球詠 「野球って楽しいよね!」   作:てこの原理こそ最強

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オリキャラがちゃんと登場します


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詠深達が入学して3日目。昨日までキャッチボールや芳乃のノックがいいとこだった練習が怜と理沙が入ったおかげで格段に向上した

 

詠深と珠姫は相変わらずピッチング練習。初心者の息吹に関しては怜がつきっきりで身体作り。他はバッティング練習など本格的な練習ができるようになっていた

 

そしてそこへ詠深が2人の入部希望者を連れてきた

 

「部長。あんまり威圧しないように」

 

「わ、わかってる!」

 

昨日のことがあってか菫が怜に入部希望者に対しての第一印象を気をつけるようにそれとなく注意する

 

「2年主将の岡田です。まずは軽くポジションとか自己紹介してもらっていいだろうか」

 

「はい!大村 白菊と申します!中学までは剣道をしていて野球は初心者なのでポジションなどは...」

 

「へー剣道かー。なんでまた野球を?」

 

「個人競技以外もやってみたくて」

 

「あれ?大村さんどっかで会ったことある?」

 

「いいえ、ないと思いますが...ひゃっ!」

 

「剣道か〜。さすが鍛え抜かれた足してる」

 

「こら芳乃!」

 

経験者初心者問わず芳乃のボディチェックは入るらしい

 

「じゃあ次、そっちの子いいかしら」

 

「中村 希。ポジションはファーストと外野。でもここに入部する気は...」

 

「中村さんてもしかして左打ち?」

 

「え、うん」

 

「お手手見ていい?」

 

「え?」

 

芳乃のお願いに困惑しながらも手を差し出す希

 

「やった〜!ウチ左打者1人もいないんだよ。新しい豆だ!春休みもバット振ってたんだ〜」

 

「始まったわね...」

 

「あはは...」

 

「それじゃあ体験入部ってことでマシンバッティングでもしてみましょうか」

 

「いいんですか!?」

 

「着替え持ってる?」

 

「はい!」

 

「じゃあ部室の鍵渡すから着替えてきてね」

 

「わかりました!」

 

(これからバッティングセンター行こうと思ってたし、ちょうどいいや。お金も浮くし)

 

やる気満々の白菊に対し希はそこまでノリ気ではなさそうだった

 

 

 

 

「じゃあ経験者の中村さんからやってみましょうか」

 

「頑張れー!」

 

「お願いします」

 

着替えてきた2人を案内し早速打席に立ってもらった

 

「じゃあお手並拝見なー(ひっひっひ!ボールの速度は県内1の久保田さんに合わせてる。経験者らしいがいきなり打てるわけないっしょ!)」

 

カーン!

 

「ひぃっ!」

 

「ジャストミート!?」

 

「イェーイ!」

 

「す、すごいじゃない中村さん」

 

「別に。マシンは慣れとーけん」

 

「(慣れてるとは言っても初見から打つか普通...)じゃあもう1球行くぞー」

 

カンッ!

 

「ひぇっ!またー!?」

 

「何者なの...?」

 

「すべて芯で捉えてる...」

 

(しかも全部ピッチャー返し。狙ってやってる!)

 

全員が驚くように希はマシンからの球をすべてピッチャー返しに打っていた

 

(こんなすごい選手ノーチェックだったなんて!一生の不覚!)

 

「はぁ」

 

「中村さん!中学はどこのチームだったの!?」

 

「箱崎照葉。福岡の」

 

「福岡!野球大国!」

 

「どうりでチェックリストにないわけだよ。もしかして野球留学生?」

 

「ちがっ!」

 

「驚いたな。ウチの学校がまだ県外から取ってたなんて」

 

「違うよ!埼玉来たのは親の転勤で。ホントは全国目指せるとこに入りちゃたかったけど、ここの野球部のこと全然調べんで入学しちゃったけ。中学のみんなと約束したのに...全国で会おうって...」

 

「全国...」

 

(このチームじゃ現実感ないわね)

 

「全国か...ガールズチームで全国経験のある珠姫はどう思う?」

 

「ちょっ、私にフラないでくださいよ...」

 

(え、この子が全国...?)

 

「ここは参謀の芳乃ちゃんから」

 

「このチームのレベルってこと?う〜んそうだな〜」

 

(ここでもすごい選手は入ってくるったい)

 

急に全国の話になり芳乃は現状の野球部を分析する

 

「2人が入ってくれたとしてベスト4くらいじゃないかな」

 

「またまた〜」

 

「それはナメすぎじゃないかしら...」

 

「ナメテナイヨ。ソッチコソ自分ヲ過小評価スルノハヨクナイヨ...」

 

「そ、そうね...」

 

野球のことになるとガチ勢な芳乃に失言をした菫は目からハイライトがなくなった芳乃から圧をかけられる

 

「もっとも3ヶ月みっちり練習して、運も良ければの話だけどね」

 

「(なんでかいな...この子の言葉は信用していい気がする)じゃあ1年後はどうなるかいな!?」

 

「そんな先のことわからないよ〜」

 

「優勝できるんじゃないと!?」

 

「他の学校の事情もあるし〜」

 

さっきまで入部するかすら怪しかった希はなぜかわからないが芳乃の説得力に心惹かれ全国に行けるか大興奮だった

 

「大村さん初心だったわよね。スイングとか大丈夫?」

 

「はい、一応...」

 

「ならやってみましょうか」

 

「お願いします!」

 

話が逸れたが今は体験入部。初心者である白菊も打席に立ってみる。普通なら球に当てることすら難しいのだが...

 

カーッン!!!

 

ネット直撃のホームランを叩き出したのだった

 

「バットに当たりました...すごくいい感触...!」

 

「うそっ...」

 

「当たったなんてもんじゃないわよあれ...」

 

「なんで初心者が!私でもあんな飛ばしたことないのに!」

 

「次!お願いします!」

 

しかし最初の1発以降球に掠りもしないスイングが続いた

 

「あ、当たりません...」

 

「なんだー最初のはまぐれかよ」

 

「そのようです...」

 

「思い出した!大村 白菊さん!剣道の道場の娘で全国大会優勝ってテレビで観たんだ!」

 

(全国優勝!?)

 

「すげー!」

 

「でも、そんなに強いのに続けなくていいの?」

 

「はい。元々は野球がしたかったんです。高校野球の試合をテレビで観てすごく感動して!あと野球漫画も好きで。でも家柄的に難しくて...。ただ剣道で1位を取ればと母が許してくれまして、なので去年までは剣道に尽くしました。野球は高校からですけどよろしくお願いします!」

 

「入部してくれるの!?」

 

「はい!」

 

「やったー!」

 

「よろしくなー!」

 

「ねぇねぇ希ちゃん!白菊ちゃん!」

 

「はい?」

 

「ん?」

 

「私ピッチャーなんだ!」

 

2人の凄さに感化されたのかピッチングマシンを退かしマウンドに立った詠深が数球あの球を放った

 

「なに今の!?」

 

経験者の希からしたら見たこともない軌道の変化球。全国経験者の珠姫となんでか説得力のある芳乃の存在も相まって希の中での新越谷野球部のレベルが一気に上がった

 

「バンバン打って私を援護してね!」

 

「はい!頑張ります!」

 

「希ちゃんは!?入部してくれる!?」

 

「えっと...いいよ」

 

「やったー!」

 

「でも、入るからには一緒に目指してほしいっちゃけど。全国を」

 

『おー』

 

「それから、白菊ちゃんには負けんけんね!」

 

「えー!?」

 

「これで!」

 

「人数も揃ったし!」

 

「よーっし!全国目指すぞー!」

 

また新たに2人仲間が増え、目標も全国に決まった。みんなが頑張る姿勢を見せるも珠姫だけ表情は曇っていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

希と白菊が入部してから3日。練習後に珠姫が詠深に話があると呼び出した

 

「どうしたの珠ちゃん?」

 

「詠深ちゃんは、どこまで本気なの?」

 

「それって全国のこと?」

 

「うん」

 

「正直に言っていいの?」

 

「うん」

 

詠深は一呼吸置いてから珠姫の質問に答えた

 

「結構本気だよ」

 

「え...」

 

「あ、1回戦敗けのやつが何をって思ったでしょ」

 

「思ってないよ!」

 

「あはは。うん、確かに実績はない。でも、私今が一番野球を楽しんでるんだ。珠ちゃんやみんながいて。好きな人達と一生懸命やりたい。あわよくば試合に出てたくさん勝ちたい。そんなスタンスかな私は。それじゃダメかな?」

 

「...。ダメじゃないけど、私ホントは高校で野球をやるつもりはなかったんだ」

 

「えっ!?」

 

まさか珠姫も自分と同じように野球を辞めようとしていたことに驚く詠深

 

「ガールズ時代勝つことが目標だったからものすごく練習して。楽しいってことより必死でやってんだ。でも入学式の時詠深ちゃんとキャッチボールしてすごく楽しくて、やっぱり野球のことが好きだって再確認した」

 

「珠ちゃんも...」

 

「だから私は楽しくできればいいやって思ってたの。もしあのまま部員が集まらなくて4人だけだったとしてもキャッチボールできるだけの部でもいいかなって。頑張ってる間に野球が楽しくなくなったり、頑張ったのに1回戦で敗けちゃったり」

 

「それって私だよね?」

 

「そういうのは中学で辞めたはずだったの。でもいつの間にか9人集まって全国目指すことになって、いつの間にか私本気になってる。やるからには中途半端にしたくない」

 

「それは珠ちゃんが知ってるからでしょ。みんなで勝った時の味を」

 

「そうだね。勝ってみたい、このチームで。私も好きだから!」

 

入学時詠深と同じ気持ちでいた珠姫。しかし珠姫も詠深と同じように今は違う気持ちだった。そのことを詠深と共有したかった。勝つために

 

「とにかく!これから練習もきつくなるんだから詠深ちゃんがついてこれるかって話だよ!」

 

「あれれ〜?もしかして心配してくれたの?」

 

「...まぁね」

 

「ありがと。でも大丈夫。今は帰らずにずっと練習してたい気分なの。それで勝てたらどんだけ嬉しいことだろうね!だからさ!連れてってよ!私を!全国に!どんな辛い練習もやってみせるからさ!」

 

「そうだね。一緒に行こう!」

 

2人は手を取り合い改めて全国を目指すことを決意した

 

「口では言えるけど実際やることたくさんだよ。クイックとか配球とか」

 

「イェッサー!」

 

「あと身体作り。今の2倍はやらないと」

 

「えー...」

 

「息吹ちゃんと一緒になるように調整するから。あの子も足腰足りてないし。芳乃ちゃんとも話さないと」

 

「呼んだー!?」

 

「芳乃ちゃん!?それにみんなも!」

 

そこへどこからともなく芳乃、息吹、希の3人が現れた

 

「自主トレでランニングしてたんだ〜」

 

「ど、どこから聞いてた...?」

 

「い、今来たところよ...」

 

「「...」」

 

「それより練習の話しよ!」

 

伊吹の演技が下手すぎてさっきの会話が聞かれていたことを察した詠深と珠姫は顔を赤くするが、そんなことお構いなしに芳乃が話しかけてくる

 

「すいませーん!通りまーす!」

 

「あ、すみま...」

 

そこへ道を空けてほしい声。その声を聞いた全員は素早く端に移動したのだが、息吹が謝罪の言葉を言い終える前に通過して行った

 

「えっ!速っ!」

 

「すごいねー。プロのランナーの人かな」

 

「でも女の子いたと思っちょーけど」

 

さっきまで息吹達が走ってたスピードとは段違いで走り抜けて行った人達が少し気になったが時間も遅くなってきたので解散となった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、先生だ!こんちゃー!」

 

「お疲れ様です先生」

 

『お疲れ様です!』

 

「お疲れ様ですみなさん。なかなか顔を出せず申し訳ありません」

 

今日も練習を始めようというところで藤井先生がやってきた

 

「今日はみなさんにお伝えすることがありまして。どうぞこちらへ」

 

「誰?」

 

「男の人?」

 

「それにきれいな子が2人。新入生かしら」

 

「誰なんだろ?珠ちゃん知ってる?」

 

「ううん。でもどっかで見たことあるような」

 

「はわわわわ...!」

 

藤井先生に案内されグラウンドに入ってきたのは身長180cmほどの若い男性と新越の制服を着た見慣れない女の子2人だった

 

「ご紹介しますね。こちら大庭 蓮さんです」

 

「初めまして。大庭 蓮です」

 

藤井先生から紹介された男性、大庭 蓮は軽くお辞儀をする

 

「大庭さんには休日のみとなりますがコーチの方をお願いしようと思っています」

 

「コーチ?」

 

「ちょっと待ってください先生。大庭 蓮って...」

 

「大庭さんって!あの甲子園の韋駄天と呼ばれた大庭 蓮選手ですか!?」

 

「その変な異名まだ生きてたんだ...」

 

「かっこいいじゃん。ねぇ葵」

 

「だよね茄子。お兄ちゃんぐらいだよ気に入ってないの」

 

「だって恥ずかしいだろ。あぁすみません。確かにそんな異名を付けられた大庭 蓮で間違いないです」

 

「やっぱりー!」

 

「あのー、無知を晒すようで申し訳ないのですが...大庭さんとはすごい選手だったのでしょうか?」

 

「えー!?白菊知らないの!?ニュースにもなってたじゃない!」

 

「野球テレビで見てたって言ってなかった?」

 

「すみません。女子野球しか見てこなかったもので...」

 

「大庭 蓮選手。高い出塁率と盗塁率を誇った一昨年の男子全国大会優勝、新栄高校で不動の1番だったすごい人なんだー!サインお願いします!」

 

「えっと...」

 

「サインは後にしてもらいましょうか芳乃さん」

 

「はっ!すみません!」

 

「あははは...。改めて休日のみにはなりますがこちらのコーチを頼まれました。妹達共々よろしくお願いします」

 

「「お願いします」」

 

新越谷高校野球部はまた新たに部員2名、そしてコーチを獲得したーーー

 

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