誰もが望む幸せの道   作:ウサウサギ

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 まず最初に一言。お気に入り登録、感想、評価、ご愛読、などなど、本当にありがとうございます!

 そして皆様のおかげで、なんと……

 11月4日 ルーキー日間にて11位。
 11月4日 日間加点式にて28位に、のってしまいました。

 最初見たとき、自分の目を疑いました、はい。たった三話の投稿でこれほどまで身に余る光栄をいただけたのは、すべてご愛読者様からの支援があってこそです。ここに改めて、お礼を申し上げます。本当に、ありがとうございます!!

 そしてまさか、すぐにUA数1000突破な上に、お気に入り数57件もいくなんて思いもよりませんでした。何せ、私の一作目の方はUA数はともかく、お気に入り数という固定読者数は徐々に、徐々にしか伸びていきませんでしたから。ここまで爆発的に増えたのは、本当に驚きの限りです。

 そんな感じでテンションがフィーバーしてしまい、いつの間にか一話分をさっと書き上げていたので、投稿させていただきました。

 それでは、長々と前がきしましたが、本編をどうぞ!



第三話 森の中の小さな劇場

 

 ――――無人世界カルナージ。

 そこは今回、広嗣が家族と共に行くことになった、強化合宿の会場だ。

 

 

 

 突然だが、アリシアのお願いは、我が家において最大の発言力を持っている。何故ならば、大抵の場合は現在、唯一大人であるプレシアがそれに賛成してしまうからだ。

 

 つまり、アリシアがプレシアにお願いでもしようものなら、それが実現されるのは必至。そしてそれに広嗣が巻き込まれるのは、もはや自明の理である。現在、家の中で一番権力を持っていない彼に、どうにか出来る術はないのだ。

 

 

 

 そのような経緯が背景にちらつきながら、強化合宿の集合場所に行ったときは、なのはとフェイトの二人に驚かれたものだ。

 

 同時に、フェイトとプレシアは対面すると同時に気まずい雰囲気に入るのだが……臨港次元船の中でその気まずさを感じ取ったアリシアが仲介に入り、二人は轟沈。瞬く間に仲直りしたのは、もはや何と言っていいものやら……。

 

 子供組は四人だ。アリシア、広嗣は当然のことながら、残り二人はなのはとフェイトの娘(保護責任者)の高町ヴィヴィオと、その友達であるコロナ・ティミルだ。

 

 アリシアは持ち前の明るさと積極性によりその二人ともう打ち解けているようだが……広嗣は残念ながら、終始なのはやフェイトと話をするか、眠るかの二択で関わりを持つことはなかった。

 

 

 

「そういえば、広嗣くん。君はどうして、魔法の練習をしているのかな?」

 

 なのはからそんな質問をされたのは、カルナージに着いてすぐのことだった。これには少し、どう答えるべきかと悩んだが……姉と母の姿を見ると、その答えは自然と浮かんできた。

 

「今ここにある、小さな幸せを守るためです」

 

「……そっか。真っ直ぐなんだね」

 

 冗談、と広嗣は苦笑する。しかし、それもまた否定出来ないな、と内心では思っていた。完全否定はしないが、肯定もしない、という何とも曖昧な風を残して、広嗣は会話を抜け出した。

 

 その後、今回の宿屋のオーナーでもあるアルビーノ一家に挨拶をして、今回の強化合宿の趣旨を発表し、今日の午前中は自由時間、ということになる。

 

 

 

 ここで、今回の強化合宿の参加メンバーを発表しておきたいと思う。

 

 まず、知っている通り、高町なのはとフェイト・T・ハラオウン。お互いに空戦魔導師であり、空戦魔導師ランクS+ランク保持者の強者だ。

 

 次に、その娘の高町ヴィヴィオと、親友のコロナ・ティミル。どうやら、広嗣と同じ学校のしかも同級生だったらしい。

 

 そしてフェイトが保護責任者を請け負っている二人、機動六課フォワード「ライトニング分隊」ガードウィングのエリオ・モンディアルと、同じくフルバックのキャロ・ル・ルシエも参加している。

 

 そして、プレシア、アリシア、広嗣のテスタロッサ一家は言うまでもないだろう。

 

 次に、話には出てこなかったが八神ファミリーだ。

 家長である八神はやては、機動六課の部隊長でありながら、総合SSランク保持の魔導師だ。最後の夜天の書の主ということもあってか、本人の潜在魔力の異常性からか、「歩くロストロギア」の異名を持つ人外でもある。

 

 そしてその家族であるヴォルケンリッターは四人全員が勢ぞろい。烈火の将シグナムは空戦S-の実力者であり、鉄槌の騎士ヴィータは空戦AAA+のこれまた実力者。湖の騎士シャマルは総合AA+の医者で、今回は合宿参加者全員の健康管理をしているとのこと。盾の守護獣ザフィーラは魔導師ランクこそ保有していないものの、その実力は折り紙つき。特に、防御魔法が得意という話なので、少なからず広嗣は彼に興味を持っていた。

 

 更に、そこにユニゾンデバイスのリインフォースⅡとアギトが加わり、計7人の大所帯である。

 

 そして一番驚くべきことが、本局次元航空隊の艦船艦長……クロノ・ハラオウン提督という、大物かつ多忙な人までが出席していた。なんでも、たまたま休みが合宿と重なったらしく、昔の馴染みもいるからという理由で、家族と共にこちらに旅行を兼ねてきているらしい。

 

 豪華絢爛、などという言葉では生ぬるいメンバーが今、この場には集結していたのだった――――

 

 

 

 場所は変わって、宿の近くにある森の中。広嗣は適当な大きさの岩の上に座って……この世の終わりのような雰囲気を醸し出していた。

 

「なぁ……ヴォータン」

 

『なんでしょう?』

 

 ひどく静かな声。その声には諦めやら、絶望やらのひどい感情が潜んでいた。

 

「俺、どうしてこんな人外魔境に居るんだ?」

 

『……残念ながら、マスターもその人外の一人にカウントされています』

 

 無情すぎるデバイスの回答に、広嗣は今度こそ心が折られた。とうとう座る気力も失せたのか、岩から落ちて受身も取らずに地面に衝突するが、痛がる素振りも見せずに無反応。傍から見れば、突然死、と捉えられてもおかしくないその光景は、色々な意味で痛々しかった。

 

「俺、もうおうちに帰りたい」

 

『そんなことをすれば、きっとプレシアが本気で怒ります』

 

「……」

 

 彼には退路など用意されていなかった。原因の発端は、ある意味ではすべてプレシアにあるといってもいいこの状況に、広嗣はただ溜息をつくしかない。

 

「ハイプロテクション・パワード」

 

 不意に、広嗣はなんの意味もなく、デバイスの補助なしに防御魔法を発動する。目の前に現れるのは、強固な純白の障壁。

 

「分解」

 

 しかし、せっかく展開した障壁を、ものの数秒後に細々とした破片にして辺りに散らす。その光景はまるで、太陽の光の下で氷の塊が砕け散った時のように美しかった。

 

「シールドピアス」

 

 そして、その細々とした障壁の破片を、直射型の魔力弾に似せて近くにある木々に飛ばした。障壁の破片はまるで砂利のように細々としている。そんなものが当たったところで、木々の硬度に負けて砕け散るのがオチだろう。

 

 ――――しかし、そう思われた障壁の破片はすべて、あろうことか、木々を力強く貫通し、それらを薙ぎ倒す暴威を振るった。

 

『ほら、やっぱり人外です』

 

 目の前の惨状が起きてすぐに、彼のデバイスのヴォータンが言う。それに対して、もはや広嗣は乾いた笑みを浮かべるしかない。

 

「知ってるよ」

 

 右腕を天に突き出し、人差し指を同じく天に向ける。広嗣はその指を指揮棒に見立て、宙に円を描いた。傍から見れば、そこには何の意味もなく、ただの気分屋の行動に見えただろう。

 

 だが、そんな第三者からの見え方はすぐに、変化することになる。

 

 先ほど飛んだ砂利に混ざる小石のような障壁の破片。煌びやかに輝く粉のようなそれが、何と広嗣に向けて集まってきていた。先ほどの指の動きは、この障壁の破片を集めるための合図だったのだ。

 

 怠惰に寝転んだまま、彼はそれを自分の周囲に集め、一定空間内でこれまた円を描くように周回させる。それはさながら、少年に集う妖精の踊り。輝く破片は彼の周囲を回り、それはとても幻想的な光景を生み出していた。

 

「俺にとって、防御は最大の攻撃。向かってくればいい餌食。ただ、防御抜かれたら即負けなんだけどね……」

 

『それは無いでしょう。私がいれば、あなたは最強の盾です』

 

「残念ながら、お前に頼るつもりはないよ。お前は優秀すぎる。依存すれば、お前なしだと戦えなくなっちゃいそうだ」

 

『……今、初めて自分が優秀なことを恨めしく感じました』

 

「いやいや、俺は助かってるよ。お前がいなければ、きっとこの小さな幸せは、築き上げれなかった」

 

 事実、最高のスペックを誇るデバイス、ヴォータンがいなければ、プレシアはまともに働くことは出来なかっただろう。戸籍や身分証明書の偽造をできるのは、テスタロッサ家の中ではヴォータンしかいないのだ。

 

「ただ……この合宿に、あの人来て大丈夫だったの?」

 

 しかし、だからといって、プレシアをよく知る人物がいる中に彼女を入れるのはどうなのか。流石に幸せな家庭を問答無用で壊してまでプレシアを裁判所に連行するような、人情が無い人たちではないだろうが、見過ごすにも限度があるのもまた事実だ。

 

『少なくとも、マスターがいる限りは、捕まる心配はありません。それと、多分大丈夫でしょう。精密検査を受けさせられたとしても、私がそのデータを即座に偽造したものとすり替えます。それに、今もこの世界内でしか、念話、及び連絡が出来ないようにしていますから、少なくともこの世界にいる限りは大丈夫ですよ。私に抜かりはありません』

 

「お前、本当に高性能過ぎるわ。やっぱ、戦闘のときは非殺傷設定維持しているだけでいいよ」

 

『なんと……。せっかく、格上相手に無双出来るチャンスだったのに……!』

 

「お前、俺に一体なにさせたいわけ……」

 

 ヴォータンの発言に半ば呆れながら、広嗣は「創成起動(クリエイション)――――」と静かに唱える。その瞬間、周りを舞っていた妖精たちはピタリと動きを止める。

 

「――――誰かを守りし盾にして、全てを砕く矛である。」

 

 広嗣の目の前に1つ、障壁が生まれた。透明かと思えばしかしそうではない、まるで水晶のように綺麗な壁。

 

「――――君の名前はまだ無いが、それは何事も成しうる、可能性の示唆だ。」

 

 今度は二つ、分厚い水晶のような、長さおよそ150センチほどの柱が地面に立つ。

 

「――――担い手は私にして、その言霊は絶対命令。」

 

 いや、違う。柱のように思われた水晶は、一番下が足のようになっている。更にその水晶の上には、人間の腰のようなパーツが取り付けられる。

 

「――――傀儡(くぐつ)に命を与えましょう。」

 

 そして、腰の次は胴体。そのパーツは一目見ただけでも逞しいと思えるほどしっかりしており、またその右側には心臓らしきものが見える。

 

「――――君の体は私の魔法。君の魂は私の意思だ。」

 

 そして次に、止まっていた妖精たちが動き出し、胴体の両肩部分に集結したかと思うと、なんとそこから両腕が生えてきた。これは単純に、破片を集め障壁を好みの形に再構築しただけの行為だった。

 

「――――私は全てを与えましょう。あなたは全てを捧げましょう。」

 

 それだけに留まらず、最後のパーツ、水晶の巨人の頭がつけられた。しかし、そこにはまだ、魂が宿っていない。その目にはまだ、輝きが宿っていない。

 

「――――さぁ、来たれ。これぞ名も無き障壁の真髄だ。」

 

 詠唱終了。そして、覚醒。完成した大きさおよそ三メートル半の水晶の巨人は、たったひとつの目に、残った全ての妖精を集わせることで光を宿し、周囲を震動させながら動き出す。

 

『――――――――!!』

 

 そして、咆哮。巨人が力いっぱい両腕をふるい、辺りに暴風という名の咆哮を撒き散らしたのだ。

 

 その一連の流れは、まるで命の創造を劇にしたかのようだった。

 広嗣が唱(うた)い、巨人が組み立てられ、最後に命を与えられたことを喜ぶような咆哮は、誕生を示す赤子の産声に聞こえなくもない。

 

「ふぅ……」

 

 これにて、劇は閉幕。熱のこもった吐息が、創造主の口から漏れ出る。

 

『なるほど。完成させたんですね。その全てがバリアによって作られた、《名無しの番兵(ネームレス・ゴーレム)》……マスターだけにしかできない、創成魔法を。』

 

 障壁の巨人、形態(タイプ)《名無しの番兵(ネームレス・ゴーレム)》は、ヴォータンが言うとおり、広嗣だけにしかできない、文字通り、防御魔法のみで構築された鉄壁のゴーレムだ。

 

 最初に防御魔法を展開し、後からその形を瞬時に変化させ、好みの障壁を作り出す。防御魔法に異常な適性を見せた広嗣だからこそ、この魔法は完成した。

 

「――――でも、未完成だ。操作性に難有り、だからな」

 

 しかし、広嗣が完成させたのはあくまで、防御魔法を高密度に合わせることによって強引に形成した創成魔法だけに過ぎない。この巨人そのものを自由自在に動かすにはまた別の、それ相応の練習が必要だった。

 

 故に、このままでは使えない。お披露目は、また今度、ということになるだろう。

 

「完成時に両腕振れただけでも良い方か。お疲れ様――――分解。」

 

 それなりの時間をかけて構築された巨人は、あまりにもあっさりと、その姿を崩し、そこから出来た欠片は粉塵へと変わり、最終的には魔力粒子にまで還元され、空気中へと溶けていった。

 

『……もう学校とか行かずに、劇団を立ち上げた方がいいのでは?』

 

「それはプロに失礼だろ。それに、こんな短い劇を、一体誰が見たがる?」

 

 苦笑しながら首を振り、やれやれ、といったジェスチャーを見せるその様子に、ヴォータンは、やはり芝居の才能があるのではないか、と本気で思ってしまう。

 

『そこの茂みの中に一人、見入っている御方がいますよ』

 

 それに観客ならば、一人だけだがしっかりと居る。今の一部始終を見て、硬直している者が。もしかすれば、その子は自分のマスターの良き理解者となってくれるかもしれない。そんな淡い期待を込めながら、彼に報告してみたところ――――。

 

「……へぇ。なら、出てきなよ。別に、怒ったりしてないから」

 

 ――――思惑通り、彼は観客に声を掛けた。きっと気さくに、先ほどの短編劇の感想でも聞くつもりなのだろう。

 

 ここから一体、広嗣の人間関係がどのように変化していくのか。ヴォータンの心中に、期待と不安が交差するのだった。

 




 まず1つ。自分の文章力の欠如故に、創成魔法のところの描写の力不足感が拭えません。ただ、今できる自分のベストを尽くしたことを、ここに記しておきます。

 そして、ご愛読の方を誠にありがとうございます!
 今回は概要説明の後に新しい魔法の練習、というパートでした!

 こういった半日常編や日常編が物語の主体になっていくと思います。戦闘描写は入れば精一杯描きますが、その機会はきっと日常描写よりダントツに少なくなると思います。

 ちなみに、今回の文字数は5280文字です。最初に予告した通りに収まって「ほっ」と安心している二次創作者のウサウサギがここにいました。

 また、まえがきにも書きましたが、皆様からのお気に入り登録や評価、ご期待、誠に嬉しく思います! その期待に応えられるように、日々文章を書く事で精進していき、皆様の満足できる作品にしていきたいと強く思っております!

 感想、コメント、評価、ご指摘、ご質問、お気に入り登録、などなど、随時募集しておりますので、遠慮なくズバッ、とそれらをいただければと思います。

 それでは改めて……ご愛読の方、本当にありがとうございます!
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