「当主様、書類の処理終わりました」
「そうか」
私は昨日、ほとんど寝てなくても大丈夫なんて大口を叩いていたわけだが、その体力も今日起きてみれば消耗していた。
今じゃ昨日の5分の1ほどの速度で仕事をしている。
そのせいもあってかまた本を落とした。
もうこれ毎日やってる気がする。(馬鹿)
案の定当主様の目には映ったようで。
「おい。なんだその本は」
私は焦って本を拾った。
「こっちに渡せ」
圧力がすごい。怒ってる時のビジュが怖いってこういうことなんだ。
恐る恐る本を手渡すと、当主様に異変が起こった。
「っ!?」
本を持った途端こけそうになったのだ。
そこにそっと手を添えて助けると、動きは止まった。
特段重い訳でもないのに。
私の手が添えられたまま当主様が本を開こうとするけれど、本が開く気配かがなかった。
おかしい。そう思って当主様の手を本から離させて自分で開いた。
でも、私でも開けることはできない。
離れてみると少し硬いが、本は開いた。
どうして?ウィータ様の時は私が手を添えれば本が開いた。
当主様は絶対に駄目だ、みたいな雰囲気を本から感じた。
言ってるこっちも意味がわからない。
「…お前俺が見ないように魔法でもかけてるのか?」
「なんです?魔法って」
「は?」
なんだそれは。東方に出るものか?
私は東方のキャラを知ってるだけで、それ以外は本当に知らない。
だから魔法とやらを知ることはない。
ましてやかけるなんて不可能だ。
「私は魔法を知りません」
嘘なんて一つもついてない。
「そんな訳ないだろう」
知らないってば。
「私は知りません。ここに来るまで幽閉されていたので」
「そうか」
へい私。そうなのかい?初めて聞いたぞその話。
いや、答えてくれるわけが無いのは分かってんだけどさ?
まぁ、いっか。
「散れ」
「はい」
私はそのまま去った。
「ねぇメイド長」
「え???」
「この子、育ててくれない?」
「ほ????」
お嬢様の手には
「…どちら様?」
「私が拾った新しいメイドよ」
「お嬢様、意味不明でございます」
本当に意味不明でございます。(大事なので2回言いました。)
お嬢様曰く、私と同様紅魔館の前にいたらしい。
あれ、私も十分意味不明じゃん。
「よ、よろしくお願いします?」
「うん、意味わかんないよね、これからよろしく」
彼女に名前はなかった。でもまぁ私がいる以上ややこしいので、名付けすることにした。
性格にあった名前にしようということで少し会話をした。
「ボクすっごい方向音痴で!気付いたらこういうところにいるし!何事!?って感じで!」
「あー、なるほどね?」
「もう彷徨って3日くらい経ってるし!生きてるのすごくないですかほんと!」
「うん、すごいと思うよ」
元気。とにかく元気な子でした。
「そういえばメイド長さんの翼に本がチラついてますけどそれ大事なものなんですか?」
「え、あぁ、これ?見てみる?」
本は付け根あたりに隠してるから見えないはずなんだけどな。
なんか見えたらしい。
「いいの?」
「いいよ」
そう言って渡すと、少し重そうにして、持ち上げた。
「お、重い…って、あれ、開かない?」
「不思議よね、その本」
案の定、開くことはできなかった。
「面白いですね!この本!」
「そう言ってくれて嬉しいよ」
本を返してもらい、名前を考える時間になった。
「メイド長、どうだった?」
「私はいつメイド長になったんですかお嬢様…まぁ、太陽みたいな子でしたね」
「そう、じゃあ太陽の色で名前を決めましょう」
何言ってんの?うちの主。
「えーっと、見てきます、ね?」
お嬢様が行ったらジューシーに焼けた少女になってしまう。
私の種族は謎な為、焦げない。
なので色を見るとオレンジ色だった。
「今日から貴方はオル、そう名乗りなさい」
「わっかりましたお嬢様ぁ!」
終始元気の塊だった。
転生一ヶ月と1日 天気雨のち曇り
今日はこのなんたら録の謎が増えた。
まず、当主様にはこの本を持つことすら出来なかった。
本も開かない。そして当主様の横で本を開こうとすれば強力な磁石みたいに開かない。
当主様から離れたり、当主様に見えないようにすれば開いた。
お嬢様も実は開こうとしたが開かなかったらしい。流石に持てたとのこと。
そして今日紅魔館に新しい仲間が来た。
名前をオル、私とお嬢様が考えた。
太陽みたいな子だよね、と話していたところで太陽の色で決めようという意味不明なことになってしまった。太陽を私が見てみると、オレンジっぽかったのでオレンジですと伝えると「オル」という名があがったため、この名がつけられた。
ちなみにオルにもこのなんたら録を持ってもらったんだけど、持てるけど開けはしなかった。
やっぱり持てないのは当主様限定らしい。
オルの話に戻すとして、オルは観察眼がすごい。暫くはオルに偵察を任せたほうがいいかもしれない。
明日からオルの教育に回る。
果たして私はちゃんとと教えられるのだろうか。
私はなんたら録などではない!
追記。
ずっと気になってたんですけど貴方誰?
オルさんはボク、といってるけど、れっきとした女の子です。
今度オルさんのビジュとか設定決まったらなんたら録に書くかもです!
「なんたら録じゃないと言っているだろう!」