「元帥を狙う者」「姪の結婚」(作者:アイアンロックス)「乱世を駆ける男」(作者:黄粋)(原作:真・恋姫†無双)よりインスパイアを受けました。
勝手ながら、アイアンロックス様並びに黄粋様には、エールを送らせて頂きます。
視点:とある転生者
何とか『原作』EDまでは生き残った。元帥には成り損なったが、ソコソコに出世もした。
これ以上は何を求める積もりも無いのだが「現世」での“余生”はまだまだタップリと残っていた。
ローエングラム王朝の創業時に於ける政治課題の1つが、旧王朝時代の冤罪や不公正な裁判の再審や名誉回復裁判だった。
このため、惑星フェザーンが新帝都と成った後まで司法省では「宿題」を続けていた。
法廷を開廷し、同時に解決した事に成っていた事件の捜査に忙殺されていた。
俺は軍務がヒマに成った事も理由の1つだろうが「宿題」の手伝いを特命されていた。
ところが、この「宿題」にはウザったい副作用が付いていた。
冤罪事件の再調査とも成れば、当時の捜査当局を捜査しなければ成らず、証言を引き出す見返りの司法取引もケース・バイ・ケースだ。
その結果、何処かの誰かが俺の知り合いに成っていた。
今や摂政皇太后たる御方をカーリングの石よろしく何処かの正論気取りにぶつけた其の「蝶の羽ばたき」で誰か女タラシを落とし入れるチャンスも無くなっていた其の司法取引の相手は、弾き出された何処かの正論気取りに進言した様に「内国安全…」何とかを“新”発足させる様に上に話を通すよう提案し続けていた。
その何とかを発足するチャンスを弾き出されたたからこそ、今でも好き家庭人、私人としては善意の福祉家を続けていられるのに………。
……。
…そのウザったい副作用付の「宿題」から解放される時も何時かは来る。
とりあえず「宿題」もひと段落した頃、久し振りの長い休暇を取って、俺は旅に出た。
新帝都に引っ越す理由も無かった実家の両親には、新帝都に離れているなりの親孝行を続けていたのだが、ひとつ親不孝があった。
両親や周囲には「平和に成ったなら」などと先延ばしにしていた。
実の処、俺だけは両親が心配していたよりも早く平和に成ることを知っていたのだが。
今は、そんな言い訳も通じなく成っていた。
俺には忘れられない人があった。
何度かの「前世」において巡り合い、人生を共にし、何人かの子宝にも恵まれ、そして一方が一方を看取った。
そんな「彼女」が「現世」に居るかも知れない。どうしても忘れられなかった。
未練かもしれない。ご都合主義かも知れない。
それでも「彼女」を探してみたかった。そして俺は、ささやかな職権乱用をした。
そして「彼女」らしき人が、中流の平民として平凡に、しかし平穏に暮らしているとの情報を得た………。
……。
…結論から言うと、やはり「彼女」だった。そして俺の事を思い出してくれた。
ご都合主義だと言えば言え。俺はこのささやかな幸福を守ると決意した。
俺は両親や親族に「彼女」を引き合わせ「彼女」を新帝都に連れ帰る準備を進めた。
ところが、場所が旧帝都だった。旧帝都にはアイツが居たのだ。
いかにも白々しく祝いを持って来た「元」局長に俺は微かな戦慄さえ感じた。
『原作』読者としての偏見は承知の上で、どうしても好意を持てない。
それに今は、自分一人ではない。「彼女」を守らければ成らなかった。
結局俺は、ささやかな職権乱用をした。憲兵本部の要注意人物、監視対象に指定したのだ。
同時に恨みばかり買うのも恐ろしく、以前から彼が寄付し続けてきた慈善事業に顧問として採用されるように、斡旋もした。
これで大人しくなってくれれば好いのだが。
彼に関わったことは、ある連想を生んだ。そこでちょっとした調査をした。
あの義眼の参謀は、元帥府への売り込みを黙殺された後も、軍務省の事務方として過不足なく勤め、最近、中将に昇進して退役していた。
そして学芸省の顧問として出仕していた。
当時の同省では「ゴールデンバウム王朝全史」の編纂が進行し続けており、旧王朝に対して独自の批評と史観を持つ彼も参加させる事は、史書の多面性と言う観点からは期待されたのだ。
調査資料に添付された立体写真では、彼は老犬に寄り添われていた。