「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙きもおおおおおい!!!!!!」
ある日突然、庭で美鈴のそんな叫びが聞こえた。
「なになになに!?」
横でテンパるリタ、大急ぎで様子を見にいくスア。そして紅茶を私の顔に吹き出すお嬢様。
え?なんでお嬢様がいるのかって?たまには良いでしょう?とのこと。
私も庭の方へ向かった。(もちろん汚れを落としてから)
「美鈴どうしたの!?」
「むっ、ムカデ!ムカデがいますー!!」
ムカデ…?あぁ、そういえば龍ってムカデが苦手なんだっけ?私の生前の知識は案外役立つね!(しょうもないことしか覚えてません)
みんなムカデと聞いて天井に張り付くように飛び退いた。みんなそれだけ嫌いだったみたいだ。
私達がいろいろな場所に張り付いて、どうしようか考えていた時、ふと誰かが庭に入るのが見えた。
「ムカデを殺ればいいのね?」
見慣れない姿だった。金髪で宝石のような羽を持つ、吸血鬼。
「い、妹様!」
美鈴は涙目で彼女を妹様と呼んだ。…ちょっとまって、妹様?
「フラン様!ば、爆破は待って…!」
「あぁぁ…!」
妹様?が手を前に出し、開く。瞬間その場にいた私以外の全員が慌てふためいた。何かするのか…?すると、キュッと握り拳を作った。瞬間。
「…どかーん!」
そんな可愛らしい掛け声と共にそこにいたムカデは爆散して酷い姿にされてしまった。勿論そんなことできる吸血鬼の正体を知らないわけもなく、生前の記憶的にはフランドールスカーレットだろう。けど…一応名前聞いておこう。なんかその方が雰囲気出るし(?)
「あ、貴方は…?」
「私はフランドール・スカーレットよ!」
私が名前を尋ねると、楽しそうにこちらに近付きながら私の背後に張り付いた。お嬢様が私から剥がそうとするけど上手くいかず、諦めたのか溜め息を1吐いた後質問を投げかけた。
「フラン…どうして出ているの?」
「お姉様が外に出るって聞いたから、かしら!」
「あら、そういうことなのね、ならいいわ」
それだけ言って私から離れたお嬢様。フランドール…妹様は、お嬢様が離れたことを確認した後に私から離れて飛び去って行った。きっとこの時点でフランは…妹様は(2回目)お嬢様と15歳差…のはず。つまり何歳だ…わかんないからいいや。でもそれよりも気になることがある。それは。
「…どうして妹様という存在を黙っていたの?」
そう、みんなの様子からして私以外全員妹様の存在を知っていた様だった。にも関わらず私だけ知らなかったし、一瞬置いてけぼりにされてしまった。どうして私だけ妹様の存在を知らなかったのか。何故妹様は私に張り付いてきたのか。このタイミングで地上に出てきた理由は一体なんなのか。妹様関連だけでも疑問は尽きない。
「お嬢様も、私には話すべきではない事象とでも考えておられたのですか?」
誰からも返事は来ない。どういう感情でいるのかは知らないけど、黙られるとちょっとだけ悲しい。何でもいいから話してほしいんだけど…。
「破壊……凄い …から……」
「?」
「は、破壊衝動の、凄い妹だったから…ほぼ人間の貴方にとって危険な存在だと思って…ごめんなさい…」
「あぁ、そういう…」
確かにお嬢様は吸血鬼だし、リタは式神。スアも聞いたところによれば辻斬り妖怪なるものらしいし、オルも妖精…。ウニ妖精達も普通に妖精だし…。それに比べて私は人間に近い生き物、というか突然変異した人間。そりゃあ危険だと判断する…の??んまぁ気にしない様にしよう…。そんな理由ならもういいかな」って思えてきたし。
「それなら別に良いですよ、変な質問をしてしまい申し訳ありません。…ただ、一つ申しておきますと、秘密にされるのは寂しいものですよ、とだけ」
「…そうね」
「それでは、また後ほど」