いけませんヒューゴお兄様、それはえっちすぎます 作:まさみゃ〜(柾雅)
「……なんて?」
1番初めに口を開いたのは店長殿だった。
その声には困惑の表情が窺える。
彼女は何がおかしいのか分からない様な表情でその疑問を意味する言葉に答えた。
「ヒューゴ・ヴラドの妹、と言いましたが?」
先程のセリフとの相違が現れる。
しかし、彼女はそれに気づいていない様子だ。
「ん゛ん゛ん゛……失礼、私達の聞き間違えでなければ『妻』と言う単語が聞こえたのですが?」
「つっ、つつつっ妻ですか!? い、言った覚えがありませんが……も、もももしかしてお似合いの夫婦だと? 犬っころのくせに良いこと言いますね!」
確認はしたがそんなことは奴は言っていない。
と言うかこの女は本当に俺の知るセレナなのか?
記憶の中の彼女と違いすぎ……違い……違……。
何故か湧き上がる俺の知らない記憶。
「……貴様がその名を、セレナを名乗るならば証拠を見せて頂きたいな」
「あら? ヒューゴお兄様ならもう分かっていると思いますのに。ですが、お兄様の命令ならば提示させていただきましょう」
そう言って彼女は俺に近付く。
そして耳元に顔を寄せて言い放った。
「鼠蹊部右下」
普段俺が愛用している香水の香りが鼻を擽る。
そして囁きと同時に俺の手にはいつの間にか一枚のハンカチーフが握られていた。
「待て、それはどう言う意味……コレは!?」
握られたハンカチーフは過去に無くした俺の物である。
てっきりアイツらに燃やされたものかと思っていたのだが……しかし何故彼女がコレを持っている?
「どういう意味って……ホ・ク・ロ♡ありますよね?」
本当に何故知っている!?
恐怖が、込み上げてくる。
「何故知ってるって思っておられますね? 私はもちろんヒューゴお兄様のを、お兄様は私のありのままの姿を見たことがあるではありませんか」
「ひゅ、ひゅひゅヒューゴ!! どう言うことなのです!? 彼女の裸を見たことがあるのです!?」
「そんな訳あるかビビアン!!」
そんな記憶ある筈が……。
ふと、とある光景が鮮明に見えてきた。
昔、セレナに迫られて一度だけ共に風呂に入った記憶。
あの時の事を彼女は言っているのだろう。
「……まさか本当にセレナなのか……?」
「どうやら先程まで忘れてしまわれていたようで少々悲しいですが……はい、貴方の妹のセレナです。ヒューゴお兄様♡」
無意識に彼女へと手が伸びる。
彼女はその手をそっと両手で口優しく握ると、自身の頬へ運び頬擦りをする。
今まで彼女が死んだという衝撃が彼女との記憶の大半を占有していたようだ。
本当に、本当に生きていて良かった……。
それとしてあの再会時の台詞や今の言動にはまだ恐怖があるのだが。
だが、今の空気的にこの手を振り解けない。
「……感動の再会の所失礼するけどそろそろ進んだ方が良いんじゃないかしら?」
助かった、邪兎屋のご友人!
◉月▽日
あの犬っころに連れられて生きていたヒューゴお兄様と会った事を思い出しますが、やはり心臓に悪いですよヒューゴお兄様?
それに犬っころもです。
事が終わりましたら覚悟していただきますからね?
それと本日、パエトーン兄妹のもとに身を預けているビビアンの様子を見に行きました。
ヒューゴお兄様が死んだと思っているため、少々心配でしたが、ソファで眠るパエトーンを眺めている様子からしてそこまで傷は深くはないでしょう。
というかむしろ私の方が心配されましたね。
まぁ、演技とは言えパエトーンに短剣を突きつけた後に犬っころに心臓を潰されてホロウへ落ちたのですからそう思われても致し方ありません。
ですが私も演技は得意ですのでこの時に犬っころを恨んでいる印象を3人に与えることができました。
◉月*日
ビビアンとパエトーンがホロウで倒れているのを発見されたと聞いて慌ててビデオ屋に向かいました。
どうやらビビアンの過去に関係する人物と何かあった様ですね。
とりあえず面倒を1人で見るのは大変でしょうし私も今日は泊まることにしました。
ヒューゴお兄様にお願いされましたからね! 家政でのバイト経験が火を吹きますわ!!
先に目を覚ましたビビアンがまだソファで眠るパエトーンを眺めているところは微笑ましかったです。
ビビアンが暴走した時おそらくヒューゴお兄様が抑えると思いますが、私は応援したいので抑えようとするヒューゴお兄様を抑える役目は任せてくださいまし!!!!
◉月@日
夜にヒューゴお兄様の様子を伺いました。
ポートエルピスのシャッターの向こうからヒューゴお兄様の酷い呻き声が聞こえました。
とても苦しそうで私も胸を締め付けられる思いですが、ヒューゴお兄様が自身のすべき事だとおっしゃっていたので我慢して見守りました。
それはそれとしてヒューゴお兄様の呻き声って獣みたいでどこか趣がありますね……。
いけない事だと重々承知してるのですが、ヒューゴお兄様に獣の様に貪られる情景をつい妄想してしまいます。
◉月€日
パエトーンが私服でレイヴンロック家への潜入を行う所でしたので待ったをかけさせていただきました。
パエトーンが護衛役とは言え流石に私服はあり得ません。
ですので念の為用意して置いたドレスを着てもらいました。
まぁドレスと言ってもスーツなのですが。
なるべく動きやすいものを用意したので着ていて苦しそうな雰囲気ではなかったです。
何故かサイズピッタリだと驚かれ、化け物を見るような顔をされました。
弁明させていただきますけどヴィクトリア家政の大きい方のメイド様に頼んで用意したものですからね?
テレビの生放送でレイヴンロック家がTOPSから協力関係を打ち切られた発表がされたようですね。
インターノット上では色々とレイヴンロック家がボロクソ言われててウケますね。
順番的に便乗のような形になってしまいましたが私も計画通りに今までに集めたレイヴンロック家の情報をインターノットに放出させて頂きました。
有言実行、私の好きな言葉の一つです。
約束通り彼女を雇いました。
とりあえず今後はヒューゴお兄様と暮らすつもりですしマンションの管理を任せましょう。
続きは本編次第(その間、日常回メイン)
次回未定
【蛇足】
ハルトマンはセレナの事を知らない