男の娘がミカのお嫁さんになる話 作:ペロペロさん
プロローグなので短いです。
学園都市キヴォトスが誇る三大学園の一つ、トリニティ。
街灯が欄干を照らす。その上を歩く少女は月明かりに桃色の髪を煌めかせ、主人をその舞台から降ろすまいと、白い翼は夜風を捉えている。
時折り翼の表面が星のように瞬くのは取り付けられた飾りによるものだろうか。
「……あれ?」
橋の下から見上げる目線に気づいたのか、ふとこちらを見やる金色の眼。
軽い足取りで跳躍し眼前に降り立つ姿は正に——。
「ねぇねぇ、こんなところで何してるの?」
「———綺麗」
踊るような無邪気な声。
視界に映り込んだのは、輝く金の瞳。
桃色の御髪は天使の輪を作り、その頂にて輝くのは惑星の如きヘイロー。
この世界に来てから色んな人にあったけど、ここまで立体的なヘイローは初めて見る。
無邪気な所作とあどけない顔は何故か呆然とした様子を見せていた。
「…………わーお」
だけどそれも気にならない。こんな綺麗な人は初めてみた。こんな美しい生き物がこの世にいるなんて。
前世にて、唯一心休まる場所であった図書館。そこで読んだ本の中に出てくるある感情が全く理解できなかったけれど、
——ああ、これがそうなのですね。
この日、私は初恋に出会った。
後にこれが一目惚れというものだと知る。
☆☆☆☆☆
なんてことはない夜の散歩。橋の手すりの上を歩くなんて、ナギちゃんに見られたらはしたないって怒られちゃうかな。今はナギちゃんいないから関係ないけど。
橋の下、人工的に作られた河川の夕涼みに使われることもあるコンクリート製の川縁。
そこに、フードを被った人影を見て迷わず飛び降りる。
この程度の高さなら翼で滑空するまでもない。着地の瞬間だけ空気を叩いて足音を抑える。
フード付きのコートは砂か何かで汚れてる。ただ夜まで遊んでるだけのトリニティ生ならよし、それ以外ならこんな時間に何をしてるのか聞いておこうかな。
別にそれが仕事ってワケじゃないけど、いつだったか殴り込みに来たゲヘナの不良を叩き返したのを思い出しただけ。ほとんどは好奇心。
そう考えながら眼前の生徒に明るく問う。
「ねぇねぇ、こんなところで何してるの?」
言葉と同時に首を傾げるようにしてフードの中を覗き込んで——
肩まである白絹のような髪。
凍りつくようなアイスブルーの瞳は、それでいて全てを包むように暖かい。
可愛らしい顔は呆然としたようにこっちを見てる。
「…………わーお」
でもそんな事はもう気にならない。こんな可愛い子初めて見た。キヴォトスにこんな子がいたなんて。
同性愛なんてキヴォトスでは珍しくもないけれど、私がそうとは知らなかった。
——そっか、これがそうなんだね。
この夜私は初恋に出会う。
この子絶対お嫁さんにしよ。
この子の性別が男の子だと知るのはこの後すぐ、自宅の寮に連れ帰ってお風呂に入れる時の事。