小説投稿サイトをネットサーフィンしていた筈が、見付けてしまった。
「自殺の決意をする前に」
確か『異世界迷宮でハーレムを』というライトノベルのプロローグに出て来るサイトだった。
「まさかね」
その時の俺は『いせはれ』のファンが作ったサイトとしか思っていなかった。
そこで、何処まで『原作』に似せて作ってあるかを確かめる程度に考えて、そのサイトにアクセスしてみた。
先ずは「行く世界」の選択だ。
『原作』通りに色々な世界が並んでいる。
だがしかし、俺はあえて「剣と魔法の世界」を選ばず「科学技術が発達した世界」を選んでみた。
その時は、ちょっとした意地悪の積もりだった。
どうせ『原作』通りの世界以外は好い加減に作ってあるだろう、そこを確かめてやる程度の積もりだった。
ところが…
「国同士が積極的に戦う世界」とか「友好的な世界」などを選択する画面に成った。
それでも俺は、
「まあ、ここは変わらないか」
位にしか思わず「国同士が積極的に戦う世界」を選択してみた。
『原作』通りならば「友好的な世界」を選択すれば「迷宮で魔物と戦う世界」へと案内される様には作ってあるが、これで「正体」を現すだろう、位に思っていた。
ところが…
「どの陣営を選びますか」
という画面が出た。
「まさかね」
と、思いながら、それでも、
「ずいぶん真面目に作り込んだんだな」
としか思わず「民主主義の陣営」を選んだ。
その後、ステータスなどを適当に選んで行くと、遂にあの画面が出た。
「警告!」
「貴方はこの世界を捨て異世界で生きることを選択しました。
2度とこの世界に帰ってくることはできません。
続けますか?」
「はい」「いいえ」
流石にここまで来ると、
「まさか…」
と思えた。
それでも「いいえ」は選択しなかった。
そして、
「最終警告!」
「本当に2度と帰ってくることはできません。
それでも続けますか?」
「はい」「いいえ」
そして、選択すると………。
……。
…俺は目覚めた。
そこは馬小屋でも迷宮でも無く、高層ビルが建ち並ぶ中の、何とハイウェイのど真ん中だった。
唖然としている俺に対して、向かってくる車があって、俺を見付けたのかやたらとスムーズに停止した。
その車から降りて来たのは…
ヤン・ウェンリーとユリアン・ミンツだった。
何故直ぐに分かったと言えば、石黒昇監督版のアニメで見た通りだったからだ。
「君。こんな処で何をしているんだ?」
その声も、富山敬そのものだった。
理解は出来た。
あのサイトは本物だった。
しかも『銀河英雄伝説』の世界を選択してしまった。