改めてストーリーを振り返ると、こはねの過去に言及されることが意外に少ないと気づきました。
今回はそんなこはねが一人でラーメンに挑戦するお話です。
ある晴れた昼下がり。
見慣れたビビッドストリートとは少し離れた場所にある繁華街の一角。
私は一人、あるラーメン店の前に立っていた。
この辺りにいくつもある店舗の中でも、特に味噌ラーメンのこだわりで知られるお店。
清潔感のある綺麗な入口。その上にかかる黄色の暖簾には、無骨な筆文字が力強く描かれていた。
(明るい内に来るのは久しぶりだったけど、やっぱり変わってないなぁ)
店の外にある券売機の前にはもう行列が出来上がっている。
みんな私より背が高いし、今日は土曜日なのにスーツを着た大柄の人までいる。
小柄な私がこの列に加われば、目立つに違いない。
(それでも大丈夫。私はもう逃げないんだから)
自分に言い聞かせて列の最後尾に並ぶ。
私の前には10人ほど並んでいるけれど、日陰だし帽子もあるから思ったより暑くない。
杏ちゃん、見ていますか。
私、小豆沢こはねは、味噌ラーメンのお店に挑戦します。
――― ◇ ―――
私がこのお店を初めて知ったのは、まだみんなと出会っていない、高校に入学したばかりの頃のこと。
たまたまお母さんが見ていたテレビ番組で、ラーメン特集が放送されていたのがきっかけだった。
テーマは『街の人じまんの名店』。
全国各地から一風変わったラーメン店がいくつか紹介されていて、その中でも一番近くにあったのがこのお店。
平日の昼間に日光が照り付ける中、ずらりと並ぶ人々がカメラに映る。
店の中では休む間もなく店員さんが盛り付けに勤しんでいる。
もちろんカウンターやテーブル席は満員で、一心不乱に麺をすするお客さんでいっぱいになっていた。
番組に出演している女優さんもそこで食事をすることになったんだけど、その中でも私が惹かれたのは味噌ラーメンだった。
たっぷりの野菜、焼き目のついた分厚いチャーシュー。自家製の麺はやや細めで、画面越しでも伝わるほど美味しそうだった。
値段は少し高めだけど、それでも一度でいいから食べてみたいなって、つい思ってしまう。
気づけば、私はその店の名前を検索していた。
アクセスが集中していて時間はかかったけど、どうにか口コミが書かれたサイトを開く。内装や料理の写真の下に、店の詳細な情報がまとめてあった。
(平日は13時でいったん閉まるけど、夕方は16時から開いてるんだ)
これなら門限にも余裕はあるし、学校の帰りに寄る時間は十分ありそうだ。
明日のお昼ご飯は少なめにしておかないと。
そう思いながらその日は眠りについた。ラーメンのことが頭から離れなくて、なかなか寝付けなかったけれど。
次の日、学校の授業が終わった後のこと。
私は一人、いつもと違う駅に降りて目的の店を探していた。
ナビを見て気づいたけど、テレビで見る以上に繁華街は広い。
端に至っては住宅地が近いし、ラーメンのお店も駅からちょっと歩かないといけない場所だった。
(えっと、確かここを曲がれば後はまっすぐのはず)
体育の授業で疲労が残る体を引きずりながら足を進める。
人とぶつからないように時々ナビを見て道を辿るうちに、とうとう店の近くまでたどり着いた。
すでに夕方で若干暗くはなっているのをよそに、店内の明かりは煌々と輝いている。ようやく着いたことに気が抜けそうになる。
けれど、喜んでいられるのはそこまでだった。
(うそ……こんなにたくさん、人が並んでるなんて)
テレビ番組の影響力を私は甘く見ていた。
店の前には20人を軽く超える人が列を作っていた。
私服の人やスーツの人が混ざっていて、仕事帰りなのか疲れた顔をしている人ばかり。
無言で列の前をのぞき込んだり、何だか退屈そうに画面を見ている人もいる。
(どうしよう……今から並んだら間に合うかな)
ラーメンは他のお店に比べて、出来上がるのも食べ終わるのも早いと聞いたことがある。
だから今から並べば、長く待つことにはなるけど門限には間に合うはずだ。
お母さんには前もって話してあるから、ちょっと過ぎても大丈夫。
並ぼうかと思って一歩踏み出した瞬間。
列の誰かから、すっと視線を感じた。いや、本当は列じゃなくて、もっと別のところだったのかもしれない。
この時はちょっと寒さの残る時期で服を着こんでいたのもあって、背の高い人が多いように見えてしまう。
そのせいで、並んでいる人全員から見下ろされているようにすら感じた。
(……っ)
『何をしに来た?』
『また並ぶ人が増えるなんて』
何も言われていないのに、どこかから聞こえるような気までしてしまう。
並んでいる今になって思えば、ただの思い込み。
でも、もしも本当に変な目で見られたら?何か言われたら?
想像が恐怖を呼んで私の足を縛りつける。
その日の授業は1回限りのグループワークがあったけど、私はずっとしどろもどろで。
上手く話せなくて同じ班の人にも迷惑をかけてしまったことも、拍車をかけていた。
(そう……だよね。今から並んだら、帰りが遅くなっちゃうかもしれない)
結局、私は並ぶことができず、そのまま家に帰った。
お母さんには、人がたくさん並んでいたから今日はやめたって、尤もらしいことを言って。本当はただ、怖かっただけなのに。
その後も見に行こうか迷うことはあったけど、あの時の視線を思い出すと気は進まなかった。
高校生活も体育祭の準備にテスト、他にも色んなことが重なって。いつの間にかこの店のことは記憶の隅へと消えていった。
――― ◇ ―――
私がこの店のことを思い出したのは数日前。
書店に寄った帰り道のことだった。
今、私はビビッドストリートで出会ったみんなと一緒に4人のチームを結成している。
ほんの少しの巡りあわせで杏ちゃんと出会って、二人でチームを組んで、彰人くんや冬弥くんのことを知って。
最終的に、4人で一緒に『RAD WEEKENDを超える』という大きな目標に向けた一歩を踏み出した。
でも、みんなと比べると私の経験はとても少ない。
参加したイベントで声がいいって褒めてくれる人もいたけど、何年もストリートで歌ってきた3人に比べたらまだまだ大きな差がある。
早くみんなに追いつきたい。その一心で練習して、歌い方の勉強を続けている。その書店に寄ったのも、発声練習の参考本を見つけるためだった。
目的の品を書店の検索サイトで調べたら、いつもの店舗は在庫切れになっていて別の店舗にあるとのこと。
店頭でお取り寄せすることもできたけど、せっかくだから行ってみることにした。
学校の帰りにバンド練習に行く志歩ちゃん達とはお別れ。
いつもと違う駅に降りると、書店は駅からでも目立つビルの中に入っていた。
(良かった、まだ在庫が残ってて。お母さんから頼まれてたCDも買えたし、一石二鳥だね)
売り切れになった店舗もあったらしいけど、在庫数に余裕はあったからすぐ見つけられたし、CDも一緒に買えたのは幸いだったと思う。
帰りにいつもの店に寄っていたら、家につくのが遅くなっていたから。
(今日の晩御飯、なんだったっけ?たしかシチューが……あれ?)
それに気づいたのは偶然だった。
信号を挟んだ向こう側、電灯が灯りはじめた始めた繁華街に見える一つの行列。
夕方のちょっと強い風に吹かれてたなびく黄色い暖簾。
あの日、遂に一歩を踏み出せなかったラーメンのお店があった。
ちょうど信号が青に変わって、私はふらりとその店の向かい側まで足を運んでいた。
駅名に見覚えがあるように思えたのは偶然じゃなくて、一度降りたことがあるからだった。
あれからそんなに時間は経っていないはずなのに、季節の変わり目だからか、街がまるで違って見える。
店の前には、ぽつぽつと人が並んでいた。
もうテレビの紹介から時間が経ったせいか、あの時ほどの長蛇の列にはなっていない。
それでも常連の人はいるのか繁盛しているみたいで、ガラス越しの店内の明かりが夕暮れの道を照らしている。
入口見つめていると、あの時の記憶が次々に蘇ってくる。
背の高い人たちを前にして、視線を感じて圧倒されたこと。
何も言えず、何もできず、ただ帰ってしまった私自身。
時間が経っても、あのとき感じた怖さは、まだ心の奥に残っていた。
でも、どうしてだろう。
あのとき感じた、足がすくむような怖さが――今は、ない。
(あの時みたいに、怖くない)
よく見ると並んでいる人たちは自分のことに集中して、他の人のことを見ていない。
手元の本を読んでいる人、メニュー表の看板を見ている人、ぼんやり周りの店を眺めている人。
列の進み具合は見るけど、それくらいのこと。私のことは言うまでもない。
店の雰囲気も、並んでいる人の様子にも変わりはないのに、地獄の門の様な場所がただの食堂の様に見えた。
(今なら、きっと行ける)
思い立って列の後ろに並ぼうとしたとき、私の携帯電話が震えた。
CDがお店にあったかを尋ねるメッセージ。差出人はお母さん。
ついでに時計を見ると、かなり時間が経っていることに気づいた。
(探すのに時間がかかっちゃったし、並んでたら絶対に遅くなっちゃうよね)
いくら日の入りが遅くなっていると言っても、家に着くころには真っ暗になってしまう。
今日の所はいったん帰ることにしよう。
電車の中で、あの店のことを調べてみる。
明日は土曜日。平日とは違って昼の営業時間も伸びているそうだ。
これなら学校の制服を着ずに行けるかもしれない。
――― ◇ ―――
そして翌日の今。
私はあの行列に並んでいる。
前の人も後ろの人も大柄な人だけど、ストリートにはもっとがっしりした体格の人もいる。体力を持たせるために、日々鍛えている人だって山のようにいた。
そう思い出すと、周囲に対する恐れも薄くなっていく。
一度慣れてしまえば、あっけないものだった。
何事もなく、前の人が店に入る度に列は動く。
何を頼むかを考えているうちに少しずつ列は進んで、とうとう私の番がやってきた。
「次のお客さま、どうぞ!」
野太い声が聞こえるとともに、私は初めて店内へ足を踏み出した。
店内の様子は、テレビで見たあの日とほとんど変わっていなかった。
しいて言えば壁に飾られた色紙が増えていることくらい。番組の写真と一緒に書いてあるサインは、熱さを堪えながらコメントしていたあの女優さんのものだろうか。
私は一人だったから、案内されたのはカウンター席。
ちょうど空いていた奥の席に、黒いシャツを着た店員さんが誘導してくれる。
ぶつからないように気をつけて、けれど遅れないように、少し早足でついていく。
「こちらへどうぞ」
思っていたより店内はコンパクトで、すぐに席に着くことができた。
目の前には備え付けの割りばしと水、それにラー油や塩などのトッピング。
角の丸くなったメニュー表を開いてみると、サイドメニューで餃子やから揚げもあるらしい。サラダセットもあって、『味噌ラーメンのおとも、ヘルシーな食事におすすめ!』の注釈付きでちょっと笑ってしまう。
(そもそも健康を意識する人って、味噌ラーメンを食べるのかな?)
疑問に思いながらも、注文は決めている。
テーブルについているベルをぐっと押し込む。
「ご注文は」
「味噌ラーメン一つ!」
「ありがとうございます!味噌ラーメン一丁!」
店の喧騒に負けないように大きな声で頼むと、負けないとばかりに店員さんの声が放たれた。
注文は終わったから、あとは待つだけ。
このお店は何分くらいで来るんだろう。私の席はカウンター席だから目の前で盛り付けをしているのが少しだけ見えるけど、あの場所まで運ばれるのは麺が茹で上がった後だろうし。
今回は他のメニューは無しにして、味噌ラーメンだけを味わってみたい。
『初めて行くラーメン屋は、ラーメンだけ頼んで味わうの』
『餃子や炒飯みたいな他の要素が入ると、ラーメンの味に集中できなくなるから』
前にラーメンの話題になった時、珍しく志歩ちゃんが熱く語っていたのを思い出す。
私はあまり詳しくなかったけど、確かに初めて行くお店は量が分からないよね、ってみのりちゃんが話していたから納得したのは覚えてる。
せっかくだから、二人のアドバイスを借りて食べてみたい。
時計を確認する。
まだ3分しかたっていない。手持無沙汰になってしまって、つい自然と周りに目が向いた。
(あっ、家族連れで来ている人もいるんだ)
近くのテーブル席には子供と一緒に来ている夫婦がいた。
確かに今日は土曜日だし、休日を狙って足を運ぶ人がいてもおかしくない。
椅子が低いせいか、備え付けの子供用クッションが敷かれている。
先が丸くとがったお子様スプーンで麺をすくって、ふうふうと冷まして食べている姿が何だかかわいい。
他にもいろんな人がいた。
部活帰りの女の子たち。麺が伸びてもゆっくり食べるおじいさん。怖そうな顔だけど凄く綺麗な姿勢で食べているお兄さん。
あの日、私が感じた「自分だけが場違いなんじゃないか」という思い込みが、少しずつ溶けていくような気がした。
――― ◇ ―――
「はいおまち、味噌ラーメンです!」
入れ直した水を飲んでいると、突然声がかかった。次のイベントに向けた練習について考えている内に時間が経っていたらしい。
注文してから8分、遂に味噌ラーメンが運ばれてきた。
(目の前で盛り付けていたかもしれないのに、見逃しちゃった……)
ちょっと残念だけど、仕方ない。
今は目の前のラーメンに集中しないと。
改めて全体を見る。
龍の文様が縁に入ったラーメン鉢に、なみなみと入った味噌のスープ。
麺の上にはもやしと人参の入り混じった野菜の盛り合わせに、透明な脂ののったチャーシュー。
端にはスープとそっくりな色のメンマが添えられて、小口切りの青ネギも散りばめられている。
半分に切られた味付け卵は固まった黄身が白身の中に収まって、それを隠さないように1枚の海苔が添えられていた。
長らく見ることもできなかったものを前にして、私はもう待てそうにない。
すかさず箸を手に取って、手を合わせた。
まずは麺から食べる。
上に載っている野菜を始めとしてトッピングの量が多いから、麺だけを狙うのはちょっと大変。
崩れないよう慎重に野菜のすき間を作って、そこから掘り出すようにすくい上げる。予想通りの細さの麺が、スープと油の光沢で輝いて見えた。
湯気が出てちょっと熱いけど、勢いよく口に入れる。
(はふ……熱いけどとっても濃い味で、美味しい)
思っていた以上に熱くてすぐには噛めなかったけど、細めの食感とスープの染みた麺の味が広がる。
これからもっと熱くなるし、口の中が慣れれば問題なし。
続けて、備え付けられたレンゲを取って端に浸してスープを一口。
辛みの少ない味噌の中に醤油のような味がほのかに混ざっている。
どちらも混ざってスープの旨味を作っているみたい。味噌の味が強すぎないのは私にとっても嬉しかった。
(次はトッピング。どれから食べようかな)
野菜にチャーシュー、メンマに卵。海苔までしっかり付いてくるのは専門店なだけはある。他の店だとここまでの種類を、それもたっぷりと乗せることは無いはず。
この後に麺もあって時間との勝負になるし、さっと決めてしまおう。
(まずは野菜から食べちゃおう)
一番手はドカッと乗って場所を占める野菜から。
山のように盛られた野菜は、もやしとキャベツが中心。
しっかり炒めてあるのか、ところどころにきつね色の焦げ目が付いている。
そのおかげかスープに水がしみだしている様子はないし、食べるとシャキシャキとした感触が残ってる。よく見ると長めに切ったねぎも入っているから驚いた。
次は太めに切ってあるチャーシュー。
太めに切られた一枚は、見るからに食べごたえがありそう。
こういうのって、どれくらいの厚さが目安なのかな。少なくとも目の前の肉は、デパートのフードコートで見たものより一回り以上大きかった。
(……分厚い。噛むのも大変だなあ)
一口では食べきれないから半分に切って食べる。
焼いてあるだけあって、固く引き締まっている表面の下からは肉汁が飛び出してくる。
噛みきれないほどじゃないけど、端の焼けた部分は小さい子にとって大変かもしれない。
固さで言えばメンマもあった。
噛んでみると独特の味がするけど、スープの味を邪魔するほどじゃない。
別のお鍋で作っているのかは分からないけど、何だか煮物に入るたけのこのような食感だった。
(最後に残るのは、味付け卵だね)
ぷかぷかと浮かぶ、手付かずの味付け卵。
スープに漬けたせいか、それとも作った時の名残なのか、白身は若干茶色がかっている。箸でそっとすくって一口食べると、白身はちょっぴり甘くて柔らかかった。
黄身は殆ど固まっているけどパサパサしているわけじゃなくて、しっとりと舌に残る。
どれもちょっとずつ食べたことで、麺の色が所々見え始める。
これで遠慮なく麺を食べられると思った時には、すでに箸が伸びていた。
――― ◇ ―――
(ふぅ、美味しかった。これなら人気なのもわかるかも)
食べ終えてみると、もうお腹いっぱい。サイドメニューを頼まなくて正解だったと思う。
振り返れば、以前は店に入ることすらできなかった。
それなのに今の私は、ちゃんとここで食べ終えて、席を立とうとしている。
これは杏ちゃん達と出会ったおかげ?それとも私自身が気づいていなかった?
ふと浮かんだ問いに、答えはとうに決まっていた。
「ごちそうさまでした」
そうつぶやきながら、ちらりと入口を振り返ると、新しいお客さんたちが次々と入ってきていた。
新しい子供連れの家族や、フェニランのキーホルダーを付けた旅行客の人。
お客さんの到来と共に、店員さんの声も飛び交っている。
入口の向こうには並んでいる人の姿がちらりと見える。
もたもたはしてられないみたい。コップに残った水を急いで飲み干した。
支払いは注文時の食券で済ませてあるから、そのまま出口へ向かう。
案内してくれた店員さんに軽く会釈をすると、手渡されたのは小さな紙だった。
「えっと、これは?」
「次回以降使える割引券です。ぜひ、また来てくださいね!」
道をふさがないよう少し外に出てから、その紙を改めて見てみる。
追加トッピングが50円引きになるクーポン券。
有効期間は2か月。一緒に来た人の分にも使えると書いてあった。
(杏ちゃん、このお店のことを聞いたら喜んでくれるかな?)
きっと、興味津々で聞いてくれるに違いない。
彰人くんや冬弥くんも誘って、4人でまた来るのもいいかも。そう考えただけで、自然と口元がゆるむ。
次は何を頼むかを想像しながら、私は軽い足取りで駅へと歩いて行った。
おまけ
「小豆沢さん、何か落としたよ?」
「あっほんとだ。志歩ちゃん、ありがとう!」
「……あれ?これってあの店の割引券じゃない?味噌ラーメンで有名な、あの」
「えへへ、実はちょっと前に行ってきたの。その時にもらったんだ。味噌ラーメンを頼んだんだけど、量もしっかりしてて美味しかったよ。味玉も甘めで、食べやすかったかな」
「確かに、あの店は周辺のラーメン屋の中でも量が多い方だよね。ダントツで一番のとんこつ系には負けるけど、味噌味を看板にする中だと間違いなくトップにいるし。それに、麺の太さと長さのバランスも絶妙で……」
「し、しほちゃん?(な、なんだかよくわからないけど……すごく嬉しそう)」