 

 いわば王様の代替わりという大事な話を耳にした時、違う歩哨が声をかけてきた。

 大体週替わりで奢り合いをしている飲み仲間の一人だ。

 

「なんだ、ポウか。言っておくが酒じゃねぇぞ?」

「分かってるよ、ズゥがこの時間に酒の誘惑を振りまくものか。それより、ホーリーロードフェニックスより勅令書が出たぞ。目を通しておけ」

 

 ポウというその歩哨が渡した紙を受け取った我が呑み仲間はその紙片に目を通し、顔をしかめる。

 

「ズゥ」

「ん?」

「読んどけ」

「いいのか?」

「お前は知っておくべきだろう」

 

 勅令書を持ってきたポウに目を向けると、彼も頷いている。

 

 嫌な予感がする。

 その紙を受け取り、目を通す。

 

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼

 

『我らが父祖オクランの王国は放蕩と色欲に蝕まれている』

 

『異国の女が自由に歩くのみならず、資源を奪っているのだ。金、銀、鉄……これらは虚飾のために身に着けるものではない。世界に秩序をもたらす道具に用いるべきものなのである』

 

『宝飾品を身に着けるか、後見人なく出歩く女は発見次第悔い改めるまで鞭打ちに処すべし!!』

 

『ホーリーロードフェニックス62世より』

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼

 

 

「…………」

 

 後見人なく出歩く女は発見次第悔い改めるまで鞭打ちに処すべし?

 

 …………。

 

 後見人なく???

 

 …………。

 

 これいつから施行されるの!?

 まさか今この瞬間から!!?

 

「すまん、金は置いていくから残りは好きに飲んでくれ。なんなら他の連中とも飲めばいい」

「迎えに行くのか?」

「ああ。ただ、すれ違いになる可能性も十分にある。悪いが先にイヌ達が戻った時は――」

「イヌは知っているが、残る二人は聖火の経典を?」

「当然。俺の女なんだ。そこらはしっかりさせている」

「……だな。分かった。歩哨連中やパラディンにも話を通しておく。……取り調べはやらなきゃならんだろうが、聖火の経典を持っていれば大丈夫だろう」

 

 ちくしょう! 脳筋君主になった途端にこれか!

 今まではなぁなぁだったけど、これは本格的にオクラン教の教義に厳格な国家になるかもしれん。

 

 このままだと黙認されていた乱交や裏の商売女も取り締まられそうだな……。

 女は怠惰な者として扱うのは変わらないが、オクラン教本来の教えでは肉欲に溺れすぎるのもアウトだ。

 今までの王様――というかホーリーロードはそこらへん黙認していてくれたんだが……。

 

(いやいや、今はとにかくイヌ達の安全を確保しにいかねぇと!)

 

 これで万が一にも三人が鞭打ち刑にでも処されたら反逆計画スタートだわチクショウ。

 

(荷物は最小限でいい。とにかくハブまで一直線に!)

 

「もしイヌ達に先に出会った時は、家で大人しくするように言っておいてくれ」

「あぁ、わかった。……お前こそ、護衛は大丈夫か?」

「俺やイヌ達の脚の速さは知っているだろう?」

 

 

「生半可な兵士の脚じゃあ、すぐに置いていってしまうんだよ」




皆から色んな攻略法や金策聞いてると、聖剣みたいな難しいスタートでやり直したくなってくるな
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